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何も考えないはなしが書きたくて見切り発車です。赤ちゃんかわいいと言われる話が書きたいです。


ある日、学校から帰ると赤ちゃんがいた。


リビングのソファーの上にお腹にタオルをのっけてスヤスヤと眠っている。


そーっと踵を返して逃亡を図った俺は、あえなく母親に捕まりキッチンに連行された。



「あれ、なに?」

「あんたの甥っ子よ。今日からウチで預かる事になったから」


夕食の準備をしつつ、母親があっさりと返す。

「甥っ子って、姉貴?いつ帰ってきたんだ?てか、結婚してたん?」


3年前に「私は愛に生きるの〜〜!!」と叫んで家出した8歳上の姉を思い出しつつ首をかしげると、さらなる爆弾が落とされた。


「帰って来たというか、『立ち寄った』ね、あれは。ハル君おいて、サッサと出ていったから」

「ハアァァ〜?」


「愛の狩人(笑)は健在みたいよ?」


どうも今の旦那が危険な地域に単身赴任しようとした所に強引に追いかけていった、と。

けど、流石に医療機関どころかライフラインもまともに通っていない土地に赤ちゃん連れて行くのは怖いから、うちに預けていった、と。


……って、イヤイヤ、意味わかんねぇし。


「そもそもあの子いくつだよ」

「え〜?10ヶ月くらいかしら。8月に誕生日って言ってたし」

「本当に赤ん坊じゃん。そんなちっこいの置いてくとか、信じらんねぇ!」


思わず叫ぶと頭を叩かれた。

「うるさい。おきるでしょう」


慌てて口を手のひらで塞ぐと、母親が、ハァ〜、とため息をついた。


「あの子が突拍子も無い事は今に始まった事じゃ無いでしょう。施設に放り込まず、うちに連れてきただけでも御の字よ」


遠い目で虚空を見つめる母親に、家出をするまでに姉貴が打ち立てた数々の武勇伝が頭をよぎる。

……確かに、他人様に迷惑かけて無いし命の危機も無いだけ、マシかも。


「にしても、そんな所に単身赴任って、旦那何してる人なんだよ?」

「……聞かなかった」


ポツリと呟かれた言葉に首をかしげるとじゃが芋の面取りをしながら、母親は言葉を続けた。


「聞かなかったの。絶対ろくな事にならないから。あんた、過去にあの子が連れてきた『恋人』達、忘れたの?」


再び頭をよぎる過去の厄介事達。


「うん。突っ込むの止めて正解」

「でしょ?」


思わず、二人で頷きあう。

触らぬ神に祟りなし、だ。


「でも、いつまで預かるんだ?」

「とりあえずハル君の誕生日には戻ってくるみたいよ?」

「2ケ月くらいか……なら、まぁ」


……なんとかなるのかな?と、思った所でさらなる爆弾が落とされた。

「て、事で、あんたに夏休みは無いから」

「へ?」


ナントオッシャイマシタ、ハハウエ?


「もうすぐ夏休みでしょ?世話は任せたから。母さん、夏は忙しくって」

「いや、無理でしょ。赤ん坊なんて触った事も無いから!!」


あっさりととんでもない爆弾を投下してくる母親に必死に拒否するも、敵うはずもなく。


「大丈夫よ〜。今すぐって訳でも無いし、やり方はちゃんと仕込んであげるから。あんた器用だから、すぐ覚えるわよ」


明るく軽く抵抗をいなし、最後のとどめは「頑張れ、扶養家族♪」で、終了。

働かざるもの〜が家訓の我が家では、これを出されるとしがない学生は弱いのだ。




どうやら高校最初の夏は、とんでもない事になりそうな予感しかしません。


すみません。赤ちゃん出てきませんでした。……次こそは!

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