終わりと始まり
初めまして、吉川と言います。
拙い文章かもしれませんが読んでいただければ幸いです。
2.3日に一度は更新できるよう務めていきます。
俺、火浦耀は異世界に転生して約5分で死んだ。
~30分ほど前~
うぅ…頭が痛い…。朦朧とする意識が少しづつ覚醒していく。
ゆっくりと目を覚ますとそこは真っ暗でただ何も無い場所だった。
普通真っ暗だと何も無いかどうかも分からないのだか本能的にここには何も無いのだと分かってしまうような、そんな空間に俺はいた。
「ここは何処だ?さっきまで俺は…」
ウッ…頭痛と共に意識が途絶える前の記憶が蘇る。
確か仕事をしていてそれで急に目眩に襲われて倒れたんだった…
俺は世間一般で言うところの社畜であり、ブラック企業に囚われたサラリーマンだった。
上司からのパワハラ、残業代のでない残業の毎日。
こんな会社辞めてやると辞表を持っていくと、会社の顧問弁護士に、お前が抜けて出る損害がどうとか、辞めるなら賠償金を払う事になるなどと訳の分からないことを言ってきた。
冷静に考えるとそんなこと許されるはずもないのだが、当時からだいぶ参っていた俺は相手が弁護士だということもあり、引き下がるしかなかった。
そうしているうちに連勤が2ヶ月を過ぎ、今月4度目の三徹に入った俺はとうとうぶっ倒れたわけだ。
「ここは死後の世界?俺は過労死でもしたのか…」
意識は既にハッキリとしておりここが夢ではないことはわかる。
分かってしまうと死んだかもしれないという推測はより確信へとなってしまった。
俺が死んだことでせめてあのクソ会社が問題になってしまえばいいなぁ…
そんなことを考えていると何も無かった空間に光が現れた。
「目が覚めましたか?」
ポツンと浮かぶ小さな光。その光からハッキリと声が聞こえた。
え?光って喋んの?なにこれ?
「疑問に思われるのは当然でしょう。私はあなた方の世界で言われるところの神にあたる存在です。名をウルと言います。」
思考を読まれただと!?自称神様が目の前に現れるこの展開、最近流行りの異世界転生なのか?
確かに過労死と言えば異世界転生三大死因の1つである。ちなみに残りの2つは交通事故と隕石激突だ(俺調べ)
ウル「自称とは失礼ですね。まあしかしあなた方考えてる通りですよ。火浦耀。」
耀「え?!まじ?転生できるの?」
数少ない俺の趣味であった読書。その中でもラノベ系統の本を読むことが多かった俺にとっては奇跡のような話だ。神!実在したのか!あ、目の前に居ました。
ウル「転生と言えば聞こえはいいですが、そこまで便利なものではありませんよ。転生する世界、種族、与えられる能力、容姿、全てランダムで決まります。生まれ変わりと違い記憶が引き継がれるということが最大のメリットですね。」
そんな…チート特典がないだと…
神は死んだ…
いや、目の前で光ってます。はい。
ウル「転生は死んだ人間からランダムに選ばれた者に与えられる権利です。行使するもしないも自由ですがどうされますか?」
どうする?と聞かされても死んでいる俺に選択肢などなかった。それにランダムということは当たりを引けば大儲けだ。
耀「やります。転生させてください。」
ウル「はい!かしこまりました!」
そういうとウルの横には大きなルーレットのような物があらわれた。
よく見るとそこには色々な種族や能力が書かれていた。おそらく転生先である世界を決めるルーレットは知らない名前しかないので気にするのはやめよう。
しかしほんとに色々な種族がある。
当たりはやはり人やエルフ、ドワーフあたりだろうか。妖精やドラゴンといった種族を興味をそそられる。できれば昆虫や魔物類は勘弁して欲しい…
ウル「では行きますよ?」
そういうとルーレットが回りだす。
俺は目を瞑りひたすら祈る。
デン!という音がした。
ウル「大当たりですよ!あなた方は本当に運がいい。
」
俺はゆっくり目を開けてルーレットを確認する。
世界アバン、種族人、能力火魔法特大
耀「よっしゃぁああああ!!!!」
人生で1番大きな声がでた思う。死んでるけど。
世界は分からんがこれは大当たりだろう。
ウル「こんなに運がいい人は久しぶりですよ。前回の方はスライムでしたから。スライムと言えば最弱の魔物とされる世界が多いはずですけど、なぜか大喜びでしたねぇ。転生してすぐに冒険者に殺されていましたけど。」
耀「…ハハハ」
渇いた笑いがでた。実は魔物系ならスライムはチートになれる可能性があると思っていたからだ。
現実はラノベのようにはいかないということを肝に銘じておこう。
ウル「この結果なら間違いなく次の世界でも上手くやっていけますよ。そうそう死ぬことなどないでしょう。神様のお墨付きです。」
神様にそう言われると流石に安心する。
ウル「では、早速新しい世界に転生していただきます。火浦耀、あなたの次の人生がより良いものであらんことを…」
その言葉と同時に俺の視界は光に覆われた。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
次回は明日中に更新できると思いますのでよろしくお願いします。