38話.保健体育と音楽
本日の体育
バレーボールとサッカーの説明
シンプルかつ人気の出そうなもので選んだ。
野球はルールが複雑すぎて教えられる気がしない。
サッカーより野球は何だけどな~
最高はバスケだけど。
保健は傷病の基本と手当の仕方
人工呼吸等緊急時応急処置も教える。
この世界には医師がいない。
ウイルスならウイルスを除去する魔法を作ればいい。
遺伝的なものなら正常なものと交換できるイメージで魔法を使えばいい。
そういう理屈も教えていく。
音楽はありきたりだがリコーダー
欲しいと言われればドラムセットだろうとパイプオルガンだろうと可能だ。
音符等の見方の説明と歌少々かな?
何はともあれまずは散歩だ。
今日は真壁さん夫婦(予定)がリードを持ちたいと持っている。
散歩にかこつけたデートか?
朝陽と裕太は明確にがっかりした様子だったが歩きだすといつもはぴったり横について歩くのに二人を引っ張っていた。
わかるよ。反抗してるんだろ?
犬の世界ではリードを引っ張るのは舐めてる証拠という話だけど、横を歩くのはハッキリ言って犬側は面倒だと思う。
きちんとしつけた犬の散歩してる人はわかると思うけど、チラチラ顔を見て歩幅合わせるんだよ。ちょっと可愛そうだよね。
でも、そこをしっかり出来ないと興味が向いてすぐ走り出して車に轢かれるなんて事もあるかもしれないから仕方ない。
人間を自分より下に見て噛み癖がついても良くないからね。
この世界ではどうなんだろう?こっちに来てから歩幅合わせるようにリードを引っ張ったことはないけど習慣付いてるのか朝陽も裕太もほぼ私に歩幅を合わせてくれる。
だから、こんな様子は初めて見た。
相性問題か?
いちゃついてて見てくれないことにご立腹って感じもするから保留にしよう。
帰ったらこっそり聞いてみるか。
散歩から戻るとすっかり忘れて授業のことで頭がいっぱいだった。
朝食はシリアルにした。
もう少しこの生活に皆が慣れたら乳牛を育てたいなと思う。
牛乳は栄養価も高く、すぐに飲み切る程度なら殺菌も問題ないだろう。
低温殺菌で殺菌したとしても賞味期限とかどう決めてるかわからんからな。
品質管理は難しいので乳製品を作るとしても早めに使い切れるように仕組みを作っておかないとね。
身もふたもない事を言うと口にするなら魔法で解毒できるから問題にはならないし、菌が存在しているのかも不明なので必要なさそうではあるが、この世界で発酵製品が作れるかどうかを検証すればそこもはっきりするだろう。
朝食を終えると縁側のワンコベッドで朝陽と裕太がのんびりしていた。
寂しいのかな?
わんこが鎮座する横で勉強が始まる。
まずは体育
教える側の理解が深くないと教える時に噛み砕いて教えられないからどういうものかをルール説明の後土間に降りて適当にネットを貼る。
バレーボールの重さやネットの高さがどうとかの知識は必要ない。
しっかりルールを把握した上で、ルールに則って健康に遊ぶサポートが仕事です。
説明をはさみつつ実際にやってみましょうと手の組み方、腕の伸ばし方などを説明していく。
自陣にボールを落とさないようにしてください。
そういって不意にボールをネット越しにトスした。
落とさないように全員がダッシュで駆け寄った。
おっと危ないと急ブレーキで全員がお見合い。
プロ野球でも偶に見る現象が発生していた。
声を掛け合うとか工夫をしながら進めていく。
アタックまで持っていけないのでなんというか平和だ。
そこからアタックの練習後にそういう事かとやはり真壁さんの動きが良くなり声掛けが増えていく。
ある程度動きの確認をした所で終了した。
ただ、非常に残念なことが一つあった。
脂肪の揺れが爽やかさを一気に失わせるな。
ちなみに女性陣の方が動きが良かったことを補足しておく。
息が上がっているのを整えたら次はサッカーのルール説明をする。
ルールブックなんて見たこと無いから超細かいルールは知らん。
基本だけ分かればいいって精神で家の中でキーパーだけが手を使えるとか
肩から先でボールに触れないとかそういうことだね。
ゴールにボールを入れたら1点と説明するとバスケのルールを知ってる小垣さんたちは1点だけ?と不思議そうにした。
いや、卓球もそうでしょと思うがそういうものだと納得してもらう。
2点のエリアはどこからですか?とかそういうことじゃないからと笑う。
説明だけでは難しいのでまた土間に降りて小さいゴールを生成し
パスとシュート練習を軽くした後私をキーパーにシュートを撃ってもらった。
PKってやつだね。
私は容赦なく全てのシュートを弾き返した。
がっくりした全員にシュートのコツを教えようとキーパー無しで私はシュートを撃つ。
つま先で蹴ると怪我をするから必ず足の甲で蹴るように指導しつつボールの半歩先に左足を置いて足を振り抜く。
さっきまでの自分達のシュートの速さを見ていた全員が目を見開いた。
体の動き、足の置き方、走り込み方などをゆっくり細かく説明していく。
私はそこまでサッカーをしてきたわけではないので、慣れていないシュートで足が痛いのをお首にも出さず話し切ると、シュートの精度が上がって全員のシュート力が上がった。
ポテンシュートもあるし、明後日の方向に飛ぶものもあったがそういうものです。
それでも、反射神経には自身のある私は全て防ぎきった。
インサイドキック等の回転のかけ方なども説明した。
一人で遊ぶ時のリフティングなどで息抜きをはさみつつお昼前に体育の解説を終えた。
もちろんお昼ごはんも全員で作った。
天ぷらを全員で揚げた。
塩と天つゆは好みが分かれたが、概ね成功した。
お昼ごはん中に教師陣の一人の藤原さんがサッカーボールをくれないかというので、練習で使ったボールはそれぞれプレゼントした。
ボールと友だちになるつもりか!?とか思ったのは内緒だ。
昼食時に体育はバスケやサッカーとか教えてもらったもの以外にもありますか?と聞かれて多すぎてわからないと答えておいた。
テニスやスカッシュみたいに亜種か?と思うようなものからセパタクローまでどういう競技か知っていても全てを網羅している人はいないのではないだろうか?
午後からは保健と音楽
保健では手当の仕方や意識、呼吸の確認。
救急箱を用意して全員に配り消毒と絆創膏から始めて火事の煙への対処も含めて説明していった。
包帯の巻き方やテーピングまで説明はしたが、そこまで行けば魔法を使えと言っておいた。
科学では苦手な分野がある。そこは魔法をというのは当然だろうと思う。
魔法のイメージを明確に固めるための知識として理解しておいてほしいね。
男女の二次性徴や構造、変声期や精神的な問題、性交についてなどを話していく。
魔法についてだが、毒素を分解消滅させるイメージができれば回復するだろうと思っている。
よく言われることだがテロメア(細胞分裂のコア?)を伸ばしておけば、細胞が古くなった時の入れ替えが無限にできるのではないかと魔法を使い始めると、モラルに反すると思ってそのあたりの話はしない。
この世界ではどうかわからないが、染色体は男性がXY、女性がXXで壊れた染色体はXであれば配偶者のX染色体と置き換えられるが、Y染色体は長い年月で壊れ続けているので男性が消滅する未来が危惧されている。
これも、太古のY染色体に戻すイメージができれば男性の不妊が解消されるかもしれない。
問題は男性ホルモンの増加による暴力性の発現がありそうで怖いことだ。
男はいつまでも幼稚だからな。理性を保てない場面を社会人になってからでも見る機会は少なくないと思う。
ニュースとかね。
だから、私はそれらについては触れないようにして順番に説明していった。
赤ん坊のおむつについてはこの世界では魔法で排除するから必要ないかもしれないが、大量に生成しておいた。
恥ずかしかろうと何であろうと親になるっていうのはそういうことだからしっかり覚えておいてください。
どうやらこの世界では成人頃には太っているので体型の変化はそういうものだと思われていたらしく、胸の差をそこまで明確に理解している人はいなかったらしい。
太り過ぎだよ。
変な空気をを払拭するように木や花の構造でお茶を濁した。
休憩を挟んで音楽の授業になる。
リコーダーの指の押さえ方を教えてから息を吹いてもらう。
指で穴を押さえられていなくて違う音が出るのも愛嬌だろう。
ふるさとが吹けるようになった所で、オーケストラの音楽を聞いたり、JPOPを流したりした。
みんな体が少しずつ動いているのがちょっと面白い。
管弦楽器を用意した学校の音楽室に移動すれば触れるから興味があれば試してみてくださいと付け加えたが、多分音は出ないと思う。
あれって結構難しいからな。
私はできる気がしません。
音楽の教科書は渡してるから本気でやるなら自分で演奏できるように工夫してみてくださいってとこだね。
歌についてはテクニックなんて気にしないで歌うということを覚えてもらうためにふるさとを歌うことになったが、問題なかった。
カラオケ機材でも作ってみるか。
そこからは趣味全開でアニソンだのヘビメタだのロックだのクラシックだのをかけまくった。
最後は君が代で締めるマイプレイリストをスマートスピーカーと接続したスマホで堪能した。
皆思い思いに楽しんだようで何よりだ。
ここから先はこの2日間の繰り返しになる。
とにかく練習あるのみ。
国語を間に挟んで理科と魔法を一緒に行う。
ひたすら続けていくしか無いだろう。
問題が出たらその都度修正していく。
私ののんびり生活までもう少しだけ頑張ることにしよう。
夕飯は餃子を作った。
ご飯を食べてお風呂に入り、朝陽と裕太のお風呂が終われば風呂掃除後就寝だ。
パジャマに着替えてベッドに入った。
薄ぼんやり光る機能は電気が出来た今となっては非常に邪魔だったのでそのうち入れ替えようと思って眠りについた。




