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琴陵姉妹の異世界日記  作者: もっけさん
ハルモニア王国 王都
130/152

126.何故か人生相談しています

 リサイクル品として出された貴族のお屋敷(いわくつき物件)を改装して、貴族版の神社設立することになった。

 容子(まさこ)を筆頭に、補助としてイーリンとジャックがお祓いに出払っている。

 最近、彼らも前衛ヒーラーになりつつあるのが怖い。

 小型マイクロフォンを装着した神薙の衣装に身を包み、祝詞を上げながら踊り狂う姿は異常だ。

 なんちゃって神楽舞とか無いわー。

 結構有名な心霊スポットらしく、ギャラリーが多かったのだとか。

 容子(まさこ)からの浄化終了のお知らせと、清掃要員を寄越してくれと念話が入った。

 私は、手の空いている大人子供を応援に送り出した。

 貴族街に児童施設を建てるのは、危ない気がするので完全に神社の分社にすると容子(まさこ)談。

 貴族版神社が出来るのなら、それに越したことはない。

 棲み分けが出来れば、要らぬ諍いも減る。

 棲み分け超大事!

 曰く付き物件や、曰く付きの物に対する浄霊の依頼が増えていると、容子(まさこ)に愚痴られた。

 それは、仕方がないことだ。

 あんな大人数のいる前で、悪霊・怨霊を一発昇天させて見せたのだ。

 良い宣伝になったと思ったが、口には出さないでおく。

 オカルト的な事で頼られるのは、分かっていたことだろうに。

 我が妹ながらツメが甘い。

 除霊レベルなら、スラム街に建てた神社の神職でも可能だ。

 浄霊レベルになると、イーリンやジャックが駆り出される。

 イーリン達でも無理なら、容子(まさこ)が出張る仕組みになっている。

 自分で自分の仕事を増やして阿呆だ。

 言ったらとばっちり食らうもん。

 仕事の大半は実務も経験の内とキャロルとルーシーに丸投げして、神社でまったりスカウト業に勤しんでます。

 容子(まさこ)が見出した宮司ベリックが指揮を執り、鑑定に来た人のステータスを細かくメモした和紙を渡している。

 基本は口頭説明だが、物的証拠があると良いよねという事で和紙に書き残すことにした。

 素養も確認出来るため、銀貨1枚で進路相談に乗るという事もし始めた。

 例えば、素養に剣士の卵とあれば剣術を極めることを薦めるとかだ。

 勿論そういうパターンは稀なので、その人のステータスを見て伸びしろがありそうな部分を強化した方が良いよ~的なアドバイスをしている。

 私が紅唐白(べにとうきよ)を連れて入り浸っているので、大抵私のところに来て相談しにくる。

 鑑定で一通り鑑定してから、アドバイスをしている状態。

 お忍びで来ている貴族もいるが、態度は変わらない。

 紅唐白(べにとうきよ)を膝に乗せて、背中を撫でながら鑑定された紙を渡されて、進路相談を受けている。

「努力次第でステータスが変わる。そこは、念頭に入れて聞くように。あなたの場合、知力と魔力が他よりも秀でている。魔導士になるか、付与師になると良いね。魔法の適正は無属性か。補助魔法に力を入れて勉強するのをお勧めする。五行属性じゃないから、派手な魔法は使えないけど、どの属性とも相性が良いから補助魔法を極めれば引く手あまたになる。就職で困るようなら、私のところで雇うから安心して勉強しなさい」

「ありがとう御座います!!」

 深々と頭を下げる青年は、銀貨1枚を紅唐白(べにとうきよ)の横に置いたお賽銭箱に入れて明るい顔で帰っていった。

「はい、次」

「お願いします」

「あなたは~……」

 こんな事を続けていると、人生相談までされ始めた。

 特に貴族から!

 跡を継げない次男以降の男ども、貧乏貴族令嬢からの就職希望者が殺到している。

 Crema(クリマ)で働く職種によっては、上級侍女や騎士よりも給与が高いらしい。

 基本給は低いが特別手当が付いてくる上に、しっかりとした休暇や安価で怪我や病気を治せるのがポイントらしく就職希望者が後を絶たない。

 一番人気は神職系の仕事。

 二番人気は、スラムの自衛団員。

 三番人気がCrema(クリマ)での売り子。

 どれも手堅く安定した高収入というのが、貴族階級でも魅力なんだそうな。

 どの職種もこれから全国展開するので、人手はあった方が良い。

 採用しても、第一関門の実習という名の地獄ブートキャンプが待っている。

 そこで残れなかった人は、無能のレッテルが貼られ解雇となるので皆必死である。

 今のところ、誰一人として落ちたことがない。

 容子(まさこ)から神職の素養がある者を回せと言われているし、アンナからは商人の素養がある者を採用して欲しいと言われる。

 折角、人に仕事を擦りつけ……ではなく、任せられるようになったのに!

 こうも忙しいのかと紅唐白(べにとうきよ)を撫でながら、今日も今日とて人生相談に勤しんでいた。

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