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絶対のんびり至上主義  作者: sakura
逃亡編
63/86

63話.社長夫妻の訪問

本当に驚きましたわ。

あれはいつものように東屋で3人と3匹でお茶会をしていた時でしたわ。

空を大きな箱が飛んでいきましたの。


あれは何でしょう?とお二人に質問したら

中島さんでしょ。

と端的に返されましたわ。

信じられません。

あれほど大きなものが空を飛んでいるなんて。

おとぎ話ですわ。


それから気を取り直してモモちゃん達と遊び、本日のデザートのフルーツポンチというものを頂いているときでしたわ。

大型の箱が空を飛んで戻ってまいりましたの。

お二人共気にしないでいいよだなんてびっくりしましたわ。

あんな事が当たり前のことのように認識しておりますの?

車が走れば箱が飛ぶこともあるでしょってそんなわけないじゃありませんか。

わたくしはモモちゃんを抱えて東屋で震えておりましたわ。


そこへ、


「やぁ、久しぶりだね。」


気楽に片手を上げて挨拶する男性と頭を下げた女性が現れました。

わたくしは状況についていくことが出来ませんでしたわ。


「社長、お久しぶりです」


お二人は知り合いのようで紹介していただきました。

社長さんと奥様ということで皆さんは近況報告をしてましたわ。

わたくしは何だか疎外感を感じながらモモちゃんを抱きしめておりました。


やはり先程の大きな箱は中島さんの作ったものでした。

全く、本当に信じられないお方ですわ。

空を飛ぶ道具を作ってしまわれるだなんて。


それからわたくし達は愛犬自慢を交えたわんちゃんの可愛さを語り合いました。

社長さんは2匹も飼っていらっしゃるそうです。

いいえ、私はモモちゃん一筋ですもの、羨ましくはございませんわ。

そうではなくて、お家の中で遊ばせられるのが良いなと思っただけですわ。

モモちゃんにはわたくしがおりますけれど、いうなればお母さんと遊んでるようなものでしょう。

同年代のお友達とお家の中で遊んだことはありませんもの。

不憫ではないかしら。

そんな風に思って腕の中のモモちゃんを見るとぐっすり熟睡しておりました。

ああ~可愛いですわ~。

わたくしがもし、結婚する時にはウェディングドレスを着て、モモちゃん用のウェディングドレスを着せて、そして、モモちゃんもわたくしも愛していただける旦那様とあの教会で結婚式を上げるのですわ。

モモちゃんにも絶対に参加していただきませんと。


結婚・・・、結婚ですか。

モモちゃんも愛してくれる方でないと駄目ですわ。

どこかにいらっしゃるでしょうか。

わたくしとモモちゃんと家族になっていただける優しい方は。

例えば中島さんが愛犬を見るようにわたくしもモモちゃんも

と、そう考えたところで中島さんの顔を思い出して恥ずかしくなりましたの。

モモちゃんをそっと抱え直してお話に参加しました。


中島さんのこれまでの破天荒な制作物を聞くだけでお腹いっぱいですわ。

社長さんはわたくしの身内と同じ社長でありながら気さくで話しやすいお人でしたわ。

奥様も奥ゆかしさはありつつもウェディングドレス姿で社長さんと結婚した時の画像を出してさぁ、褒めてくださいましとでもおっしゃりたいのか、嬉しそうに見せてくださいました。

少しお茶目で可愛らしい方ですのね。


わたくしはあの美しいドレスを着てみたい。

ですが、そのためには将来の伴侶を決めなければならないだなんて少し億劫にも感じてしまいますわ。

ずっと一人の男性とともに歩む覚悟、なんてできるはずありませんもの。

わたくしにはモモちゃんがいてくれます。

それでいいのかもしれません。

本当に着たくなるなら、自分で作ってしまえばいいのですわ。

何でも自分の想像で作ってしまわれる中島さんのように。


そのためにはもう少し運動を続けなければなりませんわね。

あのドレスが似合うようになるためにも、モモちゃんと散歩を楽しむためにも

一石二鳥ですわ~。


雑談の中で社長夫妻は

こっちではバスケはしてないのかい?

と突然思い出したように質問をしてきました。

バスケ。これはすごいスポーツでした。

大勢が夢中でボールを奪い合い、高い位置のゴールを目指す。

技術にスピード、体力と多くのスキルを要求されますの。

こちらでは人数が少なすぎて現実的ではありませんわね。


「最近になってバスケのルールを変更した遊びが流行ってきてるんだよね。」


ん?何のお話でしょうか?


「運動時間に役所の留守役とかが、時間をずらして運動時間を取るんだけどね。

人数が揃わないからって、1対1とか2対2でバスケをするんだけど、

残念ながら走る距離が長すぎてハーフコートを使うことになったんだ。

しんどすぎて大変だからね」


「あなた、走ってる時間が楽しめないからってルールを変更したのは貴方ではなかったですか?」


「あ~いや、まぁそうだけど」


「走ってへばってるだけのつまらんスポーツだなんて言い出して、いい話みたいに言うのはいけないと思いますよ。」


「わかった。気をつけるよ。

でも、実際無駄に走る時間が長すぎたんだよ。

だから、点を取るかボールを奪ったら攻守逆転するって遊びになったんだよ」


それはいいお考えですわね。


「後は、シュートをフリースローラインから10本打ち合って成功率が高いほうが勝ちのゲームとかね。」


「私も簡単そうだと思ってやってみたんですよ。

それが実際は10回も飛ぶと、膝と太ももに負荷がかかってきて結構な運動をしたようになるのよね」


「ボールもそこまで軽くないからね。それなりに飛ばさないといけないから、僕たちみたいに本気でバスケに打ち込んでる人以外はなかなか筋肉に効くんじゃないかな?」


「少しやってみませんか?」


奥様のお言葉で全員で外に出て簡単なコートとゴールを魔法で生成してしまいました。

流石に慣れてまいりましたが、ここまで気軽に遊ぶために魔法を使うなんて今までの常識で考えればありえないことですの。

それでも、ここでは遊びに全力ですもの。

生き生きとして遊びに魔法を使います。

わたくしもお手伝いしたくなってしまい、お恥ずかしながら拙い技術で天井と柱だけ作らせていただきましたわ。

以前でしたら倒れるほどの規模でしたのに、今ではほとんど魔力を使用した気がいたしません。

本当にここの生活はわたくしの全てを成長させてくれますのね。


社長夫妻のおっしゃるルールで4人で遊んでおりましたけれど、わたくしにはついていけそうになかったので10本ゴール対決だけ参加いたしました。

終わってから太ももがプルプルしておりましたが、とっても楽しく遊ばせていただきましたわ。


「どうだい?なかなか面白かっただろ?」


「あなた…結局自慢したかっただけじゃありませんか」


このご夫婦は微笑ましいくらいに楽しそうですわね。

旦那様ですか。あまりにも年上の方が苦手な私にとってこの光景はうらやましさも感じますわね。

中島さんでも10歳以上年上ということですけれど、わたくしが苦手なはずの年上に中島さんは入っておりませんわ。

なぜなのでしょうか?

きっと良い匂いがして傲慢で横暴ではないからですわね。

結局わたくしはおとうさまが苦手だったのでしょう。

今となってはどうでもいいことですわね。


もうお父様やお母さまを気にする生活に戻るだなんて考えられませんもの。


今度少しモモちゃんと一緒に空を飛ばせていただけないか相談してみましょう。

そんな風に気楽に考えていたのです。


「お? やっと起きたね。中島君」


「横になるだけのつもりだったんだけど、本当に寝ちゃってました。

そろそろ帰りますか?」


「そうだね。帰らないとうちのわんこたちの散歩と餌が待ってるからね。」


「では、もう1往復しましょう。

小垣さんたちもよければどうぞ。」


そんな会話の後、わたくし達は愛犬もつれてみんなで空を飛ぶことになりました。

少しずつ上昇する時の浮遊感とスピードを出し始めた時の進行方向の逆に引っ張られる間隔は少し怖くて、モモちゃんを抱きしめておりましたけれど、みなさんは喜んでいましたわね。

中島さんに慣れるとこういう恐怖心より、中島さんが作ったものなら大丈夫という信頼が見えた気がいたしました。

決してわたくしも落ちるとか思っていたわけではございませんわ。

慣れない感覚に戸惑ったというか、知らないものに恐怖した感じに近いですわね。


あっという間に街が見えてきて戦艦というものを下していき、地面についた時には日が暮れ始めておりました。

暗くなってきたし、一泊してから帰りなよ。

とのお言葉に甘えてみんなで街に行こうと思いましたが、中島さんは戦艦で散歩もトイレも餌も十分だからと降りませんでした。

何かあるのでしょうか?

わたくしにはわかりませんけれど社長さんたちが苦笑していたのであるのでしょうね。


わたくしもお部屋がたくさんありましたので残ることにいたしました。

街を見たい、モモちゃんと一緒に歩きたいという気持ちはありましたけれど、暗くなってきた街を歩くより、朝の散歩でモモちゃんとの散歩を楽しみたいですわ。

それに、モモちゃんは中島さんのワンちゃんのそばで眠っておりますし。

ちょっと嫉妬してしまいますわね。


わんこルームというワンちゃん用の特別室はうちのモモちゃんも気に入ったようで、朝陽ちゃんや雄太君とはしゃいで駆け回っておりました。

わたくしはいくらでも部屋はあるから自由に使ってねと言われて、中島さんの入った部屋の隣を選びました。

何かあっても中島さんがそばにいると大丈夫な気がいたしますの。不思議ですわね。

男性は女性を害する存在という意識が強かったわたくしが、近くの部屋を選ぶだなんて。


明日は朝早くからモモちゃんと散歩に行って色々見て回りましょう。

わたくしは今日は早めに就寝することにしてベッドに入りました。

知らない場所で眠ることに慣れない気持ちはありますが、なんとなく中島さんが近くにいると思うと瞼が落ちました。

今日はいい夢が見れそうですわ。


翌朝、まだぼんやりしてそうなモモちゃんを連れて散歩に出かけて驚きましたわ。

まだ早い時間だと思いますのに、多くの方々がワンちゃんと散歩しておりましたの。

モモちゃんの尻尾はもう止まりませんわ。

お互いのお尻をかぎあったりして仲良くなっているのでしょうか?

それにしても、ここはすごいですわね。

皆様とても美しくて、スマートで。

公園まで足を延ばすと走り回る愛犬に必死についていく飼い主という一風変わった散歩風景を見ることになりましたわ。

歩いているときはおとなしくついていくのに、広場になると走ってもいいと決まりでもあるのでしょうか。


あまり長時間のお散歩をした事がないので、その光景を目に焼き付けてからモモちゃんを抱え上げて戦艦の元へ向かいました。

道中ではウェディングドレス姿の女性が、男性に手を引かれておりました。

手を引かれているというよりも腕を組んで引っ張ってもらっているという感じでしょうか。

幸せそうに笑いあっている光景もいいものですわね。

あら?

モモちゃんがクンクンしてるのは気づいておりましたけれどいい匂いですわね。

こちらは・・・少し行ってみましょうか。

役所の前の家から行列が始まっておりました。

これは何でしょうか?

知らない人に聞くのも勇気がいるので少し近くで待っておりましたが、待てど暮らせど列は減りません。

減っては増え減っては増えと皆様順番を守ってじっと待っておりました。

子供?

窓から見えた先では数人の子供が忙しそうに動き回っておりました。

なるほど。

ここでご飯を食べているのですね。

魔法で作ったお食事でもおいしいですが、いつも同じ味になってしまいますものね。

たまに味を変えてみようとしても、一度イメージしてしまうとそのイメージを崩しておいしさを損なってしまっては意味がないのでそんな勇気はなかなか出ませんもの。


一度食べてみたいと思ってしまうほどおいしそうなにおいが広がっておりました。

後ろ髪を引かれておりましたが、わたくしはその場を後にして戦艦に向かって歩き出しました。

今度モモちゃんがおいしく感じる栄養価の高い餌をイメージしてみましょうか。

できるでしょうか?

中島さんに相談ですね。


考えているといつもより早足に戦艦に向かっていることに気づき、歩みをゆっくりとしたものに意識して戻しました。

運動の時ならいざ知らず、ドタドタと歩くのは美しくありません。

以前の慣習が抜けきらないことに辟易しながらこれはこれで大事な文化と思い直しました。

体型で差がなく、顔も輪郭くらいしか美醜の差がなかった頃は所作の美しさが重要で、会社の為の縁談をまとめようとお母様に仕込まれておりました。

わたくしは美しい所作を意識するのはいつ以来でしょうか。

こういった所作をする必要などもうありませんのに。


戦艦に戻るとわたくしが一番最後になってしまいましたわ。

ゆっくりと高度を上げていく戦艦。

席に着いた人が一人増えていた。


遠藤 勝さんとおっしゃる若い男性でした。

遠藤さんは運動だけで仕事がないのが辛いそうで中島さんから教師になる為に教えを乞うたということでしたわ。

中島さんからは小垣さんと山北さんに教わったほうがいいと思うよと言われてもどうしても中島さんから教わりたいと頭を下げ続けたそうだ。

中島さんは断り切れなくなって教えることを決めたと言っておられましたが、少しうれしそうでした。

教えるのが好きなのか、煽てられて嬉しかったのかはわかりませんけれど、満足そうでした。


遠藤さんの家を建てるのは遠藤さん本人が断りましたの。

自分で作りたいそうです。

わたくし達の家が見えてきてゆっくり降下してましたが、中島さんがスイッチを押すと地面が割れていきましたの。

そこからゆっくり下降していき、わたくし達は地下に潜りました。


全員が戦艦から降りると中島さんが先導して地価の巨大な施設を歩いていきます。

人型の大型の何というのでしょう?人形?を横目にエレベーターを起動させました。

扉が開いて全員が狭い箱に入ると中島さんがスイッチを押し込みました。


「ここには私がいなければ入れませんよ」


そういって釘を刺しました。

ここは危険なのでしょうね。


地上に出たわたくし達はようやく帰ってきたような気持ちでそれぞれの家に入っていきました。

わたくしはモモちゃんを裏庭で遊ばせて東屋へ向かうと、結局お二人も東屋へ合流してきました。

わたくし達はこの東屋が好きなのですね。

わたくし達は日常に戻ってきてお茶を口に含むと飲み込むとほっと一息ついて

そのタイミングがあまりにも同時だったので吹き出してしまいましたわ。

こんな楽しい日々がいつまでも続いてくれればどんなにいいことでしょうね。


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