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転移先がブラック過ぎたので帰ってきたらヌルゲーでした  作者: 他津哉
第4部『元勇者と危険なアルバイト』
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第49話「お望みの特ダネを勇者がプレゼントフォー・ユー!!」

後書きの下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。


「と、言うわけで明日はルリの方の仕事で急用が入ったから、こっちは休みで!!」


「瑠理香さんに? アイドルのお仕事ですの?」


 セリカがマグロモドキのカマを落としながら聞いてくる。だいぶ手慣れた様子で剣の腕よりも最近は鮪包丁の方が扱いが慣れている気がして来た。格好も最近は鎧は俺に預けて長靴に動きやすい服装になっていた。令嬢も変わるもんだ。


「何となく面倒事の気配がしますね? 何かあったら私達も協力しますから、カイリ兄さん?」


 そう言って切り分けられたマグロモドキに時間魔法をかけて鮮度を完璧にしたまま処理をして行く。鮮度も維持できるかと親父から言われていたので今回から実施してもらうように時空魔術と時間魔法が使えるモニカに頼んでおいたが上手く行ってるようで安心した。


「ありがとな。じゃあ二人とも今日はここまでだ。俺は親父に報告と明日の連絡だけしておくから解散で」


 そう言って俺は二人を連れて家に戻り今度は親父の会社に向かった。幸い少しだけ説教された後にすぐに許可は貰えた。


「ま、実は亮一氏からも色々と連絡もらった。あっちを助けんだろ?」


「ま、そんな感じ……」


「じゃあ遠慮なく行って来い。こっちはこの一週間で相当助かってるらしいから少しの間は問題無いそうだ」


 それを聞くと安心して俺は家に帰宅した。家に帰るとモニカとユリ姉さんがご飯の用意をしていてくれて最近は自分で料理をするのが減ったと思いながら、どこか満たされた夕食だった。





 そしてその時はやって来た。今日はルリやトワディー組は全員オフらしいので事務所には居ない。居ても会わせる事は出来ない。そして目の前のニヤけ面の背広を少し着崩して髭を生やしたアフロに近い、くせ毛の男を見て俺は彼女たちが居なくて良かったと心から思った。


「いやいやいや、まっさか、わざわざ『F/R』さんのそれも風美社長とそれに常務から直接ご連絡頂けるなんて、今日はどうしたんすか~?」


「深見さん。単刀直入に言います。今回の件のデータとネガそれと全てのデジタルデータを表に出さずに破棄して下さい」


「あっれれ~? なぁんで俺だって分かったんすか? てか、そこの彼、彼ってRUKAちゃんのカレシ君ですよね~?」


 喋るだけでウザい深見健二、三十三歳、神刀で三枚に下ろしてやろうと何度思った事か、やはり芸能のマスコミ関係者は、こんな感じでノリと勢いだけで生きている連中ばかりなのだろうと偏見を持っていたら本当だったと思い知らされた気分だ。


「彼は事務所のアルバイトで無関係だ」


「へぇ~、バイトがRUKAちゃんと手ぇ繋いで仲良く帰宅ですかぁ~? バイト君でも教育しなきゃダメダメでしょ?」


 おう、バイトでもオメーみたいなマナー知らずの社会人よりはマシだからな? 髭くらい剃れよ歩くマナー違反者、とは口が裂けても言えない。今はグッと我慢だ。俺の隣に座っているエマさんもキレそうだ。


「その辺りはお互いに、よく話し合ったから問題は無いですよ。それよりもこちらからの要求は?」


「いやいや、何の事だか分からないっすねぇ~?」


 あくまで白を切るようだから俺はスッとメモを亮一氏に渡した。深見は一瞬俺を見た後に、また軽薄な笑みを浮かべて余裕をぶっこいてるのでコイツへの軽いジャブからお見舞いする。


「えっと……上島裕太からの情報提供で、後はクラブ『ダイアモンド』のホステスのマリエちゃんが情報源だそうです社長」


「はっ? 何でっ!?」


「快利くん。この上島と言う人物は何者か聞いても?」


 そう言われたので俺は本日二度目の神々の視点(全部丸見え)で奴の全てをスキャンする。悪いがプライベートも全て丸見えなんだ。体も成長して本来の俺とほぼ同じで、ある意味で七年後の俺より強くなった今なら一切の制限無しに勇者系スキルは使い放題なんだ。


「これです……」


 そう言って読み取った情報をメモ用紙にまとめて書いて亮一氏に渡す。ちなみにこれはこれは鑑定スキルの派生元スキル『速記』で、音速でメモを書いている。


「なるほど、うちのビルへの派遣の清掃員か……盗撮を疑われてクビにした男が確かそんな名前だった……え? これは?」


「どうした? 亮一? ほう……この上島も偽名で週刊文潮の記者、本名は村井勇太と……偽名対策に名前の読みが違うのを入れて潜入するのが常套手段――――」


「おいっ、ガキ!! てっ、てめえ!!」


 あ~あ、俺に敵意を持ったか……かわいそうに、俺に掴みかかって来た記者の手が俺に触れる前に手首から先が消えた。


「え? お、俺の手があああああ!!」


「「「っ!?」」」


 当然ながら聖なる防壁(何でもガード)に引っかかるんだよな。いきなり俺に掴みかかってて来ると……ま、コイツの経歴と過去を見るに予想は付いていた。今は手首までで勘弁してやろう。


「俺に敵意を持って触れたらダメなんだよ健二ぃ~? 生年月日が1987年9月8日で地元の高校では新聞部、大学はマスコミ研究会に所属も盗撮及び強姦未遂で中退、希望していた新聞社の内定を取り消しにされて週刊文潮に入社と……」


「ど、どうなってんだよ!! 手が消えてんのに痛くない……それにお前、なんで俺の過去を!?」


 そら勇者のスキルは万能ですからね。うっわ、まだまだ出て来るじゃんコイツの悪行、スキルで見ていると余罪がゴロゴロ出て来るガチクズだった。なるほど週刊誌の芸能記者なんてコイツにとって天職だったろう。


「ちなみに過去に三件、女性に付き纏いで訴えられ、いずれも取材行為と称して示談に持ち込んだと……生き様がゴミですね~」


「はぁ、はぁ、おっ、お前!! こんなことしてただで済むと思うな!! 俺達の文潮砲がお前たちをぶっ潰してやるからよ!! もう芸能生活どころか人生お終いにしてやるぜ!!」


 そう言って奴は残った手でスマホを取り出し外部に連絡しようとするが無意味だ。既に全てを拒絶する聖域(引きこもりの味方)を展開している。結界内では俺が許可しないものは全て通さない完全拒絶の結界だ。スマホも通じるわけが無い。


「あれれ~? どうしたんだ~? ふっかみ~ん? もしかしてスマホの電波が入らないとか?」


「あっ、ありえねえ!! お、お前、何をしやがったんだ!?」


 さっきまでの余裕はどこに行ったのか週刊誌の芸能記者様は大慌てのようだ。そもそも何の警戒もしないでここに来た時点で余裕ぶっこき過ぎなんだよ。


「教える訳ねえだろ? それとさっさとRUKAと俺のデータを全部消せ、最後通牒だ。その代わりにこちらにも用意が有る。ですよね? 社長?」


 呆けている大人達に向かって言うと、いち早く社長が立ち直って俺を見て頷くと、目の前で書類と何かの広告を取り出して見せた。


「ああ。今度の新曲発表会とそれについての独占インタビューを貴社に全面的に許可しよう。今回の件以外での質問も許可しよう。これでいかがだろうか?」


「えっ!? 新曲!? RUKAの!?」


 そんなの聞いてねえぞエマさん、俺のルリ……じゃなくてRUKAの新曲、この間のライブでの新衣装と新曲ですら神だったのに、また新曲なのか、月一で新曲出すのか、だから最近忙しかったんだなルリ。


「落ち着いて限界ヲタクの快利くん!! あなたにはRUKAから直接教える予定だったのよ明後日くらいに、本人の希望で」


 な~んだルリがサプライズしたかったんだ。よし、明後日には初めて聞いたようなリアクションの練習を今日からして備えよう。


「お、俺を無視して話を進めんなよっ!! まずは治療費だ!! それと謝罪と、何より目の前のお前だよガキ!! 何なんだよ、ただのRUKAの男じゃねえのか!?」


 片手も無くし、スマホの電波も無くなって気が動転していた深見健二が再び騒ぎ出す。どうやら提案を聞いて無かったようだ。それに俺に対して質問だと?


「ノーコメントで、後で事務所通して下さい」


「お前も芸能人なのか!?」


「いやぁ、一度こう言うの言ってみたかったんだよね。それだけ」


 顔を真っ赤にして騒いでいるが結界内では外部に音すら漏れない。『泣き叫んでも誰も来ないし気付く事も無い』と言ってやった。ちなみに、この間のライブ後にルリとデートの時に今と同じセリフを言ったら服を脱ぎ出し俺を誘惑しようとしたのを慌てて止めて全力で謝ったのは内緒だ。


「わ、分かったデータも消す。言う事も聞く、だからっ!!」


「分かって頂けたか。そちらもデメリットばかりでは無いだろ? 快利くん。彼の腕を頼めるか?」


 亮一氏が言うので一応は治療魔法と回復魔法をかけて奴の手を元に戻した。


「はい完了っと」


「手が……ど、どうなってんだよ。いや、それよりも……ガキ、じゃなくて」


「あ、ガキでも何でも良いですよ? それより目の前でデータの所在と今日持って来たネガと写真を全部出せよオッサン」


 奴は観念したようでカバンの中からノートPCやらデジタル機器を取り出し、写真なども机の上に並べた。


「うわっ、本当に俺とルリの顔バッチリ映ってる……何で気付かなかったんだろ? 索敵スキルは常に走らせてたし、範囲500メートルには何も無かったはず」


「へっ、ガキが、どんな手品か知らないがこっちはプロだ1キロ先からでも撮れる方法なんて、いくらでもあんだよ」


 俺が言うと芸能クズ記者が水を得た魚のように嬉々として話し出した。うんうん偉いぞ、自分から話してくれるのなら俺は大歓迎だ。次の対策も取りやすい。


「これがパパラッチ。反吐が出る。それにしても現代日本を甘く見てた1キロ先か……今度からルリを守る時は周囲1.5キロに結界を張りますね?」


「お願いね快利くん。出来れば残りの二人にも」


「了解です。このビルにも弱い結界を張りましたんでビル内の外部の人間の電子機器に異常が出るようにしときました。内部の人には影響出ないように設定したんで何かあったら連絡下さい」


 俺が簡単に改善点を出すと雇い主のエマさんはすぐに了承してくれた。あれだなアルバイトでも報連相は大事なんだな。大丈夫、勇者時代でも何度も経験して来た。事後報告だけはしっかり出来ると、皆からいつも褒められたしな。


「色々待てよ。まずその、ガキ、いや若造は何なんだよ。社長詳しく――――」


「察しが悪いな深見さん。他言無用だ」


「あんたらこそアホか? こんな事話したらどんな事があっても記事にしてやる!! これは報道関係者としても――――」


 うるさいので聖剣を取り出し首元に這わせる。それだけでヒッと悲鳴を上げて静かになった。巨大な剣を首元に付けられたら現代日本人ならこう言うリアクションだろうなとは思ったが容赦しない。


「快利くん!? それはやり過ぎ――――「許可しよう快利くん。そのままそいつを黙らせておいてくれ」


「社長!? 何を言ってるんですか!?」


「落ち着いてくれエマ、話し合いをする際に深見氏には静かにしてもらうだけだから、な? 大丈夫だから」


 うんうん、昨日の打ち合わせ通りに俺の援護に回ってくれてる。じゃあ社長に続けてもらいましょう。社長は聖剣を突き付けられたままの記者に諭すように話していく。条件は今回の事を全て忘れる事、その見返りはトワディーへの独占取材で会見では三つまで質問する許可を出すと言う破格の条件だった。囲み取材も今後は積極的に受け付けるなど譲歩案も提示した。


「どうだろうか? 深見くん。この業界は持ちつ持たれつだ。スキャンダル合戦よりも互いに譲歩してスクープを上手く捏造して行きましょう。誰も傷つかない談合をしようと、私はそう言ってるのですよ?」


「分かりましたよ社長……今回は引き下がります。そのわけの分からない青年も居ますしねカイリ君だったかな? 次はこうは行かないからな?」


「たぶん一生かかっても無理でしょうけど、覚えておいてあげますよ。解除っと」


 それだけ言うと俺は交渉が完了したと判断して聖剣を即応式万能箱どこでもボックスにしまって一歩下がる。すると目の前の記者の深見は床に座り込んだ。


「これで交渉は成立だろ? 早く解放してくれ!!」


「まあまあ、念書も頼むよ? 深見さん」


「分かったよ風美社長」


 その後はサラサラと念書にサインする奴を見て頷くルリの両親二人が何度も確認すると金庫に保管してくると言って出て行った。


「じゃあ、今度こそ解放してくれよ社長、独占取材は後日改めて」


「ああ、では快利くん。最後に頼む」


「了解~っと、洗脳魔法……本心で全て話せ。この後は何をする?」


 俺が人差し指と中指を記者に向けて精神操作系魔法の禁術の一つ、洗脳魔法を発動させる。これは情報を引き出す以外にも様々な使い道が有るが俺が勇者時代には拷問に使っていた魔法だ。


「本社もどって……ほう、こく。その後にF/Rの……やつら、全員、たたき、つぶしてやる……」


 最初はたどたどしく喋り出すが、これは洗脳魔法に抗っている証拠だ。徐々にスラすら喋るようになるからそのままにする。


「具体的にはどうする?」


「俺が、社と家のPCとクラウドに残したデータをバラまく。動画サイトにも、ネット上にも、独占取材よりも金が稼げるからな」


 やっぱり反省してない。ルリの両親はこれで解決だと思っていたようだが盗撮&脅迫までして来た相手に甘い。だから事前に社長にだけは話していた。この人は俺に近い思考だと思って話せば理解してくれると踏んだからだ。


「いやいや、本当に君の言う通りになったな?」


「この手のクズは俺の元の職場でも居たんで、それで? どうしますか?」


「南美の父として、瑠理香の伯父としては汚い事はしたく無いのだが……報酬は弾む、F/Rの社長として《《元》》勇者に依頼したい」


 う~ん、本当に良く出来た人だ。最近は勇者勇者と言う人が多くて《《元》》を付けてくれないから地味にストレスだったんだよな。やはり社長、上に立つ人間は違うようだと感心したので俺も自然と返していた。


「了解です。初回なんでロハで結構です。心配しないで下さい。コイツは二度と、《《こちらの世界》》には戻れませんから」


「う、うむ。詳細は……聞かない方が良いのか?」


「その方が精神衛生的によろしいかと……それではデータ廃棄の処理が終わりましたら連絡します。このクズじゃなくて、深見健二は持って行きますね?」


 その後に俺は後始末を全て終わらせるために更に洗脳した深見自身にデータを全て廃棄させた。奴のマンションの自室にも隠しているものを確認するために部屋を漁るとルリや他の芸能人の盗撮や脅迫の材料と思しき物が見つかった。


「RUKAの盗撮写真……パンツが丸見え……だと……これは普通に極刑だな」


 写真をその場で燃やし追加で全てのデータを破棄させた上でこいつのPC自体を物理的に消滅魔法で消滅させた。後日コイツの会社のPCも込みで全て消滅させようと心に強く誓った。そして最後の処理を始めるために俺は転移魔術を展開した。





 男の名は深見健二、小さな頃から悪知恵が働きどうしようもない人間だと言われていたが、それでもコミュ力は高く、クラスの中心になれそうでなれない二番手、それが彼だった。それで上手く立ち回り大学進学後は新聞社への入社が決まりかけていたが、大学で自ら起こした事件が発覚。

 王手イベサー関係者として被害女性達から訴えられ大学を退学しバイト先の雑誌社に入社した。新聞記者になりたかったのになれなかった憐れな人間。そんな彼が復讐のために女性芸能人を中心にスキャンダルを暴き続けたのは必然だったのだろう。


「う~ん、中々に濃密なクズ人生お疲れっすね? ふっかみ~ん?」


 そんなクズと俺は今、バイトで訪れている異世界に来ていた。転移先はここだったのだ。


「おいガキ!! てめえ!! 俺をどうするつもりだ!?」


「どうもしないよ? ほら、ここで解放してやるよ。スマホも返してやるから」


 そう言って俺は拘束を解いて奴の部屋の生活用品一式を詰めたリュックサックを渡す。そしてニヤリと笑った。


「けっ、キモイ笑い方しやがって、どうせ陰キャだったろお前、分かんだよ俺には、イキり散らして俺の中学ん時にも居たぜお前みたいな奴、イジメで不登校にしてやったのは最高だったぜ!!」


 ストレートにイラっとした。そうですよ勇者になる前までは正真正銘の陰キャで家にも学校にも居場所有りませんでしたけど? 取り合えず人の地雷を踏み抜いたコイツに対して俺は相応しい末路を用意した。


「全部大当たりだ。だから健二く~ん。さよ~なら~!!」


 俺は浮遊魔法で飛び上がった。そして周囲に強烈な匂いを放つモンスター寄せの匂い袋をバラまいた。この世界の狩りバイトをする時にセリカが作ったもので若干中毒性の有るものらしい。


「ゲホッ、ゴホッ!! お、おい待て!! ここどこだよ!?」


「どこかの山中だな……ま、頑張ってくれよ。夜にはこわ~いモンスターが出るかも知れないからな?」


 そう言った瞬間に俺達が普段狩っている体長10メートルを越える赤い鳥が出現していた。ちなみにこの赤い鳥、俺が『トリニク』と名付けた食用のコイツなのだが実は肉食だ。そいつが眼下の深見健二を見つけて鳴き声を上げていた。


「お、おい!! こいつ何だよ!! 助けろよ!!」


「助ける? こんな見た事も無い怪鳥の存在を世に知らしめたら特ダネだろ? 新聞記者になりたかったんだろ? ほれ、カメラもその中には有るしスクープしろよ」


 眼下では悲鳴を上げながらガタガタ震えている深見健二くん三十三歳が、こちらに向かって罵詈雑言を浴びせてくるが俺はニヤニヤして下に向かって言い返す。


「態度がなってないなぁ~? け~んじく~ん? 陰キャに助けて欲しい時は言い方が有るよね?」


「だっ、たすげてくださあああああああああああああい!!」


「え~? 聞こえないよ~? もっと大きい声で~!!」


「だずげでぐだざぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」


「うん。満足……じゃ、三日後に迎えに来るからサバイバル頑張ってね~!!」


「え? ふざけるな!! てめえ!! 助けろ!! 助けてくれええええ!!」


 俺は奴の怨嗟の声をバックコーラスにしながら今度こそ時空魔術で作ったゲートで元の世界に帰った。ちなみに親父にはこれから夏休みが終わる一週間はバイトは休ませてもらうように交渉する予定だ。最後の一週間はやる事が有るからだ。


「俺はやる時は徹底的にやるから」


 それだけ呟いて俺は家の前に転移して帰宅した。一仕事終えた後は少しだけ嫌な気分になったが庭先に居たエリ姉さんとセリカが気付いて「おかえり」と言ってくれた。それだけで俺は救われた気分になった。明日からも頑張ろうと、そう思えた。

誤字報告などあれば是非とも報告をお願い致します。(感想ではなく誤字脱字報告でお願いします)


感想・ブクマ・評価などもお待ちしています。


この作品はカクヨムで先行して投稿しています。


下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。

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