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絶対のんびり至上主義  作者: sakura
地盤固め編
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9話.歩み寄り

「あー、えっと」


食卓で突っ伏してこれからの事等とりとめもなく考えていると声をかけられた。

名前も知らない失礼女だ。


「何ですか?」


どうしても嫌いな感情が先にあり、言葉が強めになってしまう。


「あ~、その、本当にごめんなさい!」


直立不動で私の目をまっすぐに見て謝ってくる。

突然本気の謝罪をしてきた。

口先だけで謝ったことはあったけど、今回は本気で謝っていることがわかる。


「突然ですね。さっきまでの謝ればいいんでしょって感じがないんですけど、何かありました?」


どうしても失礼さが先に来てしまうから不思議で仕方なくて、私も本音で聞いてみる」


「いえ、あなたがここに来て何もわからない事を思い出させられましたので、私が自分の常識にない事にいちいちあなたに当たっていると言われてやっとわかったので」


それはそう。本当にその通りです。こちらの常識は他の人がいなかったので知る由もない。

というより言われたって誰にだ?


「・・・」


「だから、その、ごめんなさい。申し訳なかったと今はちゃんと思ってる。

あなたは魔法を知らないのに、それえお前提で話してたって」


「もういいです。逆に私はこの世界のマイノリティでしょうから、意識の祖語があるのは仕方ない事です」


「え?あなたはマイノリティどころか、この世界の唯一無二ですよ。この世界の人間は魔法が使えない事は100%ありませんので」


私は勘違いをしていた。

魔力があっても才能がないと魔法が使えないとかではなく、魔法が使えないと生きられない世界らしい。

就職面接で募集要項の必須になっている内容を、私は持っていないような絶望的状況だったらしい。


「私は存在自体ありえないってことか」


少しがっかりしながらこの世界に来るきっかけを思い出す。

怪しげなスカウトだった。

社運を賭けるとかそういう話だったけど、欠陥もいいところだ。

何せ自活能力皆無って意味だから。

つまり赤ん坊以下ということになる。

誰もができる事が出来ないわけだし、魔法が常識の一部

いうなれば呼吸と同じことになるからだ。


「いえ、あなたは本当に我が社の社運を左右するとあたしは今本当の意味で理解しました。

その別の常識で、我が社を救ってください」




あたしは勘違いしていたみたい。

せめて念話、せめて収納魔法、せめて生成魔法と考えていた。

子供でもこれができないと生きていけるはずがない。

言葉を覚えるより先に覚える事だから当然だって考えてた。

でも、この人にはそれが全部ない。

私はそんな状況で1日生きることもできない。

それを説明されたのは後輩の一言だった。


「わけわかんない巨大なものがあったら普通幻術魔法で惑わされたって思うでしょ?

普通攻撃するでしょ?」


「いえ、先輩。攻撃魔法は危機的状況以外では法律で禁止されてます。先に鑑別魔法で確認します」


「幻術魔法だったら鑑別に効果内の分かるでしょ」


「それにしたっていきなり攻撃はやっぱりやりすぎですって」


だんだん腹立たしくなったあたしは言った。


「魔法が使えない人間なんているわけないでしょ!巨大な物を見た私の気持ちになってみなさいよ」


「だから、魔法のない世界から呼んだって言ってるじゃないですか!」


強い言葉だった。後輩に怒鳴られたことなんてなかった。

いつも話は聞いてくれるし、同意はしてくれないけど一緒に考えてくれる親友みたいに思ってた。

その子がこんな言い方するなんて


「それでも、せめて必要最低限出来ないと生きられないし、念話も使えたじゃない」


「それってたまたま出来ちゃっただけだと思いますよ。覚えてない魔法を幼い子供が使えちゃったってことあるじゃないですか。極限状態の飛行魔法とか経験ありません?」


「それはあるけど」


「そういうことです。使おうと思って使ってないし、何なら水とか出せないかもしれませんね」


「死ぬでしょ、それは」


最後はちょっと笑い話になったはずなのに、でも、まさか本当だったなんて。



「誰かと話してたみたいに言うね。一緒に誰かいてる?」


「さっき念話で話してたのよ。あ、念話っていうのは魔力を他人とつなげて会話する事ね。話そうと思ったことを声に出さなくても相手に届くって感じかな?ってかあなたもそれであたしとしゃべったじゃない。」


ふーんって感じだった。

詳しく聞くとオンオフを切り替えられるし、話せない状況では電話の不在みたいなこともできるらしかった。


「で、あなたは何やって過ごしてたの?ご飯は?水は?」


やたら詳しく念話の話し始めたと思ったらノッてきたのかやたらと話しかけてくる。


「あー、カップ麺生活だね。そのあとは袋麺をゆでることになるけど」


ちょっと理解できないって感じだった。

首をかしげる彼女に何が伝わらなかったのかわからない。


「カップ麺とか袋麺って何?」


そう、ここは異世界。何が伝わり何が伝わらないのかこれから探るしかないのだ。


「ちょっと待ってて、持ってくるから」


キッチンからカップ麺を持ってくる。

と、そこへ


「ただいま~」

と朝陽と雄太が入ってくる。


「ちょうどよかった。雄太、この鍋に水出してくれる?」


「いいよ~」


水を蛇口から出すようにジャーと鍋に入れる。さながらマーライオン


「朝陽は危ないから庭に行こうか」


と2人と2匹で庭に出て焚火の準備をして朝陽に火をつけてもらいお湯にする。

やかんなんて高尚なものはうちにはないので仕方がない。

鍋になるので重くて持ち手が左右にあるのでカップにお湯を注ぐのも難しい。

家の中では難しいので犬小屋の前にキャンプ用品のテーブル(組み立てると椅子もついてるもの)を設置してその上でカップ麺にお湯を注ぐ。

カップの線にお湯を注ぐが、地面が並行ではないのでお湯は線に対して斜めになるが、目分量。

時間の3分は腕時計で確認する。

出来たよ。どうぞとお客さんに先に出す。

箸も用意したけど、異世界用にフォークも用意

海外ではフォークでラーメンを食べる人もいるので念のためだ。


女性は固まったままだ。

何に戸惑っているのかもわからない。

食べ方見本として先にいただきますして食べてみせると、彼女は驚きの方法をとった。

箸を見よう見まねで持ったが、動かし方がわからないらしく、諦めて浮かせて操った。

いや、魔法ってどんだけ万能なのよ。

そのまま口に運ぶと目を見開いた。


「おいしい!」


カップ麺では見ることないレベルで驚いたようだ。

そして私は確信した。この世界の食糧はまずいのだと。

つまり、私は生きるために食糧確保をしなければならないが、まずいものでも食べないといけないということになる。

人がいたけど死ぬ恐怖よりまずい食事を我慢しないといけないという事実が結構重い。


無心でむさぼるように食べきって、スープまで飲み干した後彼女は号泣した。

おいしすぎて涙が止まらないらしい。

私は思った。今まで何喰ってそのぜい肉蓄えたんだと


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