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ハァ… 朝は身体が重いなぁ…
今日も生活のために働かねばと起き上がって居間へいくと妻が倒れていた!
「おい!どした!」
呼びかけにも応答が無く急いで抱え上げると布団へ運ぶ! 触っても反応無いし身体に目立った異変も無い。 急いで医者を呼んだのだ。
「これは・・・風邪ですね」
そんな馬鹿なことがあるか!ふざけているのか!
「どうみても違うだろ! 息も薄いんだからいい加減なこと言ってるんじゃない!」
素人でもわかる、熱くもないし症状も何も無い! とにかく時間が惜しい! 金なら払うから助けてくれよ!
「これを飲まして下さい」
医者が出したのは緑の液体の入った瓶、薬草が煎じてあるのだろう
「はやくしてくれ!」
なにも気にせず悠長な彼に苛つきながら催促すると困った顔をした
「いえね、意識も無いようですし旦那様が直接口に飲まして上げて下さいな」
つまりは口移しか? そのまま流し入れるのはダメなのか
「分かった!それをくれ」
「はい、15000ダナいただきますよ」
「い、いちま…!?」
「払えないようでしたらお渡しするわけにはいきません」
「あんた医者だろ! 後で払う!」
「今、お支払いいただけないならお渡しできません」
こいつ!
どんなにムカツイても今ここに金は無いしすぐに用意出来ない。 一刻争うこんな状況なのに!
「すぐに金は準備出来ない… 十日以内には必ず…」
するとどうだろうか? 医者は「そうですか」と立ち上がると去ろうとするではないか!
必死に止めるが金が無いことには動かないと言う。 ついには本当に何もせず帰ってしまったではないか。
絶望に打ちひしがれて妻の眠る傍らで精霊様に助けてくれるように祈るしか出来ない
「…薬、そうだ!役人さんなら安く譲ってくれるかもしれない!」
街の人々のために働く人、その中でも民の揉め事を収める警備隊の人たちなら解決まで至らなくても医者の紹介でも薬を買える場所でも教えてくれるだろうと考えた。
「待っててくれ!」
そして、それ以上は考える間も惜しいとすぐに駆け出した!
・・・ドンッ
「うわっ!? っとスマナイ!でも急いでいるんだ!悪いが・・ッ!?」
家を出て走り始め間もない出来事だった! 人に気付かずに思いっきりの衝撃でぶつかってしまった!
その衝撃で少し後ろに蹌踉めいてすぐに謝るが彼の頭には相手を気遣う余裕なんてなく再び警備隊の所へと駆け出そうとしたのだが…
「あらあら? 突撃しておいて謝罪も無いんですの?」
威圧感満載の少女に腕をギリギリと痛いくらいに掴まれていて動けなかったのだ!
「グッ!? いた、いたたた!?」
「しゃ・ざ・い・も!無いんですの?」
その瞬間!全身に悪寒が奔り反射的に謝罪を口にした、そして少し冷静になった頭で相手を改めて見て驚いた。
「フフン、許してあげますわ!
何を急いでましたかきいて差し上げましょう」
なんだこいつ!とイライラしたが構ってる時間等無い、逃げられないならば早く終わらせないと取り返しのつかないことになってしまう
「妻が死にかけているんだ! ぶつかったのは悪かったが急いでいるんだ!」
そしてまた少女の横を抜けて走ろうとしたら腕を掴まれてしまう!
今度は優しく痛くはない。しかし、こうも長く引き留められて手遅れの最悪事態しか浮かんでいない彼は怖い顔をして少女に怒鳴りつける
「ふざけんな!! 子供だからって容赦しないぞ!こっちは遊びに付き合う余裕はねぇって言ってんだ!!」
頭の中の冷静な彼が口から洩れまくる感情に後悔しているが抑えられない感情を少女へ叩きつける、拳も握り怯えさせたことだろう…。 しかし、少女は涼しげな表情だった
「まぁまぁ、ここはミリーのなんでも屋さんですわ♪
お薬も売っていますの! どうぞ♪」
そういえば近所にこんな立派な建物あったか?
いつの間にか握っていたフラスコのような透明な液体の入った瓶を渡してきた
「お遊びじゃねぇって言っ…、あぁ!!」
また走ろうとしたが腕を取られて進めない、少女だが悪徳商人に捕まってしまったのだとやっと理解した。それで完全に冷静になる
「分かったからじゃあそれくれ! いくらなんだ!」
「ありがとうございますわ♪ こちら500ダナですの!」
「金は家にしかねぇ、後で取りに来い。 三つ先右の家だから、またな!」
薬を受け取り今度こそと走ろうとしたら再び腕を取られて振り向く
「だか…! ・・うぉ!?」
「はいはい、薬はありますわ、早速お伺いいたしますわね♪」
どこにこんな力があるのか腕を引っ張られて連れていかれてしまったのだった。
・・・。
目の前には布団で横たわる妻と傍らで何やら妻に手をあてて目を瞑る少女。気が気でないが診ていると言われ黙って傍観していた。
「何も分からんだろ…」
「えぇ、分かりませんわ」
何なんだよと怒鳴りたい、貴重な時間を無駄にしやがって!・・なんて思っていたらさっきの薬を妻に飲ませろと言われた
「無理だ」
「治りますわ?」
大方水だろうが、得体の知らないものを飲ませるなんて危な過ぎる
「仕方ありませんわ」
「な、なにを!」
動けたときには遅かった!
少女が見えないように服の中にちょっと手を入れて出すとその手には同じものが握られていてすぐに妻の口に流し入れていたのだ。
「もう一つあったのか!」
服も膨れてないし落ちないよう押さえてもいなかったのだからそれはあり得ないことだとは気付けない。
「ウフフ、これで大丈夫よ。 詰まらないように直接入れましたので心配なさらないで下さいな
では、薬2本分で1000ダナいただきますの」
あぁ!もう!! 怒りが爆発しそうだったがすんでの所でおさめてはやく帰ってくれの意味でお金を取りにいく。
「(・・・スゥ、スゥ、スゥ)」
お金を取ってきて耳にしたのは安らかな寝息、さっきまで呼吸をしているかも分からない程の微かな息だったのが今はただ眠っているのだと安心出来る状態になっているではないか!
「はっ…えぇ…」
「こちらたしかにいただきますの! ありがとうございました」
妻に寄り添う前に手元から落ちたお金を少女は拾い帰ろうとするので慌てて声を出す
「あ、ありがとう!」
「どういたしまして、またのご利用を」
ニコリと微笑むと家を出てった少女に化かされた思いである。
・・・。
「まぁ、そんなことが…
そんな貴重なお薬をたった500ダナで…」
それから少しすると妻は全快で目覚めて今日の起こったことを話した。
「なんでも屋と言っていたけど知っているか?」
「んー…昨日は家を出てませんから…
それまではありませんでしたよね…?」
「あぁ」
そこに何かあった記憶も家を建てる騒がしい音もなかったはずだと不思議に思うのだった。
後日二人でお礼に行って驚くこととなるのは・・・。




