コロ
小さいころの僕には、大切な友達がいた。
名前はコロ。
コロは、小さくて僕の手のひらにすっぽり収まる大きさだった。
僕とコロは、いつも一緒。
遊びに行く時も、夜寝る時も。
コロは、いつも僕の悩みを聞いてくれる。
僕が涙をこぼしたときは、いつも涙を受け止めてくれた。
こっそり、学校へ連れて行く時もあった。
友達に、「何隠してるの? 見せて!」と言われたけど、僕とコロだけの秘密だから絶対に見せなかった。
コロは、不思議。
冬は温かく、夏は冷たい。
どんな時も、僕に寄り添ってくれる、そんなコロが大好きだった。
それなのに、僕はいつしかコロのことを蔑ろにしてしまった。
俺は大人になり、結婚し子どもが出来た。
子どもは成長し、入学式を迎える。
子どものために、部屋を用意することにした。
俺が昔使っていた部屋。
その押し入れから、息子が宝箱と書かれた箱を見つけた。
「父さん、開けていい?」
俺は、中に何を入れたのか覚えていない。
「あぁ」
そう言うと、息子は蓋を開ける。
「なんだこれ、ただの石ころじゃん」
俺は取り出された石ころを見つめる。
「父さんの友達だ」
息子は、不思議そうに石ころを見つめる。
俺は、そっと手のひらに乗せた。
あの時と同じようにじんわりと温かい。
「コロ、また会ったな」




