表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

エスケープ1

 エスケープ



 プロローグ


 時空間制御者の私をここまでコケにするなんて、良い度胸してるじゃない。



 ……思い知らせてやる。で、後はジャパニーズ土下座よね。そのあとは、どうしてくれようか。




 まあ、それも兎に角、この閉鎖空間から抜け出せたらの話なんだけど。





第一話:エマ・ボルドー:タイムスタンパー:check pointD-20080815-14:00




 グニャリと歪んだ空間が引き延ばされ、再生される。

 後は、いつもの嘔吐感。


 ウッぷとなるのを必死でこらえながら、私は学校のロッカーに背中をもたれかけさせた。

 後は膝が崩れるのに従って、ずるずると床に尻餅をつく。


 

 ひんやりとした廊下のタイルを肌に感じ、息が思わず漏れた。

 そして、押し寄せてくる安堵感と、のしかかる無力感。そして、膨れ上がる憤怒の感情。




「あああああああああ、うざい!うざい!うざい!

もう、何回目よ!てか、あのくそビッチ、私売りやがったし!」



 怪訝な顔で私に注目する「その他大勢(学生及び一部教師)」を無視し、私は目を閉じた。

 奴らからすれば、それまで普通にしていた私が、急に崩れ落ちたように見えるのだろう。


 実際、良心と親切心を持ち合わせた希有なバカども近づいて来て、余計なおせっかいを掛けてくる。

 そういうのは、はっきり言って、うざい。


 わたしは連中に「大丈夫」とだけ返し、すぐに立ち上がった。

 翻って逃げるようにその場を後にし、直であの女の元に向かう。


 



「check pointBが一日目の20:00で、CとEが二日目の16:44と23:37。あと、Dが今日のこの時間。

……どうする?Cの時間帯に戻るか?でも、Eも捨て難い……なにしろ、あのヒッキーが覚醒してるしな。

でも、所詮はヒッキー。結局、あの根性のなさに挫かれて、私はこのD pointに戻って来てるわけだし」



 そこまで考えた所で、私は周囲を見渡した。

 視界に入るのは寂れた廊下と、薄暗い光をはなつ電灯だけ。


 幸いなことに、誰もいない。学校の昼間にしては、めずらしいシュチュエーションだ。




「……D point、上書きしとくか。また戻ってきたとき、さっきの連中がまた寄って来たら、殴り飛ばさないとも限らないしね」




 この時間帯に「また戻ってくる」可能性を考えている自身の腑抜けっぷりに、私は再び唇を噛み締めるはめになった。

 そして、人生三度目の20080815-14:00の世界の空気をおもいっきり肺に吸い込み、再び絶叫。



 だれも居ないことを良いことに、私は気が済むまであの女への不平不満をぶちまけた。

 そして、自分の能力についての、不満もついでに。





「セーブポイントが少なすぎるでしょうが!

 ジャパゲーじゃセーブポイントなんて百超えることもあるのに、なんで私は、私は、ああああああああ!!!!!

 片手で数えられる数しかキャパがないのよ!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ