23.ステータスの確認してみました *
あの女王蜂、絶対エリアボスだ。
容子のレベルが、一気に跳ね上がった。
総勢534匹を相手によくぞ死ななかったな、私たち。
私は治癒する暇もなかったから、針に刺された時は、本気で痛かった。
傷だらけになっている私とは対照的に、サクラに治癒してもらっていた容子はピンピンしている。
憎し!!
これも運の差って奴なんだろうか?
「魔物除けの薬散布してるから、一度休憩を入れよう。今回の戦闘で、どれくらいレベルが上がったのか確認したいし」
「賛成! お茶とお菓子キボンヌ」
「ハイハイ」
私は、アイテムボックスから折り畳みテーブルと椅子を出して座った。
お茶請けは、近所のスーパーで買った桜餅だ。
小皿に分けて、緑茶をお供に食べ始める。
「容子の銃は、当たれば凶悪な武器だよ。絶対に、人に向かって打つの禁止! あれは危険すぎる。射撃スキルなしで打ちまくったから、弾の減りが異様に早かった。その武器で今後も戦うつもりなら、射撃スキルは取得して」
「はいな」
「よし、ステータス確認していくよ~。まずは、私のステータスからね。ステータスオープン」
---------STATUS---------
名前:ヒロコ(琴陵 宥子)
種族:人族[異世界人]
レベル:48
職業:魔物使い
年齢:18歳[25歳]
体力:152→160
魔力:260→312
筋力:90→101
防御:71→84
知能:118→132
速度:71→87
運 :1030→3570
■装備:黒のシャツ・パンツ・スニーカー・綿の鞄
■スキル:縁結び・契約∞・剣術2・索敵1[8]・[隠ぺい8]・[隠密8]・魔力操作2・初級魔法1(全属性)・生活魔法2・調合2・射撃2→4
■ギフト:全言語能力最適化・アイテムボックス共有化・鑑定・経験値倍化・成長促進
■称号:なし→蜂殺し
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命]
[■ボーナスポイント:10054pt]
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おお、軒並み上がっているじゃないか。
運の上がり方は異常なのが気になるが、スキルもポイントを使わずに上げる事ができるようだ。
ボーナスポイントが一万越えになっている。
サクラをパーティメンバーに加えて戦闘したからか、幸運の恩恵が大きく作用したように思える。
しかしと言うべきか、やっぱりと評するべきか。
アレは、エリアボスと判断して良いだろう。
そう考えた瞬間、冷や汗が穴と言う穴からブワッと噴出して身震いする。
「気を取り直して、容子の番だよ」
「オーキドキ! ステータスオープン♪」
---------STATUS---------
名前:未設定(琴陵 容子)
種族:人族
レベル:40
職業:社畜
年齢:25歳
体力:8→156
魔力:11→263
筋力:5→91
防御:6→78
知能:20→123
速度:1→53
運 :10→70
■装備:白のカットソー・黒のパンツ・スニーカー
■スキル:縁切り・料理4
■ギフト:[アイテムボックス共有化]
■称 号:宥子の従魔→宥子の従魔・蜂殺し
■加護:須佐之男命・櫛稲田姫命
■ボーナスポイント:14596pt
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一桁のレベルで不釣り合いなエリアボスを倒すと、レベルが上がるのも早いね。
「容子は、名前の未設定を変更しなよ。後、隠蔽スキル取ってポイントで7まで上げること」
「了解」
容子は、ステータス画面をポチポチと弄っている。
「キャラメイクではないけれども、どういう路線で今後ここで活動したいの?」
前衛なのか、後衛なのかをハッキリさせて貰わないと、私の立ち位置も変わってくる。
「う~ん、スキルより職業を変えたい! 変更しようとしても、どうにもロックが掛かっているんだよね」
「へー」
私は、最初から決まっていたので気にしなかったが。
容子は、職業が社畜になっているので変更したい気持ちは分かる。
「職業の変更か……。そう言えば、アーラマンユ教会が祝福の儀と成人の儀をしてるって言ってたよ」
「今その話題を出したって事は、二つの儀式に何か意味があると考えているんだね?」
「祝福の儀がスキルを授かり、成人の儀が職業を授かるんだって。そこから推測すると、神職系の職業を持つ者なら任意で職業を変える事が出来ると思う。勿論、適正のある職業に限られるだろうけれど。授けるよりは、ずっと簡単でしょう?」
私の言葉に、容子は確かにと頷く。
「職業の適性と熟練度が、職業に直結しているのなら、社畜になっても仕方がない。ああ、腹立たしい事に事実を受け入れざる得ないよ」
「容子としては、職業の事は一旦置いておいてだ。どんなスキルが欲しい? スキルと職業は、案外切っても切れないものかもしれないよ」
私の言葉に、容子は考え込んだ。
うんうんと唸っている様を見ながら、コーヒーを二度お代わりしたくらいの時間は過ぎて、やっと答えが出たようだ。
「生産系のスキルは、欲しいから鍛冶と加工かな。後、神聖魔法も使いたい」
「サクラが神聖魔法持ってるから、他の魔法にしたら? どうしても取得したいなら、聖魔法から! それとは別に、魔力操作・索敵・生活魔法・水魔法・隠蔽・隠密も取得しておいた方が何かと便利だ。行動が分断される可能性が無いとも言えないからね」
邪神の目を盗んで、裏技を使って日本とサイエスを行き来している。
邪神の目に留まれば、邪魔が入る可能性は高い。
「一足飛びに神聖魔法取得ならず! ……了解。聖魔法で妥協するわ。ステフリは、こっちでやってOK?」
「構わないけど、隠ぺいと隠密は最低7以上に設定しなさい」
「分かってるって」
浮かれ調子でポイントでスキルを取得し、割り振っている。
しかし、容子は神聖魔法に拘ったのだろうか。
サクラが回復特化に対抗して、神聖魔法を取得しようと考えた?
否、容子の事だ。
自分で職業を変更したいから、聖魔法にポイントを注ぎ込んだと考えればしっくりくる。
容子に聖属性の適正があるとは思えないが、当の本人はポイントを注ぎ込んで神聖魔法に派生させるつもりだろう。
容子が神職系に転職すれば、邪神絡みのイベントも少しは回避できるかもしれない。
二人で黙々ステータスを弄っていたら、あっという間に一時間も経過していた。
容子の変更後のステータスは、以下の通りだ。
---------STATUS---------
名前:マサコ(琴陵 容子)
種族:人族
レベル:40
職業:社畜
年齢:18歳[25歳]
体力:156
魔力:263
筋力:91
防御:78
知能:123
速度:53
運 :70
■装備:白のカットソー・黒のパンツ・スニーカー
■スキル:縁切り・料理4・鍛冶1・射撃2・聖魔法1・生活魔法1・水魔法1・索敵3・隠蔽2[7]・隠密[7]・魔力操作1
■ギフト:なし[アイテムボックス共有化]
■称 号:[宥子の従魔]・蜂殺し
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命]
[■ボーナスポイント:153pt]
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「攻撃系のスキルが、射撃なのはどうかと思うよ」
容子が、あーでもない、こーでもないと言いながら取得したスキルを見て微妙な顔になる。
完全に後衛で戦う気満々ではないか。
「私は、後ろであれこれ指示を出している方が性に合うから良いの」
と宣った。
「容子は、もっと派手な魔法を選ぶと思ったんだけどな」
「いずれ他の魔法も取得する。神聖魔法が使えるようになれば、復活や範囲治癒も行使出来る。回復担当のサクラちゃんの負担も減るでしょう」
「要は、サクラを戦闘に参加させたくなかったと。見た目は可愛い水饅頭だけどスライムだから! 防御力が紙装甲でも、あの戦闘で普通に生き延びれるだけの図太さはあるから気にし過ぎ」
そもそも、容子に聖属性の魔法適正があるとは思えない。
それを論じたところで無駄になるので、私はそれ以上は突っ込まなかった。
「サクラのステータスも確認しておこう。ステータスオープン」
---------STATUS---------
名前:サクラ
種族:ヒールスライム
レベル:53
年齢:0歳
体力:1→201
魔力:30→488
筋力:1→51
防御:1→33
知能:1→108
速度:1→259
幸運:100→1200
■スキル:聖属性魔法4・念話1
■ギフト:なし[アイテムボックス共有化]
■称号:宥子の従魔・癒しのマスコット
■加護:須佐之男命・櫛稲田姫命
[■ボーナスポイント:54871pt]
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「ぶふぉっ!」
思わず吹いてしまった。
私よりレベル高いうえに、いつの間にか加護がついているよ!
日本の神様有難う!
流石、幸運だけで生きてきただけはある。
幸運値が跳ね上がっとる。
でも、私の悪運には届かないけど。
ボーナスポイントも半端じゃない。
幸運様が良い仕事をしたんだろうね、きっと。
「サクラ、ステータスをちょっと弄るよ」
私の言葉に、サクラは身体を伸ばして多く〇を作った。
加護とボーナスポイントは隠しておこう。
「念話か。これは、意外と便利かも」
私自身もステータス画面を開いて、スキル一覧で念話を取得してみる。
念話は5ptで取得できるし、レベル1なら100ptで取れる。
「容子、念話っていうスキルがあるから取ってみて」
「密談には、丁度良いスキルだね。テレパシーみたいなものかな? うん、取れたよ」
容子のステータスに念話1があるのを確認して、実際に念話を使ってみることにした。
<容子・サクラ聞こえたら手を上げて>
サクラは触手を、容子は右手を上げて見せた。
成功したようだ。
「念話で話さないといけない時もあると思うから、時々念話で会話しようね」
<りょ>
<はぁい>
サクラは良い子だ。
それに比べて容子は、返事すらまともにしない。
私は無言で容子の頭にゲンコツを一つ落とした。
「痛い! 暴力反対」
「返事は、きちんとしましょう。さて、スキルの確認も出来たことだし、村を目指すよ! 後、容子。弾使い過ぎて、在庫が半分切ったから無駄打ちしないように」
ニッコリと笑みを浮かべて釘を刺すと、口を尖らせて言い訳を始めた。
「あれだけの敵を相手に戦って生きていた方が奇跡だよ。射撃スキルなしで戦い生き残った事を褒めるべきだと主張する!」
「私の時は、問答無用で鉄拳を喰らわせたのに都合が良い事で」
「……悪かったよ。ごめん。スキル補正の有りと無しでは、予想以上に差が開くとは思わなかった。今後は、弾の無駄遣いはしない。残弾数が、1/3切ったら自腹で弾を注文すると誓うよ」
「そこまで言うなら、弾の件はこれ以上何も言わない。心の準備は良いかい? 冒険の続きと行こうじゃないか」
私達は、ここから一番近い村まで向かって歩き始めた。