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百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話  作者: 釧路太郎


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第47話 二人の帰還は来週の予定

 イザーと工藤太郎が戻ってくる目途が付いたのがわかったのは木曜の午前中であった。

 来週の月曜夕方にはこちらに戻ってくることが決まったので学校中がその話題一色になっていた。

 サキュバス陣営もレジスタンス陣営も二人の帰還を喜んでいるのだが、クリームパイとクリーキーは少し複雑なようだ。


「太郎ちゃんが帰ってきたらレジスタンスのみんなでお祝いをしたいんだけど、珠希ちゃんも来るよね?」

「生きたいとは思うんだけど、うまなちゃんにイザーちゃんのお帰りパーティーをやるからおいでって誘われているんだよね」

「そうなんだ。ちなみに、そのパーティーって何時からなのかな?」

「授業が終わってからすぐって言ってたよ」

「なるほどね。じゃあ、イザーちゃんが帰ってきたらすぐに呪いをかけるように呪術師の人達にお願いしておこうかな」

「え、それはやり過ぎなんじゃない?」


 栗鳥院柘榴はニヤリと笑うと工藤珠希の肩をポンと叩いていた。


「冗談だって。さすがに私たちも帰ってきてすぐに呪いなんてかけないって。しばらくの間はイザーちゃんも太郎ちゃんも大人しく過ごしたいと思うだろうし、そんな時に攻撃なんて仕掛けたら後々面倒なことになって私たちの首を絞めることになりかねないからね。普通に帰還のお祝いの品を連名で送るだけだよ。もちろん、ちゃんとしたお祝いの品をだよ」

「それなら良かった。柘榴ちゃんの顔がマジっぽく見えたからボクは心配しちゃったよ。愛華ちゃんもニヤニヤしてたからちょっと信じちゃったし」

「私は普通だったと思うけど、そんなにニヤニヤしちゃってた?」

「してたよ。でも、愛華ちゃんは週末に予定があって、その事を考えてるからニヤニヤが止まらないだけなんじゃないかな。今週はずっとそんな感じだし」

「ええ、そんなに顔に出てます?」

「うん、凄く出てる。珠希ちゃんは全然気づいてなかったみたいだけど、先月からちょっとずつニヤニヤが出てたね」

「それはちょっと恥ずかしいかも。なんでもっと早く言ってくれなかったんですか」

「だって、ニヤニヤしてる愛華ちゃんは可愛らしいからね。可愛らしい姿を見られるのは私にとってもいいコトだから」


 栗鳥院柘榴と鈴木愛華はいつも以上に楽しそうにしていた。もちろん、栗宮院うまなをはじめとするサキュバス陣営もイザーが帰ってくることを喜んでいるのだ。

 イザーと工藤太郎のどちらかが帰ってくるという事であれば戦力的に大きな差が生まれてしまうので両陣営が喜ぶという事にはならないのだろうが、今回のように両者とも無事に戻ってくるという事は戦力に大きな差が生まれないという事にもなるのだ。


「ちょっといいかな?」


 クリームパイが珍しく話しかけてきたと思って振り返ると、クリームパイとクリーキーがいつもとは違う真剣な表情で工藤珠希をじっと見つめていた。

 何とも言えない空気感に少し緊張してしまった工藤珠希が二人のもとへと歩み寄ると、そのまま二人に連れられて教室を出ていく事になった。そのまま校舎内を移動した三人がたどり着いたのは生徒指導室であった。

 零楼館高校に入学してから初めて入る生徒指導室だったが、中に入るとここは応接室ではないかと思ってしまうような立派なソファとテーブルが中央に設置されていた。

 二人に促されるまま工藤珠希がソファに座るとクリームパイとクリーキーは正面のソファへと腰を下ろした。


「単刀直入に聞きますが、この世界で一番強いのはイザーさんで間違いないですか?」

「さあ、ボクにはイザーちゃんが世界一強いのかは判断できないかも。強いとは思うけど、それが世界一なのかと言われたらわからないよ」

「俺とイザーが戦ったらどっちが勝つと思う?」

「それはイザーちゃんじゃないかな。クリーキー君が戦っているところを見たことが無いけど、話している感じでもイザーちゃんの方が強いんだろうなって気はしてる」

「そうか、あんたほどの人がそう言うんだったら間違いないんだろうな。いい勝負になるって言ってくれたら嬉しかったんだが、まだまだ俺はそのレベルにも達していないという事なんだな」

「いや、ボクが勝手にそう感じただけなんだけど。そんなに真剣に受け止められるとは思わなかったよ」

「珠希ちゃんが言う事にはどこか信ぴょう性があるからね。私もクリーキーも他の人の言っていることはそんなに信じないけど、珠希ちゃんが言う事だったら信じようかなって思うよ。珠希ちゃんは私たちの星を救ってくれる人だからってのもあるんだけどね」


「ちょっと待ってもらっていいかな。ボクがクリームパイちゃんたちの星を救うって、どういう意味?」

「どういう意味って言われても、そのまんまの意味だけど」

「そのまんまの意味だよね。珠希ちゃんが俺たちの故郷であるサキュバス星を壊滅の危機から救ってくれるんだって話だよ」

「そんな話知らないんだけど。ボクが君たちの星を救うとか意味が分からないよ。そもそも、ボクみたいな普通の人間が星を救うとか無理でしょ。それに、壊滅するって言ったって、二百億年後なんだよね。その時にはボクなんてとっくに死んでると思うんだけど」


「ああ、そこはそんなに気にしなくても大丈夫大丈夫。珠希ちゃんなら大丈夫だってカムショット皇帝も言ってるし」

「珠希ちゃんとカムショット皇帝が組めば最高なんだけどね。俺としてはうまなちゃんでもいいような気がするんだけど、あの子は気が強すぎるからやっぱり珠希ちゃんがいいんじゃないかな」

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