17
なんとか今日中に滑り込みです。
仕事立て込んで毎日が辛くなってきました。
頑張ります。
「ところでさ」
公園へ向かって歩きながら話しかけられる。
「なんだ〜?」
カラカラとベビーカーを押して歩いていけばすれ違う人がチラ見していく。
けど、いつもの事なので気にしない。
「なんか見られてね?」
けど、大成は違ったらしい。ま、最初だし気になるか。
「若い男が赤ちゃん連れって、結構目立つみたいなんだよな。まぁ、悪い事してるわけじゃなし、気にすんな」
いつも抱っこのハルは今日は見える景色が違うからか、随分とキョロキョロ楽しそうだ。
小さな手を振り回し「あだあだ」と何かおしゃべりしている。
ハルの目には、どんな風に見えてるのかな?
気になる。
ハル的には全てが巨大なんだろうなぁ。
「いや、従兄弟たち連れて歩いたりしたけど、ここまで注目されなかったぞ?あん時はいっぱい居たからか?
……まさか若い夫婦とか思われてないよな?」
ブツブツと何か呟きながらついてくる大成を放っておいて、目に入るものをハルに示してあげながらノンビリ歩くこと10分。
目指す公園が見えてきた。
前回行った大きな池の周りを囲むように出来たウォーキング対応の公園とはちがい、カラフルな遊具がポンポンと配置され、その間を縫うように浅い水路が流れている。
夏場は水遊びOKなそこはたくさんの幼児連れで賑わっていた。
「すっごい人だな〜」
ハルは目をパチパチさせて周りに見入っている。こんなに沢山の子供を見るのは初めてなんだろう。
「さってと、どこから行ってみる?」
さっきまでなんか1人の世界に入り込んでいた大成は、公園に着いてしまえば我に返ったらしく、いつもの様子に戻っていた。
実は小さな従兄弟もいるこいつの方が、公園はテリトリーなんだよな。
想像以上の人出にむしろ俺の方が及び腰だ。
ハルくらいの子はいるかな?とぐるりと辺りを見渡せば、幾つかのグループがあった。
赤ちゃん連れてるのはだいたい2〜3人組か夫婦が主で俺たちみたいなのは見当たらない。
夏休みだから、小学生くらいの子も結構目立つ。
走り回ってるから、ハルが跳ね飛ばされないように目を離さないようにしなきゃな。
滑り台にジャングルジム。シーソーに紐がピラミッド状に組まれたアスレチック。そして、何より。
「ブランコ、乗せてみたい!」
普通のブランコの他に小さい子ようにプラスチックのベルトのついた椅子状のブランコもあったのだ。
あれならハルでもイケそう。
現に今もハルとそう変わらないくらいの子供が楽しそうに揺られている。
が、しかし。
「……あの中に行くのか」
ブランコの周りには、若いギャルママっぽい人たちがたむろってた。
しがない高校生としてはちょっと怯むのは当然の反応………て、大成。
俺のブランコの言葉を聞いた途端、スタスタとベビーカーを押していく大成の後を慌てて追いかける。
「こんにちは〜。うちのも遊ばせてもらって良いですか?」
しかも、速攻で声かけてるし。
勇者だ!勇者がここに居る。
子供の乗ったブランコを押してあげながら立ち話していたママ達は、突然声をかけられてビックリしたようにこっちを見た。
値踏みするような視線に内心怯みつつも、笑顔の大成にこっそりベビーカーの陰で足を蹴られぺこりと頭を下げる。
敵意なんてありませんよ〜、仲良くして下さい。
心の声が聞こえたのか、皆さんにっこりと友好的な笑顔を浮かべた。
「どうぞ〜。うちの子達、もう結構遊んだから乗せて良いよ〜」
「良いんですか?」
ブランコに乗ってた子を抱き上げて促してくる相手に慌てるけど、退けられた子もぐずることなく母親に抱きついている所をみると、大丈夫なのかな?
判断がつかなくて大成をちらりと見ると笑って頷かれた。
「良いんじゃない?乗せてもらえよ。ありがとうございます。皆さん、いつもここで遊ばせてるんですか?」
「敬語じゃなくて良いわよ〜。なんか緊張しちゃうし、おばさんになったみたい」
「まじ?じゃ、お言葉に甘えて。おばさんなんて無い無い……………」
如才なく会話を始める大成に後は任せるとして、ハルを抱き上げそっとブランコに座らせてみる。ベルトまでしっかり締めて……。
「いくぞ〜〜ハル」
最初は少しだけゆっくりと押してみる。
そして、じょじょに振り幅を大きくしてみたんだけど……。
「ハル、真顔になってるし」
じっと固まったままの無表情。
大成と話しに花を咲かせてたギャルママ達がケタケタと笑い出した。
「かわい〜固まっちゃってるよ」
「ビックリしたんじゃん?初めてなら刺激強いよね〜ブランコ!」
あ、やっぱり怖かったのか?
慌てて揺れを止めて抱き上げると、無言でしがみつかれた。
「大丈夫だよ、ビックリしただけだろうし、うちの子も初めはそうだったよ〜懐かしい」
「そうそう。すぐ慣れて、もっと乗る!ってなって大変だよ〜」
口々にフォローが入る。
良い人たちだ。見た目で苦手意識持ってごめんなさい。
だけど、ハルをもう1回乗せようとしたらシッカリとしがみつかれて拒否された。
「怖かったね〜他の事してみたら?お水遊びは大丈夫〜?」
「あ〜たぶん?風呂は好きです」
「じゃぁ、向こうで水遊びさせてみよ。行こう」
リーダーっぽい人に誘われて、みんなでぞろぞろ移動する。
てか、いつの間に一緒に行動する事になったんだ?
ハルを片手に抱っこして(ビックリしすぎたのか、ベビーカーにも乗ってくれなかった)片手でベビーカーを押していると、大成が戻ってきて、俺の手から空のベビーカーを奪い取った。
「ギャルママナンパすんなよ」
「違うっつ〜の。さすがに人妻は無いですぅ。年の近い子との交流も大事だろ〜」
もっともらしい事言ってるけど、どんなだか。リア充なんて嫌いだ。
ブランコからすこし中央に向かって歩いてると、水路が広がって窪み、水遊びしやすい感じの場所があった。
「いいよ〜。遊んどいで〜」
母親の合図で早速グループ内では最年長らしき男の子が水に駆け込んでいく。
ハルと同じような年の子も、抱き上げられ水に足をつけてもらって楽しそうだ。
一番深い所でも、20センチくらいしか無さそうなのを確認して、おれもハルをそっと水の中に立たせてみた。
まだ、1人で立て無いハルの手を支えてやりながら様子を見る。
シッカリとおれの手を掴んだままゆっくりと辺りを見回したハルは、今度は足元に目を落とした。さらさらと流れていく水を興味深そうに眺めている。
触りたそうな感じに見えて、思い切って座らせてみた。
着替えもタオルもあるし、大丈夫だろ。
一瞬冷たさにビクっとした後、ハルは俺から片手だけ離し、水に手をつけた。
手を水にくぐらせる感触を楽しむようにつけたり出したりを繰り返した後、再び俺をみあげ、ニヤリと笑った。
そして、
「うわっ、ハル!やりやがった!!」
素早く両手を振り上げると、思いっきり水面を叩いたのだ。必然、跳ね上がった水が辺りに撒き散らされ俺にも被害を及ぼす。
思わず悲鳴をあげた俺にハルがキャッキャッと声を上げて笑った。
「あ〜あ、水も滴るいい男ってか?」
前髪からポタポタと雫を垂らす俺を見て大成がニヤニヤしながら近ずいてきた。
そこに素早く水をすくってかけてやる。
「おすそ分けだ。涼しいだろ?」
「………おまえなぁ」
ハルに俺がやられたのと比になら無いくらいの水をかけられた大成は頭から胸にかけてぐっしょりだ。
綺麗にセットされていた髪がぺしょりと潰れ額に張り付く様子に笑いがこみ上げてくる。
「ハル〜、見たか?お前のおじちゃん酷いなぁ」
水を相変わらずバチャバチャとはねさせて遊びだしたハルに話しかけながら俺の隣に座り込んだ大成が、ばちゃんと水を俺の顔にかけてきた。
びしょ濡れの顔を見合わす事数秒。
「………いい度胸だ」
「………先に喧嘩売ったのはユキだよな」
そこからは仁義なき水かけ合戦が始まる。
気がつけば周りにいた子供たちも参戦していてかなりカオスな事になっていた。
片手でハルをかばいながらの俺はかなり不利だったんだが、同情してくれたチビ達をうまく煽って大成を集中攻撃してやった。
「卑怯だぞ!」とか叫んでたが知るか。
味方増やして何が悪い。
コレは戦いだ!!
ちなみにハルは隅っこで俺の背中に庇われ、平和にバチャバチャしてましたとさ。
「男子高校生、可愛かったねぇ〜」
「やっぱ、10代は若さ違くない?!子供と一緒にマジはしゃいでたし〜」
「ねぇ〜。ピッチピチ。あの若さ、うちの旦那にも分けてやりたい!」
「自分にはいいの〜?」
「いや、自分もだけどさぁ〜!」
以上、一緒になってたギャルママ達の会話。
ちなみに彼女達は合戦始まったら避難してました(笑)




