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百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話  作者: 釧路太郎


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第35話 侵略少女とドクターポンピーノ

 侵略する予定の星が自分たちの星よりも先に無くなってしまう。

 それだと何のためにここまでやってきたのかわからないと思われたけれど、少女はその目的を変えることで自分は間違ったことはしていないと思うことにしたようだ。誰もそれに気が付いていないのだが、少女は少しだけ焦っているという事には多くの者が気付いていたのかもしれない。


「この星は素晴らしい環境が整っている。今まで見てきたどの星よりも美しい。だが、そんな美しい星に住んでいるのが貴様たちのようなゴミであっては価値も地に落ちてしまうだろう。この星を救うためにもワシが貴様らを滅ぼすことにしよう」

「ちょっと待ってください。いきなりやってきてボクたちを皆殺しにするとか意味が分からないんだけど。それに、さっきまでと何か感じが変わってないですか?」

「そんな事はない。ワシは最初からこんな感じだ。綺麗な星を害虫から守るという崇高な目的もあるのだ。貴様たちに二つの選択肢を用意してやろう。一つ目は、ワシの手によって全員殺されるという道だ。もう一つは、潔く自ら命を落とすという事だな」


「いきなりやってきてわけわからないことを言ってるんじゃないよ。あんたの強さは私が一番わかっているけど、イザーちゃんと太郎ちゃんが帰ってきたらあんた何て一瞬で殺されちゃうんだからね。私の見立てでは、あんたが六人いて初めてイザーちゃんといい勝負になるんじゃないかと思うかな」

「戯言を抜かすな。何の文明も無いようなこんな星に住むものがワシよりも強いなどとおかしなことを言うな。ワシはお前ら全員と戦ったとしても誰一人残さずに確実に命を奪うことが出来るのだぞ。そんなことが出来るモノがこの星にいるというのか?」

「それがいるんだな。君は何も知らないからそう思っても仕方ないんだけど、イザーちゃんはきっと君が想像も出来ないくらい凄い力を持ってるんだよ。君が昨日殺しちゃったうまなちゃんも強い側なんだけど、イザーちゃんに関してはそれとはまったく次元の違う強さなんだよね。私たち全員が綺麗に不意打ちを決めたとしても、誰一人として生き残れないと思うんだ。一人だけ例外的な男がいるんだけど、彼も今はここにいないんだよ。君が会いたいって言うんだったらあと三日ほど待ってくれたらいいと思うよ」


 イザーは誰よりも強く、どんな世界の魔王であっても歯が立たないと思われる。相性によっては良い戦いをすることもあるのだろうが、負けることはほぼ無いと言えるだろう。

 そんなイザーに匹敵するほどの力を持っているのが工藤太郎である。ただの人間であるはずの彼がどうしてそこまでの力を持つことが出来ているのか、その答えを知るものは誰一人として存在していない。


 イザーと工藤太郎が本気で戦ったと想定してみると、十回中九回はイザーが勝つと思うのだ。

 工藤太郎が勝てるのは十回に一回だと聞くと二人の戦闘能力にかなりの差があるように思えるけれど、イザーは武装した軍隊を相手にしても負ける事は無いので一度でも勝てるという事が奇跡に近いと言えるのだ。


「そんなに強いやつが三日後に現れるというのか?」

「今までの傾向から言って、三日後には太郎ちゃんが戻ってくると思うからね。そうなると、一緒に向こうの世界に行っているイザーちゃんも帰ってくるんじゃないかな」

「向こうの世界とは何の話だ?」

「イザーちゃんと太郎ちゃんはここと違う世界線にいるんだよ。この世界はどこを探しても魔王とかいないんだけど、魔王がいる世界に行って魔王を三体倒し終わったところだね」

「お前らは自由に宇宙を行き来することも出来ないのに世界線を超えることが出来るというのか。つまり、意図的にパラレルワールドに行くことが出来るとでもいうのか?」

「イザーちゃんなら意図的に行くことが出来るよ。他の人でもちゃんと手順を踏めばどこにだって行くことが出来るね」


「ワシもそれを体験することは出来るのか?」

「精気の手順で申請を出せば出来るかもしれないよ。宇宙人だって私たちと同じ人間だものね。うまなちゃんとイザーちゃんは人間ではないけど、見た目だけだとわからないからね」

「うまなと言うと、ワシが昨日殺したはずの女だな。こいつは人間ではないという事なのか?」

「そうだよ。私は人間じゃなくてサキュバスなんだよ」


 栗宮院うまながサキュバスだという事を知った少女は困ったような顔を見せていた。

 そのまま考え事をしているのか一切動こうとしない少女。それを見た栗宮院うまなは今がチャンスだと思って少女の後ろに回り込みつつ隠し持っていた手斧を思い切り振り下ろしていた。

 完全に不意を突いたタイミングであったにもかかわらず、栗宮院うまなの攻撃はあっさりと避けられてしまい少女の反撃にあってしまった。

 手斧を取り上げた少女はそのまま栗宮院うまなの両腕を肘で切断した後に膝を順番に踏み抜いて無理やり座らせると、手斧を栗宮院うまなの太ももに刺しつつ近くにあった机で栗宮院うまなの事を何度も何度も痛めつけていた。


「さすがにここまでやったらこいつも生き返ることは出来ないだろ。ワシも向きになってしまったけど、こいつも悪いんだからな」


「こんなに滅茶苦茶にしてうまなちゃんに恨みでもあるのかい。今夜も残業しなくちゃいけないね」


 完全に動かなくなった栗宮院うまなをドクターポンピーノが担架に乗せていた。

 それを邪魔しようと少女はドクターポンピーノにも机を使って攻撃をしようとしたのだが、ドクターポンピーノは振り下ろされた机を左手で受け止めると右手を少女のボディに叩き込んでいた。


「ごめんごめん、つい反射的に反撃をしてしまったみたいだよ。もしも君が死んでしまったとしたら、私がちゃんと生き返らせてあげるから安心してね」

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