103.久々の一人旅
キーキーと喚く乞食チームを振り切り、さっさと城門の外に出た。
全速力で一時間ほど走ったら、汗だくになった。
本当人間離れしているよね!
今の私の身体能力を考えたら、日本に戻ればオリンピックで世界一を取れる気がする。
やらないけど。
汗だくなので、索敵で周囲に人が居ないのを確認してから日本の自宅へ戻りシャワーを浴びた。
シャワーを浴び終えて、汚れた服を洗濯機に放り込んで回す。
無駄に疲れたので、洗濯物が洗いあがるまで一服することにした。
「ビール飲みたいけど、我慢だなー」
飲酒運転はしない主義だ。
どうせ飲んでも轢くのは魔物だし、飲んでも支障はないが、万が一人を轢いたらシャレにならない。
冷蔵庫を漁るが、案の定何もない。
サイエスの行き来が出来るようになってから、容子は冷凍の作り置きも極力していないようだ。
せめて冷凍食品買って備蓄しておいてくれても良いのに……とは本人の前で言わないでおく。
言ったら最後、嫌がらせ飯確定である。
「私が作ると物体Xになるからなぁ。コンビニで何か買うか」
ウエストポーチに雑誌の付録で付いてきたミニ財布と鍵を入れて裏口から出た。
五階から一階まで階段を使わないといけないのが辛い。
玄関口のエレベーターは、サイエスに直通しているので使えないのが難点だ。
一階まで下りて外に出ると、一階のCrema一号店は結構な賑わいをみせていた。
客の入りも上々で、私はホクホク顔だ。
店に顔を出そうかとも考えたが、現場を混乱させる可能性もあるので止めた。
社長が突然顔を出したら、それはそれで社員も緊張するだろう。
遠目で見ながら、近くのコンビニへジュースとお菓子を買いに行った。
コンビニが徒歩一分圏内にあるのは便利だよね!
私だけ購入したら、祀っているヘビ様が五月蠅いのでヘビ様の分も購入して帰宅した。
キンキンに冷えたメロンソーダとキャラメルコーン。
いかにも体に悪そうな飲み物だが、時々無性に飲みたくなるんだよねー。
本当に不思議だ。
屋上に行って、ヘビ様のお社の前に購入したメロンソーダとキャラメルコーンの袋を置いてみた。
いつもご飯とお酒なんだから、今日くらいはお菓子とジュースでも罰はあたらないだろう。
「ヘビ様、お納めください」
二礼二拍手一礼して、るんるん気分で部屋に戻り酒盛りの代わりにジュース盛りをしてみた。
酔いはしないが、これはこれで良い。
スマートフォンのゲームをピコピコしながら、ジュースとお菓子を堪能できる時間は至福だ。
まったりしているところ、いきなり背筋に寒気がした。
「うぉっ!? 誰かが私の噂でもしてるのか?」
くしゃみじゃないところが怖い。
「サボリじゃないやい。これは休憩だ!」
誰に言うわけでもなく、正当化させる為にも自分に言い聞かせるように『休憩』と連呼する。
お菓子がなくなる頃に、洗濯物が終わったようだ。
風呂場に設置した室内乾燥用のポールに洗濯物を掛けていく。
一人分なので十分も掛からなかった。
「戻りたくないなぁ~」
ゴロゴロしていたいが、そんなことも言ってられない。
重い腰を上げて、容子が作ってくれたコートを着てサイエスへと戻った。
原付バイクで魔物を轢き殺しつつ、ドロップアイテムを回収しながら始まりの町へと向かった。
流石に一日で着ける距離ではなかったので、途中でワイルドコッコーの住処を襲撃して中継点として活用させて貰った。
拡張空間ホームの私専用フォルダーが凄いことになっているが気にしなーい。
容子が作った耳飾りが、良い仕事をしてくれているよ。
今までの私なら、手持ちのアイテム全部使いきってたと思うくらいボス級の魔物とエンカウントしまくっていただろう。
随分減ったが、それでもエンカウントする確率は他の誰かよりも多いと自負している。
帰ったら、容子に狩った素材で何か作って貰おう。
虫よけと魔よけの薬を散布して、野営の準備をした。
この調子でいけば、明日の昼頃にははじまりの町に着くだろう。
「今日は、早く寝るべ」
捌いた魔物の肉を火で炙って食事を済まし、歯磨きを済ませてサクッと眠りについた。




