64話.人工衛星と地図
なりゆきで、また先生をすることになったが、私にはやりたいことがあるので、当面は小垣さんと山北さんに任せようと思う。
何だかんだ頼ってしまってるな。
とりあえず教科書をまた生成してから渡しておいた。
だが、今日の目的はそんなものではない。
ロケットには爆発のイメージが付きまといそうなのでUFOをイメージした。
魔力がある限り自在に飛び回ることのできる前後左右のない形状
そして、もう一つの理由の方が私には重要だった。
人間には最も強い感情として生存本能があるだろう。
その本能に従い人間は知能や経験を蓄積してきたが、大昔の人間の視力はこの生存本能のお陰でとんでもないものだったことがわかっている。
現代の視力検査で1.0とかいう基準で言うなら10を超えていたのかな?
それは、肉食動物を先に見つけなければ死ぬという状況に対し、生存本能が刺激された結果の必然だ。
ウィッキーさんやサンコンさんといった、昔のテレビのスターが視力5.0を超えていたというのは有名な話だ。
日本で暮らすうちに日本の人並みまで落ちたそうだが。
何がいいたいかと言うと、この世界で肉眼で星までハッキリ見える系の人がいないとは言えないので、星に偽装しようということです。
ナスカの地上絵には電子顕微鏡でないと見えなかった蜘蛛の生殖器が描かれていることからも油断はできない。
地下格納庫に降りるとUFO型のイメージを考えていく。
星全体をスキャンできる制度の高いカメラ。
気象の記録、地図の生成。
GPS機能の搭載。
常に地図をナビに配信すると同時に自車位置を常に測定し、表示する。
ランドマークを表示するのでSAやスタジアムも表示する。
雲の動きや降水量も観測する事ができる。
気象衛星にGPS機能を搭載すればこうなるだろうを再現する。
ふと、宇宙空間に魔力がなかったらと考えて、ただのゴミにするつもりはない私は、大気圏を突破できるドローンをイメージして飛ばしてみた。
ドローンは大気圏を突破した後文字祭に動かすことが出来た。
電波じゃ届かんだろ?と思った瞬間接続が切れた。
これがイメージか。
固定概念を捨てないといけない。
どこまでも行っても通信は途切れない。
ドローンはそういう物。と思うと繋がった。
どこかで、少しでもおかしなことを考えると危険なので、安全安心の戦艦で宇宙に上がる。
初めて身近に宇宙を感じて思うことは、ゲームの中みたいだなということだった。
無重力になるわけでもないし、光も届いている状況で戦艦内は明るさが保たれている。
証明をつけなくても見える程度に明るい。
それなのに、星以外に視界を向けるとただ真っ黒で見えるものは光る遥か遠くの星だけだった。
戦艦の中にはロボット用に作った格納庫も作っているので、その中、つまり宇宙で作業を開始した。
魔力は問題なく使うことが出来、仮に巨大な隕石や星との衝突でも、衝突コースと分かれば迎撃することも可能だろう。
と思ってからハッとした。
この星に衛星がないので、もう作ってしまえばいいのでは?と
そこに迎撃システムを作って星を守れば宇宙の脅威に対応することが可能になる。
それも、いずれの話にしてからサクッと頭から追い出す。
気象衛星兼GPS衛星のカメラは広角レンズで放射状に広がる視界だが、距離があるので星の端から端まで1画面に収めることができる。反対側を回る衛星と上下にも。
精度を考えて各2台ずつセットで作っていく。
背面には移動物を感知するとアラートが私のスマホに届くようにイメージする。
一度作ってしまえば後は同じものを作るだけなので簡単に終わる。
自動で位置を調整して間隔を開けて自転に合わせて飛び続けてくれるだろう。
起動させると、それぞれの位置まで移動して活動を開始した。
これで、あとは地上に戻って動作確認するだけだ。
戦艦を地上に降ろす事にした。
上下の動きはそこまでスピードが出るように考えていなかったせいで、宇宙に出た時同様にだいぶ時間がかかった。
宇宙を見たくなればいつでも行くことができるのだから、今じっくり見ておこうとは思わなかった。
無事に地下格納庫まで着地すると、タラップを降りるのだが、流石にイメージしていなかったせいか、外に出ようと思った瞬間のムワッと暑い猛暑日のような気温にクラっとした。
摩擦熱で高音になった戦艦の表面が燃えているように熱いので、出ることが出来ない。
少しでも熱い部分に触れれば火傷ですまないだろう。
これは参った。
軽々しく宇宙と行き来できるな~とか考えられなくなってしまった。
GPSの効果はスマホでも確認できるし、戦艦の中でできることをしておこう。
スマホのマップアプリを開くと
おお!これはすごい。
きちんと地上の地図と現在地の補足を行ってくれている。
さすがに、自分の位置は点ではなく円になっていた。
地下であり、更には戦艦の中という特殊な環境であるにも関わらず補足できているのは十分すぎる性能だと思う。
十分満足した私はマップを見ていく。
驚いたことに川はあれど海はなかった。
やはり地底湖のような物に流れているのだろう。
だからなのか、この世界では雨が極端に少ない。
車で確認したいけど戦艦から降りられず、山北さんにメールを打った。
車のナビを使えるようにしたけど、諸事情により今日は帰れないので、朝陽と裕太をお願いしますと。
メールを打って安心した途端眠気に襲われて艦の部屋に行って眠ることにした。
ナビが動くかどうかは明日確認しよう。
あ~そういえば、戦艦にもナビを取り付けられるようにしないとな~
思いついたやりたいことはいくらでも増えていく。
それなのに自分の体が一つしかないことがもどかしかった。




