75話.LANとスポーツ放送
携帯が繋がった。
回線は魔力が媒介していると仮定している。
だが、それはなかなか信頼性に乏しい。
やはり安定、信頼の高速回線網がほしいと思うのが人というものだろう。
つまり、光ファイバー網を作ろうと思う。
各家庭にはONUを設置してRJ45ジャック(LANケーブルを挿す物)を壁に設置する。
各家庭には地下の光ファイバー網に接続する。
地下には超大型のスパコンと接続して常時接続を可能にしておく。
プログラムをスパコンに侵入させることは不可能としている。
なぜなら、スパコンにインストールができないようにしておくからだ。
無限の容量を持つHDDを独立させ、そのHDDを物理的に外さない限りデータをやり取り等は全くできない。
データはキャッシュのままHDDに蓄積される。
スパコンが行うことは、チャンネル管理だけだ。
どのチャンネルがどのカメラに接続しているのかをただ判断してそのライブカメラの映像データの場所から送るだけのいわゆる交換局のような作業しか行わないからだ。
カメラからのデータはそれぞれのカメラから配線を通して地下に通り、カメラごとのHDDに保存されていく。
ライブで見られなくても、時間指定での再生も可能になるということだ。
HDDはカメラデータ以外の書き込みを拒否して読み込みのみどこからでも行える。
それぞれのデータの場所への誘導はスパコンがする。
スパコンはどのデータが欲しいかを確認してそのデータの住所を教えるだけ。
セキュリティとしては問題なさそうだと思っている。
接続できるのもテレビだけで、PCのLANは役所くらいにしかない。
何がしたいか?
テレビを作り、日時指定やどのチャンネルをライブで見たりなどを自由にできるようにしたい。
どこでもね。
つまり、今住んでる家からでも街のスポーツ大会が見れる。
SAのスタジアムで行われる野球の試合も見られる。
これを考えた理由?
もちろん頼まれたからだけど?
試合を見に行きたいのに役所が。
試合を応援したいのに家具製作が。
何とかならんかと
みんなボランティアで仕事をしているのに、やりたいことが出来ないくらいに仕事が詰まってしまうのも違うと思う。
なので役所も、建築会社もと考え始めたら各家庭もとなるので全部まとめて面倒見ようと思った次第です。
木造建築が増えてきてるので、配線等困ることのないように地下のONUからストレート結線のLANケーブルで引っ張ってもらうために職人の中でも特に器用な人を研修で呼んでLANケーブルの作り方とブーツ(RE45)コネクタの付け方などを説明して練習してもらおう。
何十メートルもあるLANケーブルを何巻きも生成して、何万ものコネクタを作っておけばなんとでもなるだろう。
LANケーブルのかしめ工具やらLANチェッカーを作っておけば問題ないと思うし。
電気系の配線とかも同様に橋田さんに丸投げしてしまおう。
家が増える度に呼ばれるわけにもいかないからね。
そういうわけで橋田さんを訪ねてきたわけだけど。
「すまん。社長は野球の試合に行ってるから代理で俺が聞いてもいい話か?」
と副社長に任命されたという人が対応してくれた。
どうも事務仕事をこなすマッスルマンのようだ。
「俺も行きたいのに今日仕事する代わりに次の試合はフル出場って言われたからな」
はっはっはと豪快に笑っていた。
野球のフル出場ってかなりの体力使うと思うけど、それが嬉しくてしょうがないそうだ。
「ここで手先の器用な人を何人か見繕ってくれませんか?
家の中でも試合を見られる環境を作ろうと思ってますが、その工事を全て私が担当すると無理があるので、そういうのもこちらにお願いできないかと思いまして。」
「おお、手先が器用ならどこからでもどんな試合も見られるようになる?
最高じゃねぇか!」
すごい勢いで食いついてきた。
市内に区画を分けて丁毎に1台、集合住宅の場合はその戸数に応じてマンション内にハブを設置する。
地下に通すパイプは大型の地下空間を作り、マンホールから降りて接続できるようにする。
その計画を図解して説明した。
LANハブは持ちきれないほど大量に生産して渡しますが、ケーブルが作れるようになれば長さも取り回しも自由自在と伝えておく。
「こりゃあ、社長の判断がいるな。
戻ってきたら伝えておくけど、俺じゃあちゃんと伝えられる自信がねぇ。
社長に連絡しておくから中島さんに連絡するように伝えておこう」
「ありがとう。橋田さんに時間が出来てからでいいのでお願いしますね」
そう言って会社を後にした。
次は何だろう?
犬猫関係は今のところ問題なし、学校関係も要望はこなした。
後は、佐伯さん兄妹次第かな?
こっちの自宅に戻って少し休憩しているとスマホがなった。
「はい。中島です。」
「中島さん?橋田です。
今、メールに気づいて慌てて電話したんですけど、お時間大丈夫ですか?」
建築会社の社長橋田さんだった。
軽く口頭で説明するとそんなことまで俺たちができるようになるのか!?
とかなり驚いていたけど
「手先が器用なやつか、難しいな。
筋肉のためって鍛えるとどうも指が太くなるみたいでさ。
そういう専門部署でも立ち上げて細かい造形を手作業で作れるようになりたい人を募集したんだけど、うちのイメージがな?」
マッスルマンに囲まれる不安が応募の二の足を踏むらしい。
「逆になんかいいアイディアはないかな?」
「いっその事、二人三脚で進める協力会社を立ち上げてみたらどうです?
会社の事務を一括で処理して普段は装飾とか作るけど、新築が立つ頃に家の配線を任せるための部署って感じで。
家具製作もできるなら、そのくらいの器用さで大丈夫なので」
「ふぅむ、わかった。何人か見繕って話をしておくよ。
その中で代表者を決めてその社長をさせればいいんだな?」
「会社を分けるっていうのはイメージに対する対策だけなので、社長を兼任してもいいですし、その辺りはおまかせしますよ。」
「考えとくよ。やりたいと思ってくれるかどうかがまずは大事だからな。」
「助かります。こっちに戻ってきてから概要が分かりにくければまた連絡してください。」
人選が済んだらひたすらケーブル作りの練習をしてもらおう。
私は基本的にB結線派なのでその方式で教える予定にしている。
というか、A結線のやり方を覚えていない。
こうした仕事も人間関係や長続きしないで職を転々とした結果なので悪いことばかりではなかったのかもしれないね。
LANケーブル制作練習用キットを大量生産して準備だけしておく。
ハブも大量に生産しておいた。
電力についてはハブの消費電力だからそれほど容量は必要ないと思うけど、ソーラー発電を設置してから地下に配電盤を設置するようにしよう。
そうと決まれば地下空間を街全体の規模で作る必要がある。
しかも、地底人が迷い込んでこないようにかなり強力にコンクリート補強して固めておこう。
地底に空間があれば全て埋めてしまおう。
人が密集して重量が増えると怖いからね。
早速地面を掘って見る。
地底に空間は見当たらない。
天井を高くしすぎる必要はまるでないので、作業者の怪我を防ぐ意味でも4mくらいの高さがあれば十分だ。
天井と地面をコンクリートで作っていく。
魔法をこれだけ使っても魔力が尽きる心配をしなくていいのは、筋肉のように鍛えられているからだろうか?
やはり、魔法や魔力については未知な部分が多すぎるね。
コンクリートで覆われた街の広さを持つ地下空間が完成した。
更にそこから、ハブとLAN工具、LAN作成部品等を大量に生産して収納していく。
地上へのアクセスはマンホールだけど、直接家の地下から家の中に入れられるように目の細かい格子状の枠を付けて、ケーブルを通せるようにしておく。
スマホのナビを頼りに何丁目何番地と住所を付けていく。
既存の家についてはこちらでやっておこう。
マンションには大型のハブを使ってイメージだけで各部屋にLANのコンセントを設置。
忘れてた。
この事を市長に伝えておかないと。
メールでどこからでも試合が見られるようにします。
詳細は後日送りますが、各部屋にコンセントだけ設置したので周知をお願いします。
これでよし。
と、着信?
電話に出ると市長だった。
「頼むから事後承諾だけはやめてよ~」
泣きそうな声だった。苦労してるんだね。
気をつけますとだけ言っておく。
絶対思いつきでまたやるよね。本当に頼むよとクドクド言われるけど、
何でだろう?市長に言われてもあまり嫌な気分になれないんだよね。
テレビについてはどうしようか?
24,27,32、37、45,50インチを揃えておこう。
家の使い方や家族の多さによって需要は変わるだろうからね。
市役所にだけは100インチを数台揃えておこう。
設置が大変だろうけど、市長がなんとかするだろう。
市役所にも多数のコネクタを設置しておいた。
流石にマンホールを通れないから地上で作るけど。
こういう事をすると実験ではないけど試したくなるのが人ってものです。
新商品の家電を買ったときのようにワクワクしながら45インチテレビを生成して早速LANケーブルをコネクタに挿した。
反応なし。当然だ。カメラが設置されていない。
そっちが先だったね。
それからバイクに乗ってカメラを設置して回る。
スタジアムについてだけは遠いので、帰りにしようと思ったけど、せっかくだから戦艦の降りられる発着場を作ろうと思い立ち、そのままバイクで高速道路を疾走した。
広大な場所をスタジアムの近くに整備して発着場を作った。
スタジアムの駐車場は結構車が停まっていて、大型バスまで来ていたので何かしら大事な試合を今やっているのかもしれない。
スタジアムに入ると場所を考えてカメラを設置していく。
配線はイメージだけで地下に逃して、そこからパイプで街まで繋ぐ。
後でスパコンのカメラ用のコネクタにそれぞれわかりやすく番号を振って接続していく予定だ。
早速地下のスパコン室に戻ると疲れも感じないまま接続していく。
イメージ通りに魔法は発動してそれぞれのケーブルがスパコン室にたどり着いていた。
それをスタジアム1~10、体育館1~10、卓球場1~5と割り振って接続していく。
そこまで終わるとこっちの自宅に戻ってテレビを付けた。
想定通りチャンネル切り替えでカメラが移り変わっていく。
この瞬間が感動なんだよね。
チャンネルは二桁になっていて、01から始まっている。
つまりスタジアムのバックネット裏が01といった感じで同じ試合をいろんな視点から観戦できる。
ここの人達は応援や試合の臨場感も楽しみたいだろうから時間に余裕がある人はわざわざ遠出して観戦するだろうけどね。
さっきスタジアムの駐車場を見てそれを確信している。
さて、私はテレビに若干の不満を持っている。
リモコン一発で切り替わらないことが非常に不満です。
しかし、リモコンに100までボタンをつけるつもりはない。
悩ましい問題だと思う。
リモコンも今の時代色んなボタンがついているけど、昭和のテレビなんて12までのボタンと音量、電源くらいしかないんだよ?
しかも、チャンネル変更はボタン一発。
それが2と3を続けて押すことで23チャンネルというのは微妙に不便。
しかも、そういう設定をイメージしたために音声入力でも2度赤外線送信がなければチャンネル変更が出来ない。
微妙だ。
同時押し?
それもな~とか色々考えているうちに朝陽と裕太が寄ってきた。
散歩の時間だ。
子犬も尻尾を振って待っているので、この課題は明日に持ち越しかな。
スパコンから本来の向こうの自宅にもラインを引いている。
向こうの家でも考えられるから明日解決しなくてもいいかなと思いながら散歩にでかけた。
夕方の公園を楽しげに歩く朝陽と裕太とはしゃぎまわってあっちこっち走り回る子犬。
って、子犬の名前と佐伯奏美さん(佐伯さんの妹)の子犬生成も忘れている。
それも含めてまた明日~。




