第85話「強さとは何かと聞かれたら『金』だと答えるのが元勇者」
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◇
「言いたい事はそれだけですか? せんぱ~い?」
朝から俺はイケメンだけが許されるという首を痛めてるポーズを取りながら目の前の三年を煽っていた。ちなみに俺だけ立たされている。
「ふっざけんな!! バカにしやがって陰キャハーレム野郎が!!」
どうやら本当に俺の扱いが陰キャハーレム野郎になったみたいだ。そもそも先輩たちって本当のハーレムって知ってるのかな。本物の後宮とか見たこと無いエアプのくせにと思いながら見下ろした。
「ど~も、すいませ~ん」
「先輩見下ろしてんじゃねえ!!」
「立てって言ったの先輩たちですから、てか五分前の自分の発言をお忘れですか? もしかして若年性健忘症ですか? いい病院紹介しますよ~?」
自分の頭をツンツンと示すと掴みかかって来たのが男子じゃなくて女子の先輩だったのは驚いたが軽く手首を捻り上げて床に叩きつける。
「なっ、何でっ!? 弟の方は姉と違って陰キャ無能なはずじゃ……」
「ほう、それが私と私の弟に対する評価か? 言ってくれるじゃないか野村」
「いっ、いや誰も秋山さんの事は――――「なら私の弟を馬鹿にするのは止めてもらおう。ちなみに私はそのハーレム要員でメインが私だ!!」
椅子から立ち上がってエリ姉さんがトチ狂ったことを言い出したから今日一で俺は動揺した。
「エリ姉さん!! サラッとハーレムを公式化しないでね!?」
「もう諦めて秋山くん。絵梨花はこうなると止まらないから」
黒幕会長が言うのを見て俺は思い出していた。エリ姉さんと会長って中学からの同級生で親友みたいな間柄だ。百合賀と禁断な恋をしたり俺へのイジメ情報を封鎖してたりとかのイメージが先行してて忘れてた。
「それより今は秋山に対する質問の解答だ!!」
「そうだそうだ!!」
「はぁ、秋山説明してやれ」
そして面倒くさそうに百合賀が言うから俺は奴らの無意味な質問に答えてやる事にして口を開いた。
「質問は三つ、一点目、うちのクラスだけ豪華な物が多いこと、二点目許可が通らなかったはずの物が通った件、最後が黒服がいる件ですね?」
「そうだ不平等だ!!」
黒幕会長の言い分に文句を言う三年の先輩の有象無象を見て俺は考えた。どうやったら一番煽れるかと。
「まず最初のことは申請が通ったからとしか言えませんね。二点目も同じ、最後は当たり前でしょ?」
「何が当たり前なんだ!?」
「先輩、少しは頭使って考えて下さい。それは黒服の人が必要な事態になると思ったからですよ」
分からないかな、それとも理解出来てないのか単純に頭が悪いのかな?
「必要な事態ってのは昨日、榊たちが乗り込んだことか!?」
「いいえ。先輩Aは俺が対処出来たんで、え~と四組の先輩なら分かってますよね? 昨晩の零時過ぎにうちのクラスへの侵入者と連絡付きました?」
そう言うとドアが開いてミスターKたちに簀巻きに猿ぐつわまで嚙まされた男子生徒三人組が教室内に投げ込まれた。
「ハンマーなどの凶器を持っていましたので危険と判断し拘束しました」
「ありがとうミスターKあとはこちらで。と、いう訳なんですけど……まだ説明が必要ですか?」
俺がミスターKに頷いて猿ぐつわの三人組を踏ん付けて先輩を見る。すると向こうは青筋を立てて騒ぎ出す。
「ぐっ、クソがっ!! ズルいじゃないか!! おかしいだろ!!」
「ズルいって、せんぱぁ~い。これは全部正当な行いですよ? 暴力で訴えてくる相手に備えただけ、食材も許可も正規のルートですし」
「そっ、そんなバカな!! 詳しくは知らないけど食材だけで数十万いやもっと、そんな金どこから……」
「俺のポケットマネーで~す。そして許可なんですけど特別なんです。こっちは一応は法人用の許可を貰ったんで」
文化祭用とは違う許可だから当たり前だが子供のお遊び、思い出作りとはわけが違う法人出店とかいう学生相手に余りにもチートな方法だ。
「ほ、法人用って何だよそれっ!? 聞いてない!!」
「うちの高校は寄付で成り立ってるとこも多いらしいんすよ。だから協賛企業なんかを招待するだけじゃなくて出店するとかいう頭おかしい制度も有る」
実際に調べて驚いたのは企業がうちの高校に寄付とかしていた事だ。そして二学期が始まってからこの高校に急激に寄付が増えたのだ。
「頭おかしいとか言うな快利。大事なスポンサーなのだから」
「そんで今学期から寄付が一番多い企業は秋山総合商事……つまり俺の大叔父さんの会社らしいんで」
俺が元勇者で夏休みに大活躍したから親父と母さんは心配になったからと高校を少しでも黙らせるためにと多額の寄付をしていたのだ。
「はっ、はぁ!? でも、えぇ~?」
「分かりやすく言うと金で全部解決しました」
「じゃ、じゃあ全部正当なもの……なの?」
「はい。正当な金の力です。ズルでも何でもありませんけど?」
これで完全に黙ったので俺は簀巻きの三人を蹴り飛ばして解放してやるとニヤリと笑って言い放った。俺は異世界から戻って来て勇者の力以外にも色々な力が有ると学んだ。その中の一つが金の力だ。
「こっ、こんなの間違ってる!! こんな金持ちが勝つなんて、不平等だ!! こんなのおかしい!!」
「おかしくも何もない昔から古今東西、金の力は偉大なんです先輩、少しはお勉強になりましたか?」
「正義は無いのかよ……神様はいないの!?」
正義と言われた瞬間に俺は鼻で笑った。正義なんて曖昧な物は神ですら厄介者扱いするし利用価値がある時だけしか使わない。
「普段祈らない癖にこういう時だけ祈る人って多いですよね? あと神様も賽銭くれる方のお願い叶えてくれると思いますよ? 地獄の沙汰も金次第って言うしね?」
「あっ、ああ……そんな俺たちの文化祭がこんな奴にぃ……」
「どうしたんですか~? 楽しい楽しい思い出たっくさん作りましょ?」
そして余裕の足取りでさり気なく生徒会室を出ると後の処理をエリ姉さん達に押し付けてダッシュで逃げ出した。こいつらの相手が面倒なのも有るけど一番は朝の仕込みがまだ終わってないんだ。
◇
「それにしても今日メイド隊少なくね?」
教室に戻って俺が思った最初の感想はこれだった。ただでさえ少ない我がクラスがさらに減ったから気付くのは当然だ。
「それなんだけどさ秋山くん。昨日の貧血で倒れた子がその……」
そこで話を聞くと今日は大事を取って休みたいと連絡が来たそうだ。グループ通知すら来てないから相当重い日なのだろうと察した。
「ありがと、それと他の二人も同じで……貧血が原因で」
つまりメイド隊が三名も欠席か明らかにメイドの絶対数が足りない。
「快利兄さん!! 三交代を二交代にして私が最前線に出れば問題有りません!!」
「でもメイド長ばかりに任せるわけには――――」
「ふっ、これでも伊達に王宮でメイドをして来たわけではありません。多少のことは根性で乗り切ります!!」
そうは言っているが実際問題ダメだ。モニカはあんな事を言っているが今日だけ大丈夫でも明日も有るんだから明日倒れたら意味が無い。最終日にモニカを欠いた状態ではこの店はもたない。
「困っているようだな快利!!」
「エリ姉さん、普通にクラスに溶け込まないでよ。てか、どうやって近付いたし」
「それはな今来た援軍たちのお陰さ……喜べ強力な援軍を連れて来たんだ」
援軍って誰だよ。まさか援軍は私とか言ってクラスに馴染むつもりじゃないだろうなと思ったらドアが開いた。
「失礼しま~す。秋山コンサルティングのアルバイトの秋山由梨花で~す」
「同じくアルバイトの角倉慧花よ。よろしくね?」
「そして私が謎の同居人、通称ガイドです!! 皆様、夜路死苦ぅ~!!」
いきなりメイド服、しかもピンクの際どいアレを着てるユリ姉さんと紫色の無駄に切り込みの入ったメイド服の慧花、そして最後にブルーのメイド服に猫耳付けた中々あざとい恰好のガイドがそこに居た。あと夜路死苦て暴走族かよ。
「カイ、これって……」
「おい、あの二人ってこの間の動画の女子大生だろっ快利!?」
「えっと秋山って、秋山くんと同じ苗字だよね? まさか」
「何でユリ姉さん達がここに居るんだ?」
クラス中の視線が俺に集中するとか恥ずかしいけど逃げられない。セリカとモニカもポカンとしているし茫然とエリ姉さんを見ている。
「そして快利、お姉ちゃんも今日はこっちを手伝うぞ!!」
バサッと制服を脱ぐとセリカと同じ赤いメイド服にエリ姉さんまで着替えたんですけど……どう言う仕組みなんだ。
『元勇者カイリ、今あなたの脳内に直接語りかけています』
『何してんのガイド、ファミチキごっこ止めなさい。あとエリ姉さんのメイド服仕込んだのお前だろ? 変化系の魔術かかってたんだが?』
『はい。昨晩のことです。夕子様と昇一様から元勇者がやり過ぎて無いか様子を見に行きたいが仕事が忙しいので見て来て欲しいと監視任務の依頼を受けました』
実際は監視じゃなくて大学も学祭中で暇なユリ姉さんと慧花、そして家で新ボディの調整中のガイドが暇潰しに来ただけだった。
「いや~今月お小遣いピンチで母さんに言ったら『快くんのお手伝いしたらお駄賃あげる』って言われて……アハハ」
「私は快利と会えるならと由梨花に付いて来た。幸い接客は慣れているから戦力になれると思うが」
「今のこのボディならJC好きのロリコンクズ野郎の相手が可能です元勇者!!」
姉は金欠、その友人は俺狙い、そしてガイドはなぜか店に来る客を犯罪者予備軍扱いしやがった。
「ガイド、お前な、そんな客なんていなっ――――あっ……」
チラっと脳裏に昨日のSMクラブで働いている彼女がいる男が来たのを思い出して一瞬だけ言葉に詰まってしまった。そんな感じでエリ姉さんを含めた四人が今日だけ合流してくれることになった。
◇
ユリ姉さん達の簡単な紹介を終えると俺達はすぐさま四人の撮影を始める。開店まであまり時間は無いのだ。急いでSNSに画像をアップした。
「素晴らしいです。インターネッツの猛者やSNSでしか居場所の無い人間がアホみたいに拡散してくれていますよ元勇者カイリ!!」
「ガイド、お前はその元勇者カイリっての止めような? 快利お兄ちゃんな?」
「ふむ、あなたは巨乳好きと思っておりましたがロリコンの気も有りましたか。つまりこの体でもいける?」
「それが一番自然だからだよ!! オメーどう見ても小学生なんだよ自覚を持て!!」
俺が新たな三人を相手にしていると一番マズい状況になっていたのはユリ姉さんだった。正確にはユリ姉さんが問題では無くてユリ姉さんの付属物が問題だった。
「なっ、なんか由梨花お姉さんの肩に緑のトカゲが居る~!!」
「キュイ!! キュキュ!! キュイ~!!」
『トカゲとは心外な!! 私はご主人様の護衛のグラスドラゴン!! お前らにトカゲ呼ばわりされる言われはない!!』
取り合えずドラゴン語で喋ってくれて助かった。この場で理解出来るのは俺とガイドとユリ姉さんだけだ。ユリ姉さんが抑えてるからキュイキュイ鳴いてるトカゲにしか見えない。
「エリ姉さん達の接近に気付けなかったのはグラスの妨害? それともお前かフラッシュ?」
『ああ、マリン姉さんから言われてな。今は主のスマホの中に待機している』
マリンドラゴンの指示で二竜が護衛に付いているようだ。マリン本人は先週から異世界で体を本格的に癒している最中で動きが取り辛いらしい。
「エリ姉さんの接近に気付かなかったのはお前らの妨害か」
『妨害する気は無かったが結界魔法で警戒はしていた』
「なるほど、それで俺ですら感知が遅れたか」
俺がフラッシュとグラスにはキュイキュイ言ってろと言うと頷いた。なんかグラスは最近聞き分けが良いな。
「ごめんね。この子はグラスって言うの邪魔はしないし私の肩から離れないから安心してね」
「秋山くんのお姉さんって美人ね……」
「清楚系の女子大生だし。あと二年で私ああいう風になるの無理だわ」
ユリ姉さん見た目が清楚だけど実際は肩にドラゴン乗っけてんだよな。皆は知らないだろうけど。
「なるほどモニカ感謝するよ、これで立ち回りは問題無いかな?」
「いえいえ殿下、ごほん慧花さんは何でもそつなくこなすのでイライラしますね」
「世界が世界なら不敬だねメイド長?」
そんな不穏なことを話す二人だが慧花になぜかファンが出来ていた。クラスに来て数時間なのに慧花お姉様とか呼ばれてるんだけどコイツ。
「ありがとう。可愛らしい女の子に囲まれて思わず昔を思い出しそうだよ……でも残念。私は心に決めた人がいるからね?」
今の発言これ異世界でも言ってました。堂々と夜会でな。そして今みたいに俺を見てウインクしてくるんだ。もちろん男の状態でだ。お陰で俺は向こうじゃ男色勇者扱いだ。
「また秋山なのか!? 既にクラスに三人も居るのに外にも女が……」
「ハーレム系とか流行遅れのはずなのに」
別に俺だって好きでハーレム作ってるわけじゃ……待て、この考え方は古き良きハーレム系主人公と同じ思考ではないか。
「まあまあ皆様、快利おにぃはただの巨乳好きなのでお気になされずに」
「そうなの? セリカやメイド長はそこまで大きくないわよ」
「確かにお二人は慎ましいですが姉二人を筆頭に瑠理香さんと慧花様はご覧のように大変に豊満です。由梨花様に至っては爆乳です!!」
俺の評価なんてもう良いけどさ。そこで何でお前が一番白熱してんのかなガイド。でも今はごまかしてるけどガイドも名前決めた方がいいよな。
「ちょっと、人をいきなりそんな呼び方しないの!!」
「いえいえ由梨花様なんてそのいやらしい体を使って昨晩も快利おにぃを膝枕した挙句、世の男性の夢、耳掃除をしていたでは有りませんか」
男子から凄い殺気の籠った目が、お前ら先週までのビクビクした視線はどこに行ったんだよ。そんな感じで三人はあっさりクラスに馴染んでしまった。
「俺はクラスに馴染むのに半年以上もかかったのに三人ともコミュ強過ぎだろ」
「ガイドさんはともかく二人は年上ですから快利兄さんとは違うのですよ?」
モニカがさり気なく俺の横に並んで新しく入った新人メイド四人を見て言った。
「それでモニカメイド長としてはどうなんだ?」
「そうですね慧花様は即戦力です。本当に殿下は……。あと由梨花姉さんは普段を知ってますのでグラスさんとフラッシュさんに期待です」
じゃあエリ姉さんとガイドの様子を聞いてみたら予想通りの答えと想定外の答えが返って来た。
「絵梨花姉さんは慧花様と同じ秀才タイプですから、そしてガイドさんは恐らく私の動きをラーニングするはずです。毎日データ収集してますから」
「なるほど……ガイドらしいな。じゃあ行けそうか?」
「はい。最高の援軍ですメイド長としても心強いです!!」
「じゃあ二日目、頑張ろうな」
そして俺はセリカを見ると背中からやる気が溢れ出ていた。凄いやる気オーラだな。まるで目視できるかのようで黄色い光が見えている。
「おや、今のはまさか……」
こんなガイドの呟きにも気付かなかった。それくらい俺は文化祭にはまっていたのだ。数週間前までは嫌々やっていたのに今や一番やる気なのかもしれない。
◇
「ええっと、四人のお陰で売り上げは凄まじい結果になったし料理も食材も空です。そう、空になりましたっ!! どうしようカイ~」
俺は頭を抱えてルリの報告を聞いていた。
「つまり明日から売る物が無い!!」
原因は今日助っ人に来た奴らが原因だった。売り上げも上がったが負担も反動も凄まじかったのだ。
「そりゃあ凄かったよ。なぜか慧花の店の常連は来るし意外と多かったユリ姉さんの友達も来たし、SNSの写真のガイド目当ての犯罪者予備軍も大量に釣れたさ!!」
「困った人達だ。まさか私のメイド服姿を見たいだけで会社の重役会議をここでするなんてね。今度来た時にはママにしっかり叱ってもらうよ」
「私はサークルで快利の写真見せたり紅っちが色々大学で話すから皆で見に来るって……それより快利あんた皆にデレデレしてなかった?」
「私の計算通り大量のロリコン共が釣れましたね。何人かは盗撮で確保し交換条件に高級海鮮串焼きを大量に買わせました!!」
ユリ姉さんのご機嫌伺いをしながら慧花には厳重注意して頼むと最後にロリコンに何か恨みでも有るのかと言うくらい酷い弾圧をしていたガイドの頭を軽くポカっと小突いた。
「お前はやり過ぎ。事前に止めることも出来ただろ……まったく、取り合えず明日はもう手伝いはいいから!! 振りじゃないから、ガチで頼む」
売り上げだけは凄い事になった。既にこの時点で全校トップだろうから何をしても負けない気がして来た。
「やはり無理だな。これは勝てない……な」
「エリ姉さんどうしたの?」
「いや今日一日スパイとして快利のクラスを探るようにクラスの人間達に言われていてな」
みんな悲鳴を上げたりしているが俺は気付いていた。エリ姉さんにしては動きがぎこちないし正々堂々とするのが好きな姉さんだから迷いが動きに出ていた。
「快利兄さんは気付いていたんですか?」
「気付いてたって言うか違和感が凄かったからね。エリ姉さんは正直者だから」
「そうか……ま、今さらだがクラスに報告に戻るさ。快利、少しはいいクラスだと思えるようになったか?」
俺はエリ姉さんに言われて少し考えた後に首を横に振った。クラスからは息を飲む声や溜め息が聞こえて来た。
「ううん。少しじゃなくて、かなり居心地良くなって来たよエリ姉さん」
「ふっ、そうか……なら明日もクラスの仲間と頑張るんだぞ!!」
それだけ言うとエリ姉さんはいつの間にか制服に着替えていて教室を出て行った。こうして文化祭の二日目は終わった。そしてこの後、調子に乗ったクラスの連中にもみくちゃにされるのだが、そんな恥ずかしい事が終わった翌朝に事件は何の前触れも無く起きた。
◇
「待っていた……勇者カイリ……」
朝も早くから料理の仕込みを終わらせるために俺は一人で教室に転移して来た。そして目の前に居たのがこの白衣の男だった。
「どっかで見たな。そうか、お前だったのか――――」
「そう、この高校の白井という教師の体を貰ったのだ。コイツには馴染んだ……俺の血がなぁ!! 勇者アアアアアアアアアア!!」
「朝っぱら良い覚悟じゃねえかブラッドドラゴン、来いよ!! 武装展開全装備!!」
俺は不気味に笑う目の前の白衣の男を、いや擬態していたブラッドドラゴンを睨みつけた。
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