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ミリーのなんでも屋さん  作者: スルー
1/26

少女が街にやってきた

「ミリーのなんでも屋さん開店です!」

 その日、シルバーの髪を風に靡かせながらオープン宣言を高らかにした少女のお店が開かれたのだった!


・・・。

 ここはメリメレイル、精霊を讃える人が多いそれなりに大きな街である。

 その街の入り口の門で見張りをしていたダリボレは欠伸を噛み殺しながらこの世界に蔓延る魔物の動向を見たり来客の対応をしたりしていた。

「(うぁ?あれは子供か)」

 街道の向こう側から歩いて来ている少女が目に入って頭に対応を考えて準備しておく。

 小さな子だろうが戦える者もいるし、何らかの理由で違う場所からやってくる者は当然存在する。

 それでも世界に存在している害悪である魔物により命を落とすことが多いので一人でやって来る者は少ない、とても強いか逃げ延びたか、運が良過ぎて魔物に遭遇しなかったかである。

「(同行者が居たならご愁傷様だ)」

 はぁ、そうでないことを祈るばかりだ


 もう、目視でもハッキリ分かるくらいに近付いて来て気付いたことがあった。

 少女の服は布一枚で作られた服で綺麗なままだった。それに始めから微妙に歩く方向が違っていて、目指していそうな場所はここより離れた何も無い壁の前になりそうであること

「こっちから声を掛けた方がいいか?」

 場所によっては街に入るのに審査やお金が必要なところがある、あの年齢なら犯罪歴は無いだろうしお金が無いならあの行動にも納得だ。

 ここメリメレイルでは一部除いてそれらは必要無いのである。


 少しの間、様子見するかと犯罪者リストを一応見ておく。

「・・・ここでいっか」

 ゴゴゴゴゴ!

 地鳴りの音がして何だと思うと、少女が壁の前で手を広げていてその前に大きな土塊が出来ると回りが削られていって大きな家が出来たのだった!

 ・・うん、自分で意味が分からない

「あ、入ってったな・・・・・これどうしたらいいんだ?」

 何百倍速で建てられた大きな家を前に呆然とする。

「あ、出て来た」

 少女が再び家から出て来るとさっきと同じように手を広げた!

 家の壁が白くなった・・ハッ…?

 屋根の方に向けると窓が出来た・・ドユコト?

 そのまま屋根が赤く塗られた・・家が完成したな…。

 常識離れしたあり得ない光景に目を離すことが出来ない

「あ、コッチ見た」

 ペコリとお辞儀すると家の中に入ってしまった。


・。

・・。

・・・。

・・・・ん。

・・・・・まさか!?


「ま、魔法か!!?」

 思わず叫んでしまった、街の中には当然だけど、あの少女にも聞こえてしまったかもしれない・・。

「違うか!? 確証は無い、本当どうするか? ヨシ、腹をくくったぞ!」

 大慌てしたがとりあえず仕事に専念して家は静観することに決める、見た人へ説明が分からなかったので「魔物への対策の仮設倉庫」だと説明しておいた。


・・・。

 夕刻、交代の時間にやって来たのは気の合う同僚のソルアトである、待ち望んでいた人物にホッとする。

「よっ! 時間だぞ、お疲れな♪ 変わった異常(こと)は無かったか?」

 フゥとひとつ息を吐くと気を引き締める、その様子にソルアトも何かあったなと姿勢を正した

「朝の交代はトーの奴だったな?」

「あぁ」

「なら、ちょっと外を見てみろ」

 2人で門の外側へ出てあの家を指した

「あれは、家か? 立派だが、なんなんだ?」

「さすがお前は冷静だな、助かる」

 普段以外はどんな事態(とき)だろうと落ち着き過ぎくらいに物事を捉え分析しようとする同僚(とも)は頼もしい

 ダリボレは少女がやって来た昼間過ぎの出来事を詳細に語ると深く考えて言った

「判断するにはあまりにも少ないけどお前は間違ってないだろうと思う」

 ソルアトも同じく、それは魔法によって引き起こされた現象だと推測する。

「少女については分からな過ぎて何も言えないが魔族の可能性が高いとみるのが妥当だろう」

 人間の言う魔族とは知能を持った魔物のことであり残虐な行いを好む種族である。 また未知のエネルギーから不思議な現象を引き起こす〝魔法〟と呼んでいる力を使うとされている。

「ならやはり報告ははやくした方がいいな」

 第三者の意見をきけて行動をしようとしたが同僚の意見は違った

「・・・いや、様子を見る・・いや、直接尋ねてみよう」

「き、危険過ぎやしないだろうか?」

「危険ならとっくに襲われている、なによりお前は危険を感じなかったんだろう?」

「それはそうだが」

「ハハ♪なら平気だ、お前の危機回避能力はすごいからな」

「・・分かった、行ってみよう」

 刺激してその力を自分たちや街へ向けられたら取り返しのつかないことになる、その可能性を少しでも無くすなら行くのは即断で夜が遅くなる前がいい。

 頼れる相棒に感謝して自分が先頭に立つとソルアトが「お前は後ろだ」と下がらされる。

「何かあってすぐに動けるのはお前だ、分かっているだろう?」

 何かあった時に誰かが報告しなくてはいけないのは理解しているので言葉が出ない、2人ともお互いが生きて欲しいと願っているのだ。なので引くのは効率面から自分の方だと分かっているので悔しさが募る。

 今回ばかりは重装備して行くわけにはいかない、槍で捌き受けスタイルのソルアトは戦闘になると厳しい、願うのはあの少女が平和的思考であることだけだ。


 心は重いが軽い足取りで家の前に進むとそのドアをノックする

「スミマセン、ちょっとよろしいですか?」

 すぐにドドドとわざと鳴らしたような足音が中から聞こえるとガチャリとドアが開く

「はいはーい!客用に僕が対応するよ!」

 出て来た瞬間にこれは大丈夫だと確信する

「街の警備する者ですけどね」

「あちゃー、やっぱりダメですか?」

 額に手をあてる姿は愛嬌がある子だなぁと笑いそうになった。ソルアトもそうだったのか堪えながら咳払いして誤魔化していた。

「勝手に家を建てられますと困るのですよ」

「はい、分かります!税金とかですね?

 でも、ここは街の外で私有地(りょう)ではありませんよね? 危険を承知なら良いと思ったのですけれど…」

 たしかにそうだと思ったがソルアトはそうは思わなかったようだ

「間違ってはいない、だけどな?

 なにぶん、人の出入りする街の入り口に近過ぎるんだ。 義務は発生しないがイメージを損なう可能性やらで損害賠償を求められるかもしれない、俺達のようなやつらに武力退去をされるかもしれないんだ」

 なるほどなぁ…、規則通りだけの対応だとこの子の方がより困ることになるというわけか

「そうですかぁ…」

 今度は腕を組んで唸る姿をする、容姿が可愛い女の子のせいか困る姿は可愛らしく庇護欲をそそる

「まぁ、とりあえず目的をきかせてくれないか?」

「はい、いいですよ、あれです!」

 ババーンと自分の後ろ(家の廊下)を示す!

 通路を防ぐように立っていたのは看板で太い黒文字で『ミリーのなんでも屋さん』と書かれていた、端の方には魚が泳ぐイラストも書かれている。

「なんでも屋、お店を開業するのか?」

「はい!困っていること、やって欲しいこと、仕事の代理、恋人役までなんでも(・・・・)引き受けますよ♪」

 いかにもすぐに潰れそうな感じである、あまりにも足りないだろう。

「それは便利だ、だがこんな所じゃ一般民なんて来れないだろう」

「のんびりやるつもりです、来なくても困りはしないので」

 計画性が無くてほっとくとすぐ消えてしまいそうな子だなぁと思った。

「名前はミリーでいいのかな?」

「はい、ミリーです!どんな魔物退治も出来ますので贔屓にして下さい」

 なにか引っかかる言い方、偽名では無さそうだ! それにここに住むからには嘘は付いていなそうだけど

「ミリーはいくつなんだ?」

「えっと・・・三日です」

「「は!?」」

 さすがのソルアトも驚いていた

「一日、二日、三日・・三日目です」

 日数まで言って間違っていないことの確認。魔族というのは生まれながらに成体の姿なのもいるのかもしれない。

 この子が無知なだけで本能が甦ると危険かもしれないと危惧する・・・しかし、お店を開くだの人間の土地圏だの理解しているのも確かでよく分からない。

「とりあえず家は気付かれないようにしておくので今日のところはお引き取り下さい、準備してから相談しますね」

「・・・分かったよ、こちらも整理する時間が欲しい。 俺は明朝まで門のところにいるから何かあるなら来てくれ」

「ありがとうございます、おやすみなさい」

「あぁ、おやすみなさい」

 ソルアトはドアを閉めて深く息を吐き出して目で合図して戻る


「なんでも屋・・・か」

「まさか、お店希望だなんてな」

 ある程度の距離になって少女のことを話し出す、「よかった」二人の心境はこれに限った。内容はあれこれあれど厄災になり得る存在で無いのは確かだったから一安心できる。

 笑いながら二人同時に振り返るのだが驚くこととなった

「家が無い!?」

「・・・これがあの子が言ってた「気付かれないようにしておく」か、敵だったらと考えたくないよ」

 たしかにな、魔法か…見たこと無かったが怖いものだ、これは報告は決まるまで保留にした方がいいよな。

・・・。

 翌日、昼から俺の時間割だ。基本五日に一度休みがあり、俺は昼から夜交代までの午後の役目を担っていソルアト(あいつ)は夜担当だ。後主要なところで朝にトーという人が多いのだが基本一人でばかりいる無口なやつだ

「・・・どうなったんだろう」

 思い出すのはあの少女のこと、あの様子では自ら動くことなく大人しく待っているだろう。

 しかし万が一がある、あの子は魔族で全て嘘って事も無くはないのだ。

 気にし出すと気になるもの、時間より遥か早いが急いで準備して寮を出るのだった。


 門に着くとそこに居たのはトーではなくソルアトだった!

「やっぱり来たか! お前なら絶対見に来ると思ってたよ」

 カラカラ笑われてぐぅの音も出ない、相棒には俺のことなんてお見通しのようだ

「落ち着かなくてな。 それで何でお前がやってるんだ?」

「代わってもらったんだよ」

「お前!夜もだろ!」

「大丈夫さ、徹夜の訓練は受けているだろうよ♪」

 必ず受ける演習の中に二徹して山に籠もらないといけないのがあった、あれはキツい!

「そうだけどさ」

「それより来てるから静かにしろよ」

 たしかに商人の馬車が来ていたから来たからには仕事をしないと、聞きたいことはあったがまずは迎え入れの準備をしないとだよな。


「あの子は来なかったよ」

 夜中に来ることもあの家が見えることもなかったようだ。動きが無いからと言って安心じゃないのは怖いが何にもしてないのだと思う。

「んじゃ、みてくるのか?」

「挨拶で素性探りをしないとままならないから」

「別に知らなくても仕事と居住の提案だけで解決も可能だろ?」

「まぁそうだけど女の子一人だしねぇ」

「ハハ、お人好しだねぇ。つくづくお前ここの仕事向いてないな」

「お前もな」

 笑いあうと早速家があった方へと向かった。


 ここら辺りだろうと歩みをゆっくりにすると目の前に急に家が現れる。

 やっぱりすげぇな! ドアの前に行くとすぐに開いた。

「おはようございます」

「おはよう」

 昨日の少女でやっぱり礼儀もあるし悪い人にはみえないと肩の力は抜けていく、なんて気を抜いた瞬間に家の中から違う声がして一瞬で警戒に入った

『その人間はだれなの?』

 たしかに声はするのだが声の主は分からない。「人間」と言っているのだからやはり人間で無いのは明白である

「こちら、すぐ裏の街の門でお仕事している方です」

「そっ!お仕事で来たのね、それは仕方ないことだわ」

「え」

 いつの間にかミリーより更に小さな子供が彼女の横に立っていた。顔つきはとても大人っぽい。

「お疲れ様ね、ミリーの処遇でも決まったのかしら?」

「君は?」

「そうね、あなたたちが崇める存在とでも言っておこうかしら」

 崇める存在? 人間が崇めてるっていったら神とかだろうか、冗談だろう。

「その言い方は良くないですよ!」

「はーい」

 カシッと横から彼女を抱き締めている、仲良しさんなのだろう。

 この子はいつ来たのか、最初から存在してたのか、どういう関係なのか? 気になることこそたくさんあるがひとまず用件だ

「家の存在だけど看過することは出来ない、悪いけれども他所へ行くか街に住んでもらうかにして欲しい」

「分かりました」

「ちょっと待って、ミリーはお金を持っていないわ

 そっちが勝手に決めたのだから住むなら当然出してくれるのでしょうね?」

 生後三日なのだからお金が無いのは当然としてももう一人の少女も無さそうだ、同種の線が濃厚かもな。

 彼女の言い分ももっともだけど・・

「規律上出すことは出来ないんだよ」

「ちょっとアギレディウス呼びなさい、お金払わせるわ!」

「ダメですよ、軽々しく呼んでいい御方ではありませんからね」

「でもぉ…」

 名前偶然だよな? 偶然に違い無いけどミリーの言い方ではおそらくだけど、まさかな…?

「ちょっといいですか? アギレディウスというのは」

「知っているでしょう? エルフで人間の王になった奴よ、今は・・丁度260歳かしら?」

 年齢は(とう)ほど違うが、彼女が説明した瞬間に予想が当たっていたことを知る。

 アギレディウス様は当時この世界を支配していた魔王を精霊様方を率いて倒し王になった御方だ。 そんな偉大な御方を雑な扱いするこの少女はもしかして・・。

「黙ってないで喋りなさいよ! いるんでしょ!」

「・・・いません…」

「「・・・ハ?(・・・え?)」」

「二年前にお亡くなりになられ今は違う人間の王となっております」

「そっか・・・あいつはもういないのか」

 少女は下を向いてしまったがすぐにこっちを向くと指をピシッと差した

「ならアンタが出してよ」

 ミリーが滅茶苦茶を言っている少女を窘めているが俺は・・・

「小さな家くらいなら借りられるくらい余裕がある」

「・・・そんな!」「フフン♪いいわねアナタ、土地だけでいいのよ、家は・・わかるでしょ?」

 俺の言わんとすることが分かったのか遠慮するミリーと気分を良くした少女

「ほっとくことは出来ないんだよ。嫌だったらゆっくりとでも返してくれたらいいからな」

「そうよミリー、儲けるつもりは無いのだろうけど倍の金額でやればすぐに貯まるわ!」

 倍って…やっぱり計画性が無いんだな、来る客も来なくなるぞ…

 少しアドバイスをしたくなるのを堪えて更にすすめると彼女は遠慮がちにお願いしてきたのだった。


・・・。

「フフン♪ アナタに私の名前を呼ぶことを許してあげるわ♪

 私はね、テュンレイっていうの、人前では名前は呼ばないでね?」

「分かった、テュンレイ様」

「敬称も不要ね、私も生まれてまだ六日だから」

「え」

 つまりはテュンレイとミリーは二日違いの生まれってことで…アギレディウス様の旧友で・・・ダリボレは混乱した

「そ、その辺の説明はいずれさせていただきます…」

 ミリーは自信無さそうな喋り方になってしまった、家の件で申し訳なさが出てしまったのだろうと落ち着くまであまり声は掛けないことにした。


 門では通行人対応をしていたので少し待ってから声を掛け静かに経緯を話した

「そうか、やっぱりそうなったか! ほらよ♪」

 ソルアトは自分の予想通りの展開にニヤリと笑うとポイッとズッシリした皮袋を相棒に投げ渡しチャリンと金属の擦れ合う音が鳴った

「これ…」

「もちろん協力すっぜ、一人いい格好すんなよ♪」

「アンタも良い人ね、アンタにも特別に名前を呼ばしてあげるわ♪」

 もちろんソルアトは良い人なのだが、良い人の基準はお金をくれるかじゃないよねと言いたくなったダリボレだった。


「午後も俺が代わるからお前が引き続き案内してやれよ」

 それでは二日分ぶっ通しになってしまうのでさすがに反対だ、まだ時間がある今の内に土地を見繕えばいいだけだ

「明日は休みだから行け!行くんだ、俺に案内の心はつとまらないんだよ…察してくれよ…」

「案内の心って何だよ!」

 ノリで言ってるだけで楽しそうだ。理由は分からないけれどどうしても俺に行かせたいらしい、こうなったら絶対曲げないので言い合うだけ時間の無駄なのだ、彼女たちを待たせても悪い。

「分かったわかった、夜交代の時間に様子を見に来るから厳しかったらそっちを代わるな」

「おうよ!大丈夫だから来なくていいぞ」

「ソルアトは面白い人ね、興味出たわ♪」

「気の良いやつだから仲良くって言っていいか分からないけどしてくれると俺も嬉しいですよ」

「フフフ♪いいわ、仲良くしてあげましょう。ね、ミリー」

「はい…」

 ミリーは元気無いままでどうにか元気出ないかなぁと思うのだった。


 見送ったソルアトはミリーを見て呟いた

「・・どうみても昨日のとは違う人だろ」


・・・。

 顔は広い方なので土地もすぐに紹介してくれて借りることが出来た。しかもマケてくれたので結構広い土地を融通してくれて借りれテュンレイもご機嫌である。

「ウフフフフ♪ いいわね、やっちゃって」

「あーい、ワ()ッタよ♪」

「!?」

 ミリーが急に元気出たと思ってたのに言葉の発音も違っていて驚いた!

 前と同じように更に大き三階建ての家がつくられて装飾され塗装されていく

「すごいな、これは魔法なのか?」

 そんな様子を眺めていたら自然と口から禁忌の質問が出てしまっていて口を噤む。しかし、答えはあっさりとテュンレイがしてくれた

「何で当たり前のことをきくの? 皆、普段の生活でも使うじゃないの? ミリーはそれが強いだけよ」

 自分の耳を疑った、彼女はなんて言ったんだろうか! 魔法は人間でも当たり前に使う? そんなわけないだろう。 魔法は魔族だけが使うもので・・・いや、伝説では精霊が使えて人間が力を間借りすることで使えたなんていうのも見たことあるけど、そもそも精霊自体がつくられた架空の生き物であってやはり魔族のみが魔法を使えるのが…

「デ()タよ」

 混乱してるとミリーが完成を教えてくれたが喋り方がやはり可笑しい

「ミリーはその話し方が普通なのか?」

「・・・。 今のはあんまり使わない」

 うおっと!あまりに低くなって危うく声を出すところだった!

「そっか、無理せずその普段通りの話し方でいいんだぞ?」

 するとミリーは首を横に振った

「それも違う」

「フフフ!ミリーはねどれも〝自然〟に喋ってんのよ! 無理なんか一切してないわ!

 あぁ、万物全ての可愛さを誇る()ミリーにたくさんのミリー・・最高なのよ…!」

 なんかよく分からないことを口走っているがミリーは|テュンレイの言葉全てに《・・・・・・・・・・・》頷いていた。

「ハ()ッテよ♪」

「あ、うん、じゃあ」

 これは早々に慣れないと混乱ばかりするやつだと理解しようと頭を巡らせていた。


 入って一階はとても広い一室で部屋奥半分が作業用のようなスペースと区切られ分かれていた

「ここで仕事の受付をするんだな」

「はーい!そうでーす。 壁際(あっち)にテーブルを置いてなんでも屋の説明書を置くつもりですよ」

 また変わったぞ! つくりが意外と考えられてる、作業と業務に合わせた家具配置まで考えているのか・・・予定金額の設定まで決めていて口出しするどころか完璧に思えるぞ

「従業員は?」

「わたしとテュンレイちゃんですね!

 テュンレイちゃんは普段はレンちゃんと呼びます」

「二人だけで大丈夫なのだろうか…」

 いくらなんでも無理があるだろう

「そこは大丈夫ですね!」

 言い切るからには大丈夫なのだろうと納得するけど微妙な顔をしてしまう

 基本的に尋ねたことには全て答えてくれるので隠し事はしないタイプに感じているので教えてくれるだろう、けどなぜだか怖い。

「こんなところかな?

 必要なことはきけたから帰るな」

 正規な手続きが出来る、いつお店を開くか分からないけど許可だけはコッチですぐに申請して取ってあげよう。 この後組合へと行って取っておく。

 律儀そうだからお金を返しに来たら、もしその時にまだ知らなそうなら説明すればいいだろう。

 まだ彼女たちの扱いには少し怖いけれど大丈夫だろうと思うダリボレなのだった。

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