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琴陵姉妹の異世界日記  作者: もっけさん
ハルモニア王国 王都
100/152

97.新たな下僕が出来ました

 面接しつつ、工事の調整に日々忙しく齷齪(あくせく)働いている。

 容子(まさこ)は、美容部員育成に乗り出していた。

 名付けて『Beauty部隊』である。

 ダサいネーミングだとは、口が裂けても言えなかった。

 構成員は、イザベラ、ルーシー、キャロル、マリー、レナ、イーリン、ヘレンの七名である。

 イザベラの化粧は才能なしと中間報告を受けたので、早々に戦力外通知を叩きつけた。

 しかし、容子(まさこ)は諦めなかった。

 彼女がコスプレにハマったのをチャンスと捉え、〇〇風メイクと言えば完璧に仕上げる腕を披露した。

 これは、棚から牡丹餅が落っこちて来た衝撃を受けた。

 洗髪とヘッドマッサージしか取り柄がないと思ったのに、やれば出来る子だったのね!

 感動して、ちょっぴり涙が出たよ。

 Beauty部隊あらためコスメ部隊は、Your Tubeで日本のメイク術を習得しメキメキと技を磨いている。

 そんなコスメ部隊に対し、容子(まさこ)が新しい制服を作成していた。

 しかも可愛い!!

 クレクレしたら一瞥からの無視を決め込まれ、市場調査の視察と称してイーリンを連れて外出されたが、諦める私ではない!

 服飾部門の採用権(一部)をぶら下げて、制服を強奪しましたとも。

 市場調査から戻ってきた容子(まさこ)の鞄から出てきた白蛇の赤ちゃんに、私は思わずテンションが上がった。

 そう、可愛かったのだ!!

 赤白や紅白よりも小さい蛇ちゃんだ。

「キャァァアアッ♡ 何よ、この可愛い子ちゃん!」

「市場調査してた時に拾った」

 鑑定すると青大将と出た。

 アルビノの青大将とは、また珍しいものを拾って来たものだ。

「紅白が、家に来た時くらいの大きさだねぇ。スベスベしてテラ可愛ゆす♡」

「あんまり構ったら嫌がるから止めとけ」

容子(まさこ)に止められた。

 思わずハッスルして頬擦りしちまったぜ。

「名前は?」

「うん、白に朱色と書いて白朱(はくしゅ)ちゃん」

「珍しくまともな名前だね。蛇達の名前に関連して、同じ赤と白かぁ~。容子(まさこ)にしては、マシなネーミングだと思うよ」

 グッと親指を立てて褒めたのに、ハリセンで頬を打たれた。

 それも思いっきり。

 ハリセンの軌道と同じ方向に、ゴロゴロと回転して壁に激突した。

「何すんのさ!! 褒めたったのに!」

「どこがだ! 全然褒めてないわっ。寧ろ貶してるだろうがっ。私のネーミングセンスが悪いって言うんか!?」

 え? 自覚無かったの?

「縁起でもない名前を付けようとしたりするし。野良猫に納豆とか付けたりする奴に言われたくない」

 過去の所業を振り返って導き出される答えが、壊滅的なネーミングセンスだということだけだ。

「納豆が好きな猫だったから、納豆って呼んだけだもん! 私は、ネーミングセンス悪くない!!」

 ネーミングセンスがある(自称)と主張されても、過去の名付けは消えないのだよ。

「ハイハイ、ワロスワロス。で、白朱ちゃんも契約(テイム)するよ」

「私が拾ったのにぃ! 赤白ちゃんも紅白ちゃんも私のなのに! 何でもかんでも契約(テイム)すんな。馬鹿ぁぁ」

 誰がお前のだ!

 世話の一つもしない無責任野郎が、言っていい言葉じゃない。

「じゃかあしい。琴陵(ことおか)家のルールは私! お前に権限はない。それに、契約(テイム)しなかったら念話が使えないでしょう。どうやって意思疎通を図る気だ」

「くっ……確かに」

 私の言葉に渋々ながら頷いた。

「んじゃ、契約(テイム)するよ~。ステータスオープン」

 契約(テイム)しますかの表示にYESを選択し、名前をタップして白朱(はくしゅ)と入力する。

 両手に収まる白朱(はくしゅ)のスータスを見ると、幸運と速度以外はしょぼかった。


 ---------STATUS---------

名前:白朱(はくしゅ)

種族:蛇/アルビノのアオダイショウ(幼体)

レベル:1

年齢:0歳

体力:1

魔力:1

筋力:10

知能:15

速度:281

幸運:3872

■スキル:丸飲み1・絞め殺し1

■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化]

■称号:宥子(ひろこ)の従魔・癒しのマスコット

■加護:須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命

■pt統合

-------------------------------


 やっぱり赤ちゃんなのね。

 念話1を取らせてみた。

白朱(はくしゅ)ちゃん、分かるかな? これから宜しくね~」

 白朱(はくしゅ)に声を掛けると、チロチロと舌を出しみょーんと体を延ばして頭を上下に振っている。

 一応、私の言葉は理解出来ているようだが、白朱(はくしゅ)からは何も聞こえてこない。

 これは、楽白と同じと考えるべきか。

 何はともあれ、無事契約(テイム)で来たので良しとしよう。

白朱(はくしゅ)の面倒は、誰かに見て貰おう……」

 私も容子(まさこ)も仕事があるし、アンナも新人教育の真っただ中だ。

 他の連中もそれぞれ仕事をして貰っているし、う~ん。

 そうこう悩んでいたら、

<わいらが面倒みたるで~>

<サクラも面倒みるですの~>

 いつの間に現れたのかカルテットが、白朱(はくしゅ)に絡みだしている。

 カルテットに面倒みさせたら、それこそ性格がデンジャラスになりそうなんだけど……。

容子(まさこ)、どう思う?」

「ちょっと……いや、大分心配だけど面倒見る人が居ないからなぁ。任せてみたらどう? 逐一報告する条件で面倒見させよう。楽白の情操教育にもなるし」

と何とも楽観的な返事をされた。

 カルテットのような破天荒っぷりな性格にはならないで欲しいが、人でも居ないので任せするしかないか。

「じゃあ、カルテットに白朱(はくしゅ)ちゃんを任せるよ。ちゃんと面倒見てね」

<おう、任せとき>

<ちゃんと一人前の蛇にしたるわ>

<サクラもお世話するですの~>

 各々自信満々にお世話を安請け合いしている。

 キシャーキシャーと鳴きながら、変な踊りを披露している楽白を見て、後輩が出来て嬉しいんだねと心の中で思った。

 白朱をカルテットに預けて、仕事だと思考を切り替える。

 暴走集団カルテットからクインテットに変わるのは、そう時間は掛からなかったと後に容子(まさこ)が泣きながら語った。

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[気になる点] ≪97.新たな下僕が出来ました≫ 名前:白朱はくしゅ 種族:蛇/アルビノのアオダイショウ(幼体) レベル:1 年齢:0歳 体力:1 魔力:1 筋力:10 知能:15 速度:281 幸…
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