116.幼龍爆誕
クリスマス兼忘年会パーティーが大成功を収めた翌日、産まれました!!
何がって?
そりゃ、卵が孵ったんだよ。
生まれたのは、正真正銘の龍だった。
ドランゴンじゃないんだ。
龍なんだよ。
ちゃんと宝玉も持っていたし、逆鱗も確認した。
キューと鳴きながら、私のお腹の上に乗るのは止めてくれ。
君、大型犬並みに重いのよ。
腰痛持ちの私の腰が、粉砕されてしまう。
おばちゃんの腰は、脆いのです。
崩壊寸前でヤバいから!
幼児を一人腹に乗せてるみたいな重さだ。
名前は、紅唐白ちゃんです。
通称キヨちゃん。
白龍なんだが、逆鱗が紅唐桟の織物の色のような黄みがかった渋い赤色だったのでピッタリな名前だと自画自賛している。
目は紅なのは、うちの蛇達と一緒だね。
「まずは、ステータスチェック。丸裸にしますよ~♪ ステータスオープ~ン♡」
---------STATUS---------
名前:紅唐白
種族:龍神(幼体/オス)
レベル:0
年齢:0歳
体力:20000
魔力:80000
筋力:100
防御:10
知能:100
速度:5
運 :100000
■装備:なし
■スキル:雷∞・雨ごい∞・豪雨∞・干ばつ∞・浮遊∞
■ギフト:雷雲操作・豪運・拡張空間ホーム
■称号:天照大御神の神使見習い・宥子の息子
■加護:天照大御神
■pt統合
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「ブフォォッ!!」
ちょっ、待っ……待ってぇぇえい!
何か凄いもんが見えた気がする。
ごしごしと目をこすり二度見したが、表示されているステータスは変わらない。
「Oh…Jesus…、私の子になっている。君、男の子だったのね」
「キュー」
ベシベシと尻尾で太ももを叩くのは止めてくれ。
無駄に痛いです。
防御と速度はカスなのに、それ以外が凄すぎてママンはビックリたんだよ。
取敢えず、紅唐白のお披露目をしにいこう。
「皆のところに行くから付いてきてくれるかな?」
紅唐白を腹から退かして立とうとするが、ゴスッと腹に頭突きを食らわされ引っくり返った。
ガンッと床に頭を打ち付けた。
床がフカフカの絨毯じゃなかったら、たんこぶ作っていたわ。
「キヨちゃん、浮遊能力があるでしょう。浮いて付いてきて頂戴。私の細腕では、キヨちゃんを抱っこ出来ないのだよ」
嘘です。
出来ます。
が! 腰に負担がかかるので抱っこしたくないでござる。
私の言葉が理解できないのか、それとも自力で動くのが嫌なのか腹に陣取る紅唐白に、私は何度も言い聞かせて退かす作業を二十分間続け、根負けした紅唐白はやっと浮遊してくれた。
こんなに人の話を聞かないって、私の影響受け過ぎじゃね?
生気吸い取っていたが、変なところまで似なくて良いのにと心底思った。
紅唐白を引き連れてリビングに行くと、既に朝食を食べている面々と出くわした。
「ヒロコ様、遅かったですね」
「今朝、卵が孵化したんだよ」
アンナに指摘され、孵化したばかりの紅唐白を見せたら容子が発狂した。
「ギャァァアア! むっちゃ可愛いぃ♡」
はぁはぁと変態じみた息遣いをしながらジリジリと紅唐白に近付こうとして、身の危険を感じたのか容子に向かって雷を落としている。
ピシャーンッピシャーンと容赦が無い。
「ギャーッ!! いた…痛いっ…。可愛い見た目に反して、むっちゃ狂暴ですやん」
「その子は天照大御神様の神使見習いで、私の息子たんなのですよ。容子は、馴れ馴れしすぎ。はあはあ言いながらにじり寄れば、キヨちゃんが怖がるでしょう。名前は、紅唐白です。キヨちゃんと呼んであげてめ」
容子は、雷に打たれながらも紅唐白を抱きしめて頬をこすり付けている。
紅唐白は、物凄く嫌がっていた。
コンマ0.1秒で状況を判断し、私はハリセンを振りかぶり容子の脳天に落とた。
容子からギャフッと汚い声が聞こえたが無視して、紅唐白を救出する。
「さっきも言ったけど、この子は神様からの預かりものです。粗相せんように。後、容子うざいからキヨちゃんに近付くの止めろ」
お触り禁止と云い渡せば、容子は足から崩れ落ちて床を叩いて嘆いている。
「私も日本に帰れば良かった!! そしたら紅唐白ちゃんは、私の子になったかもしれないのにぃ」
と、阿呆なことを言い出す。
「いや、それは無い。大体、お前は神託スキル持ってないじゃん」
「それは、宥子が取らせてくれなかったからやろう」
「私は、元から持ってたわ。大体、必要なスキルは随時取得させているでしょうが。お前、一応神聖魔法の使い手やぞ。自力で神託取得しろ、前衛ポンコツヒーラー」
もう黙っていろと、二度目のハリセンを振り下ろして席に着く。
私の膝の上に紅唐白が座る。
パンジーが、すかさず朝食を出してくれた。
本当に出来るメイドだ。
流石、メイドの中のメイドだ。
「キヨちゃんのご飯は、これな」
天照大御神から預かった壺を取出し、蓋を開けてみると水あめっぽい感じの物が入っていた。
それをひと掬いし、紅唐白の口元に持っていくとパクッと食いつきしゃぶっている。
その間に、私も朝食に手を付けた。
膝の上に紅唐白を乗せるのは重いが、幼児を膝に乗せていると思うことにした。
「は~、神様の使いを使役するなんて流石ヒロコ様ですね」
イーリンの羨望の眼差しに、私は肩を竦めた。
「使役じゃなく預かっているだけだから。信仰心が深ければ、声くらいは聞こえると思う。イーリンには、伸びしろがあるから自力で取得出来るでしょう。容子よりは……言わずもがなだな」
聖女候補だから、もしかしたら太陽信仰の聖女として立つ日も近い。
容子には言わないが、あれは支援魔法系の才能がない。
にも拘わらず、サポート職を選ぶ馬鹿だ。
前衛聖職者だし、仮に神託を取得しても待てど暮らせど神託は下らない気がする。
神様から無視される未来が見える。
「キヨちゃんも、皆と仲良くすること。悪漢と容子は良いけど、容子以外に雷落としたらダメ」
死にはしないが、怪我をするのは間違いない。
容子に釘を刺しておくには越したことはない。
本人が、それを理解しているかは別だが。
「新しい仲間も加わったことだし、新年はパ~っとやろう!」
盛大にお祝いする宣言すると、アンナは金勘定に走り、容子はどんな企画にしようかとイスパハン達と騒いでいる。
こうして紅唐白のお披露目は終わった。