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俺の拳とこの魂で、砕いてやるぜ!そのハーレムを!  作者: イノセス


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プロローグ〜許せねぇ…〜

 桜が散り行く4月の春日和。寒さも和らぎ、とても良い天気だからと、僕は外で弁当を食べる事にした。そして、それなら見晴らしの良い屋上が一番だと階段を駆け上った。

 でも、それが間違いだった。


「きゃぁっ!ちょっと、セイちゃん。今、あたしの胸触ったでしょ?」

「いや、違うんだ。今のは不可抗力だって」


 僕が屋上前の踊り場に差し掛かった時、そんな声が聞こえた。

 少しだけ開いていた屋上への扉から覗くと、そこのは天国の様な地獄が広がっていた。

 まるで天使かと見間違う美少女達が、たった1人の冴えない男子生徒を取り囲んでいたのだった。


「こら、セイジ。ちゃんとお付き合いもしてないのに、そう言う事しちゃっダメでしょ?」

「そうだぞ、セイジ君。どうしても我慢出来ないのなら、私が一肌脱いでやるぞ?なにせ私は、生徒会長だからな」

「ちょっと!何を言ってるんですか!ナツ先輩。だったら、セイジの幼馴染である私が…」

「コハルもやるー!」

「あっ、あたしも…」


 キャッキャと楽しそうに声を上げる4人の美少女は、この四葉学園が誇るアイドル達。1人1人にファンが付く程に魅力的な彼女達は、近くを通って頂けるだけで有難い存在で、彼女達から話し掛けられでもされた日には、僕なら心臓が破裂してしまうだろう。

 それだと言うのに、


「おい、おい。みんな止めろって。そんなに引っ付いたら、動きにくいだろ?」


 彼女達に抱き着かれているあの男は、まるで面倒くさいとでも言うように、両手を上げて溜息を吐いている。

 学園のアイドル達を侍らせておいて、何が嫌なんだよ!だったらそのポジション、僕と代わってくれよ! 


 僕は悔しくて、握っていたプラスチックの箸をへし折っていた。

 これで、あのクソ男…セイジの野郎が超絶イケメンだったり、スポーツや勉強が得意なら、僕の虚しさもまだ救われた。

 でも、そうじゃない。セイジは普通の男子だ。僕と殆ど変わらない、名も無きモブキャラの1人。教室の端で、ゲームやアニメの話題で盛り上がる陰キャの1人。

 そんな冴えない男の筈なんだ。

 なのに…。


「セイちゃん。今日のお弁当は、セイちゃんリクエストのコロッケだよ?」

「おっ、マジか。サンキュー」


 あのクソ野郎は、何故かアイドル達に好かれ、その羨まし過ぎる愛をたった1人で貪り食っている。

 まるで、彼女達に愛されることが当然の様に。


 許せない。


「許せねぇ…」


 えっ?

 僕の後ろで低い声が聞こえて、僕は飛び上がってしまった。

 振り返ると、そこには顔を真っ赤にしたブタ…じゃない。隣のクラスの黒沢君がいた。

 ブクブクに太ったその顔は、男の僕が見ても醜悪で、嫉妬で燃える今は嫌悪感すら覚えた。


「おい、お前ら。早く行け」


 黒沢君は後ろを向いて、誰かを手招きする。そこから現れたのは、数人の男子生徒。ネームプレートの色からして、僕と同じ2年生。黒沢君のクラスメイトみたいだ。

 彼らは黒沢君の横に並び、でもそこで足を止めた。


「やっぱ止めようよ、黒沢君」

「式部さんに嫌われちゃうよ」

「会長に、殴られちゃうよ…ハァ、ハァ」


「うるせぇ!早く行け!行って、あの昼食会を滅茶苦茶にしろ!じゃねえと、金は1円も払わねえぞ?」


 黒沢君に脅されて、男子達は渋々セイジ達の元へと駆け出す。

 でも、


「せりゃぁああ!!」

「「ぎゃぁあ!」」

「ありがとございますー!」


 みんな、会長のナツ先輩に返り討ちにあってしまった。

 それを見た黒沢君は「ちっ」と舌打ちして、僕を見上げた。


「次は貴様が行け」

「えっ?いや、僕、違うクラスで…」


 僕が抗議する前に、黒沢君が万札を投げ付けてきた。ヒラヒラと、僕の足元に散乱する万札。


「ごちゃごちゃうるせぇ!早く行け!成功したら、その10倍くれてやる!」


 ぐっ…成金ブタめぇ。

 僕は仕方なく、お札を拾おうとする。でもその前に、お札の上に影が落ちた。


「貴様らか。我々の昼食を邪魔した不届き者は」


 ナツ先輩が、怖い目で僕達を見下ろしていた。

 ひぃっ!


「俺じゃねぇ!全部、こいつが仕組んだんだ!」


 嘘だろ?おい!成金ブタめ、僕に罪を擦り付けて来やがった。

 でも、そんな嘘は会長に通じない。彼女が手に持った竹刀が、黒沢君に向く。

 そして、


「成敗!」

「ぶぎゃぁあ!」


 会長の一刀で、黒沢君は階段の向こうへと消えた。

 ナツ先輩はそれを見送ったあと、僕を振り返る。

 僕は慌てて立ち上がり、手を上げた。


「ちがっ、僕は、ただお昼を食べに…」

「それを拾えば、貴様も同罪とする」


 それと言って、僕の足元の万札を見下ろすナツ先輩。

 僕は慌てて、手に持っていたお札を投げ捨てた。

 そんな僕を、彼女は凍える様な目で睨みつける。そこに、先程セイジへ向けていた暖かさは一欠片もない。

 僕は何もしていないのに、同じ様に何もしていないセイジとは雲泥の差があった。


「おーい!ナツ先輩。早く来いよ!」

「ああ!今行くぞ、セイジ君!」


 セイジに声を掛けられただけで、犬のように駆け出すナツ先輩。

 彼女が向かった先では、天使達が歓談していた。


「はい、セイちゃん。あーん」

「ちょっと、ジュン。次は私の番でしょ?」

「セイジ、早く口開けるー」


「おいおい、みんな。俺はガキじゃねぇんだぞ?ったく、困ったもんだぜ」


 困るくらいなら、そこを代わってくれよ…。

 俺は悔しくて、涙が出てきた。

 

 誰でも良い。誰か、この悪夢を終わらせてくれ…。

数多くの作品の中から、本書にお越しくださりありがとうございます。

ここでは、レポートの考察や注意事項をお伝え致します。


※1エピソード3000〜4000文字程度で進めて行きます。


※カッコの使い方について。

「」…通常の会話。

()…心の声。


※今日はこの後、19時、20時、21時と投稿致します。

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― 新着の感想 ―
前々作において、盾の人の如何なる危機においてもレポート(報告者ではなく、編纂・清書の方の執筆者?) 作者の方があの世界に介入しなかったのは、常時多方面の電波?を受信して回路?が過負荷気味だったのねw …
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