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夢小説の様に進む、ろくでもない話  作者: 静かであれ反抗声明
1/1

これ全部私が読みたいだけなんですよね

なろうでは初執筆なので、誤字脱字があったらごめんなさい。


私が面白いと思った話を書いてるだけなので、流行りの転生物でも悪役令嬢物でも無いです。

つまらなかったらブラウザバック推奨です。


私が「こうしたかったな」と言うのを詰め込んでいるので、ご都合設定が今後多々登場すると思います。


よろしくお願いします。



午後六時 ╴ ╴ ╴空が澄み切った青色からねずみ色になり始めた頃


右耳から左耳へとするする通り抜けて、

ろくに頭に入らない授業が全て終わり

、校舎を出て、校門を出て、


長いとも短いとも言えない距離を電車に乗って移動して


授業中に座りっぱなしでほとほと疲れ果ててしまった身体をグッ、と大きく伸ばし、私は駅前でため息をついていた。



今日も授業はよく分からなかった。明日委員長に少し教えて貰おう。




広告の音楽。



バスや車の音。



楽しそうにファミレスに入って行く同い年か少し上くらいの男子たち。



少し遠くから聞こえる改札の音。



切符売り場の機械の音。



自動ドアが開閉する音。



今日の夕飯について話す親子の声。



その他大勢、色んな人の足音。




流石に駅前となるとやっぱり騒がしい、声だけじゃなくて、自分の存在ごと掻き消されそうだ。イヤホンでもつけてこの場を凌ごう。



リュックを自分の前に持ってきて、若干暗い鞄の中を凝視しイヤホンを手探りで探す。


「……あれ、」


無い。……かもしれない…。



じわじわと嫌な汗が出始める。自分で自分が焦っている事が嫌でもわかる。


焦るな、焦るな。そう必死で自分に言い聞かせても、全く効果は無い。



端の方に寄って、屈んで、リュックを膝の上に置いて、様々なチャックを開けて、

閉めて、開けて、

閉めて、開けて、


あ、変換端子はあった。また閉めて。


ない、ない、ない、ない、ない。


「……ない…」


最悪だ。こんなに頭に響いてくる喧騒の中、何にも縋らず一人で帰れと?冗談じゃない。




私は自他共に認める程に騒がしい事が嫌いだ。物心ついた時からずっと。



他人や家族からの怒鳴り声が嫌で、出来る限り叱咤されないように、褒められるように、人並みではあるけれど、ある程度淑やかに過ごして来たつもりだ。



通学路だって出来るだけ人が少ない場所を歩いて人の声を避けているし、休み時間も静かな場所を探して音楽を聴いて安堵する日々。



それのせいで、表情管理が苦手だし、友達も普通より少ないけれど……



兎に角何が言いたいって、私はうるさいのが大の苦手だと言うこと。




なのに、なのにイヤホンがない。

私の事を唯一守ってくれるイヤホン。



今朝、リュックの中に入れた筈なのに。

遅刻しそうで焦っていたし、何処かで落とした…?



変換端子入っていた場所は、雑に入れた者ならするりと抜け落ちてしまいそうなポケットだったし……





どうしよう、今からでも百均に行って、


『ママ〜!今日の夜ごはんハンバーグがいい!』『お前それはねぇだろって!』『いいじゃん、俺とテキトーに遊ぼうよ』『えっ嘘!?昇格した!?まってまって!?』『はい、先日はありがとうございました。』『でも今日はお豆腐買っちゃったしなあ』

『本日のオススメは、コチラの化粧水!』『綺麗な花ですね〜』『これって脈アリかな…?』『もう最近値上がりしてねぇ、困っちゃうわよねぇ』『いやいや、絶対いけっから!』『待ってる人いるので…』『うっそ、星四…五枚抜き…?』『新曲がめっっちゃ良くて!普段の雰囲気とは違って』

『やっぱり一に保湿、二に保湿って感じです』『大丈夫だよ!あんた可愛いもん!私が保証する!』『そちらの件に関しましては』『あの、』『絶対似合うから!』『明日雨だってよ』『あんた滑舌悪い』『マジ?あの人結婚してたの?』『え、なんかついてる?』『やーだぁー!!!!』『2期来て欲しいよね〜、めっちゃ面白かったし』『髪染めたいんだよね、そろそろ』

むりかも

『この衣装めっちゃかわいい』『ほんとに顔がいい……』『じゃあ明日ハンバーグにしよ?ね?』『今日は日本の料理に対する海外の反応を紹介するのぜ』『うわっ、音でか』『次CD何枚積む…?』『じゃーんけーん』『あー確かに、高いよねえ』『っぱ映画じゃねぇ!?』『大丈夫ですか』『初めの方に超伏線あって、後半で一気に回収すんだよ!』『て、天気いいね……』『普段用にも使えるの!やばくない?』『まあ人間だし、結構いい歳だったし』『今日寝てないわー』





うごけな「あの!」


「!?へ、ぁ、すみませ、」「大丈夫ですか」



「……え、」

「しんどそうにしてたので、これ、良かったら…」



…お水……



…しまった、他人に迷惑を掛けてしまっていた。

その認識だけで、つい先程までとはまた違う冷や汗がじわじわ浮かび上がってきた。



折角自分の為に渡された物を受け取らないのは逆に失礼な気がして、態々屈んでくれている男性の顔とペットボトルを二度三度か交互に見てから、お礼を言いつつゆっくりとお水を受け取った。



黒髪でセンター分けの、少し目付きが悪くて黒マスクで、背の高い男性。


手には、小さめのキャリーケースと、重たそうなギターケース。



音楽をする人なのだろうか?

…それだけで少し、目の前の彼は何も悪くないのに、嫌悪感が募る。


「立てますか?」

「あ、はい、多分…」

「多分……少し、移動しましょう」


男性に先導されて、近くのベンチに腰掛けた。



無機質に硬いベンチは、未だに少し震えている身体を無条件に受け止めてくれる。



柔らかいクッションのように私を包み込んでくれることは無いけれど、その感覚がやけに落ち着く自分がいる。



ギターケースがあるからか、座っている私の近くに立ちっぱなしの男性を見て、せめてもの気持ちを込めて改めて頭を下げる。


「態々、ありがとうございます…お水まで」

「いえ、そんな」


「……」

「……」


私達の間に沈黙が走る。こうなると気まずい。

多分この人もわかっているだろう。


なにか話さなければ、と話題を考える。



いきなりギターケースを持ってる理由を聞くとか踏み込み過ぎかも。センター分け素敵ですね!なんて言おうもんなら、混乱しながらお礼を言われるのが目に見えている。


お礼はもう言ってしまったし、完全に手札を全て切ってしまった状態だ。



こういう時、クラスの友達が多い人なんかは難なく乗り切れるのだろうか、なんて考えていたら、男性が「あっ」と声を出した。ふと見上げると、スマホを見て何やら少し焦った様子だ。


「すみません、僕これからここで路上ライブするんです…」



マジかーー!!!うわーーー!!!!



と、叫びたくなった。

流石に初対面の人の前、しかも公衆の面前で叫んだりはしないけれど心情は言葉そのままだ。


「人もあんまり集まらないので、もし良かったら聞いていてくれませんか?」


そう眉を八の字にして聞いてくる男性を見て、先程助けられた恩のある私は頷く他に選択肢はなかった。



うるさい音も、路上ライブにありがちな下手な歌も嫌いだし、一曲聞いたらそっと人混みに混ざって帰ってしまおう。



けれど、私はベンチに座ったまま、嬉しそうに準備を始める彼を見て、騒音の中でも自分の音にこんなにも夢中になれる人が居るのか、と少し感心した。ほんの少しだけど。



何かのコードをスピーカーのような物に繋いで、マイクスタンドを立てて、あっという間に準備は終わってしまった。



彼はギターの音の様子を確認してから、小さく咳払いをし、私に背を向けマスクを外し、マイクに向き合う。



帰る言い訳、門限とかで良いかな…



そんな考えは、彼が歌い始めた途端に吹き飛んで行ってしまった。



先程まで喧騒に疲れてぐったりとしていた頭が嘘のようにハッとして、私は咄嗟に彼の背中を見た。



足音なんて、喧騒なんて、彼の声以外聞こえない、とまで言えてしまえる程の圧倒的存在感の歌声。


今にも消えてしまいそうな、消えてしまいたかった、私自身の形が、ハッキリと浮かび上がった気がした。



たった数秒で、私は彼の歌声の虜になってしまった。



ギターの音の善し悪しは分からないけれど、彼の歌声は間違いなく凄い、だって、こんなにも肌がザワつくんだ。


初めてだった。他人の、しかも生の路上ライブの歌声で鳥肌が立つなんて。初めての体験だった。



私は今、奇跡にでも立ち会っているのでは無いかと思ってしまう。本当に、それくらい、凄い。



低音から始まったかと思ったら、サビで一気に声が高くなる。きっと私には歌えないような曲。

こんな声も、曲も、聞いたことがない。



彼の強くて優しい歌声に心を掴まれて、その場から動けもせず、気が付けば一時間の時間が過ぎ、最後の曲が終わってしまっていた。



「どうもありがとうございました」



彼がそう言った時、私は無意識で拍手をしていた。


足を止めていた数人の人も、軽く手を叩いてから『良かったね』なんて言いながら、また何処か別の場所に足を向けて行ってしまった。



凄かった、兎に角凄かった。

冷めやらぬ興奮をどうしたものかと手を震わせていると、彼が振り返り、私を見て「ありがとうございます」と目を細めた。



ぼちぼちに撤収の準備を始めた彼に、不躾ながら質問してみる。



「あの、いつもここでされてるんですか?路上ライブ…」


マイクスタンドを縮めながら、暫く悩んで、

「いつもって程じゃないですけど、二週間に一回くらいの頻度ですかね。」と優しげな声色で答えてくれる。


私はハッとして、財布の中身を見る。


…駄目だ、銀行に行かないと二千円しか無い。

今すぐ行きたくても、通帳なんかは全部親が管理してるし…そもそもこの時間だと閉まってそうだし……。


仕方が無い、ここは千円だけでも渡してしまおう。



「これ、少ないですけど」

「え、大丈夫ですよ」

「タダで聴くの、勿体ないので。」



そう言うと、彼は私に引き下がる気がないと察したのか申し訳なさそうに千円札を受け取った。



何かのコードをまとめながら、今度は彼が質問して来た。



「そう言えば、なんであの時蹲ってたんですか?

…あ、話したく無かったら話さなくても大丈夫なんですけど」



彼の言葉で、そう言えば、とイヤホンの事を思い出した。


私は彼に感謝を伝える為にも、

昔から騒がしい音が苦手な事、騒がしさから逃れる為にイヤホンを使っている事、そのイヤホンを今日何処かで無くしてしまった事を話した。



「あら…」なんて優しい相槌を打ちながら話を聞いてくれていた彼は、イヤホンを無くした話を聞いた時、動きを止めて、自身のポケットの中を漁り、見覚えのあるイヤホンを取り出した。



「そのイヤホンって、これだったりしません…?」

「…こっ、これです!!!なん、なんで!!?」



驚きのあまり、自分の体にも響く程に大きな声を出して、彼の顔と私のイヤホンを何度も繰り返し見る。


彼は安堵したような顔で、

「ああよかった、今朝この辺で拾ったんです」と、

私の手にイヤホンを乗せてくれた。




大体の撤収作業が終わったのか、キャリーケースを閉じて、ギターケースを片手に持った彼は、正にそれでは帰ります。と言った感じの雰囲気を醸し出し始めていた。


どうしよう、毎日駅前に来れるわけじゃないし、普段この時間にはもう家にいるし、もし次の機会が無かったら、


何か、何か……そうだ!



「あの!」

「はい?」

「連絡さっ、」


駄目だ!連絡先は距離が近すぎる!!


「や、SNえ、」


これも駄目!フォロバ目的みたいに思われるかも!!


「ッ…つッ、次のライブって、いつですか!?」


これだ!せめていつかだけでも…!


私が一人ですったもんだした後に絞り出した言葉を聞いて、彼はマスク越しでも分かるくらいにハッキリと笑った。



そして彼は笑ったまま、

「再来週の今日と同じ曜日です」と言った。


かと思えば、彼はそのまま先程ポケットにしまっていたスマホを取り出して、

「良ければなんですけど、SNSもどうですか…?」

と問いかけてくる。

さっきの私の言葉、ちゃんと聞こえてしまっていたらしい。



若干の羞恥心で顔に熱が集まる感覚を感じながら、私はそっとスマホを取り出した。


「お願いします………」

「はい。…どうぞ。」



QRコードを先に出してくれたので、おずおずとそれを読み込ませて貰ってから、出てきたアカウントを確認する。


「…松本……」

「にちかです。曜日の日に何ヶ月の月でにちか」

「にちかさん…珍しいですね。フォロー失礼します…」

「よく言われます…マルカワさんですか?」

「はい、マルカワです。」

「フォロバ失礼します。よろしくお願いします」

「こ、こちらこそ…!態々ありがとうございます…!」



ぺこぺことお互いに頭を下げあった後、間もなくして彼は駅の方に向かって去って行ってしまった。



「………あ、」



騒音をかき消してくれたのは貴方の歌声です、って、ありがとうございます、って、伝え忘れちゃった……。



忘れてしまったものはもう仕方が無いので、私も早々にバスに乗り、帰路に就く。


再来週……再来週かあ…………。


また彼の、松本さんの歌声が聞けるのか。

今度こそお礼を伝えなければ。とじんわり再来週に想いを馳せ、まだ封を開けていなかった水のペットボトルを親指で撫でる。



私は目を伏せ、イヤホンもせず、松本さんの声を思い出しながらバスに揺られる事にした。

5000文字程度でいいんですかね?

なろうって沢山文字があるイメージ……


ザックリした構想は浮かんでるんですけど、どう書くべきか悩んでます。小説って難しいですね。精進します。

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