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絶対のんびり至上主義  作者: sakura
地盤固め編
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11話.魔法で再現『最強の家』

興味がある事にとことん熱中してしまうことはよくある事ではないだろうか?

魔法を覚えた私は想像だけでほとんど何でもできる事に狂喜乱舞した。

文字通り踊り狂っていたら朝陽と雄太が飛びついてきて遊んだりした。


「おっ、一緒に遊ぶか~」


ハイテンションが止まらない状態だ。


「わたしもいろいろできるようになりたい」

「僕も~」


二人とも魔法が使いたいらしい。

二人にできる魔法かつ教えられそうなものということで餌を自分で出せるようになったら完璧じゃないだろうかと思い至る。


「ごはん出してみようか」


いつも食べてるご飯を考えてもらおうとする。


「おいしいご飯を想像してみて、目をつぶって餌箱の中にあるって思ってみて」


「わかった~」

二匹はよだれを垂らしながらハッハッハッハと息を吐いている。

すると徐々に器の中に二人の餌が現れた。

だが・・・


「朝陽、何で一回しかあげたことない高級缶詰の餌が出てきたのかな~?

雄太も餌じゃなくてジャーキーに見えるね~」


「これがおいしい」

「僕のごはんいつもこれがいい」


欲望に忠実すぎるわんこ達だった。

栄養が偏らないか非常に心配だ。

しかも、勝手に食べだしたら太りそうだし、大量に残ってる餌はどうすればいいのかと頭を抱えることになってしまった。


「待て」


ピタッと止まる二匹


「今度から自分で出してもいいけど、絶対に食べすぎたりしない事、二人とも病気になったらいやだから私にちゃんと言うようにすること、わかった?」


悪いことが見つかったような顔で私をチラ見して


「は~い」


と不満そうに返事をした。

わんこは待てと言われて待つことはできるが、人間が生死をコントロールして初めて成り立つ事だと思うが、自分で出せるのは大丈夫なのだろうか?

まぁ、体調見ながらその時に言うしかない。



あの犬という種族まで生成魔法を・・・

本当に魔法のない世界から来たの?ありえないでしょ。

それよりも頭が痛いのはあの中島英人さんという人だ。


業者が数人で協力するような巨大な建造物をいとも簡単に出して魔力切れを起こさず

その上でその巨大な建造物の中に水を生成して満たした。

更に家の中にあの建造物に出した水を転移させるなんて伝説級なんてものじゃないわ。

食べたこともないおいしい物を作り出して見せた。

魔力吸収量は検証してないからわからないけど、世界が変わるわ!

うちの会社で独占しないと他社に感づかれたらどうなるかわからない。

早めに何とかしないと。


「課長、今少しよろしいでしょうか?」


私はここ数日でおいしいご飯やとんでもない事態に余裕がなくてしていなかった報告をすることにした。

私一人で抱えきれる規模をとっくに超えているから当然相談するしかない。


「あら、みっちゃんも報告できるようになったようだね。

それで、何の用だい?」


私は息を整えて相談した。


「私一人じゃ無理です。それどころか、社長も含めて全員でここに引っ越してください。

ただし、引っ越し業者や建築業者を絶対に入れないでください。

情報流出が今一番怖いので」


正直な気持ちを全て吐き出した。

少しの沈黙の後で課長は


「何があってそんな判断をしたのか一から説明してちょうだい

一方的にそんなこと言われてはいって言うと思ってるのかい?」


私は奇妙な建物の報告はしていたが、そこから何も報告していなかったので順を追って説明し始めた。

魔法を教えた事、魔法を使って巨大な物をあっさり作り出し、二匹の生命体を従えていること全部話した。


「想像以上だね。面白いじゃないか。

社長は食事に目がないし、これは会社が動くことになりそうだね」


口の片方だけ口角を上げる少し悪そうな笑みを浮かべているのが容易に想像できる。


「みっちゃん、先にまなちゃんを送り込むから、情報の秘匿は最優先だよ?いいね」


「わかりました。」


「社長や他の社員全員になるかわからないけどね。何とか話してみるからこっちは任せな」


「ありがとうございます。」


「旦那と子供たちにも準備させないとね~。ったくもう少し準備期間は欲しいけど、ぼやぼやしてらんないね~。みっちゃんは魔力を無駄遣いしないで目いっぱい貯めときな。まなちゃんにもそうさせて詳しい場所を連携させたらすぐ行かせるからね。早くて明日には連携して明後日出発させるよ」

思っていた通り大事になった。

この中島さんのスケール感はとんでもない。

魔力量に至っては何十人分になるのか見当もつかない。

桁違い、規格外

うちの会社に入社したら即エースで

あたしの出世が遠のくのは間違いない。

それでも、あたしは見てみたい。

中島さんが作っていく発明品とその恩恵にあずかりおいしい食べ物があふれる世界を

会社の思惑通りに動かされてる気がしなくもないけど、それはとっても楽しい予感がした。


翌日魔力を使い果たす勢いで消費して位置を伝えた。

方角こっちの方ではなくきちんと点で伝える位置伝達魔法がある。

これには1日分の魔力のほとんどを使ってしまう。

そうなると普通は介護してもらわないといけない。

まなちゃんは周りの社員が全力サポートする体制を整えているだろうけど

こちらにそんなものはない。

動けず、魔法が使えず、非常に心細くなるはずだったが、全く気にならない。


朝陽がどっちで雄太がどっちかわからないが、犬という種族の子達が寄り添ってくれた。

私が弱ってるのに気づいて手伝ってくれようとした。

私は『和室』とかいう部屋と呼ばれる区切りの中で介護された。

餌と呼ばれていたご飯を出してくれた。

中島さんの生み出す食べ物には遠く及ばないもののとてもおいしかった。

口の中がぼそぼそしていたが、コップというものの中に水を出してくれた。

中島さんに対するようには話してくれないけど、静かに寄り添ってくれるこの子達がとてつもなくかわいいと感じ始めていた。


肝心の中島さんはほとんど姿を見なかった。

どうも魔法が使える興奮でハイになりすぎているようだった。

お風呂入るか?と聞かれたがとてもそんな気分になれなかった。

お風呂が気持ちいい事は理解した。

お風呂上がりのタオルというものの感触がとても気持ちよかった。

ふわっとタオルから香る匂い。

お風呂に入れる入浴剤というものの香り。

シャンプーとコンディショナーはそこまでではないけどボディソープというものは好きな香りだった。

自分の体や髪の毛からいいにおいが何かの拍子にふわっと感じられてお風呂が大好きになった。

シャワーというのが出た時は心臓が飛び出すかと思ったわ。

冷たい水がシャーーとかかって。

本当はお湯が出るらしいけど、こちらの世界ではできないらしい。

失敗はあったけど本当に大好きなお風呂に入れないのは悲しい。

それでも、あたしは動こうと思えるほど魔力が残っていなかったので、和室に布団を敷いてもらってそこで寝た。

ここに来た時から和室で寝ているのでいつも通りだけど、少し汗臭いかもしれないのが嫌だと初めて思った。



小垣さんが言うには新しく一人ここに派遣されてくるらしいと聞いて私は張り切った。

魔法が使えるようになって考えていたことがある。

ぼくのかんがえるさいきょうのいえ(僕の考える最強の家)

を作ろうと思っていた。

この世界でできる範囲で豪邸を作りたくなった。

調子の悪そうな人を寝かせておくのは心苦しいので、この機会にいまいち打ち解けないうちのわんこ達に世話を頼んだ。

よー――し、やるぞー―――!


考えていたことがある。

設計なんぞやったことはないし、どうすればいいのかもわからなかったので

紙を生み出しうっきうきで描いていく。

1階に大ホールと大食堂。キッチン、トイレ、風呂

水回りは排水溝率を考えて集中させたがさすがにキッチンとトイレやふろは反対側に設置する。

玄関から家に入るとY字階段が正面にあり、階段の奥に大食堂、右側にキッチンでキッチンと食堂はつながっている。キッチンというより厨房だけど。

左側にトイレ2か所と大きなお風呂を設置する。

トイレはもちろん水洗で芳香剤を設置

トイレに戸棚がある意味はあまりよくわかっていなかったが、実は安いアパートに住んだ時にトイレットペーパーがトイレ内の直置きに抵抗があったので必須だと思った。

トイレの近くには掃除用具入れを設置した。

考えてみればこの世界で私にしか作り出せないものが多いので、大量に常備するなら必要かと思った。

二階は寝室が並んでいる。

大人数が来る可能性はないだろうけど、何せぼくのかんがえるさいきょうのいえだから問題ない。

部屋数は12だ。12って数字はキリがいいような気がしたのでそうしてみた。

正直言えば他に必要なものが思い浮かばなかった。

二階にもトイレとお風呂完備だ。

男女で分かる必要はあるだろう。

まぁ、最強の家が完成しても私は自分の家で暮らすつもりだが。

借家だが・・・。

そして、なんと、この大豪邸には屋根裏と隠し部屋、屋上まである。

部屋には全てベランダがついており、物干しざおまで完備している。

この年になるとダンディな渋くてかっこいい事にも憧れてそれほど好きで飲むわけでもないのにワインセラーを地下に作ろうと描いていく。

鉄筋コンクリート製にして、いや、むしろ鉄筋の強さを持つコンクリートで壊れないというのが理想だ、後で実験してみよう。

それで成功したら、建築法やらで決まっていそうな柱をすべて取っ払ってもいいだろう。

一部屋の広さは120畳ほどある。

大人1人が余裕をもって寝られるスペースを6畳と考えてこれを20人分としたら私の家が何百軒入るかわからない規模になる。

最強だからね。


各部屋に風呂、トイレ、キッチン完備

電気がないので配管するのは上下水道のみになる。

電気は作れないがガソリンならいけそうな気がするから、車も作ってみよう。

ガレージを作るしかないということで、隣に立体駐車場を作ってみよう。

大型車両用の駐車スペースを一階に、個人所有のスペースを二階より上に配置

大型車両はバス、トラック、トレーラー用に道幅、駐車スペース共にバカでかい。

内輪差がとんでもないのでこれは必要なスペースだ。


そして、私は紙に描いた素人図面をもとに生成魔法でせっせと作り始めた。

知識もない私が構造もわからない物を一人で作り出す。

これは端的に言って快感だった。

駐車場は簡単そうだったので1時間ほどで完成した。

豪邸は少しずつやっていくことになるのだろうか?

まずは、地下室用の巨大な穴を掘る。

言い方が正しいかはわからない。

私がやるのはこのくらいの規模の四角い大穴が開いてると強く念じるだけだ。

大穴ができたらふたをするように天井を作り1階にアクセスできるように穴をあけて起き階段を設置する。

ひとまずここまで作ったら階段を上り下りして問題がない事を確認した。

階段下のスペースが開いているのが子供の頃から怖いので、頑丈な手すりに階段下は収納のような部屋にして階段下スペースを隠すようにした。

ここまでやって眠気を感じるかも検証してみたが、全く疲れはなかった。

小垣さんはミニチュアの家で時間かかっていたのになぜだろう?

それは後で考えることにして一気に建物を作っていく。

壁の中の配管を図面と照らし合わせて通していく。

壁、天井が出来上がるごとに配管を確認する。

通常の建築は柱、壁、屋根から内装になると思うが、魔法にそんなものは必要ない。

屋上まで全て作った後に気が付いた。

このでかさなのに一回に貯水タンク置いたら送るの無理じゃね?

というわけで、設計変更して屋根を設置するのをあきらめて陸屋根にした。


※陸屋根は防水加工した屋上のような屋根でスレートや瓦のような屋根ではないため三角

形になっていない。平らな屋根になる。


陸屋根に上がる為の階段を作成して巨大サイロのような貯水タンクを何基か作ると連結しておく。

ん?と思い一回外に出て離れて外観を見てみると、宮殿の尖塔のように見えなくもないが今更だった。


外観が完成して中の細かい調整やキッチン、洗面台等水回りをこだわっていく。

ここまでやってもキッチンにあるのが、『かまど』なのはいただけないが、現状では仕方がない。

排気ができるか心配な換気ファンのない外に排出する管を配置していく。

内装に関しては住む人が考えればいいので私は全く触る気がない。

ただ、トイレだけはきっちり作った。

ここまでやってようやく眠気がき始めた。


あっ、さすがにこれはヤバい。

頭がグワングワンする。

ふらふらになりつつ気力で部屋に戻りベッドに入ると意識が落ちた。

明日が楽しみな気持ちで寝るのはもったいなかったが抗えなかった。



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