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絶対のんびり至上主義  作者: sakura
地盤固め編
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27話.暴走する人達

車には少ないが、バイクにはガソリンタンクの残量メーターがない物もある。

感覚や重さで給油するわけだが、魔力に関しては重さも何もわからない。

どの程度残っているのかわからないというのはなかなかに恐怖だ。

いつ突然寝てしまうかわかったものではないのである。


といった内容を延々と言い訳してみた。

朝一で散歩よりも優先して多々山家で子犬ちゃん達の世話について説明と言い訳を述べていた。


「言い訳ばっかりしてんじゃないよ!」


と課長に怒鳴られて、謝罪した。

確認したところ餌は意外なことにしっかりどの子も食べたそうだ。

問題はあまりの可愛さに負けて一緒にベッドで寝ていた課長だが、悪臭で夜中に目が冷めて大変だったという。

ベッドは糞尿まみれでさすがに腹は立ったが、おしめもない子供と思えば納得せざるを得なかったと苦々しく言った。

私はベッドを消して再度生成しておいた。

土間で飼うには幼すぎることを考えて子犬用のケージをいくつも出しておいて子犬用のベッドとトイレも準備しておいた。

おそらくトイレは教えないと難しいと思うので吸水シートを生成して見せてどういうイメージでこれを作るのかと、下に敷いておいて粗相をしたら取り替えてあげてくださいと説明を添える。


「さて、さっそくこの子達を連れて散歩に行こうかね」


課長がそういうとじいさんもやる気満々の様子だった。


「いえ、まだ幼すぎて外の刺激は強すぎると思います。もう少し大きくなるまで家の中で家と家族に慣れさせてあげてください。」


「そういうもんかい。なら、孫と一緒にあんた達に付き合おうかね。」


え、ついてくるの?とは思ったが断るのも気が引けた。


「構いませんが、この子達はどうするんですか?」


「当分はみんな一箇所で生活させて、寝るとき以外は一緒に育てようってことになってるのさ。じゃないと全員よくわかってない状況だからね。情報収集みたいなもんさね」


まぁ、いいけど。

おそらく、私の飼い方を見て覚える課長が多々山一族で情報共有してしっかり育てようって意味だろう。

最近は私が散歩に連れて行ってるのか子供たちが連れて行ってるのかわからなくなってるけどね。

私がリードを引っ張ってない事に気づいて浮かれちゃだめだったみたいにしょぼんとする程度にはウッキウキで散歩してるのが足取りで見て取れるから子供たちと会話し出すのもその内って感じかな?

ちょっとさみしい気持ちもあるけど。


そんなこんなで散歩を終えて餌やりをすると縁側まったりタイムで朝陽と裕太を撫でまくってるところまで確認してからそれぞれ家に帰っていった。

裕太はされるがままだが朝陽は撫でてもらいたいところを押し付けてくる。

頭と背中を私の手に押し付けるようにせがむ。

そういえば、名前決めたのかな?

ま、わからないことがあれば相談してくるだろうし、あまりこちらからあれこれ言わなくてもいいだろう。

しつけだけはしっかりしてあげてほしいものだね。

朝ごはんは無性に食べたくなった納豆卵かけご飯になった。


みんなの様子を見て回ろうと歩いて回る。

ランニングマンは相変わらず走ってるし、バスケ組と卓球組も相変わらずだった。

最近は魔法を巧妙に隠してズルをする事も密かにはやってるらしく、どうしても勝てないチームがこっそり瞬間的に魔法を少しだけ発動するというズルを覚え始めたらしい。

気持ちはわからんでもない。

だが、それらの喧騒が霞む状況に頭が痛くなった。

課長一家が運転免許試験場でテクニックを競っており、野次馬が誰が上手いかを判定しているようだ。


「ほっほ、雑なばーさんより、こういうのはわしのほうが得意じゃからな」


そういってS時クランクをスピードを落とさずに駆け抜ける爺さんに対し、


「はん、その程度で生意気言ってんじゃないよ」


と坂道を当然のようにサイド無しで一瞬で半クラからスタートさせてタイムロスをなくすばあさん。


「お義父さんもお義母さんも落ち着いてくださいな」


とお嫁さんたちが宥めていて


今の坂道発進は得点高いだろ?

いやいや、あのS字やクランクでほぼ減速なしはありえないレベルだって

みたいな野次馬評価。


車は危ないものだとわかったけど、事故を起こしても自分しか被害を被らない状況で張り切っちゃったらしい年寄りたち。

もうちょっと年齢を考えて落ち着いてくれませんかねぇ


ルール無用すぎて危ないと感じたのでオーバルコースサーキットを新たに建造して同性能のスポーツカーを二台用意した。

もしかするとモータースポーツまで楽しむ人達が増えるかもしれない危険を感じながらも、しっかりとルールを作るべくスタートからゴールまでのタイムで競う方式を採用した。

オーバルコースは一見何の見どころもなさそうに思われるが、通好みでライン取りを競うれっきとしたスポーツなのです。

何cmかのコース取りでタイムが変わる。

エンジンの回転数に合わせたシフトチェンジにタイヤや路面の状況把握など

知的な部分とテクニックの部分と、Gが体に来るのでタフさも求められる恐ろしく高度で高尚なスポーツがモータースポーツだと思う。

環境は作ってあげるから存分にやってくれという投げやりな気持ちと白熱バトルに期待するモータースポーツのファン目線から勢いで作ってしまった。

試験走行してもらった結果、異常な盛り上がりを見せたので、私もやってみたくてもう一台作ってじいさんばあさんと張り合いたくなかったから一人で走ってみたが、カーブに耐えられる速度調整とシフト判断が上手く行かなくて悔しい思いをした。

小林可夢偉選手が参戦していた時にテレビにかじりついていたものだが、モータースポーツはやるより見るに限る。

はっきり言ってマジで怖かった。

何周か走らせてもらうように時間を取っていたので少しサイドを引いてドリフトを試してみたが、そういうイメージをしていなかったせいかグリップが戻るのが早くてふらついてしまった。

回転数を上げたらもう少しうまくライン取りができたかもしれないが、うまくなりたい欲求よりも恐怖が勝ったので断念した。

事故を起こしても絶対に車内を守るイメージはしているがそれでも怖いものは怖い。

そもそもオーバルコースの緩やかなカーブをドリフトで抜けるのは至難の業だと思う。


どこかの豆腐屋さんは側溝にタイヤを引っ掛けて曲がるらしいが、無理だろ。

ありえないと思った。

結局5周程走ってフラフラになってピットに入り私はリタイヤした。

それでも、観客はスキール音に魅せられたらしい。

身体測定の既定値クリアに燃える人が数人いた。

そこから免許を取得して参戦したいらしい。

免許取得については課長一家に丸投げなので頑張ってください。

結局ラジコンに人気は集まりそうにない。


この流れで行くとバイクレースも考えられそうだ。

WRXとZX-6Rを数台用意しておこうと思う。

車種については完全に私の趣味なので異論は認めない。

構造を見て自分たちで車開発できるようになれば面白そうだしね。

少し触発されてバイクでツーリングに出かけた。

メットを被りライダースーツを着て軽めに走った。

気温が高い時期はタンクが熱を持つし、ハンドルのゴムが溶けそうになることもあるが、この世界で気にする必要はない。

思う存分楽しんで豪邸の前に停めてキッチンに入った。

今日こそ青椒肉絲!

味も満足できるものだった。


午後からはわんこグッズをそれぞれ配ってから体格自慢のランニングマンたちを集めた。

木々を切り倒してから魔法で四角に加工していく。


「俺等何で呼ばれたんだ?筋肉に必要なのか?」

「まぁ、見ておこうや。何か新しく鍛える方法が判明するかもしれねーしな」


どこまでも脳筋だが、まぁ、見ててくれ。

のこぎりやかんなを生み出して黙々と黙って作業していく。

完全にマッチョマンたちは置いてけぼりだが気にしない。

地面を深めに掘って柱を埋めて固める。

加工しておいた場所を移動式の階段を生み出して運んで組み合わせていく。


「さて、私は何をしているでしょう?」


突然質問してみた。


「魔法の練習か?いや、重い柱を持って階段を上がる・・・筋肉増強かっ!?」

「やばいぞ、あれ。相当な負荷がかかってるんじゃないか?」

「待て待て、あんな筋肉では無理だろ。魔法の練習を兼ねてるんだよ」


様々な反応が出るが、基本的にみんな筋肉に絡めた意見になるのが暑苦しい。


「みんなの言ってることは全て正しいです。

私は魔法の練習を兼ねてるので身体強化を使ってます。

で・す・が、魔法を使わなければどうなると思う?

しかも、今やってるのは家を魔法無しで作れるというとてつもない善行です。

あなた達の筋肉をみんなの役に立てられる素晴らしい案だとは思いませんか?」


にやりと笑みがこぼれてそれが全員に伝播していく。


「面白いな。どうすればいいんだ?」


私は地面に木の組み方を描きながら説明していく。

重量物を持ちながら階段を登るのは生半可な事ではない。

だが、これは覿面に効く。筋肉増強に。


やたらハイテンションででかい声で叫びながら嬉々として家を建てていった。


「おーい。もうご飯食べて寝ようよ~さすがに暗くて見えないだろ?」


とっくに日が沈んでいるにも関わらず彼らは普段使わない筋肉をいじめ続けていた。

散歩と夕飯を終えた私は心配になって見に来たらまだやっていたのである。

アホだな。


先陣を切って働いているのは橋田さんというマッチョだ。

最初にダンクができるようになったという人物だそうだ。

今まで魔法の扱いが下手だと言われて認められることがなかった自分が一番になれたことではっちゃけた結果がマッチョっていうのもなんだかな~と思う。


ちなみにだが、10時間ほどぶっとうしでやっていて外観は完成に近い。


「私はそろそろ帰るけど、程々にしないと体壊すよ」


「おう、おつかれさま~」


まぁ、そのうち諦めて帰るだろ。

楽しんでくれてるならいいや。



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