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 エスケープ2

 エスケープ




第一話:エマ・ボルドー:タイムスタンパー:check pointD-2:20080815(14:15~14:30)




 薄暗い廊下でさんざん喚き散らした私は今、学校の中心に鎮座する噴水まで来ていた。

 当初はビッチの部屋に即殴り込みをかけるつもりだったのけれど、ガチで喧嘩して勝てるわけも無いことに、ふと気づいたわけだ。

 それに、今回の不平不満は未来のビッチのせいであり、今この時間帯のビッチにそれをぶつけるというのはどう考えても、おかしい……

 



 私はカフェオレを片手に、天を仰いだ。

 ……青空が、まぶしい。実に、4日ぶりの青空だ。




「あの空間が生じるまであと2日か……このままいくと、順当に私はあそこにまた逆戻り〜」



 おちゃらけながらも、内心舌打ちをし、私は再びタイムスタンプを確認する。

 





 自由に使える「時の栞」の数は4つ。

 そしてその内3つがすでに、わけのわからん次元に張られている。

 最後の一つはこの通常空間にあり、私にとって唯一の、憩いの栞となっている。


 


「手札が、足りなさすぎなのよ。

そもそも、どこでフラグが起つかも分かんないリアルな世界で、セーブ容量が4つしかないってどういうことよ?」




 まあ、普通の人間には時空間を超える力なんてないのだから、私の不満なんてのも、持ちうるものの苦悩ってやつなんだろうけどね……




 ※




 私、エマ・ボルドーは、タイムトラベラーである–――と自己紹介したい今日この頃だが、実際はそんな大したもんでもない。ただ、時間を移動できるというというだけでも、結構たいしたもんだと思う。(←賞賛するところ!)



 そう、何を隠そう私は、時間を移動できるのだ。

 そして、その神に匹敵する力を有する私は、自分のことを、タイムスタンパーと呼んでいる。ちなみに、タイムスタンパーである私が有する能力は、タイムスタンプ。

 ひねりも何もあったもんじゃないけれど、それでも、この力の本質を端的に表す言葉としては、このタイムスタンプというのは、最適だと思っている。





 私の聞いた話だと、時間は「過去から未来」に向けて一方方向に流れているらしい。そして、それは川みたいなもんで、逆行するには、相当な労力が必要っていうのも、なんか聞いた覚えがある。一般論では、どうなってるんだっけ?全宇宙のエネルギーくらいいるんだっけ?普通に時間を遡るには。



 まあ、一般論はどうでもいいや。とにかく、一般ピープルが宇宙まるごと生け贄にしてやっとこさという可能とする奇跡を、わたしは片手間にやってのけることができてしまうわけよ。ただし、条件付きでね。


 


 条件付きと言っても、そんなにキツいもんじゃない。命が削られるとか、そういうのじゃないはず・…・たぶん。

 今のところ、皮膚がただれるとか血を吐くとか、そんなこともないしね。



 で、力の制約に話を戻すと、私が移動できる時間先ってのは、決まってる。

 それは、私が栞を–――くさびを打ち込んだ時間だけで、それ以外は、ムリ。要は、ゲームのセーブポイントみたいなものを、私は世界に付箋ぺたりと張り、自由にその世界をローディングできるって話。





 昔、この能力について少しだけ知りたくなって、「漫画でこんなのあってさ〜」と理系の実兄相談したことがある。漫画でこんなやつ(やつ)いるんだけど、どう思うって。


 そしたら。



 「仮に、時間遡行が可能だとしても、意図した時空に到達することは不可能に近い。なぜなら、不確定性原理により、この世界はーーーー」



 正直説明がうざすぎるので、私が簡単に説明を。



 つまりは、時間が川だから。相対的に同じ時間位置に戻っても、そこにある量子―――つまり、私たちを形作る原子とかいう「世界の踊り手達」は、時空っていう「舞台」を再現してやっても、遡行者が知る世界の有様を演じてくれているわけではないらしい。(兄が顔をしかめた説明)




 ……なんにせよ、意図した世界(時間と粒子の振る舞いが記憶とまったく同じ)へのタイムトラベルは、世界の真理として、不可能らしい。


 知らんけどね。わたしは、それが出来るわけだし。

 それができるからこうして、ある意味、悩んでいるわけだしね。

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