表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移先がブラック過ぎたので帰ってきたらヌルゲーでした  作者: 他津哉
第3部『元勇者の過去と来訪者との邂逅』
42/131

第42話「旅行の終わり、元勇者の決意の旅立ちと言う名の拉致」

後書きの下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。

「エリ姉さん……あ、あの……」


「快利、これからは……私の事も普通の女の子として見て欲しい……もう遅いとは言わせない!!」


 そんな事言われても今のキスで嫌でも意識しまくってるんですけど……確かにエリ姉さんは美人だし、キリッとしててカッコいいと思っていて、でも俺にとっては厳しくて、それが女の子……?


「はぁ、私はこれ以上はお膳立てしないからね? 絵梨花」


「ああ、これからは……本気の勝負だ。ユリ姉ぇ……さて、まだ少し怖いが私の水着姿を見て、くれ……快利」


「そんな無理しないでも……まだ治ったばっかなんだしさ」


 見たい、凄い見たい。だって昨日お預けだったし、二人とも凄い大きいから。それが例え胸の強調されないタイプの水着でも俺は凄い見たい。な~んて事は安易に言えないんだよと、必死に我慢した俺は偉い。


「小学校の高学年から中学まではプールの授業は全て免除してもらっていてな……その、ちゃんとした水着は初めてなんだ。だから見て欲しい快利に」


「いや、でも――――「お前に、快利にしか見られたくない……お願い。ちゃんと私を見て快利」


 ここまで真っすぐに来られたのはルリ以来二人目で俺はこの手の利害関係無しの感情には滅法弱い。だから未だにルリの告白に答えを出せて居ないしエリ姉さんには押され気味で、正直あと一押しされたら落ちそうなのが現状である。そこ、チョロいとか言わない、目の前で美少女が好きと言ってくれたら大概の男は落ちるからな?


「そこまで!! そこまでですわ!! 勇者カイリ!!」


「そうです!! 水着審査も含めて二度目なら私たちの本気も見せて差し上げます」


「はぁ、マニアックなスク水とビキニアーマー以上のもん出せるのかよ? ネタ枠なのに大丈夫なのか~?」


 そう言うと二人とも露骨にムッとしていた。え?俺は何か間違った事を言ったのだろうかと思ってユリ姉さんを見たら呆れていた。


「え? なんで?」


「そこの二人もあんたを追って来るほど好きなのにそれはどうなのよ? ちょっと酷いわよ快利、今の出お姉ちゃんポイント減点2点ね?」


 え?何ですかその謎ポイント、今初めて聞いたんですけど……まさか溜まったら何かと交換できるの?まさかの春のパン祭かな?そんな事を考えている内に時刻は昼を過ぎていて写真撮影をしていたルリ達一行も戻って来た。



 ◇



「そ、そんな……由梨花さんと絵梨花さんが水着……もう、おしまいだぁ……何で昨日は脱がなかったのに今日は脱ぐんですかぁ……」


「もしかして……快利くん、あなた」


「あ~綾華さんそこまでで、お願いしまっす。マジでトラウマ抱えてるんで二人」


 そう言って綾華さんに牽制すると彼女も頷いてくれた。やはり露天風呂で知ってたようだ。それに比べてルリは知らないのを見ると昨日のエマさんと綾華さんだけしか知らなかったようだ。


「だって、カイは巨乳好きだもん……昨日はあの中で一番大きかった私を見てたのに……今日は上に二人も……無理だ。もう脱ぐしか……」


「止めて!! ルリ姉ぇ!! そこまで女を捨てないで!!」


「止めないで!! 南美!! これでカイは最終的に私の方に来て、二人は幸せな結婚をして二人の間には五つ子が……」


「増えてる!! 昨日より子供の数が増えてるからルリ姉ぇ~!!」


 そしてルリの暴走によりなし崩し的に昨日に続いて第二回の異世界対抗ミスコンが始まる。



 ◇



「はい、じゃあ司会は私、風美南美がお送りしま~す。審査員はシスコンでドルオタで元異世界勇者の秋山快利くん!!」


「今日も女の子の水着姿が見れるんで目ん玉かっぽじって見ます!!」


 どうしてだろう、どの肩書きも間違いなく俺のものなのに、なぜか心が泣きたがっているんだ。取り合えずは二人の義理の姉が水着になれるのか心配だ。トラウマ発症しないと良いけど。


「そして二人目は|Twilight Diva《黄昏色の歌姫》のクール枠で空気の読めない頼野綾華!!」


「お子様の煽りは基本スルーで、審査員を頑張ります」


 二人は本当に相性が悪いようだ。でも妙なところは馬が合ってそうなのにとは思う。ライブ中なんて三人の動きは洗練されてるのにプライベートはこうなのが意外だった。


「そして最後に我が事務所のマネージャーにして元歌手、EMA名義で出したシングルは二枚!! どちらも微妙だった風美エマさん!!」


「いい加減にしなさいMIMI、幼馴染の彼氏の事を詳しく社長に言うわよ?」


 そう言えばルリがお母さんは元歌手だって言ってたけど、そう言う事なんだ。芸能界ってのも複雑なんだなぁ。


「ではではエントリーナンバー、1番!! 異世界からやってキュートな爆弾大好きメイド、モニカ=キュレイア!!」


 舞台から上がって来たのはガウンを羽織ったモニカだった。そしてそれをバサッと脱ぎ捨てた。さてどんなネタ水着で来るのかと思っていたら彼女が着て来たのは普通のオレンジのパレオの付いたビキニだった。


「モニカ=キュレイア17歳、トップバッターです。今日は、着てみたかった水着を瑠理香さんのご厚意でお借りしました……あまり似合わないかもしれませんが……」


 そう言って少し顔を赤くして見つめてきた瞳は真剣だった。肩の傷は今も少し痛々しいが彼女は堂々と胸を張っていた。ま、張る胸はそんなに無いけどな。と、思った瞬間に俺の背後が爆発した。気のせいかな?


「現実逃避しないでくれるかしら? 快利くん、何をしたの?」


「たぶん心を読まれたんです……」


 続いて出て来たのは黒髪にアイスブルーの瞳、その瞳の色よりも明るいスカイブルーのビキニ姿のルリだった。


「エントリーナンバー二番!! 風美瑠理香!! 今日は全力でカイを落とすためにRUKAモードで来ました……んんっ、ゴホン。カイ君、私の水着姿どう、かな?」


「はいっ!! 優勝で――――「落ち着けドルオタ!! 真面目に審査しな!!」


 南美ちゃんこれが素なのか……いや、だってルリと言うよりもRUKAは反則だろ。ファンが誰も見た事無いんだぞ。昨日のルリはウィッグを取っていて、そりゃいつものルリの水着姿だって初めて見たし可愛かった。だけど、俺の中ではRUKAはやっぱり特別なんだ。


「頑張ったんだけど、どうかな? カイ?」


「最高です!! 文句無しで満点!!」


「はぁ、やはり私とは反応が違いますねマイマスター」


 いや、お前も普通に可愛いんだけどな……今更ながらコイツも普段のメイド服じゃないと、こんな感じなんだ。意外と色白で、って何を考えてるんだ俺はモニカはあいつから託された大事な妹なんだ。この子が立派に結婚して独り立ちするまでは俺はこの子の兄になるって決めたのを忘れたのか落ち着け。


「さてさて、お次は早くも登場!! バストはこの中で最大って……Iカップってマジ……そんなのグラドルの友達でも見た事が無いんだけど……、えっと現役女子大生の秋山由梨花さんで~す!!」


「あはは……やっぱり胸が気になるか、エントリーナンバー3の秋山由梨花です。えっと、趣味は読書ラノベ映画アニメ鑑賞と創作活動《ヲタ活》です。少し緊張してるけど……今日は色々克服のために水着、着てみました。どう?」


 一応はユリ姉さんはサイズ知ってたし、最近は頭撫でてくれる時に抱き着いて来たりで大きさは知ってたよ。さっきも顔を埋めたら凄い大きかった。


「ほおほお、こっちで用意したものの中でAYA達が勧めたのを着たんだ……と言うわけで綾華からどうぞ」


「え? そうね、由梨花さんは、ご自身で言われた通りグラマラスで本来はビキニとかの方が生えると思ったんですけどワンピースが良いって言うんで肩出しで、スタイルを強調できるものを選んでみました」


 ユリ姉さんの水着は白い水着で肩が出ていて胸元はくっきり谷間が強調され揺れていた。特徴は胸元から腕まで覆うフリル、そして特徴なのがお腹、と言うよりヘソ出しルックでそこに目が行く。最後に太ももから足にかけてまでは大胆に出ていた。そこに火傷の痕はどこにも無かった。


「凄いきれいだユリ姉さん……」


「そう? ありがと快利……もう、大丈夫かな?」


 そう言ってクルっと一回転すると胸が揺れて後ろ姿も見えて、やはり火傷痕は完全に消えていて思わず俺は言ってしまった。


「ああ、綺麗な太ももとお尻だ……今回は触っても暴れないよね?」


「えっ? カイ? 前に触った事有るの?」


 他意はない、本当に他意は無かったんだ。お医者さんが怪我の怪我の経過を「これなら後遺症も心配いりませんね」的なノリで言うあれのつもりだっただけなんだ。


「そんな、カイは巨乳好きなはず……太もも、お尻……待って、逆に言えば私にもチャンスが!?」


「良い感じで私の娘がトリップしてるわねぇ……それで快利くん。もしかしてあの子達の怪我を?」


「はい。そんでリハビリがてら水着を着たいって……ユリ姉さんは大丈夫そうで安心しました」


「そう、なら問題解決したら今度は娘の永遠の病も何とかしてくれない? 仕事に支障出るレベルなのよね~?」


 そんな事を話して居る内に次はセリカの出番が来た。彼女もガウンを脱ぎ捨て出て来たのは露出度は高いが普通の水着だった。本人は小さいと言うが均整の取れたプロポーションで実に素晴らしい。あんなんでも貴族として常に心掛けていたものが容姿を磨く事であった。貴族なら輿入れや縁談が基本なので彼女も当然それは怠っていなかった。


「セリカ・ディ・ジュディット=カルスターヴ、グレスタード王国の四大貴族、その紅の侯爵の一人娘ですわ。そして勇者カイリの第一夫人になる女です!! 本日はこちらの世界の水着をお借りしましたわ!!」


 昨日の王家から貰ったとか言うビキニアーマーでは無く今回は普通のレモンイエローのリボンのフリルが付いた可愛らしいもので、彼女の家の赤よりも合っていると思ってしまった。


「セリカさんの担当は私なんで解説しま~す。まずセリカさんは細くて羨ましかったので、どれ着ても似合いそうなので私が着たかったものを着せました。以上!!」


「いかがかしら? 勇者カイリ……異世界のものとは言え完璧に着こなして貴方に相応しい妻としての風格を見せられましたか?」


「あっ、ああ……いや、普通の恰好するとお前も可愛い女の子だったんだなぁって」


「なっ、微妙ですわね!? ここはやはり我が家に伝わる――――「大丈夫だっ!! 普通に似合い過ぎてて焦ったんだ。やっぱ赤より黄色の方がお前には似合ってるなって、思っただけだ」


 そうして思い出すのは邪神討伐の前日に彼女が珍しく赤以外のドレスを着て俺の部屋に来た時だった。



 ――――5年前(邪神の神殿突入前夜)――――



「勇者、明日あの邪神を倒しに行くの?」


「はい。セリカ様、ですのでいつものようにレッスンのお相手は難しいかと」


 この当時は出会ってから半年くらいだったので”まだ”敬語だった。一応は王家に連なる出だったからだ。そのせいか王城の俺の部屋にも入り浸っている事が多かった。本人(いわ)くその当時から狙っていたらしい。


「あなたに作って頂いたこのドレス、何で赤では無く黄色なのかしら? これでは他家の色になってしまうわ」


「はっ、ですが似合うと思いましたので……」


「黄色が? 私は紅の騎士の娘ですわ!! 紅こそが私の色よ!!」


 彼女の父は王家を守る四大侯爵の中でも忠義に厚い守りの紅の騎士。赤き戦神など赤にまつわるエピソードが多い英雄だった。しかし俺はセリカのイメージは赤では無く黄色だった。


「ですが、お忍びで孤児院を訪れる際など、いつも黄色のバンダナ、こちらでは頭巻きかな? それにスカートも黄色のもので町娘の恰好をなさっていますね?」


「それは変装ですからっ――――「私にはセリカ様がレッスンよりも生き生きとしているようにお見受けしました。そして今もお似合いですよ?」


 俺が孤児の相手をしているのを知ると彼女は変装をして俺を追いかけて来た事が増え、最終的に目立たないように町娘の恰好で落ち着いた。その際の服装の方が俺は彼女らしいと思っていた。



 ◇ ――――現在、湖畔コンテスト中――――



 そんな事を思っていたらセリカが恥ずかしそうに俺を見るとクルっと一回転した背中は大胆に出ていて振り向くとぎこちなく笑う。


「あまり肌を晒す事は無かったのですが……」


「昨日のよりも似合ってるよ、セリカ」


「ふっ、ふんっ!! 一応は謝辞は受け取っておきますわ……ありがと」


 そう言うとセリカは照れて顔を真っ赤にしていた。相変わらず分かりやすい奴だな。だけど俺は君に顔向けは出来ないんだよ……君の瞳の中には未だに迷いと怒りと悲しみがハッキリ見えるんだからな。


「なっ、なんかいい雰囲気になりそうなんで、エントリーナンバー4番そこまで!! では最後のトリを飾るのはこの人!! 秋山絵梨花!! 文武両道で学園のお姉さま!! 今日は遂にその神秘のベールを脱いでの水着姿だああああ!!」


「MIMI、ノリノリね。あの子もしかして司会業に興味とか有るのかしら?」


「盛り上がるのが好きそうですからね。エマさん、私はそう言う仕事は苦手なんで」


 そして隣の業界人二人を尻目に俺は出て来たエリ姉さんを見た。少し震えている。頑張れ、頑張れエリ姉さん。あっ、こっち見たから頷いて手を振る。顔色が落ち着いて来たけど、観客が4人なのにこれじゃ心配だ。これからも助けないといけないと俺は心に誓った。


「え、エントリー、ナンバー五番、秋山絵梨花です。今日は、決心してきたので頑張ります……快利、お姉ちゃんは頑張るぞ!!」


 そしてバサッと男前にガウンを脱ぎ捨てると水着は黒のシックな色合いのものだった。それよりも問題はデザインで、確かにワンピースの水着だった……しかしフロント、つまり前が胸元にかけてV字に開かれていて谷間がクッキリと強調されていているガッツリとセクシー系水着だった。


「ちょっ、エリ姉さん!! いきなりハードル高くないの!? 大丈夫!?」


「ふっ、問題無い、男はお前だけだ……だい、じょうぶだ」


 だいぶ顔色悪いけど大丈夫なのかなと、不安に思っていたら横のエマさんが足を組み直し口を開いた。


「大した逸材ね……あなたのお姉さん。正直あの怪我の後遺症とか無ければすぐにスカウトしていたわ」


「エリ姉さんは怪我は治っても心までは治って無いんです。昨日まで俺にも隠してたくらいですから……だから怪我も無理やり治したんです」


「ほんと凄いわね。本気であなたスターでも何でもなれるわよ? でも、ダメなんだっけ? そう言うの?」


「向こうの世界で散々利用されたんで、こっちでは普通の青春を謳歌したいんですよ。俺の望みはそれだけっす」


 そんな事を話しているとエリ姉さんがクルリと一回転、おっかなびっくりしながら回る。背中も露出しているタイプの水着だからハッキリ見えたが綺麗な背中だった。


「快利? どうだ? 変じゃないか? 気持ち悪くないか?」


「すっごい綺麗だよ。エリ姉さん。水着も似合ってる」


「あ、ああ。エマさんに選んでもらったんだ。黒なんて似合わないと思ったんだがな……そうか」


 俺が言うと血色が良くなったようで真っ青だった顔色も少しは戻ったようで安心していたら横でエマさんが解説を始める。どうやらエリ姉さんの水着を選んだのはエマさんのようだ。


「必ず似合うと思った。あなたと由梨花さん二人とも凄い素材が良いから、それに大人っぽいから姉妹でデビューさせたいくらいよ? 似合ってるから自信を持ってね」


「ありがとうございます。まだ少し怖いけど、どうだ快利?」


「似合ってるよ!! 今度はカッコいい競泳水着とか良いかも!!」


 そう言って近くに行こうとすると二歩下がられた。あ、やっぱり根本的には解決してないみたい。俺が二歩下がると元の位置に戻ったので安心していると水着の五人が改めて並んでいた。


「どこぞのオーディションでもここまで高レベルなラインナップは見れないわ」


「ほんとに、リーダーは現役だから抜くにしても四人組とか二人組で活動してても違和感ないビジュアルね」


「てかビジュアルだけなら秋山姉妹とか普通に男性人気出るわね、異世界組なんかもファン層は色々と需要出そう」


 意外と司会を含めた三人が真面目に審査してた。俺は全員可愛い、水着姿ヤバイと言う感想しか無かったから驚きだ。


「それで勇者カイリ!!」


「誰が一番でしょうか? マイマスター!!」


「答えて!! カイ!!」


「そんな、五人から選べなんて……みんな可愛いし……」


 いやいや、普通に選べないから、よく見ると二人の姉も期待の目を俺に向けている。俺の人生で水着の美少女五人に迫られるとか無かったから困ります。

 


 ◇



 なので俺は適当な場所へ転移魔術で……逃げられなかった。いきなりコンテスト会場の湖畔の上空に異常な魔力を検知したガイドが警戒を発したからだ。


『勇者カイリ!!』


「分かってる!! 全てを拒絶する聖域(引きこもりの味方)!!」


 俺は咄嗟にルリと姉さん達や非戦闘員の後ろの人達に結界をかける。コイツはマズイ……危険度が桁違いだ。そして聖剣を出して構えようとした。


「セリカ様!! やっとです!!」


「ええ、モニカ!! 皆様、申し訳ありません……勇者は頂いて行きますわ!!」


 そう言うと二人は俺の傍にくっ付いて来た。抱き着くような形で俺の両脇に控えた瞬間に空に声が響く。


『やっと見つけたぞ勇者カイリ、さっさとこっちの世界に来い』


「はっ? 何者だ!! お前は!?」


『ほう、我を忘れたのか我は真・超魔王セレーナ、貴様を倒す者だ。取り合えず面倒だからお前らを転移させる!!』


 次の瞬間に俺やセリカ達の体が光り出した。これは転移魔術の兆候では無くて転送魔法の兆候だった。


「おい、お前まさか!? 次元を超えた転送魔法が使えるのかよ!?」


『ああ、どうする? このまま使えばその辺り一帯が全てがこちらの世界に転送されるが? 勇者よ、返答やいかに!?』


「くっ、コイツら二人は最初からビーコンって訳かよ……発動まで一分無い……迂闊だった、俺が昨日、力を使い果たした間に何かしやがったな!?」


 両脇の二人を睨むと二人はニヤリと笑うと俺を拘束するのでは無くて会場の人間達へ魔法を放つ体勢に構えた。


「ええ、この絶好の機会逃がしたりしませんわ、セレーナ様に勇者を見つけたら発動するように言われた魔法を昨晩起動させました」


「時間稼ぎのコンテストも楽しかったですよマイマスター?」


 あまりにも迂闊だったコイツらを少しでも信じた俺がバカだった。最初から俺を連れ帰るのが目的なのは分かってたのに、一ヵ月もこっちで過ごして忘れてた。最初はルリですら刺客だと疑ってたのに警戒心が無くなり過ぎていた。


「分かったよ……俺が直接行く。だから一帯の転送魔法はやめろ!!」


『今すぐだ。少しでも変なマネをしたら分かるな?』


 真・超魔王とか言うふざけた称号の女が再度俺を脅すように次元の向こうから魔力を叩きつけて来た。本気だと判断して俺は後ろの姉さん達に振り向いた。


「姉さん達、それとルリ!! ちょっと魔王を三人ばかり倒してくる!!」


「カイ!? どう言う事!?」


「「快利っ!?」」


 姉さん達の声が聞こえたけど、これ以上ここに居ると次元の向こうの魔王が何を仕出かすか分からないから俺は行くしかない。


「大丈夫、すぐに終わらせてくるよ!! おい、二人ともしっかり掴まってろ、向こうで説教するからな!! 全部俺の思うままに(因果律操作魔法)


「快利!! 必ず帰って来て!! そしたら私と一緒にお風呂入ろう!! それまで私、頑張るから!!」


「分かった!! じゃあ()()()!? エリ姉さん!!」


 そして俺はこの世界に逃げて来てから二回目の因果律操作魔法を使って七年後の元の世界へと舞い戻る事になる。さて、向こうに着いたら二人をぶん殴る所から始めるかと考えていたら次元の裂け目の向こう側からの誘導ですぐに向こうの世界へと到着していた。

誤字報告などあれば是非とも報告をお願い致します。(感想ではなく誤字脱字報告でお願いします)


感想・ブクマ・評価などもお待ちしています。


この作品はカクヨムで先行して投稿しています。


下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ