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琴陵姉妹の異世界日記  作者: もっけさん
ハルモニア王国 王都
128/152

124.国外出張します ★

「アンナ、暫くハルモニア王国を離れる。その間、悪いけどCrema(クリマ)の社長代理になって。勿論、手当は出すから」

 朝食の席で世間話をするように喋ったら、

「は? 行き成り何を言い出すんですか!? 折角、店が軌道に乗り始めたばかりなんですよ」

「一度軌道に乗ってしまえば、後は操縦を誤らなければ大丈夫。化粧品やポーション作りは後任が育っている。問題はない。不測の事態が起きたら、念話を使えば即戻れる。万事解決でしょう」

 ズズッと味噌汁を啜りながら、ちらりと容子(まさこ)を見た。

容子(まさこ)は、どうする? 神職系スキル持ちの人らをある程度育て終わたんだろう? 以前からドワーフの洞窟に行きたい言うてたし。その約束も果たさないとね。邪神討伐には、それ相応の装備が必要になるから。素材集めはやい方が良いに越したことは無い。各地に拠点(じたく)を購入しておけば、いつでも行き来できるで。各地に神社建て捲ったら面白い事が起こりそうじゃない?」

宥子(ひろこ)、マーライオン・アレルギーだもんな。マーライオンの威光と信仰心を潰しつつ、神社を立てて信仰を集める魂胆か。良いんじゃない? でも、ドワーフの洞窟ってどこにあるか分からんでしょうに。それは、どうすんの? この世界は、人間至上主義みたいだし。探すの苦労すると思うけど」

「そんなん、イスパハンに聞けば知っているでしょう」

 イスパハンに話を振ってみると、

「知っているが、案内となると難しいぞ」

と苦い顔で返された。

 まあ、そうだよね。

 土足で人の家に踏み込むような無礼者を放置する方がおかしいわ。

「人種差別が激しいこの世界で、行き成りドワーフの集落に押し掛けたら警戒されるわな。まあ、その辺りはイスパハンの交渉力に掛かっているとしてだ。無理ならサクッと諦めて、違うところに行けば良い。基本拠点は此処だけど、他にも拠点は沢山あった方が良い。一ヵ所潰れても、崩壊しない基盤をあっちこっちに作れば良いと思わん?」

 慈善事業と並行に、各地で神社建設や人員育成をすれば、それは楽しいことになりそうだ。

 神通力の源である信仰を奪えば、この手で邪神を嬲り殺すが出来るだろう。

 Crema(クリマ)だって作るつもりはなかった。

 ただ、資金がないと行動に制限が掛かるので始めたに過ぎない。

 その延長で慈善事業をしたり、神社を作ったりした。

 私の目的は、今も昔も変わってない。

 邪神を叩き潰す。

 一番手っ取り早いのは、天照大御神(異世界の神)の威光を世界中に浸透させること。

 今は私の行動が、邪神の異世界召喚を妨害していると天照大御神は言っていた。

 私のような被害者が、今のところ出ていないのは朗報だろう。

 私が、最後の勇者召喚者(笑)になるのか。

 良いね!

 勇者として、邪神アーラマンユを討伐して颯爽と地球に帰る。

 理想だわ。

 今年の抱負はそれだな!

「大体、人間至上主義ってのが気に食わん。他者と違いがあるのは当然だし、それを攻撃材料として正当化してるのが更に気に食わん! まあ、この国を出る前に各領を回って神社兼家を建てまくる。本格的な出国は、もっと先になると思うけど。アンナが、どうしても私に付いてきたいなら、早急に自分の後任を育てること。私の後任はアンナだからね!」

「アンナ、諦めろ。姉は、言い出したら聞かんぞ」

 容子(まさこ)の言葉に絶望するアンナ。

 ちょっと可哀そうかな……と思ったのは、ほんの束の間の事だった。

「分かりました。早急に、私の代わりを務められる者を探します!」

などと、寝言をほざいた。

 そんな短期間で優秀な人材が育つわけがないと高を括ってました。




 約束通り、アンナは自力で自分の後任を見つけてきた。

 何を隠そうキャロルとルーシーです。

 ルーシーは暗記が完全記憶へ、キャロルは暗算が演算へスキルが変化していた。

 そして商人のノウハウを叩き込み、二人で一人前と判断し、それぞれに社長代理補佐の肩書を手に入れました。

 私は任命してないのに、勝手に任命しちゃっていたよ。

「これで私も同行出来ますね!」

と良い笑顔で言われた時は、思わず眩暈がしたよ。

 立ち眩みで、一瞬貧血起こしかけたわ。

「あ…うん、ソウダネ」

 もう何も言うまいと、口を噤んだ私は偉い。

「アンナも加わるとなると、車で移動出来た方が良いね。大人組の日本国戸籍は久世(くせ)師匠経由で揃えて貰ったし、車の教習合宿に応募して免許を取ろう」

「免許があれば車買えるし、移動時間も短縮できるならありだね」

 容子(まさこ)も免許取得には、乗り気の様だ。

 長距離を大勢で移動するなら、ワンボックスカーに乗れたら楽になるだろう。

 大型免許を取って、バスを運転するのも憧れる。

「よし、大人組は日本に戻って車の免許取りに行く! チルドルとジャックは連絡係。サイエス(こっち)で何かあったら即連絡。スラムの若者たちが、警邏隊としてスラム街を巡回している。面倒なことは、早々起きないと思うけど二人なら大丈夫でしょう」

 憲兵は当てにならないので、警邏隊員の求人募集を掛けてみたら結構釣れた。

 規定人数より多くの応募があったので、実地訓練と称したブートキャンプを決行し、(ふるい)を掛けて残った六十名が警邏正隊員(私の私兵)になった。

 主にスラム街の治安維持のため、巡回及び荒事の解決をして貰っている。

 私や容子(まさこ)が目にかけている人(イコール)出世コースのエリート集団という構造が出来ているらしい。

 カウトする殆どが、一芸に秀でている者達なので灰汁が強い。

 それを纏めることが出来るアンナは凄いよ。

 お飾りトップの私とは大違いだよね。

容子(まさこ)、孤児院の事はどうするつもり?」

「リオンが、纏め役的な事をしているから無問題。何かあったら連絡するようにスマホ渡しておいた。あいつ、取説なしで一時間で使いこなしてたよ。ソーラーパネルの充電器も渡してあるし、多分大丈夫でしょう」

「何で勝手にスマホ渡しとるんじゃ! この世界では、スマホ自体が超文明なんですけど!!」

「別に良いじゃん。リオンは、私の下僕二号君だよ。リオンにスマホをどうこう出来る技術はない。それに構造を知らずに、スマホをバラしてもガラクタにしかならないでしょう。物を軽々しく扱う人間じゃないし、人間的に信頼できる」

 容子(まさこ)のドヤ顔の説明に、私はガックリと肩を落とした。

【進化したスキル】

ルーシー:暗記→完全記憶

キャロル:暗算→演算

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― 新着の感想 ―
[一言] >免許があれば車買える 車を購入するのに運転免許は必要は無いですし販売店も運転免許の有無の確認も提示もありません そして受け渡しの際も運転免許の有無の確認もされません なので車を買うだけな…
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