123.後任を育成します
天照大御神像を神社に設置するまでにひと悶着あった。
神社を管理する神職が足りない!
似非神主代行として容子を置いていたが、別の仕事もあるので、さぞ負担になっているだろう。
せめて、宮司・[[rb:禰宜 > ねぎ]]・巫女は欲しい。
容子に、スラムの住人の中に聖魔法の素養がある者を選出して神職の仕事の作法を教えてやれと強せ…
…げふんげふん、指導をお願いした。
スカウトから指導までマルッと、容子に丸投げしたが気にしない!
孤児院の隣に治癒院を併設して、治療活動をするため薬師になれる素養の者は、私自ら探した。
そちらは、私が指導したよ。
傍には、紅唐白がいるという異様な光景で、スパルタで教育を施した。
その合間に、護身術も身に着けて貰う必要もあると判断し、久々のブートキャンプを開催する。
スライムやゴブリンの生温い討伐なんかさせません。
初っ端からレベル30前後のモンスターを狩らせましたとも。
狩り方は、主に毒を使用した。
薬の種類や効果・効能、副作用に至るまで手近な魔物で実験を繰り返す。
私が壁役になり、モンスターの足をガチガチに固めて身動きを取れなくする。
見習い達が、離れた場所から本人達が作った毒薬を投擲させる。
どんな効果が現れるのか、効力はどれくらいかを肌身を持って体感して貰い、私が作った薬と比較する。
魔物に慣れてきたら、ショートソードを使っての攻撃方法を教える。
それを一週間続けたら、平均レベルが50台後半から60台前半まで上がった。
最初の頃は皆目が死んでいたが、最近は無表情でサクサク倒してくれるようになり成長を感じて嬉しくなる。
調合レベルも同時に上がってきているし、ゴロツキにあっても一人で対処出来るだろう。
脱落者の心配をしたが、杞憂に終わった。
根性があり、全員生き残ったのは嬉しい収穫だ。
この調子で、どんどん調合スキルを上げて薬師を取得して貰いたい。
そして、早く私を楽させてくれ。
スキルは料理・調合・戦闘の三つを重点的に上げた。
レベル上げをした連中が、炊き出し隊に参加できるようになったのは嬉しい誤算です。
神社を設立した事で、教会よりも鑑定も安く出来ると評判になり、日々神社は繁盛しているようだ。
邪心を持った者には、キッツイ天罰が喰らうので欲の亡者は今のところ蹴散らされているらしい。
流石、容子特製の像だね。
変な機能が盛り沢山だよ。
恐らくカルテットたちが、提案したのも採用されているんだろうな。
紅唐白を抱っこ紐で抱っこしながら、バッサバッサと書類の山を裁いていく。
Cremaの納品書や容子印のバングルの納品書。
新商品の宣伝にかかる費用や、売り上げの計上などの書類が山盛りある。
本気泣きたい。
デスクワーク辛い。
日本の会社の分はパンジー経由で拡張空間ホームのフォルダに入っている。
仕分け作業から始まり、書類に目を通してファイリングして戻すを繰り返している。
仕事に追われることが多いので、一番大きい部屋を執務室にしてソファーベッドを搬入させた。
本棚には、Cremaの書類関連が綺麗に整頓されている。
因みに、執務室に入れるのはパンジーとアンナのみと設定してある。
サイエスのCremaは、アンナに全権を譲る予定だ。
本人にはまだ知らせていないが、彼女なら上手くしてくれるだろう。
薬師の後任になる子も育成中だし、こちらも問題なければ化粧品やポーション作成を一任したい。
パンジーの差し入れに一息吐いていたら、ドォォオンッと大きな音がした。
その音を聞いて、嗚呼またかと思った。
最初は慌てて現場を見に行ったりしていたが、今では見に行くことすらしてない。
どうせ、不埒者がご神体の怒りを買ったのだろう。
殆どがアーラマンユ教か貴族・豪族の馬鹿なので、無様な姿になって追い出されていると思うと顔がにやける。
お守りの売れ行きも順調らしいし、良いことしたなーと轟音がなった神社を眺めた。