表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

第4話:秘密と、やっぱりな


カフェを出たあと、三人は川沿いへ戻ってきた。

夜風が肌をなで、遠くで車の音が途切れ途切れに聞こえる。


「じゃあ、私こっちだから」

朱美が手を振り、別の道へ歩いていく。

その背中が見えなくなると、静かな時間が訪れた。


エララと潤、二人だけの川沿い。

川面には街の灯りが映り、きらきらと揺れている。


「……潤」

呼ぶ声が、夜の空気に溶けた。


「ん?」

振り返った潤の目を、まっすぐに見つめる。


「わたし……この世界の人じゃない」


一瞬、潤はまばたきした。

だが次に浮かんだのは、驚きよりも、少しだけ納得したような笑み。


「やっぱりな」

「……やっぱり?」


「初めて会った時から思ってた。

 なんかさ……現代の子とは違う雰囲気してたんだ」


川の音が、二人の沈黙を包む。

エララの胸の中にあった秘密は、今やっと形を持って、潤の胸へ届いた。


「……だからって、俺はエララを変なやつだとは思わない」

その言葉に、胸が熱くなる。

見上げた満月が、やけに近くに感じられた。


<あとがき>

第4話では、ついにエララが潤に「自分はこの世界の人間ではない」という秘密を打ち明けました。

これまで胸の奥に押し込めていた言葉を、初めて声にする――その瞬間の緊張や不安を、少しでも感じてもらえたら嬉しいです。


そして潤は、驚くどころか「やっぱりな」と微笑む。

受け止めてもらえた安心感と、ふたりだけが共有する秘密の親密さが、この先の関係を少しずつ変えていきます。


次回は、現代での生活に少しずつ馴染んでいくエララの日常。

しかしその中に、小さな波紋が広がり始めます――。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ