128.免許取得できませんでした
端的に言おう。
運転免許の試験に落ちました!
筆記は問題なかったが、実習がダメでした。
キヨちゃんが居ても、試験の神様は居なかった。
原付バイクで公道を走るのでさえ30キロ出せない人間が、車で30キロ以上出せるわけがない!
試験官に逆に危険と判断されて落とされた。
ちくせう。
試験に受かれなかったので、合宿費用は自腹になりました。
というか、自腹にされました。
落ちて帰って来た私に対する第一声が、
「合宿までして試験落ちるって、どんだけww」
と容子は語尾に草生やし、pgrまでしてくれた。
「人には得手・不得手があるの! 私が免許取れなくても、他の人が取れれば問題ないもん」
「負け惜しみワロス。落ちたお前は、合宿代は自腹な」
「ぐぐぐっ……」
受かるのが前提条件なので、自腹切るのは仕方がない。
仕方がないのは頭では理解しているのだが、容子の言い方が一々癪に障る。
「それで、留守の間問題行動起こしてないだろうね?」
「小さい諍いはあったが、特に問題になることはないかな」
「不届き者は、自衛団から警邏隊へ引き渡しを徹底させています。今のところ目立って大きな問題はありませんでした」
容子とアンナの二人から報告を受け、問題がなければ良しと満足していたら、アンナから人の名前が載ったリスト一覧を渡された。
「何、これ?」
「宥子様が不在時に、神社に訪れた人達の中で使えそうな人物をスカウトしておきました。二枚目は、指導の日程表です」
ざっと目を通しただけで百人以上はいる。
二枚目を見ると、みっちりと一日のスケジュールが記載されていた。
「ちょっ、これは無理でしょう。無理無理、私の身体が壊れる」
就寝以外殆どが実務・戦闘訓練になっている。
十時間の睡眠が、八時間まで削られている。
私が決済しなければならない書類整理などが、それとは別に追加されるのだ。
どこのブラック企業だよ!! と泣き叫びたくなった。
「眠気はリポピタンDで取って、体力回復はHPポーションでドーピングして下さい。宥子様なら出来ます」
うふふと笑みを浮かべているが、目が全然笑ってない。
ガチで本気で言っている。
周囲を見渡すが、誰一人目を合わしてくれる者がいなかった。
「……アンナに人生相談を任せるからじゃん。自業自得」
「Noooooo!!」
断じてそんなつもりで任せたわけじゃないのに!
何で裏目に出ちゃうんだ。
「もう、仮採用の通達出してます。明日から頑張って下さいね」
決定事項ですと、言わんばかりに言い切られてしまった。
勝手に仕事を取ってくるって、本当私の秘書は有能だ。
有能過ぎて涙が出てくるよ!!
「そんじゃ、宥子は合宿頑張って。私らは、合宿に行ってくる」
容子は、合宿という名のバカンスに旅立った。
その後姿が、滅茶苦茶眩しかったと記しておこう。
容子が戻る間、アンナが組んだ合宿の予定を粛々とこなす日々を過ごした。
紅唐白を引っ提げて、肩こりと腰痛に悩まされながらスパルタモードで行った。
別に、八つ当たりなんてしてないんだからねっ!
この時、参加した面々は後にCremaの中枢に配属されることとなる。