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ミリーのなんでも屋さん  作者: スルー
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 ミリーのなんでも屋さんが開店してそれなりに経ったので興味本位で来店するお客様も減りお客様も安定してきていた。

 現在、お店で公に見せているミリーたちの分体は二人であり、一人は宿屋「青い空キラキラ」の従業員として常時派遣しているレイリー(ただの従業員設定)。もう一人が店でフロアでの担当のリリー(ミリーの妹設定)である。

 分体の見た目は身長や体型は僅かだけなら変えることが出来てミリーの得意の光魔法で光の調整により瞳や髪の色を他人へ違う風に見せて別人になりきれたりするのだ。

『もう一人増やすけどどんな感じが良い?』

『そうね・・ミリーと違う人がいいわね♪ ちょっと小さくして「ゆうた」っぽくとかどうかしら!』

『身長の低い女バージョンの「僕」、か。分かった、やってみるね♪』

 ミリーは自分より3cm程小さな分体を作ると髪の毛を前髪長めの後ろ首辺りで整えて黒髪黒瞳にしてあっという間に完成だ!

 真っ黒な髪はあまりいないので珍しいから注目は集めるかもしれない。

「落ちこぼれちゃん、魔法・・教えて・・?」

 申し訳なさそうに上目遣いで可愛さを演出する

「もちろんよ! 最高に可愛いわ♪ アナタお名前はなんていうのかしら?」

 抱き付きながら楽しげに訊いてくるのに少し考えてから答えた

「ミユ、だよ・・?」

「クス♪ ミユちゃんよろしく」

「はぃ・・よろしく、お願い、します…♪」


・・・。

 次の時から入ったミユだが意外な事に人気で様々な効果が出る


「いいなぁ!ミユちゃん。その髪触らせてほしい!」

「あ、はい…500ダナ支払ってくださるなら…」

「あははは!強かなんだぁ♪ 払っちゃう」

 黒髪は美しく憧れであると、本人が気弱げなこともあり触ってみたいと言う人がいたり


「(コソコソ)ここって、みんな可愛い(むすめ)が誰にも嫌な顔せずに話してくれるからいいよな」

「(コソコソ)ホント、また新しい人入ったってその()もまた可愛いって」

「いらっしゃい、ませ…? また、来てくれて、嬉しいです…♪」

「「う!」」

 儚げに微笑む姿は女の子目的で来た客でさえ何か頼もうと意欲させる


「元気に、なってね…♪」

 お庭の植物のお世話をしていれば、黒髪少女とお花のセットがこの世界の人々を魅了して、お店のイメージアップ及び興味を惹かせる集客効果もあったりと即興でいて中々の成果が見られたのだった。


・・・。

「なぁ、あの募集の貼り紙はミユ(あの子)ではないよな…?」

 そう訊いてきたのはこの街の鍛冶職人の大男、ジルバニアである。

 ちょっとした思いつきを確かめに久しぶりに来店した彼は新しく見た顔と瓶作り職員募集の貼り紙が無くなっていたことを考えてそうなのでは?と尋ねてみた。 言ってはみたがとても職人には見えない姿に半信半疑である。

「いいえ、瓶を作ってくれる方は別で専用のお部屋をお創りして、そちらでお仕事してもらってますよ♪」

「なっ!?」

「どうかしましたか?」

 彼のあまりの驚きっぷりになんだろうかと思う。

「「専用の部屋」っていうのは製作部屋ってことだよな?」

「はい、そうです」

「・・・」「・・・」

 黙り込んでしまってこの場だけ静かになってしまった。

「他にもお客様がいますのでご用件がないのでしたら退いて下さると嬉しいです」

 人は少ないといえ受付で長々と雑談は良くない、本格的な話があるなら部屋へと移りたいのだ。

「そいつの作品(もの)はあるか?」

「はい、まだ数は少ないですがポーションの瓶の一部に使用されていて、こちらがそうです。」

 現在はヒールポーションの5%くらいに使用されていて数を増やしている最中である。

 空き瓶回収場所にはまだ一本も戻ってこないので見本として保管している物を出して見せた。


 ジルバニアが見たがった理由はひとつ。 この店に雇われた新人(・・)が、まさかの手厚過ぎる部屋を貰える(・・・)程、一人で作るに相応しいかを見極めたかったからである!

 この世界で一般的に、職人は師をつくり認められ初めて自分の作品を世に出せる(暗黙のルール)。なので個人の〝作品〟が出回っているなんて極一握りの名匠だけであり、誇りを要求される職人の駆け出しが出そうなんて考えもしないのである。

 彼がキッパリ新人と考えたのは募集していた内容で師の名前を安売りするような条件で引き受けるのは超が付く愚か者くらいだからである。


 しかし、出されたその作品を見てジルバニアは言葉が出なかった!

 こんなの見たことなどあるわけ無い! どの角度から見ても美しく完成された物であり言葉で表すなど不可能な芸術作品そのもの。それにこれに使った原料には心当たりがあるが、それは加工がとても難しく誰にも扱えないと囁かれている物で、まさにこの場所に使える者が()るのかと胸が熱くなっていた!

「これを作った御方に会わせてくれないだろうか!」

「きいてみますが断られたらすぐに諦めて下さいね!」

「あい、分かった!」

 テュンレイが受付を開くとミリーはすぐに瓶作りをするクリエンスの元へ行った。


「クリ君、クリ君!」

「・・・」

 部屋の前で呼びかけるも火の前で集中していて気付かない。長い髪の毛は束ねて上で纏めていた。

 それももちろん大事な事だがお客様を待たせるのは避けなければいけないことだ。

 ミリーはすぐに近付いて隣に立つとジーっと横顔を穴があくくらいに見つめ始める

「・・・? ミリー!? あ!」

 さすがに何か感じて横を見るとくっ付きそうなくらいの距離に驚いて手から鉄棒を落としてしまい驚異的な反応速度で掴もうと手を出した

「クリ君危ないよ?」

「あ…! ありがと」

 しかしその握った手に収まったのは柔らかく小さな手で鉄棒は宙で保護され留まっていた。

「ごめんね、集中していて気付かなかったんだよ…」

「気にしないで♪ それで人間の鍛冶職人がクリ君の作った瓶を見て会ってみたいと言っているんだけど、どうする?」

 クリエンスは驚いて少し考えてから会うと言った。彼の元々の目的はもう果たせないとしても自分に無い技術があるかもしれないと話が聞けたらいいなぁと考えたからだ。



「お待たせしました。こちらがこの瓶を作ったクリエンスさんです」

 一瞬さん付けで呼ばれたことに違和感を感じながら「クリエンスです」と自己紹介する

「(ボソリ)まさかこんな若い可愛い()が作っているとはな…」

「っ…」

 ジルバニアは来た人を見てかなり小さな声で呟いたが耳の良いクリエンスには聞こえたようで身体をビクッとさせる。もちろん彼に悪気なんてなく先程の理由から、若い職人なんてまず存在しないからの発言である。

「アラ?ウチの可愛い従業員に失礼なことを言うなら私たちは許さないわよ?」


 ミリーはソッと手を握り笑みを深めた。隣からテュンレイは優しく笑いかけてくると何故かジルバニアはビクリと体を震わせて反射的に謝る。威圧も何も無いのにどうしたと思うクリエンスだけど自分を庇ってくれたことに嬉しく思い嫌な気持ちは消えていた。

「しかし、あれはあまりの若さに・・・イヤ、スマナカッタな」

 ジルバニアには常識を外れていたからただ出た言葉で悪気は無い。自分の言った言葉の何がいけなかったのかも分からなく褒め言葉にもなるというのにと、頑固者の職人らしく言い訳を言おうとしていたのだが口を噤んで謝ったのはミリーとレンちゃん(この二人)のそれまでのお客様へのとの対応の違いを見たからであった。

「大丈夫ですよ! あと僕は男ですからね…?」

「ぬ!?」

 反応を見てやっぱりと訂正してよかったと思うのだった。


 部屋を移動して色々話していたがジルバニアの方には驚きと理解不能な事ばかりであまり身にならなかった。 一方クリエンスは「完成されかけた技術」しか知らなかった身として、「失敗への道」を沢山知れたことでそこから新しい試してみたいことが増えた。

「(でも、貴重な素材を無駄にしちゃったらミリーやレンちゃんに…)」

 それでも気にせずに笑顔で用意してくれると思うがこれ以上迷惑かけても自分に返せるものはないからと諦めたのだった。


・・・。

 有意義な話も出来て帰ろうと扉を出たところでふとここへ来た目的を思い出した!

「いらっしゃいませ♪」

「あ、ああ…」

 一回目とと全く変わらない挨拶に恥ずかしくなり、足早に受付へと赴く

「ウフフ♪また来てくれたのね」

 まだ開いていたレンちゃんの所へ

「ちょっと訊きたいことがあったんだ

 エルザルフの森にあるエルザルフ土と呼ばれてる土の採取は頼めるだろうか?」

 趣味の作品作りに使いたい素材なのだが、それが採れる場所がそこしか無く商人から買うか冒険者に頼むしかないのだが目が飛び出る程に高いのだ! 最低でも二百万は覚悟がいるもので趣味で使うにはそこまでかけられないので困っていた、そんな時にこのお店の説明書を思い出したのだ。

「大丈夫よ♪ そうね・・?、1000ダナで受けるわよ♪」

 ジルバニアは驚愕した!

 そもそもエルザルフ土が高い理由は採れる場所のエルザルフの森が危険な場所であることがある。まぁ、それだけなら優秀な冒険者に直接上手く頼めれば二十万くらいで依頼可能かもしれない! しかし、それを難しくしている理由が距離なのであった。

 エルザルフの森は日中でも夜のように暗く道具を持っていかないと移動もままならないのでとにかく荷物が嵩張る! そこに危険な場所ならではの人数が必要であるから生活道具やらが加わる。

 これで近場なら問題ないのだが、その場所はここから片道で二月くらいはかかる程遠い。


 なので、彼女は把握してないのではと思ったのだ!

「エルザルフの森だぞ? 知っているのか?」

「エエ♪ あそこは庭みたいなものね!」

「に、庭だと…?」

「エエ♪」

「・・・。」

 それが本気だと悟ると「沢山欲しい、釣りは要らぬ」と言って蒼貨を置く。

「ウフフフフ♪」

 笑いながら銀貨が返ってくるのを更に突き返す。蒼貨だけでも少ないのに彼女の言い値で取引するには抵抗がすごい!

「フゥ…仕方ありませんわね…受け取りますわ…

 では、二日後以降にいつでも取りに来て下さいませ!」

「うげ!?」

 ふ、二日間で行って帰ってくるのか? 安く(・・)買える伝手でもあるのか? どちらにせよ不可能だ…


 その日は頼んだ物が間違っていても責めるのは止めようと半分諦めて帰った三日後、依頼品を予想以上の量が手に入ったのにはあれこれに想像を限界突破したのだった。(いつの間に戻っていた銀貨には気付かなかった)

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