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絶対のんびり至上主義  作者: sakura
逃亡編
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41話.森を抜けよう

燃え尽き症候群

苦労して何事かを成すと急速に気力を失って何もしたくなくなってしまうことをこのように称する。

私は昔からこういう事が多かった。

正直期待やそういったもので必要以上に頑張ってしまい全てを投げ出してしまう。

それは今思えば、やっても結局父に殴られた経験から何をどれほど努力しても評価なんてされないし、ハードルが上がり耐えきれなくなることを知っている為に、自己防衛でそうなるのではないかと思うことがある。

私は朝陽や裕太が安心して信用してくれるように人の居ない場所を探してさまようことを決めた。

どうせ魔法の世の中で現代日本のように仕事で移住するなんてことはないだろうし広大な世界で未開地なんてものも数多く存在するだろう。

社長以下皆さんはそれぞれで楽しんでもらえばいいと思う。

私は船や飛行機の技術を伝えていないので海の向こうにでも行けば誰も追いついてこれないだろう。

海上都市や海中都市、やろうと思えば地中でも天空の城でも魔法で実現できそうだ。

そこで朝陽と裕太とともにただただのんびり食っちゃ寝生活を満喫しようと思う。

朝陽と裕太の餌なんかも家においてきたので必要なら餌をキロ単位で出して準備すればいいし、移動だって今ここでトラックベースでも大型バスベースでもいいからキャンピングカー仕様にして出せばいい。

彼らの元いた地は南だったので北の森林を抜けようと暗くなりだした森を歩く。


「ご主人、今日はどこに行くの?」


「ご主人、家はこっちじゃないよ」


段々私がいつもと違うことに気づいてきたらしい朝陽と裕太がそういう。

私は


「誰も居ない所で私と朝陽と裕太で暮らさない?

私があそこにいても朝陽と裕太と遊べる時間も少ないからね」


「そっか~。うん、わかった~」

「新しいところ楽しみ~」


そうは言いながらも朝陽と裕太の表情は暗く、何度か来た道を振り返っていた。

森の中で即席のツリーハウスなども考えたが、興が乗らなかった。

近場過ぎて皆に方角がバレる可能性もあるからね。

やるなら徹底的に逃げよう。


現代日本の社会構造はメンタルの強弱を見る為と苦難を会社が与えたり圧迫面接があったりする。

これは逃げ出す事の多い人を選別しているので理にかなっていると思う。

私のような人間をふるい落とすことができるのだから。

そうしてふるい落とされた人々は就職先の選択肢が極細の糸のようなものでしかなく

ブラック企業で使い潰されるのが関の山だ。

それでも、ある意味ブラック企業は受け皿として有能かもしれないね。

少なくとも収入は得られるのだから。

社会の最底辺は態度がでかいか声がでかいか力が強いかで権力が形成されている。

そしてまた病んでいくわけだ。

よく出来たマイナススパイラスで絡め取られれば最後、這い上がることは不可能だろう。

結婚は人生の墓場?

それは勝者の奢りだ。

結婚すら許されない最底辺は生きるために支払う金で収入は残らないのにふざけたことを言うな、と。


私は誰にも邪魔をされず存分に朝陽と裕太とともに責任も何もない土地で一からやり直す。

いや、やり直すは不適切だな。

0から始める。

だから私は北に向かう。


生き物の生態は単純明快。

食えれば生きられ食えなければ死ぬ。

虫も動物も居ないこの世界で食虫植物なんて存在できない。

毒を持つ樹の実も子孫繁栄の原理に従うなら意味を成さないのだから問題はないだろう。

拾い食いをする気もサラサラ無いわけだが。

歩けど歩けど森の中


さすがに朝陽も裕太も飽きが見えるので仕方なく魔法でドローンを生成した。

ノートPCを生成する。

リモコンについている液晶では見にくいので後で接続して大きめ画面で確認する作戦だ。

木々の隙間から空に上げていく。

葉っぱの雲を抜けた先には森の先が見えた。

意外とリモコンで十分見えたな。

木々が少なくなっていて出口が見えるようなことはなく

突然森が無くなっている感じだった。

何があってこんなハッキリと森と草原に分かれるんだろうね。


「朝陽、裕太、もう少しで森を抜けるよ。」


「やったー」

「おんなじとこばっかりだったね~」


二人の足取りが軽くなる。

森を抜けるとまた南側のような草原が広がっている。

そこを目指して私も早歩きになった。

消費したかどうかも分からない程度にしか減っていない魔力なので森を抜けたら私は早速キャンピングバスを出した。

ワンコたちを乗せて少し走ったあと就寝。

ここから障害物がない限りこれで移動する。

海があればいいな~

キャンピングバスはキッチンもトイレも風呂も完備している。

大型発電機を積んでいるので電気も普通に使えるしベッドは引き出したりしなくても出ているズボラ仕様だ。

朝陽と裕太は絨毯仕様の床を気持ちいいと言い出しそこで寝るようだ。

トイレは朝陽と裕太用には作れなかったので外に自由にしてもらうので久しぶりにトイレのための散歩を朝夕の二回必ず行くことになる。

全く歩くことのなかった私にとっての大冒険だが、明日は筋肉痛確定な気がします。

今日のトイレは森の中でしっかりしているので寝てもいいが、さすがにお風呂には入りたい。

お風呂を沸かして減った分のタンクの水を補給する。

お風呂でさっぱりした後は朝陽と裕太のお風呂タイムになる。

二人共人間用のサイズでも問題なく入るので勝手に入って勝手に上がって勝手に自分の魔法で乾かすので何の心配もない。

何ていうか自分の子供が一歩大人になった瞬間を見ている気分だろうか?

わがままも言わない(たまに散歩に飽きて歩かなくなるけど)いい子なのだ。

まぁ、とりあえず、今日のところはしっかり寝てしまおう。

明日もキャンピングバスで移動なので睡眠はしっかり取らないと危険だ。

舗装された道路でないので変な大穴に片輪落とすとか危険だらけだからね。

大型バスベースなのでタイヤサイズで何とでもなりそうだけど安全第一。

朝陽、裕太、おやすみ


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