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ちょっとお偉いさんの所まで遠征し指名依頼を終えて帰ってきたら数日前に街のすぐ前でキラーグリズリーが暴れ緊急鐘が鳴らされたと聞いた。 すぐに顛末を受付嬢に訊いたら役人も冒険者も数が集まり参戦する前に討伐されたのだと報告されたようだ。
「何それ! 面白そう!!」
お金もたくさん入ったし何日もの移動で疲れたので数日は活動休止しようと思っていたけど前代未聞の謎の現象に興味を引かれ、分からぬとも調べてみようと聞き込みを始めたのだった!
・・・。
『ああ、俺寝てた』
「そう、ごめんなさい」
『行ったけど既に終わってて帰っていいと言われてガッカリしたよ』
「あなたは確か・・・二級しか相手にしなかったよね?」
『参加したなら報酬入るからな!』
「・・・クズだ」
『知りません…ごめんなさい。 それよりチュエムさんですよね! 貴女に憧れて私も冒険者になったんです!』
「そっかぁ、ありがと! じゃあ、急いでいるからまたね」
うん、冒険者は誰も知らなそう。本当にあのキラーグリズリー級の魔物が出たのに時間かからずに終わったんだ! ますます興味が出てきた!
それから数人訊いたが関わってすらない人たちだったので諦めて役人を標的に切り替えることにした!物怖じなんてしてられない!
「こんにちは! ちょっと前にキラーグリズリーが出たって知ってます?」
昼前からずっと調査してたから遅くなってきたけど関係無い、わたしの原動力は興味である!
とりあえず現場の傍だと門番さんに訊いてみることにした
「ああ、もちろん知っています。何か?」
「ええと、そのキラーグリズリーはどんな風に倒されたのですか?」
「・・・。どうもキラーグリズリーが弱っていたようでして他の所からやってきた騎士の方と当時の門の者が相手して消耗させて倒されたようですよ」
「・・・」
わたしね? 結構色々な危険な人たちや偉い人たちとお話してきたんだよ。あはは、微妙にね? うん、これ嘘!
「「どうもキラーグリズリーが弱っていたよう」でしたかぁ?」
彼の言葉に違和感を感じたそこの部分を敢えて疑問にしていったみたら大当たり、表情が少しだけだが驚きに変わらしてたのだ!
「はい、そのようだったと聞いておりますが」
「騎士の方も門番の方もびっくりしたのではないですか?」
「そうですね、そうだと思います」
あくまで機密事だと判断して残念ながら喋らないだろうと解った
「せめて倒された方に会いたいのですけれど」
「彼女はお会いにならないと思いますので」
あれ?当時の門の人じゃないね? 思わぬところで急にあっさりと喋ったよ!? しかも気付いてなさそうだ!
「「彼女」ってどなたでしょうか?」
「!!、なん…」
何でって・・・本当に無意識に言ってた、分かりやすい人だ。その人を守ろうとしているのが分かる、愛する人だったり?
「強い方なのですね! もしかして、あなたの恋人だったりするのですか?」
「・・・」
何か考えてる? 本当にそうだったらすごい!会ってみたい!話を聞いてみたい!
「どうかなさいましたか?」
ただの通りすがりの人だと思って放置してたら近くに来るので振り向いたらまさかのこの人と同じ格好の知ってる夜の門番さんだった。 わたしは夜中に仕事で動き回ってばかりいるからたまーに見るんだよね。
「いえ、キラーグリズリー討伐の「彼女」に会いたいので何処にいるかきいてみたんですよ」
「・・その「彼女」のお名前を教えていただければ御協力いたしますが」
そうきたか、名前伏せて女だと知ってるんだからわたしが知ってるって思って欲しかった。 一瞬で状況を把握したんだ、この人が来たことで全く聞き出せそうになくなってしまったよ。
最初に話してた門番の人がホッとした気配を背後に感じた、他の人にあたるしかないか・・
「これは冒険者の君が個人的に知りたいのかな?」
「「!?」」
諦めようとしたらまさかの質問をされた、もう一人の人も一瞬動揺したよう
「はい、そうです。話をしてみたいだけで他言する気はありません!」
「そっか♪ なら「ミリーのなんでも屋さん」で詳細の調査を依頼してみたらいいよ」
ミリーのなんでも屋さん? そんな店あったかな?
わたしも情報は命なので結構なんでも知ってる自覚があったけど、新しいお店? なんでも屋・・なんでも・・・色々な専門職が雇われているか結成されているかでなんでもやってくれるお店、とか?
わぁ!何それ!楽しそう!! そうだったらわたしも情報収集とか魔物討伐枠とかで入れてもらいたい!!!
「分かりました、ありがとうございます! 訪ねてみようと思います」
場所は教えてくれない雰囲気だったので質問せずに心のワクワクのままに再び聞き込みを始めるのだった。
・。
・・。
・・・。
「えー、かなり有名になっているお店みたい…」
門番さんすぐに教えてくれたんじゃ…、わたしが読み間違えるなんて・・・。
こんな時間で聞ける人の職業も限られているにも関わらずに情報はすぐに簡単に集まった。
・なんか小さな女の子たちだけでやっているらしい
・店の名前の通りミリーなる女の子が代表。大体何でも頼めばやってくれる(真偽は判らないが色んな「出来る事」が説明書なる本に書いてあったらしい)。
・ちょっと前にお偉い様の馬車が兵士達を連れて来たらしいが、その後も何事も無かったようにお店は継続していた(誰も近づけなかったため詳細不明)
・ちょー可愛い、結婚・(・・・)したいのばっかり(酔っ払い談)
こんな感じだ、わたしの思ってた感じの店ではなかった!
最後は好みだと思ったが似たような単語がよく出てきた、「小さな女の子」や「働いている子」の前にはかなりの確率で可愛い又はそれを連想させる言葉が付いていたので容姿で引いているところもある店であり、お偉い様の件も合わせたら実力もあるし頭のきれる女の子がいるのだと判る!
・・・うわ!さいこー!! 雇われたいー!! 冒険者辞める!! だって名前売れちゃってるから堅苦しい仕事とかも多くてメンドイもん! 可愛い女の子に囲まれて仕事とか最高過ぎじゃない!
しばし沈黙していた彼女の心の中ではこれから会える噂の女の子に夢中だったのであった。
・・・。
早速、次の日の朝早くに行ってみることにした。
広い土地に大きく立派なお店、敷地内花や緑一杯で楽園のよう、旗が異色だけど…。 とにかく美しい!どっかの貴族の家を精錬させた縮小版に思うくらいに身分の違う人が住んでいるように感じられた。お店風が入っていなければ入りにくいが「ここはお店」感を丁度良く感じられるので立ち寄りやすいだろう。
こういうのって見てると心が洗われていくよね!
「あ、この寒い時にこんなに花って咲かせられる…?
・・・!!」
「アラ? いらっしゃいませ、ウフフフフ♪」
少し眺めていたら近くに気配を感じて見てみたら女の子が居たのだ、見といてなんだが驚いた! 無視はあっても数歩分の距離に近寄らせるまで分からなかったなんて未熟だった時以来のことだった!
改めて見た子はたしかに小さく可愛いが強者の気を微かに纏っている・・気もする…? うわぁ!わたしが全く相手のことをはかれないなんて、完全な一般人を相手にしているみたい! 違和感がなければ見逃しているくらいに「普通」だよ!
盗賊相手だったり悪者を捕縛とかしたけどこの子相手じゃ出来るかな? 逃げられちゃいそう、だけど試してみたいかも!
「あ、うん。困ってることがあってこのお店を教えてもらって来てみたの。 もう開いてるのかなぁ?」
この子がミリーとあたりを付けた
「エエ♪ いつでも歓迎しているわ♪」
もしかして一日中開いてる!?
・・・。
中に入ると違う女の子に説明書を読むことを勧められた。この子は普通のお店の職員さんらしいね、本当に女の子ばかりだ! 大人に頼らず働いているとなると親を亡くした集まりだったりとか考えちゃう…。
・・・それより、すごく美人さんだ!
うん!美人より可愛いだ!顔が綺麗に整っているのに可愛いだ! もう可愛いしか言えないくらい可愛いの! お持ち帰りしたい!
彼女の中では情報通りの可愛い子揃いの最高のお店、とまだ何も利用してない内から評価が天井まで上がっていた。
どんなに心がごちゃごちゃしていても高位冒険者、顔には一切出さないまま数分もしない内に説明書を速読し内容を暗記、纏めは完了していた。
どんな事でもやってくれるみたいだね、情報収集もお手のものって感じで「内容は相談」みたいに制限はかけられてないからすごい自身だ
「(さっきの子を見れば納得だけど)」
まぁ、今はいいや! 雇って・・・あ、違った、キラーグリズリーについてか! けどなんか答えはさっきの説明書で解っちゃった、ふふ♪
・・・。
「「共有」お願いします!」
「説明は大丈夫ですか?」
「はい! 依頼内容は?」
「ふふ♪後でよろしいですよ」
受付嬢の子も一際可愛い!
半額とかどうでもいいけど、何をやるか分からないのも楽しそうなんだよね! これだけ出来るお店で変なことはしないだろうし「共有」って名前から何か分け合ってするのだろう
「では・・・はい、分かりました」
あれぇ? 何にもしない内に「共有」らしきことが終わってしまったらしい。わたしやらかした?
「ではこちらに」
「あ、はい」
部屋を移動して用意されてる机に座る
「キラーグリズリーについてですが、貴女の想像通りであっています。 彼女はレンちゃんって名前です」
んんん?
「私がミリーのなんでも屋さんのミリーです、腕試しもいいですよ? 250ダナで引き受けます♪」
あ、あれぇ…?
「私たちのことを可愛いって思ってくれてありがとうございます、嬉しいです♪」
な、なんで…?
「現在従業員は募集していませんが、貴女の思う「お金は要らないからこの子たちと働きたい!」と言うのであれば安くなってしまいますがよろしいですよ♪ 黒いお仕事は全然きませんけど」
そんなことまで知って!
普段黙って見逃して必要部分だけ喋るミリーがここまで言ったのは彼女が求めていたからだ。
そして全部答えてくれた内容を即座に纏め「共有」が何かを理解したので興味のままにお願いする。
「もう一回「共有」してほしいな!」
「はい、畏まりました♪」




