七五三は11月の行事 〜結斗・美香編〜【安平学園物語】
久しぶりの投稿で、
だいぶ薄味の内容になったかもしれません。
その分優しいテイストになっていると思います。
ぜひお楽しみください。
(全文:1386字)
※簡単な人物紹介
☆小鳥遊結斗:美香の彼氏。低身長に悩む安平高校一年生。バスケ部。
☆鳳美香:唯斗の彼女。可愛いものが大好きな安平高校一年生。部活未所属。
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「ふっふっふ〜。どう、ゆいちゃん。七五三のわたしは〜」
「うん、可愛いと思うよ?」
「うんうん、そっかそっか〜」
僕が感想を述べると、嬉しそうに笑う美香さん。めちゃくちゃ可愛い。
11月は七五三があるらしい。ということで、お互いの七五三のときの写真を見ようという話になって、今に至る。
「ゆいちゃんも可愛いよ〜。でもなんか、頑張ってかっこよく顔を決めようとしてるのは、面白いねえ」
「僕は全然覚えてなかったけど、無意識にカッコイイポーズで写ろうとしてたみたいなんだよねぇ。母さんに昨日苦笑いされたよ」
昨日美香さんに見せるべく写真を探してて、母さんが持ってるものを借りるときに聞いた話だけど、まったく思い出せない。昔から顔立ちが中性的で、むしろ女の子に見えちゃうことが多かったから、無意識に男らしさを求めていたのかもしれない。
なんて思っていると。
「んふふ〜。ちょっと待っててね〜?」
「え、あ、うん」
唐突に美香さんが部屋から出ていった。お菓子でも取りにいったのかな、だったら一緒に行ったら良かったかな、とか考えていると、すぐに帰ってきた。そしてその姿はさきほどと打って変わって、
「じゃ〜ん! どうだ〜」
振り袖に着替えていた。手にはきちんと千歳飴まで持っていて、完全に七五三スタイルだった。
「すごく似合ってる、可愛いよ。もしかして今日は、これを見せたかったの?」
「昨日パパとママがね、『会社で部下たちから見せられたら、見たくなっちゃってな!』『明日写真撮らせてちょうだい!』って言われたんだあ。そのときゆいちゃんにも見せていい? って聞いたら、いいよって言ってくれたから〜」
びっくりしてくれた〜? と聞いてくる美香さんが可愛くて何も言えない。この際ツッコミどころはどうでもいい。「七五三って小さい子どもの行事だよね?」とか、「なんで振り袖があるの?」とか「そんな日に僕が来て良かったの?」とか、今はもうどうでもいい。とりあえず感謝。
「じゃあ、行こっか〜。下でパパとママが待ってるから〜」
「僕も見てていいの?」
写真撮影に参加出来るなんて。そう感激していると、美香さんは不意にこう言った。
「ゆいちゃんも写るんだよ?」
「……え?」
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「キャ〜!! 可愛い〜!!!!!!」
「結斗くんも決まってるぞ!」
「あ、ありがとうございます…」
パシャパシャパシャパシャパシャッ!
リビングで写真撮影を始めたパパとママ。大きなカメラも持ってきて、気合いがひしひし伝わってくる。相当喜んでもらえてるみたいで嬉しいな。
ここでチラッと横を見る。袴姿のゆいちゃんは、普段の可愛さそのままにカッコよさも加わって、とても良い。「せっかくだから、2人で写真を撮ろう」と言ってくれたパパには感謝しかない。もちろん、突然のとこなのにOKしてくれたゆいちゃんも。あとでお礼言わなくちゃ。
「……? どうかした?」
不思議そうに聞いてくるゆいちゃん。ちょっと見すぎだったかな。でも仕方ないよね。だってこんなに楽しいんだもん。
「楽しいね、ゆいちゃん」
「! ……そうだね」
この日、たくさん写真を撮ったわたしたちは、みんなずっと、笑顔が絶えないのでした。
読んでくださりありがとうございました。
今作は前半と後半の二部構成となっており、
その前半となっております。
『七五三は11月の行事 〜翼・まとい編〜【安平学園物語】』
も、よろしくお願いします(_ _*))