19話.社長の抜けた後
それは夢の世界のお話
そこではおいしい食事に魔力がいらない生活
遊べる娯楽が多くあり、飽きる事がないという。
そんな与太話が社内で広がり始めた。
馬鹿共が、そんな馬鹿話してる暇があるなら少しでも儲かる方法を考えろ。
いつも通りに叱り飛ばす。
会社からごっそり人が抜けてただでさえ忙しい。
売り上げは伸びるどころか下降線を描いている。
うちの商品は他社と比べて魅力もないのに高いと言われる。
ふざけるな。わしらの給料の為にお前たちは無理でも無茶でも売ってこい。
売れる物がないなら作り出せ。
社内はどんどんギスギスし始めていた。
それというのもあのバカ息子のせいで
バカ息子が勝手をしおってからに。
社長の座に戻ることになったわしは部長連中の尻をたたき続けた。
役員連中も総動員している。
普段から仕事らしい仕事がなかった役員連中も給料を下げざるを得んなというと渋々働き始めた。
責任を取らせるために役員なんて立場にしたが使えん。
いつまでもわしに寄生しおってからに、お主らの為に会社を作ったわけではないわい。
今まで高い給料払って養ってやったんだ。こういう状況になったら少しは働かんか。
不平不満を言いながら働く役員連中。
実質現場を仕切るはずの部長連中までパッとせん。
いつからこんな無能共がうちの会社に寄生してたんじゃ。
今日もゴミを見るようににらみつける。
全く光を見出せぬまま、会社の業績は右肩下がり。
こうなると余計にバカ息子を殺したくなる。
辞職願を言い出す輩は加速度的に増えている。
フンッやる気のないクズ共は利益を搾取する
いくらでも辞めていけ。
うちの会社を辞めて雇ってくれる会社があると思うなよ。
わしは横のつながりで辞めた根性なしどものリストを広めていった。
これで再就職はかなわんだろう。
野垂れ死ぬがいい。恩知らず共め
ばたばたと足音の後社長!と呼びかけられる。
今度は何だ!どこのクレームだ?役員連中に回せ!
今わしをイライラさせてる暇はないはずじゃ。
さっさと1つでも商品を売りに行け。




