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絶対のんびり至上主義  作者: sakura
地盤固め編
17/86

17話.社長頑張るっ

社長である私は小垣さんと山北さんを呼び出した。


「これまでの事を詳しく説明してもらえるかな?

面食らう事ばかりでどうしていいかわからないから参考に話を聞いておきたいんだ」


二人は顔を見合わせるとうなづいてどちらともなく話し出した。

要約するとここでは魔力を使う事を避ける訓練をするらしい。

二人は理屈までは理解していない。

あとでばあさんに詳しく話を聞く必要があるな。


まぁいい、そのバスケとやらで魔力なしで圧勝すれば魔力を使わないなんて馬鹿げたことを止めさせることはできるだろう。


その他細々としたここでのルールを説明された。

食堂で言われた手洗いうがい、入浴マナーに歯磨き

そして、先入りしていた社員たちが何をやっていたかなど。

頭痛がした。


先入りしたメンバーは全員が風呂を気に入り魔力を最優先で風呂に使い、商品開発よりも魔力を使わない生活に慣れる事を優先しているそうだ。

夕飯に至ってはおいしかったものを自分たちで再現するために魔法訓練だと?

私が言うのもなんだが、自由すぎないかい?

全ての元凶は中島君ということだね。

彼の発明品は素晴らしいが、会社立ち上げを考える私にとって由々しき事態を引き起こす危険な人物でもあったようだね。

まぁ、とりあえず様子を見ながら誘導していくしかないね。


私は完全徹夜で話を聞いた。

眠気がないと言えばうそになるが、新しい事を始めるときは大体こんな感じだから気にならない。

大人しく従いながら改善点をため込んで徐々に改善していくことにしよう。


社員の生活を守ることが社長の最重要の仕事だからね。

私は決意を新たにしてほかの社員と食堂で合流して朝の挨拶を交わした。


決意は朝一から一瞬でもろく崩れ去った。

朝食の時間になると中島君が現れて朝食を準備し始める。


「おはよう、何を作ってるのかな?」


「あっ、おはようございます。

今日はサバの味噌煮定食ですね。」


サバの味噌煮定食が何かはわからない。


「見ててもいいかな?」


「どうぞ」


私は寝てないので魔力が回復していない。

魔力を制限どころか今日使える余力はほとんどない。

昨日は長距離を歩いてきたので魔力の消費も激しかった。


私は彼を観察する。


寸胴というらしい大きな鍋に大量にサバの味噌煮とやらを詰め込んでいく。

香りはいいが、見た目は食欲を減退させる不気味な色と形だった。


昨日のカレーライスのごはん部分だけで寸胴を満たしていく。

見ている限り迷いなく魔法が発動していく。

魔法はイメージを固めるために時間を要するのが定説なんだけど異常な速さに見えるね。

魔法を使い始めたばかりでもうここまでになるのは素直にすごいんだけどね。


徐々に食堂に人が集まりだすが、私と共にこちらに来たメンバーの集まりが悪い事に気づく。

これは、起きる時間に差があるのかな?

数名が食堂に集まるようにと声をかけに行っていた。

ここでは全員そろって食事を摂るのがルールなのかな?

明確な行動の差ができているのは面白いね。

全員がそろうといただきますと朝食に移った。

本当にここでの食事は感動する。

こんな食事のクオリティがあれば他に何もいらないとさえ考えてしまう。

(そうか、必要な物を魔法で生み出せて魔力枯渇する心配がないとなれば、稼ぐことが全くの無意味になる。極論したら満足できて幸せなら仕事をする意味さえないってわけだね。

ふむ、山北さんの言った事の恐ろしさを今更理解できたよ)


あくせく働かずとも中島君と同じ食事ができて魔力を枯渇することもない。会社も仕事も全くの無意味。様子見のつもりだったけど、当面は何もしないでおこうか。と食事だけで考え始めていた。

この価値観は社員達の様子を見るまで確信することもできなかった。


ま、それもこれも今日の魔力不足の一日を無事に終えてからって感じかなと気合を入れなおした。



食事が終わると社長がそわそわし始めた。

やりたいことがあってうずうずしてるのかな?

組織のトップがこんなにわかりやすくて大丈夫なのかな?

騙されそうとしか思えない子供のような表情だった。

山北さんは苦笑していた。


私には今日の予定が決まっている。

もう一棟マンション式豪邸コピーを建てる。

地下室無しでサクサク建てていった。


そうそう体系が変わることはないが、子供であろうとおやつを出すつもりは当分のところない。

子供が増えると痩せてる子供と太った子供がいてるとなおさらおやつは出しにくいので子供が増える前にぜひ、みんなには頑張っていただきたい。


今朝は多々山課長が調子が悪いから寝るよと部屋に戻っていった。

年齢も年齢だから少し心配してると社長が笑って近づいてきた。


「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫だよ。ただの徹夜だからね」


「え?徹夜したの?ばあさん無茶するな~」


「あ~、秘蔵の酒とかいうのを勝手に持ってきて一緒に飲んだんだよ。

あれは美味かったね~」


それは事前に私に話すべきではないのだろうか?

まぁ、いくらでも出せるからいいんだけど。


「徹夜して酒盛りね。あんまり従業員に無理させてるとみんな離れるよ?」


人の気持ちは給料では縛り切れるものじゃないからね。

社長さんだからそこはわかってもらわないと。


「あっはっは~、中島君はよくわかってるね。じじいどもと大違いだよ。

ま、今回は課長と積もる話があってしょうがなくだね。ばあさんが止まらなくてね。

今日だけ大目に見てやってよ」


あまり悪びれない社長になぜか不快感は感じない。

それに、説教でもされたのかなとしっかり起き続けてる社長に少し同情もした。


新しく豪邸コピーを建てていた時に新規メンバーたちは先行メンバーにそれぞれボコボコにされたそうだ。

社長は社長特権で体力自慢の若いメンバーで多々山家に勝負を吹っ掛けたところ、体力、技術の両面で完膚なきまでにズタボロにされて完敗したそうだ。

一番驚いていたのは息子さんの奥様達の動きと体力に差がありすぎた事らしい。

女性は家庭に入ると運動をする機会が全くないので男性よりも筋力で劣ると思われていたらしい。男の社長が完敗してシックを受けるのは当然だ。

だが、一日でもその差は如実に表れてしまう。

初日の失敗を経て全員夜に回復魔法を使う事で効率的に筋力アップに努めて翌日もきっちりトレーニングをすることができるからね。


建物を建てて余った時間でみんなの様子を見て回った。

意外だったのは多々山家のバスケメンバーにおじいちゃんが参加して大活躍していたことだろうか。

ほ、わしも動けるもんじゃの~と自画自賛していた。


自転車組は数名が乗れるようになっていて、調子に乗って乗り回している。

いくらこけてもへこたれず、回復魔法も夜までお預けの状況でよく頑張ったと思うよ。

新規メンバーは魔力も使わずに魔力使っても追いつけないスピードに目を丸くしていた。

誰もやっていない卓球は俺らもちょっとやってみるかと新規メンバー数名が手を出してすぐへばっていた。

負けず嫌いがいたようで魔力使っただろとか醜い争いをしていた。


子供とわんこたちは相変わらずの追いかけっこだったが少し自転車に慣れたのかわんこたちから周回遅れになる回数は減っていた。

そのうち徐々に体系も変わってくるだろうとみんなの様子を見て満足した。

新規メンバーたちはこれから頑張ってほしい。


お昼のメニューは昨日食べられなかった餃子にしてみた。

ありえないほど大量に餃子を出したのに、ごはんも餃子も完売だった。


昼からばあさんが復活して来てバスケで無双していた。

新規メンバーに勝って自信をつけてしまった息子さんチームは油断で足元をすくわれたね。


散歩しか運動をしていないはずのおじいちゃんはばあさん相手に奮戦していた。

ここの年寄りたちの根性はどうなってるのか。


カートとサーキットを娯楽として作り出すかどうか悩んでいた。

カートではスポーツになりそうにない。

運転技術の基本を覚えるためにはいずれ必要になると思う。

一家に一台自家用車を作ってあげる予定だけど、ダイエット中の状況で楽させるべきじゃないというのが私の意見。

そうなるとアスレチックを作るかなと作りたいものを色々考えてリスト化していった。


夕方になると各自が切り上げて夕食の準備に向かう。

私は自宅に戻りわんこ達の餌の用意。

ごはんを食べると歯を磨いて風呂に入って寝た。

最近目まぐるしく状況が変わって毎日の充実感がすごいので、あっという間に寝苦しい暑さの中でも眠りに落ちれるのはいいね。


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