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絶対のんびり至上主義  作者: sakura
地盤固め編
24/86

24話.処罰と対策

目覚めた私は朝日に目を細めて散歩に出る。

子供達はよほど気に入ったのか遊ぶ時や、散歩には昨日渡した服は着たくないらしい。

いつもの子供用ローブで嬉々としてリードを引く。

この世界でリードの意味はたぶんない。

朝陽も雄太も人を襲ったりしないし、どれだけ離れても自力で戻ってくる。

文字通り飛ぶような速さで走れるのでリードは気分でしかない。

それでも、リードをつけると散歩とわかってテンションが上がるようなので問題ない。

昨日疲れすぎて夜の散歩に行けなかった事を謝りながら歩く。

申し訳ない事に散歩を忘れる=夜の餌も忘れていることになるのだが、

二人とも自分で好きな物だけメニューでご飯も水も用意したらしい。

本当にごめんなさい。


ふと思いついて玩具にフリスビーを追加してみたところ、子供もわんこも大喜びで

二匹とも群がってしまいもう一つ追加でフリスビーを作った。

家に帰り美野里ちゃんと隼人君におうちのお父さんとおじいちゃんおばあちゃんに用事があるから家で待っててって伝えてくれる?とお願いしておいた。


わんこ達の餌の準備をしてから自分の朝食を用意して食べた後多々山家に向かう。


「何なんだい?用事って」


多々山家の大人が全員集合していたので奥様方は昨日関与していなかったが、まぁいいかと参加を認めた。


大型バスと大型トラックを駐車場から出してきて、運転の練習をしてもらいますと告げた。


「なんだ、そんな事かい? それは楽しみだね~」


と課長はむしろ乗り気だった。

今日のはそう簡単ではない。

何せ内輪差があってハンドルを切るタイミングは車の状態把握が必須になるからだ。

練習用に交差点を作り二台を隣になるように停車させておいたので

左折で出てからバックで隣に並べてください。と練習方法を告げた。

説明するとウキウキしながら課長は大型バスの運転席へ、他の大人たちも後部の客室に乗り込んだ。

通常、トラックもバスも2速発進が常識になっている。

重い荷物や満員の大型バス、さらに上り坂のような状況でしか一速は使わない。

全身のきっかけにしかならない程スピードが上がらない為なのだが、そんな説明はしておらず、まずは失敗してもらおうと企画したので当然です。


エンジンをかけて思惑通りロー(一速)に入れるとじわーっとゆっくりクラッチペダルを話し始めた。

大型は変速ショックがあろうと、基本的にクラッチはギアがつながれば早めに離すのが正解でそうしないととんでもないパワーに耐えられずクラッチがすぐ壊れてしまう。


前進が遅い事に焦れた課長はすぐ2速につなぎ、3速へと上げた。

大型は二速発進で前進のきっかけを作ったらベースの3速に上げる。そこからスピードと回転数に合わせてシフトアップするわけだが、この時点でおかしいと気づいたのか表情が強張った。

慎重に前進して確認の為か一周した後、大型トラックと90度の位置取りになるところに停止しようとして急ブレーキで乗客全員がつんのめる。


「母さん、危ない運転しないでください」


非難の声を受けて課長は強張った表情のまま後ろを振り返ると


「昨日の車と大違いだよ、何だいこれは。軽く踏んだブレーキでこんな急激に止まるのかい」


まず、車は危険なものだという認識を共有する教材にしたい思惑は大成功した。


「大型は重量が重くても止まれるようにブレーキの性能が全く違います。同じ理由でミッションの性能も違います。内輪差があるのでカーブは良くても右左折では奥まで突っ込んでからハンドルを切らないと後輪部分がショートカットしてぶつかります。歩行者がいたらどうなると思います?」


そういうと全員表情が強張った。

それでは、バックでトラックに横付けしてください。

そこからは地獄だった。

ぶつかりそうになるたびに急ブレーキ、何度も切り返してハンドルを切るタイミングを測るため前進、急ブレーキ、後退、急ブレーキを繰り返す。


女性陣は早々にダウンしたので降りて休憩してもらった。

全員が何度も何度も繰り返し練習するがなかなかうまくいかない。

仕方なく私は少しアドバイスする。


「皆さんは自家用車の大きさに合わせてハンドルを切ってます。それではこの大型車のタイヤとタイヤの間隔が広いと合わせられません。

バックをする時は少しずつハンドルを切りながら後輪が完全に抜けた後に一気に切って調整してください。それと大型はブレーキに足を乗せる程度でゆっくり減速します。

そのため、ブレーキの踏み始めが早く、停車まで時間をかけるイメージですね。

エンジンブレーキもなるべく併用するためにクラッチを切るのはエンスト手前になってからです。

ブレーキはスピードに乗っていなければ踏むという感覚になることはないと思ってください。」


その後も練習を繰り返しているが、さすがに私でも酔いそうだったので必要なアドバイスをした後は外から見守ることにした。

徐々に成功率が上がってくるとバスからトラックに変えて練習する。

バスとトラックでも内輪差が違うので間隔は変わるが上から見た時に車がどういう角度になっているか思い浮かべながら運転するようにアドバイスするとそこそこましになってきた。

それでも昨日育てた自信は粉々に崩壊したようだった。


「車は便利ですが、玩具ではありません。最悪人に接触すれば人殺しの凶器になりかねない事を認識してくださいね」


どことなく遊び感覚でやっていた雰囲気は完全に消えた。

真剣に車に向き合うようにして練習に励んだ結果、トラックもバスも同じように運転できるようになったので更に交差点を作り、右左折を練習させると今度はハンドルを切るのが早すぎて接触事故未遂が多発。

前進と後退で大きく感覚が変わってしまう大型車に四苦八苦していた。

こうならないように上から見た時どういう角度になっているか想像しながらと言っておいたんだけどそううまくはいかないよね。仕方ない。と慰めながらも昨日付き合わされた仕返しができて私は内心ニッコニコだった。

これに懲りて人の都合を完全無視でつき合わせないでくださいと思いながら私は昼食の準備に行く。


豪邸に向かう際に会ったマッスル達にすた丼をリクエストされるが、丁重に断りキッチンに入ると多々山家の奥様二人が見学に来ていた。

中途半端な時間に途中参加するのは気が引けるからと言う事らしい。


さんまの塩焼きを準備してごはんとお味噌汁をつける。

ポン酢はお好みで用意して準備万端。

そういえば、最近朝食を作ってないが、各家庭で楽しんでるらしいので気にしないでと言われた。

朝からカレーとか重すぎると思うけど、みんな好きでやってるならいいかな?

朝食にレパートリーも何もないし、トーストか納豆ご飯かの二択くらいしか私には存在しない。


魔法制限もだいぶ緩くなって、生活に最低限必要な衣食住以外では使わなくなったのだそうだ。

こんな短期間で一気にスリムになってきているのだから当然魔法任せの無駄で自堕落な生活は脱したのだろう。

明日当たり青椒肉絲でも出してみるか。


午後になると私はみんなの様子を見て回る。

応援の声に交じってこうこうこういう服を作ってみた、こんな髪留めはどうかしらと子供の試合応援に来て雑談を始めるママ友のかしましさだ。

そこで初めて美野里ちゃんと隼人君以外のちゃんと参加する子供達の姿を見かけた。

どうやら教育とやらはある程度済んだらしい。

初めて会った頃の美野里ちゃんたちと似たような体形だが、そのうち解消されていくんだろうな。

流れは完全に健康志向になっている。

ここにいれば必然的に巻き込まれるだろう。

この地で最も動いていないのは私ではないだろうかと思えるほどに皆よく鍛えている。

タンクトッパーたちに至ってはもはや食事以外は全て筋肉いじめしてそうな雰囲気すら醸し出していた。


様子を見ながら歩いていると寒気を感じて空を見上げた。

日はまだ高く寒く感じるはずもない。

気味の悪さを感じて足早に抜けようとすると突然運動に勤しんでいた全員が動きを止めて南を見た。

そこから飛んできた炎の塊に対して全員が水魔法を放った。

空中で飛んできた炎の球を蒸発させてなお水の勢いは止まらず大洪水のように草原に迫った。

何これ?


みんな南を睨んでいたが、その後何も起こらなかったためか試合再開して続きを楽しみ始めた。

切り替え早すぎない?

私はどうにも気になって車を出して南へ向かおうと駐車場に行くと、何故か多々山課長の運転する車に社長まで乗って先に出発するのが見えた。

運転マスターの多々山家の方々にはそれぞれの車のキーを預けている。

こちらでは、車の窓ガラスに車検シールのかわりに、窓ガラスに透明ケースが有り、そこに免許証を掲示するルールにしている。


社長達が出発したとはいえ、私も気になるのでついていく。

緊急時(?)にも関わらず課長は超安全運転で50キロをキープしていたのですぐに追いつき同じく50キロでついていく。


異常事態のはずなんだけどな~


20分ほど走ると必死に逃げる太った集団が見えてきた。

魔法、どこから飛ばしたんだろう。

しかし、50名ほどの集団全員が魔力切れ寸前の様子で眠い目をこすりながら頑張って逃げているのが前の車越しに見えている。

何で襲撃されたのかな。

前を走る社長達の車がゆっくりと停車して降りたので私も後に続いて降りた。


「おや、滝井商事の皆さんでしたか。いきなりふざけたことしてくれたね」


「誰だ、お前は! あんなひょろひょろの女なら簡単に燃えるだろう!さっさと魔法で焼き殺せ!」


「あたしの顔を忘れたのかい? 長い付き合いなのにね」


すでに課長の独壇場だった。

社長は何やら楽しそうに笑顔で様子見に徹してしゃべりもしない。

いや、笑顔と言うか、必死で笑い出すのを堪えてる顔だなあれは。


「長い付き合いだと? いや、知らんな、お前たち何をしているさっさと魔法を!」


そういって振り返ると課長の息子二人だけで全員捕縛完了済みだった。

魔法ってすごいね。本気で使うとこんな早く動けるんだ。


「なに!? そんな細い体でどんな魔法が使えるというのだ!」


「あんたそんな事言ってる場合かい?今の状況わかってるのかい」


課長はそういうと瞬時に魔法を行使した。

出来たのはこの世界で一般的な岩をくりぬいた様な家。

しかも、一人用サイズで狭く作られて出入り口は所有者の許可した者しか通さない薄い膜のような扉も張られている。


「本当に考えなしだね。呆れるよ」


「その物言い、まさか多々山か?」


発言内容で思い至るって事は相当考えなしと馬鹿にしてきたんだろうな。

ご愁傷様。

私はかわいそうになって精一杯の優しさを発揮してあげた。

50人の仲良しグループ出来たのに一人だけは寂しいよね。


「お二人とも捕縛した全員をその家の周辺に転がしてもらえますか?」


すぐさま指示に従ってもらえたので


「少し離れてくださいね」


そういうと私は魔法を行使した。

全周囲を鉄格子で囲われた立派な牢屋だ。

家と違ってあの程度の魔法で壊れる事はないだろう。

もちろんトイレも風呂もない。

せっかくだからタイヤをつけた形状で作って、ヒッチメンバー付きの車と一緒に引っ張れるようにしてもいいかもね。

ヒッチメンバーはモーターボートやトレーラーハウスとかを引っ張る接続部のことです。


「話しやすくして、なおかつ仲良し皆一緒にしてあげたので課長の家崩してもらえます?」


どうもあのシャボン玉の表面のように光を七色に反射するような幕が好きになれずに私は解除してもらった後、私は急激に興味をそがれて


「そもそも私は巻き込まれただけで関係なさそうなので先に帰りますね」


そう言い残して車に乗り込んだ。

この世界に知り合いもいない私を狙うよりかは知り合いみたいだった課長や社長を狙ったと考えた方が自然だ。

原因もわかったし捕縛もしたので問題ないだろう。

あまりこの場にいるとうちのワンコたちを害そうとしたコイツラに歯止めが効かなくなりそうだ。


駐車場に車を置くと時間を確認しようと腕時計を見た。

充電していなかったのでスマートウォッチは真っ黒だった。

自宅に戻り乾電池式USB充電器に挿したスマートウォッチの充電台にセットしてから

壁掛け時計を見ると17時を回っていたので朝陽と雄太の散歩に出かける。

川沿いのコースを歩いて二人のトイレを済ませると少し足を延ばしてみる事にした。


「どこ行くの~」

「どこでも散歩するならいいよ~」


だいぶ遠回りになるが東に向かって歩くとまだ何かやってるのか車が止めてあるままだった。


「まだやってんの?晩御飯はいいの?」


近づいて声をかけるとのわっ!と驚かれた。


「中島君か~。君も気になって戻ってきたのかい?」


「いえ、全く興味ないです。うちの子達の散歩ついでにまだやってるなら止めないと奥様方に怒られますよと伝えに来ただけです」


「それが少し困ったことになってね~。なぜこんな事をしでかしたのかは確認できたんだけどね。その・・・この家が壊れなくて解放できないんだよね」


「え?開放するんですか?殺しに来た人達ですよね?どんな理由か興味もないですけど殺しに来たんだから殺されても文句ないんじゃないですか?」


そういうと牢屋内の全員の表情が青褪めた。

いや、舐めてんの? お前らが売ってきた喧嘩でしょ?

自分は殺しても自分が殺されることは許されないって事?

怒りが一気に吹き出してくる。


「いや、何でそんな顔してんの?お前ら殺しに来たんだろ?そのくせ殺されることになったらやめてくれって事? 最初の攻撃魔法でうちの子達に怪我でもあったらその瞬間お前らをどんな手を使っても殺すけど、当たり前だろ?

お前らはどうなんだよ。自分の子供がいきなり殺されても文句ないって事か?」


精一杯憎しみを込めて怒鳴ってやった。

平然と人を焼き殺せなんて言うやつにかける慈悲はない。


「いや、待ってくれ、俺らはそこにいる元社長の会社の下請けで」


「いや、そんな事知らんよ。興味もない。お前らがどんな命乞いをしようと私の家族に手を出したお前らを許す気なんてさらさらないし、事情があれ殺そうとしたんだから、殺されるってことがどういう意味か分かってるよな?

先にお前らの家族を見つけ出して全員お前らの目の前で焼き殺してやろうか?」


言い訳の言葉もなくして俯く囚人

家族がいる人達だろう、半分ほどが吐きそうな顔になった。


「お前らがやった事ってそういう事なんだよな。言い訳する暇もなく殺されてたらお前らは笑顔で元受けの会社に任務完了しましたって報告したんだろ?

それによって殺された側がどう思うとかどれほど苦しむとか考えもせずにさ

それが捕まったら命乞いか?勝手な事言ってんじゃねーよ!苦痛が長引くむごたらしい殺し方をしてやろうか?息ができないようにするとかさ」


「もう、その辺にしておきな。あんたが言いたいことはわかったけどね。一番悪いのはこいつらに命令した人間だと思わないかい?」


「思わんね。防げなかったらあの時死んでたんだぞ?何でこいつらをかばうんだよ」


「申し訳ない!」


突然社長が頭を下げた。

え?こいつが犯人なの?


「あんたが謝るんじゃないよ」


課長が社長の頭をはたく。


「いや、うちの親父が原因だからさ」


は、こいつの親父が原因なの?


「なら、ここにいる奴らに加えてその社長の父親も殺しに行くわ」


「だからちょっと待ちなって。あんたが怒るのもわかるし、あたしも腹に据えかねてんのさ。

でもね、もっと苦しませたいとは思わないかい?」


「いや、いきなり襲ってくるような考えを持ってるやつが生きてるだけでゆっくり眠れないだろ?今すぐ報復した方が気が楽だ」


「確かにね」


草原の真ん中でとんでもなく物騒な話をしている自覚はある。

できるだけ徹底的に考えなしの実行犯共の心は折りきっておく


「とりあえず水でいいかな。炎攻撃してきた奴らに水で息ができない状況を作り殺す。

少しは安心して眠れるだろうね。」


檻の外に大きな建物を作りその中を水で満たした。


「あんた恐ろしいことするね。でも、もういいよ。いい加減人の命を奪う事の意味くらいは刻み込んだんじゃないのかい?」


しょうがないと水を消した。


「それで、こいつらをどうする気?」


「中島君のなかなか恐ろしい一面を見せられて言うのも勇気がいるんだけどね。こっちの手駒にしようかなって」


社長は楽しそうに答えた。

私の心は全く晴れないんだけど。


「そんな事はいいから元凶に王手をかけるんだろ?何をさせるか言ってくれないと納得できんね。」


「なんだか初めて中島君の本音を聞いた気がするよ。怒るとそんな口調になるんだね~」


興味深そうにのぞき込んでくる。

今は本気でイラっとする。


「それで、何をさせるのか教えてくれないかな。いい加減檻の中を炎で燃やし尽くしたくなってくる」


「おっと、それは困るね。うちの親父はね。自分が第一なんだよ。会社の金は俺の物。会社で雇ってやってるんだから俺の金を増やすために死ぬ気で働けってね。

手段も強引で競合他社の悪いうわさを流したり、重要な役付きに金を握らせて内通させたりとやりたい放題だったんだ。だから恨みを買いすぎてね。私を生贄にするために社長にしたのさ。

あいつのやりそうなことはよくわかってる。だからさ、こいつらを解放して何をさせられたかを騒いで吊るし上げてもらおうと思ってね。」


「甘いですね。ふむ、ならこうしましょうか。

その社長の父親には地獄を味わってもらいましょう。

まず、会社の社長と取り巻き以外を全員ここに連れてきてください。

勧誘方法は簡単です。その会社は社長が変わってから社員の扱いが悪くグループ社員も駒として使う。あくどい事を社員にさせるので近いうちに捕まるだろうと、ね」


「ついでに親父の取り巻き連中も同罪だと触れ込んでおこうか、信用もなくなり仕事はないのに使えない社員が残るか。面白いね」


あくどい表情で社長が笑った。

二人の周囲で囚人も多々山一家もドン引きしていることに二人は気づかず計画を詰めていった。


計画は即時実行に移された。

檻をそのままに一旦車で駐車場に戻って大型バスとファミリーカーに乗って戻ってきた。

大型バスに実行犯たちが乗り込んで出発する。

何かされるかもしれないので、念のため運転席に乗り込む場所と客室の扉を別にして運転席だけ独立させた上で仕切りを作っておいた。

実行犯に紛れ込む形で課長の息子二人が同行しているのだが、運転席周辺につかまり立ちする仕様しか思いつかなかった。

教習中のバスとかでありそうな感じ。

一応二人共、裏工作も得意だそうで立候補していた。

運転手は長男が担当し、どこかに隠して街に入るらしい。

帰りは次男が運転したいと言い張っていた。


あんたら計算できるよね?

社員の引き抜きとかして人数増えたらそのバスには乗れないんだけど?

そうは思ったが、囚人をその街に放逐するなら気にする必要はないかと思い直した。

ハッキリ言ってあいつらをこの地に定住させるつもりなんて全くないからその方がいいね。

あの襲撃犯のボスだけはそれでも許さないけどね。

そして元凶も・・・。


散歩を終えうちに帰ると早速うちのわんこの犬小屋改造に取り掛かった。

あんな馬鹿の不意打ちでうちのこが害されることなんてあってはならない。

ただ、問題になるのはうちの家は借家であり、庭も含めて改造できない。

しょうがないか。


家の左隣に自宅をコピーしようか悩み、

いっそのこと家を新しく建てる事にした。

庭をもっと広くしよう。

その上で家の中にもわんこ達の家とドッグランを作ることにした。

玄関扉から入ると土間が広がり家二軒分程の地面の奥にようやく下駄箱と玄関があり、こ

こで靴を脱いで家に上がるという普通に考えて意味不明な間取りになっていた。

例えるならガレージハウスみたいな感じかな。

土間と言いつつここにはわんこ用ベッドがあり、少し浅めで広いお風呂まで設置してある。

自分たちでお風呂にはいれるようになるわけだからこれは喜んでくれるだろう。

ぶんぶん尻尾を振って喜んでくれるかな~。

喜んでる時の表情は普段以上に超絶可愛いから楽しみだ。

わんこ用のトイレも作ったが使ってくれるかはわからない。

と言うのもわんこ達は自分のスペースを大事にするので自分のスペースには基本的に排泄をしない。だから、散歩が必要になるわけだけど。

わんこは草むらで隠れてすることが多いので草で作った場所にもよおしたらしてもらい、ボタンを押すと地下に通した下水道にそのまま流れて下水と共に川に流れていく。

ボタンについては話せるし賢い子達だから使いこなせるだろうと思う。

他の家に作ったトイレと構造的には同じだけど、わんこ達のトイレはワンクッション置いて草が乗っている部分がパカっと下に開く扉のようになっている。

開いた先が水洗トイレの構造。

草も一緒に流れないように強くイメージして水で流れないように祈っておいた。

洗浄と同時に下水に合流するなんてなかなか良い発明をしたのではないだろうか。


家の間取りは洋室1部屋に和室1部屋、キッチンとトイレとお風呂の構成にした。

一人で生活するのに無駄に広すぎる必要は全くない。

掃除がめんどい。荷物も必要に応じて作り、消すとベッド周りにラノベが散乱するような状況にはならないし、荷物に埋もれることもない。

ベッドを洋室に作り和室からわんこ達を確認するための縁側を作る。

二階建てにする意味もなかったので一階建てになっている。

壁は風を通せるとイメージしてみた。外壁も同様になっている。

天井はガラス張りで魔法攻撃と物理攻撃への防壁イメージを仕込んでおいた。

これで四季を感じ、朝も夜もわかるようになっている。

夜は壁のスイッチか照明をつけてというと明るく光るようにイメージしてみたが、実験もせずにぶっつけ本番だったが薄暗くなっている周囲に対して明るく光ってくれている。

完璧にイメージ通りになってくれた。

おしゃれな間接照明に見えなくもない。

イメージで再現できるなら家電も完ぺきに再現できるんじゃね?と思った。

消費魔力が必要となる問題があるけど洗濯機のあるなしで消費魔力量を確認してみよう。


ついでに街灯のイメージとソーラー発電と蓄電池のイメージができてしまった。

完全なエコ生活が目前かと思うとわくわくしてくるね。

夜に明かりがある生活が睡眠障害や体調不良を引き起こす可能性があるが、それも車のヘッドライトがある時点で今更だろうと考えない事にする。


遅くまでやってたせいでわんこ達は寝ていた。

物音ですぐ起きてしまうので静かにゆっくりと新築に戻りベッドに入ると目を閉じた。

明日こそうちのわんこ達の笑顔を見よう。



9/8 誤字修正

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