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100年後の世界

「……………」

「………………」


 無言が部屋を包む。目の前にはコーヒーのような黒い飲み物が置かれていた。それを飲むのは勇気がいったし、それどころじゃなかった。

 目の前のイケメンはずっと私を見つめているし、私はその視線を気付きながらも逸らし続けている。


 (ママ……、ママのご飯がたべたい……)


 顔を思い出すと、鼻がツンとし目が潤む。

 (嫌だ!知らない人の前で泣くなんて絶対に嫌!)


 ぐっと眉に力をいれ、意地でも涙なんか流すもんかと私は誓う。イケメンだかなんだか知らないが、私を盗人呼ばわりしたのは許せない。私が何を盗んだって言うんだ。私はただ、あの日から……


「あ、隕石……」

 目覚めてからずっとズキズキとする頭だけど、ようやく鮮明に思い出して来た。

「隕石、降って来たの……」

「……」

 イケメンは眉をひそめるが、顔は続きを促していた。

「朝、学校行こうって玄関を出た瞬間だった……。なんで気づかなかったんだろう……。でも気づいてももうどうしよもなかった……」

 ギュッと拳を握る。

(これは夢だよね? 目の前のイケメンだって夜に読んだ少女漫画の影響……。もう少ししたら目が覚めてママが呼びにくるんだから……)

 そう自分に言い聞かせて手の甲をつねる。

「いた……」

 痛い。なんなの。もう覚めてよ。帰りたいよ…!


「隕石が……私の頭の上にあるのに気づいて……、それから記憶はないの。目が覚めたらアンタが目の前にいて、それで……」

「さっきも言ったが、隕石が落ちたのは文献にある通り100年前だ。アンタの言うことが正しいとしたら、アンタは100年前の人間ってことになるが」

「はあ?だってあたし隕石に当たって死んだと思うんだけど……」

 そうだ。これが現実なら私はあの日死んだんだ。だとしたら今の私は何なのか。と言うかこの体はなんなの?誰なのよ、これ!!

「お前の体はカノンだ。だからお前がカノンの体を盗んだんだろ?」

「いやいや!どうやって?!人間が人間を盗むってあり得ないからね!」

「何を言ってる……?出来るぞ?」

「は?」

「出来ると言ってもごく一部の話だが、お前はそのごく一部の人間なんだろう?」

「全然話が掴めない……」

「知らないフリはやめろ。早くカノンを返せ……。その体でお前のバカみたいな話し方を聞くのもうんざりしてるんだ」

「…………はい?」

 喧嘩売ってんの、このイケメン。いやもう顔がイケメンだからって遠慮してたのすら馬鹿らしい。ツラでなんでも許されると思うなよ!

 

「カノンの脳はどこだ?今はどこにいるんだ?!」


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