127.運転免許取得してきます
アンナ率いる第一班が、無事大型運転免許証を取得して帰還した。
「全員、合格しました」
「一発合格おめでとう。次は、容子の班だね」
「今、浄化作業が立て込んでいて忙しいから宥子の班が先に行って」
早速第二班を送り出そうとしたが、容子が仕事を理由に拒否ってきた。
うーん、予定組んじゃってるしなぁ。
教習所には、会社単位で参加の申し込みをしている。
受ける人数は変わらないので、日程の変更を受け付けてくれるだろうか。
拒否されたら、キャンセル料は容子に全部負担して貰おう。
「アンナ、私が戻るまでキヨちゃんの面倒見てくれない?」
「何で、そこは私じゃないのさ??」
意義有り、と文句を言う容子を一瞥する。
「だって、お前キヨちゃんにウザがられてるじゃん」
毎回雷を食らっても、紅唐白に頬擦りする馬鹿に預けるわけがなかろうが。
紅唐白は、嫌だとハッキリ態度で示してるのに、何故分からないんだ。
「そんな事ないもん!」
「いや、今まさに嫌がられてるじゃん。雷落とされてるし」
紅唐白はキューキュー言いながら、容子から逃れようと必死になっている。
私は容子から紅唐白引き剥がし、ポンポンと背中を軽く叩いたら落ち着いてくれた。
「キヨちゃん抱えながらは、免許取得するのは無理。アンナ、お世話お願いな」
「分かりました。紅唐白様、どうぞこちらへ」
アンナに渡そうとすると、キューッと鳴きながら足で服を掴んで離さない。
「キヨちゃん、服が破れるから離して」
嫌々する紅唐白に、頭を抱える私。
絶対に離れないぞという意思が伝わる。
服が伸びるのはお構いなしに引っ張ってくれる。
「生まれたばかりですから、一緒に居た方が良いと思います。紅唐白様も嫌がってますし」
マリーの言葉に、一同頷いている。
どうするかなぁ……。
「キヨちゃんには、隠密の取得して貰って一緒に合宿をこなすしかないか」
「私が面倒見て上げるのにぃぃい」
「お前は、キヨちゃん自身が拒否ってるから止めとけ」
これ以上嫌われたら、特大の雷を落としかねない。
今のところ人的被害は、容子と紅唐白にちょっかいを出した馬鹿に限るが、度を越したら物理的被害が出てしまうのは頂けない。
「キヨちゃん、大人しくしとくんやで?」
私の言葉に分かってるのか、分かってないのか、キューとひと鳴きし私の両太ももを陣取る。
抱っこして欲しいんだね。
大型犬並みの大きさだから、出来れば抱っこは遠慮したい。
地味に腰にくるのだ。
「第二班は、私と一緒に免許合宿に行きます。アンナ、容子が暴走しないように見張っておいて! 容子、留守中に面倒臭いこと起こすな。起こしたら、給与30%カットだから!!」
「何でやねん!」
「トラブルメーカーは、答えすんなし。面倒事は起こされたら、尻ぬぐいするのが面倒臭い」
こいつの所為で、何度尻ぬぐいさせられたか分からない。
釘は刺した。
これで問題起こしたら、本気で給与カットの刑だ。
「緊急連絡は、スマホにしてくれ。キャロルとルーシーは、引き続き実務頑張ってね。アンナは、庶民版の神社で私の代わりに人生相談しておくように。相談料は、銀貨1枚な」
「キャロルとルーシーは分かりますが、何故私が人生相談をするんですか?」
「ステータス鑑定に来た人の中から青田刈りしようと思って始めたら、何か人生相談になったから? 良い人材が居たら唾つけられるし、悪くはないでしょう」
「ああ、そういう事でしたか。了解です。やってみます」
「ありがとう。助かる」
この時、私はアンナが青田買いしまくりブートキャンプの日程まで組むとは予想もしていなかった。
後に、私は何であの時アンナに頼んだんだと猛烈に後悔する姿があった。