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ミリーのなんでも屋さん  作者: スルー
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 何か家来共が変だ。具体的に言えばあの店の奴を連れてこいと命令して帰ってくるとおかしくなっているでないか!

 先日なんか娘までもが兵士たちを動かす許可を取りにきたからベイグリードから絶対離れないことを条件に許可した。 本当は止めたいが娘はヤバいのである! とりあえず自分が優位であると疑わず命令は誰でもきかせられると思っていて、その理念の基に自分が出れば解決と即行動するから怖い、誰に似たのか…(貴方です)。

 なので、どうしたか解ってる内に制限をかけたのだ! それに、姫が出れば誰でも付く(・・)のは明白だ! 馬鹿が失敗したから丁度よいのかもしれない!


・・・と思っていたのに帰ってきたのは娘とベイグリードだけ。 しかも娘は何も話そうとはして来なかったし、いつものような世間話のみときた。手中に収めた自慢話はどうした!

 コッソリとベイグリードを呼び出して話を聞いてみたら「あのお店には関わらない方がよいと思います! 姫様は全力でお守り致しましたが国随一の実力を持った者がおりますので武力での説得も不可能と思われました!」と変に誤魔化しもせず諦めろと返ってきたのだ! どう聞いても暗に国よりあの店が怖いって伝えているようであった。

 それに兵士等はどうしたかきいたら「森に移動しました・・」と訳の分からぬ回答をしたのだ! 即刻解任させてやりたかったが娘のお気に入りだから見逃してやった、顔は良いし実力もそれなりに有るのだからもし(・・)があったとしても、まぁ文句は無いやつだ。


 それにしても「なんでも屋」如きに何を恐れているんだ?

 金で駄目なら力尽くでと言った、あいつの言った通り騎士より実力が有る奴がいるとしても所詮は一人二人だろう! 数で押せば・・・いや、「森に移動する」のか? どういう意味なんだ!

 ならば、やはりこちらも強力な奴を取り込めばよいのか? あの薬さえ入ればいくら金をかけようがすぐに余所から毟り取れる!


「五級・・・いや、六級を相手に出来るやつ

ならどんなに強い奴でもいけるはずだ」

 ベイグリードが何を勘違いしているのか・・。所詮、ただの冒険者の護衛を雇ってるだけだろう! そんな奴に国の頂点たる騎士共が恐れてどうするんだ!

「ふむ・・? そうか!なら、冒険者をあてがえばいいな」

 今回のような人員の損失は免れるし金を渡せばいいだけならいちいち紙面を作らないでいいから簡単ではないか! すぐに手配させるか!


 数日後、十名の冒険者が選ばれ城へ呼ばれていた。もちろん王が対応するわけも無く代理の者が対応している。

 今回来たのはパーティー二組とソロ一人で実力はトップの最高クラスである。依頼内容は「不正に集めた違法物で商売を行っている者たちを捕らえ連れてくる」となっており、かなり報酬も準備金も出るので食いつきがよかった

「尚、確認されている相手は二人だけで子供であるが中々強いと聞いているので注意して欲しい。説得は無意味だったと主君も大変心を痛めておったのだ、是非そなた方の助力をお願いいたしたい!」

 子供相手と聞いて辞退したいと思うのもいたがやっている事が事なのでみな納得し直し国の頼みで金の為ならと決意するのであった。


・・・

 共同冒険者一行は一度食事を交えながら大まかに作戦を決めたら後は親睦を深める雑談だ、話題はもちろん依頼の事になっていく。


「それにしてもよ…子供がそんな事に手を染めるなんてな…、初めは親にやらされてたとかで(やってる事を理解した時には)後戻り出来なかったんだろーな…」

 どんな経緯でも悪い事は悪い、やりきれない思いが捨てられない者が言った

「でも国が動くって余程だよ?

 メリメレイル(あそこ)って信仰とかで纏まってるし実力者も多いしすぐ動くんじゃない?」

 子供といえどもそんな場所で手に負えない実力を有しているのは目に見えている。そうしたら故意だろうが事故だろうが弁護の余地無しだ。大半は仕事と割り切っているし同情心は捨てていた。

「そうだよねぇ! それに話し合いにも行ったのに無視したんでしょ? それもうあれだよねぇ♪」

「気は乗らねぇけど止めてやらねぇとな!」

 納得してキッパリと割り切る意思を見せると盛り上がった!

 そんな中、唯一のソロの冒険者の男が呟いた

「城のあいつが本当に真実を言っていたらな。 当日の動きは分かった、金はここに置いておく」

 残された二つのパーティーは文句言ったり嫌な感じだと言っていたのだった。


・・・。

 十日後、一行はメリメレイルの街に到着する

「何でも屋ならば、そっちの道を進んでいけば庭の花の綺麗な建物があるからそこです」

 国から連絡がいってない事に疑問を感じた、それに嫌悪された店では無さそうだ。

 場所を示した地図も特徴も城でもらっているがわざわざ門の番に場所を訊いた彼は胡散臭さを感じながら仲間になった面子を呆れながら眺めていた。

 予定では今日一日、店を張り込み怪しい取引が行われそうかを監視することになっていた、半分は聞き込みだ。いきなり飛び込みだったらどうしようかと思っていたところだ。


「動き無し、客結構入ってたよ」

 これはいい、やはり良な店の可能性が高い


「怪しい奴はいねぇ、小っちぇのが花に水やってた」

 今回の目標の子供かもしれない。子供としか聞いていないが本当に「子供」なのかもしれない


 主な動きはこれだけ、普通のお店で怪しい事なんて何も無い。監視の方を任された俺だけど自分の番でも動きは無かった。

 異常があったのは聞き込みの班の方。


「ミリーのなんでも屋さんって可愛い子ばかりなんだって! 二人じゃなくて四人いるみたい」

「全然法外じゃないみたいだぞ? 依頼料は安いしどんなことでも代理でやってくれるって。冒険者と同じみたいだった」

「役人は別に問題は起こして無いって、担当者がいるみたいで訊きに行ったけど「なんでも屋」の名前の通りやってるだけ」

 俺はやっぱりそうかという感想だが、面子は困った顔でどうするか決めあぐねていたのだ。

 自分たちが受けたのは国からの正式なものだ、善良に見えたものでも、それはこちらが騙されているだけかもしれない。 けれども、監視班の話によれば相手は幼い子供、15、6歳を想定していたこちらとしたら見て聞いた善良の情報の方が正しく感じられる。

 論点となったのは「売っている薬が不正に仕入れられた物か」である。値段や人の評判に関わらないそこが違法ならば間違いなく悪判定だ。

 話し合いで判断するのか、一時的に捕らえてから聞き出すのか・・・。


「(人を見る力は無くともこれまでやってきた力はあるのか)」

 どんな相手であろうと与えられた情報を鵜呑みにはしない、監視にしても誰にも違和感無く終わらせた。不明点は放置せず徹底的に調べる。

 始めはすぐに突っ込んで捕縛したらハイ終わり!をやりそうなやつらだと思ってたから評価をすごく上げた。 あとは、店が善だった場合に国とどうするかだな。


・・・。

 決行日、お客が引いていなくなった頃を閉店時間だと仮定して話し合いをしてみることとした。

「そろそろだな、人がいなくなった」

 まだ夜というには少しだけ早い時間、次が入って来なくなった最後の客が出ていって暫く経った時に一人が開始の合図を出した。

 全員が散らばるように庭に待機し、二人が入口の方に向かう。まだ数歩のところだった!

「いらっしゃいませ♪ クスッ♪ 「ミリーのなんでも屋さん」は・・いつでも対応しますので隠れる必要はないわよ?」

「「「「!?」」」」

 一斉に緊張感が高まった! 確認さえしてないのに出て来た瞬間に確信されているように声掛けしてきたのだ!

「どうぞ♪」

 その子はすぐに入ってしまう。静かに確認しあうと四人を残すように合図だけして入ることにした。


「いらっしゃいませ♪

 私がこの店の責任者でミリーですけれど何か御用でしょうか?」

 来店一番にさっきと違う責任者が出て来た。やはりまだ子供だが佇まいはもうそれでは無い。

「俺たちは国からの依頼で来たんだ」

 ミリーという少女の反応を確認するがニコニコとしているだけで表情は全く読めない

『~~~!!』

 チラリと前の仲間の女は手をモゾモゾさせて興奮しているが実力者というのは間違いないだろう

 少女が反応しなかったのでこちらから本題を切り出した。

「ここで薬が売っているというが見せてくれないだろうか?」

「はい、いいですよ♪」

 横に長い受付に進められると目の前に六つの透明な液体の入った瓶を出された

「これはどこで手に入れているんだ?」

 軽い感じで質問しているが目つきが鋭い、あれはダメだな。

「全てウチで揃えております♪」

「それってきみが作っているってことー!」

「おい!」

 割り込んだのはさっきの女で褒めたくて仕方ないみたいに興奮している

「瓶の方はウチで働いてもらっている方に頼んでいますが」

「そうなんだ! ねえ!見せてくれる?」

「いいですが解りませんと思いますよ?」

「いいのいいの! これで悪いかわかればね♪」

 直接製薬を見せてくれるなら好都合だが、機密を教えていいのか?

 こちらが悪い事をしている気になってしまう…

「こちらに瓶がありますね?」

 ここでやるのか? 材料も道具も無いぞ?

「うん!」

 彼女が空の瓶を片手に持ち上げるとみんなが注目する。少し微笑んでシャカシャカと瓶を振り始めると段々と水の揺れる音が聞こえてきたのだ!

「はい、完成です♪」

 みんな声が出ないでその手の透明な液体の入った瓶を見つめている。

 彼女は遊んでいるように静かに笑っているので仕掛けがあって派手に見せたのだろう

「おい!どーやったんだ!」

「おい、やめろ!」

 怒鳴りたくなるのもわかるがこれでは不正かどうかなんて判らない

「国から使者が来たのはこれで三度目です」

 答えでは無く今回の件の深い部分にかかわりそうな言葉が出てみな瞬時に耳を傾ける

「一回目はこのヒールポーションの製薬法及び作り手を連れてこいと買収でした」

「「「・・・」」」

 みんなその意味くらいは解っている。「その時来たのは良い人」の話も聞いて国の方から頼んだ・・・というより命令してこの店は断ったというのが判る。

「二回目は王女様と騎士・・それに沢山の兵士たちがやってきたのですよ」

「・・うげ…」「・・ひどい!」「・・子供相手にそこまでやるのかよ!」

 金を断ったら武力行使、しかも大勢で。王女様が来たのに断る意思も凄いが、それを躱したこの子らはとんでもなく強い。

「そして三度目、あなた方はどうして来たのでしょう?」

「「「・・・」」」

 言わないでも判る。これは国が薬を手に入れる為に一方的にいちゃもんをつけているだけである。 国は捏造された罪で俺たちを利用した、この店は悪くない。

「・・スマナイ、俺たちが利用されただけのようだ」

 謝れば、みんなが続くように謝る

「ふふ♪判って頂けたなら大丈夫です

 そのヒールポーションは差し上げます。飲み薬で病気も傷も治します」

「「「ええ!?」」」

 それは国が欲しがるはずだ。おおよそ、この子らに安く作らせて他国へ売りつけてやろうとか考えていたんだろう

「ウフフ♪ 売ったら二十万ダナ以上するわよ♪」

 入る前に会った少女が近くにいたことにすら気づかなかった!?

・・・ガシャン

「「っ!? あ!!」」

「何やってんだよー!」「せっかくミリーさんがくれたのに!」

「ああ…! スマン、急に重くなって」「お前もか!?」

「そんなわけないだろーが!」

「はい♪ここ読んで下さいまし♪」

 また!? いつの間に本を持ってきている!

「えと、『悪い使い方をしようとしていると持てません』・・・べ、別に悪いこと考えてないぞ!?」

「あからさまな高い値段での転売は悪い事ですよ♪」「クス♪500ダナで販売しています」

 なるほど、さっきのは罠だったか。 ここではやらないが後で試してみたいものだ!

 床がいつの間にかキレイになっているしここに手を出せるなんて思う方がおかしい


・・・。

「・・ということになってしまいました」

 後日家来からの結果を聞いて頭を抱えてしまった!

 絶対に成功すると思っていたのに金だけ帰ってきて成果は無しだというのだ…

「冒険者共はどうした?」

「それが…、「この事は黙っておきますので安心して下さい!」と報告した後にこの一言だけ残して立ち去ってしまったのです」

「・・・そうか」

 「この事」が何を表しているか全く分からなかったが黙っておくというならよいだろう。

 金は返って来たのだから次を考えればよい

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