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ミリーのなんでも屋さん  作者: スルー
20/26

17

 ここは街の中心で経営しているお店。 店内には青や白のお花が並べられている。

「うぅ、まだ寒いなぁ…。お腹空いた…」

 毎年この時期の恒例となっている光景であり、店主のマーレットはくぅくぅ鳴るお腹を押さえながら茎を切り、水を取り替え、温度を気を付けようと環境を整え、そしてお腹をギュッと押さえつけて我慢し続けていた。

・・・カランカラン

「あ、いらっしゃいませ! (キュルル)はぅ…」

「あーあー、かわいい音だね、マーレットちゃん」

「なんだ、コーエルか」

 子供の時からよく一緒にいた親友で気が休まる仲である。三つ年上でいつも飄々と笑っていて信用出来ない顔だけど意外と優しくて心配性な面があるのだ。

「ほらよ、これ食いな」

「わぁ!パンだね?パンだよね!甘いやつ?苦いやつ?ありがとー!(クルルルゥ)」

 試作品と言っていつもタダで毎日違う変わったパンをくれる、不味いのもいっぱいあるけどお腹を満たせるのでとっても有難い。

 彼曰く、「寒い時期は客も少ないから開発をして暖かい時期の販売に備える」とか。暇潰しにもいいなんて言っているけど私の心配をしてくれているのは知ってる。

「今日はマジュリ草を混ぜてみた」

「えー、マジュリ草って薬に使う苦いのじゃん…」

「それを牛乳でな、ともかく食えよ。腹がすごいぞ」

 押さえてないからさっきから合唱している腹の音がパンを食えと歌っていた。


「いただきます♪ (パクリ)ん!んー!ん!ふぉーうぇ!んーん!!」

 苦いはずのそれが牛乳の甘みでまろやかに調和されていて、パンの味と合わさって美味しい! 健康にもよさそうだし、今日のパンは大当たり!

「あー、よかったな。ゆっくり食え」

「んー! あー、美味しかった!ごちそう様♪」

「はやっ!? ゆっくり食えよ」

「(くぅぅぅ)えへ?」

 まだ足りないと私のお腹が主張してきた

「腹で返事すんな、仕方ねぇな、俺の分だけどやるよ」

「ありがとう♪」

 俺の分とか言ってるけど始めから一個じゃ足りないの知ってて用意してくれているんだよね!


・・・。

 コーエルはゆっくりお店を見回して呟いた。

「マーレットちゃんの育てたお花は生き生きしているけど、こうも無色だと寂しいな」

「それ毎回言うけどしょうがないでしょ! 寒い中で咲く花の種類なんてルナドロップかアクアローテくらいだもん…」

 花は暖かい時期に咲く種類が殆どだから、この時期は仕方ないんだよ… それにどっちもきれいな花なのに人気ないんだよね? 私が一番好きな花だから悲しい…

「そうそう、店に来たやつが言ってたんだけどな、庭いっぱい綺麗に花が植わっている店があるみたいだぞ? ちょっと見てみたらどうだ、知らないものもあるんじゃないのか」

「庭いっぱいに?」

「おう、そう聞いた」

 寒い中で咲いてられるって、室内で育てて一日一日外の花を植え替えしてるとか・・、かかる費用にぶるりと震えた。私は専門といえ、暖かくなるまで店を閉めてパンをいっぱい買った方がマシだよ。

「どうせ、お客来ないんだろうから俺が店番しとくよ」

「ひど!」

 その通りでも人からは言われたくは無いよ。

 コーエルならある程度知ってるからお客さんが任せられるし甘えてみようかな、咲いてるお花が気になるし。


・・・。

 場所はコーエルのパン屋を街の入口側へ暫く進んだ右手らしい。

「見れば分かるっていうけど外からすぐに分かるものかな…」

 なによりコーエルが見てきたわけじゃないのに大丈夫って言うのはちょっとむかつく! 無駄足になるのってすごくイライラするしね、そうなったらパンをたくさん要求してやろっと♪

 お花のお店云々を忘れてどんなパンをもらおうかと一つお腹を鳴らしながら考えていたら遠くからでも判る一際大きな土地から覗かせた植物たちに慌てて駆け寄っていった!

「アマトロ花! バンカ! ネイネイ!

 ちょっと待って!! 伝説の星下草まで!初めて見た、うわぁキレイ♪ ここどうなってるの? 触っちゃダメだよね?」

 季節外れの花から幻の花まで完璧な状態で咲き並ぶのを見て興奮を抑えられない

「どうぞ、触って下さいな♪」

「いいの!!

・・・あれ・・えへ♪ きみは?」

 いつの間にか人が居て、すごく恥ずかしかったけど相手が子供だったからよかった

「フフ♪ 私はレンちゃんよ、アナタはお花に詳しいのね♪」

「私はマーレットちゃんです! 街の真ん中あたりで花屋をやっているので結構詳しいと思います!」

 緊張しちゃって固くなったのが伝わってしまったのか優雅に微笑まれた。

「お花の・・・精霊・・様…」

 その姿に引き込まれてついつい呟いてしまった!

 あ、やばい! 何言っているんだろう!?

「クス♪ そう、私はこのお店で働くお花の精霊ちゃんよ♪

 そんなアナタに・・・これをプレゼントしたあげましょう♪」

 優しいレンちゃんは私の言葉を受け入れてくれた。そして両手を広げてクルクル優雅に回り最後に片手を天に掲げて祈るような姿勢をした。

 すごくキレイ!思わず見蕩れていたら伸ばした手を握るようにして引くと私の方に向けて再び伸ばしていた、そしてその手には!?

「星下草!?」

「どうぞ、お姫様♪」

 お、お姫様!? それはレンちゃんの方ではないの! それより星下草くれるの!? 嘘でしょ、さすがに管理の仕方分からないしすぐに枯らしちゃう

「こ、これは受け取れないよ!」

「・・ソ…素敵なお姫様の為に用意しましたのに…」

 レンちゃんの表情が沈んでいくと手にした星下草もみるみる内に枯れてしまい黒いカスとなり風に飛ばされていった。

「え!? うそ!星下草が!

・・・あれ!?レンちゃん!レンちゃんは!?」

 今の今まで目の前にいた女の子も消えていて星下草と一緒に吹き飛んでしまったとこの(かだん)を回って探したが見つからずにトボトボと帰るのだった。


「おかえり、客は無しだ。どうだった、なん・・ってどうかしたのか!? ひどい顔してるぞ!」

 コーエルごめん、ちょっと気分が重い

「店、閉めといて」

 なんとか声を出すとそのまま寝室へ歩いていった

「・・・わかった。明日、朝に来るからな」

 何か聞こえた気がするけどわからなかった。


・・・・・。

(カランカラン)

「・・・いらっしゃい」

 コーエルは片付けをしようとしたらお客さんが入ってきてしまったので挨拶をしたら女の子だった

「これをマーレットちゃんに渡して下さいな」

 木や草の植物だけで作られたカゴ、上は蓋のように閉じられていた。

 彼女のことをちゃん付けで呼ぶような者がいると考えられずに質問をした

「キミは彼女のお友達なのかい?」

 すると「エエ♪」とふわり微笑んだ。少なくともそれは本当のように思えたので了承して受け取っておいた。

 女の子は満足したようにすぐに帰っていったが見たことない子で結構傍に居た身としては少し怖い。まだお客さんとしてならいいけれど、俺の事を確認もせずに彼女の関係者と認識していたように物の受け渡しを頼んだのである。

 預かった物を確認することも過るがすぐに否定して女の子に渡すように頼まれたということだけを紙に書いて帰ったのであった。


・・・・・。

 朝か…なんて思って起きたらまだ夜も入ったばかりの早い時間だった。

(キュルキュルル)

 あれだけ食べていてお腹空いて目覚めるなんて恥ずかしい・・けど仕方ない

 何も無いけど何かないかとお店に行くと、そこには予想通りに差し入れのパンが置いてあった!

 しかし、今日はいつもと違う物が置いてあってそれに近付くと一緒の書き置きを手に取った

『「マーレットちゃんのお友達」を自称する小さな女の子にこれを渡すようにいわれた。気を付けて、知らないなら開けるな、捨てろ』

「!!!!!!!」

 それを見た瞬間にあの子が浮かんですぐにカゴを開いて中を見ると色とりどりの沢山の花が外側を向くように円形に並べられていた、真ん中にルナドロップとアクアローテが敷き詰まって更にその上に星下草が手紙と共に置いてあった!

「やっぱりお花の精霊ちゃんだ♪」


 ごめんなさい、断ってしまって!

 ごめんなさい、星下草は証だったんだね!

 もう一度会いたいです! 行ったらもう一度会えますか?

 私の大好きなお花がとてもキラキラと輝いています、知っていてくれたのですか? お店を見て並べてくれたのですか? ありがとうございます♪

 もう一度会いたいです、もう一度行ってみます!


 しばし、お花の精霊様へ感謝と懺悔をお祈りしてからお手紙の方を開封してみる


『落ち込ませてしまってごめんなさい、(_ _)ペコリ

 お花好きで詳しいアナタに会えて嬉しいわ、(০v০)ホントダヨ

 これはそのお詫びとお近づきの証にプレゼントしますね、(^▽^)ウレシイ?

 バスケットから出さない限りは枯れないので私だと思って大切にしてね、チュ(^з^)~♡

 「ミリーのなんでも屋さん」で待っています、Σ(・ω・ノ)ノナント!

 レンちゃん(●。●()マタネ』


 とても簡単な形で構成された見慣れない顔に見える絵を見てすごく笑ってしまった!

「バスケット・・カゴ(これ)のことだよね?」

 枯れないことには驚きだけど、それよりずっとこのまま見て残していられることが嬉しかった! お手紙と一緒に大切に宝物として保管しよう!

 お花の精霊ちゃんありがとう♪ 明日会いに行くからね!


 次の日、落ち着いただろうかと心配してお店を抜けてやってきたコーエルがマーレットの店には誰もいなくて帰ってくるまで店番をしていたのでした。

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