第34話「おまえら調子に乗ってるとこ悪いけど、おしおき確定な?」
◇
「何かイラっとするやりとりがあった気がしましたが、妻としてはこの程度で怒っていては貴族の沽券に関わりますから流して差し上げましょう」
「セリカ様、次はあれで仕掛けます!!」
何かを仕掛けるみたいだけど、こちらも準備が終わったようだ。マイクを持ってルリが手を振っているのが見えた。
「よ~し、行くよ!! カイ!!」
「ああ、頼むっ!!」(ガイド!!)
『対象者の『歌』の発動を確認『歌姫の守護騎士』発動します』
ルリが急に歌い出して姉二人以外の人間は困惑していた。もちろん目の前の毒殺令嬢と爆殺メイドも同様で俺から瑠璃色のオーラが出現した事で明らかに狼狽していた。
「来た来た!! RUKAファン魂を見せてやる!!」
俺はすぐに時間魔法を自らにかけた上で連続で魔術を連続付与する。八分の一の能力になっても永遠と魔力と神気が補給され続けているのでガンガン使いたい放題だ。パワーダウンした分は手数で上回れば良いと言う圧倒的な脳筋戦法が出来る。
「セリカ様!! マイマスターが変な踊りをしながら青く光り出したのですが何かご存知でしょうか!? いつも以上に変態染みています!!」
「いいえ、残念ながら……ですが気を付けなさい。あの勇者が光ってる時は大概はロクな事が無くってよ。私の屋敷は勇者が白く光ってる時に私ごと吹き飛ばされた事も有りましたわっ!!」
あれは誤解なんだが……初めて攻撃系のスキルを覚えたからあいつの家の庭で使ったら暴発して間違えて吹き飛ばしただけだ……あっれ、もしかして結構ヒドイ事してたんじゃ?でもカルスターヴ侯は笑って許してくれたけどなぁ……。
「お父様は大体あなたのする事は赦したでしょうが!! 最期の時までも!!」
「そう……だな。なら分かってんだろ!? 俺が絶対に向こうに戻らないのは!!」
「それでも……それでも戻って頂きますわ!! 貴方にはその責任が有るのですから!! 忘れたとは言わせませんわっ!!」
魔法しか使わないはずのセリカが細剣、こちらで言うレイピアを出して魔術を付与して斬りかかる。前にお遊びで剣の稽古を付けた時とは全然違う。しかも的確に急所ばかりをねらってくる残忍な剣だ。覚えが有るぞ……これ。
「っ!? この剣、この動き……まさかっ!?」
「ええ、ライ様に稽古を付けて頂きました……わっ!!」
よりによってあの剣士、脳筋バカかよ……厄介過ぎんだろ……あいつは魔族やモンスター、それに戦争時には必ず相手を殺す戦法しか取らない。それだけ確実性を求める猛者で…………俺の旅の仲間の一人だった男だ。
「だけどな……今の俺なら、ルリの力を貰ってる俺なら!! そんなもんはごり押し出来るんだよなぁ!! これがっ!!」
超強化魔法を二回連続で自らに行使し優に筋力は四倍、しかも男女差も有るから向こうの多少のアシスト魔術など屁の役にも立たない。聖剣で傷つけないように腹の部分で叩きつけるように吹き飛ばす。ホームランのように豪快に森の方に吹き飛ばすがセリカは浮遊魔法で体勢を整えて免れたようだ。
「くっ、きゃああああ!! 相変わらずレディに容赦の欠片もありませんわね。さすが私の将来の夫……ですがDV夫でも上等ですわ!!」
「夫婦じゃねえから!! あと恋人関係でもねえからな!! それとDVとか、そう言う言葉どこで覚えたんだよ!?」
「ふぅ、マイマスター? ご存知無いのですか? 今の世の中スマホがあれば何でも知る事が出来ますよ?」
やれやれと肩をすくめて、そんな事を言うと爆殺メイドのモニカがメイド服のドレスのポケットからアイ〇ォンを取り出してスワイプしていた。そして次にスマホに向かって喋りかけていた。
「Hey、〇iri、さっさとお答えください。マイマスターを黙らせる方法」
『お答えすることが出来ません』
「ちっ、使えないAIですね。メイドなら適当な事を言ってでも主人を納得させるものですよ? 残念ですSi〇iさんはメイドの適格が無いようです」
「お前ら現代に馴染み過ぎだろ!! てかスマホの契約とかどうやったんだよ……」
思い返せば貴族戦争の時も邪神戦争の時もコイツらには手こずらされた……特に目の前でスマホを使っている爆殺メイドのモニカ……邪神キュレイアの眷属のモニカは幾度も刃を交えた。敵の時も俺のメイドになった時もだ。
「ほんと厄介だな!! お前はっ!?」
「お褒めの言葉ありがたく頂戴します!! マイマスター勇者カイリ!!」
モニカはそう言うとダガーナイフを取り出していた。そして同時に転移&時空魔術で俺の足元に爆弾を転移させて爆破させ、その爆煙の中からナイフに闇魔術を付与させて突撃してきた。
「ほんと相変わらずだな!! お前はっ!!」
聖剣に聖魔術を付与してモニカを弾き返し、そのまま中級の炎魔法で牽制するがその程度では時間稼ぎ程度にしかならない。かと言ってこの新スキル歌姫の守護騎士の三番目の効果である武器を振るうだけで音速の斬撃波を出すというアレは使えない。ドームの天井を吹き飛ばす威力の有るあれを対人間には使えない。
「では行きます……光と闇、二つと交わりて我が敵を撃ち滅ぼせ……『虚無の彼方への旅路』!!」
俺に白と黒の力の奔流が飲み込もうと殺到する。この技の厄介さを俺はよく知っている。なんせ今では俺の技の中でも使用率がかなり高いからだ。それを目の前のメイドはダガーナイフに付与して放って来た。
「くっ!! 厄介なもんを!! 黎明の盾!!」
俺は黎明の盾で防ぎながら盾が爆散すると改めて思い知らされた。かつて邪神キュレイアに仕えた最強の使徒、その邪神六騎士の技、それこそが『虚無の彼方への旅路』俺が勝手に『二度と帰って来るな』と名付けた技だが、これをモニカは当然に使える。なぜならモニカこそが六騎士の中で唯一生き残っている邪神の眷属だからだ。てか、実は俺がモニカから教えてもらったから使えるんだけどね。
「本当に、憎らしいくらい強くて厄介……マイマスター、今度は魔王が六体ですよ!! ぜひ撃退をお願いします!!」
「だぁかぁらっ!! それが嫌だから俺は逃げ出したんだろうが!! 過去まで戻って来ないで他を当たれ他を!!」
「釣れないです……ねっ!! 今ならセリカ様だけでは無く、私も妾として付いて来ますよっ……とっ!!」
時空魔術で俺の真上に転送して来た爆弾の爆風に巻き込まれながら直撃を避けて後退する。後ろのメンバーについてはルリの歌で発動するスキルの二番目の効果の『|絶対なる瑠璃色の音壁《ステージに上がらないで下さい》』で攻撃の全て防いでいた。
「なるほど……厄介ですわね……その歌っ!! それにまるで勇者カイリと二人で一つのような効果も羨ましいですわっ!!」
「べっ、別に……私はこれが二人だけの愛の結晶だとか、二人の子供みたい……とか全っ然、思ってないからね!! カイ!!」
復活したセリカが喚きながら両腕で水の魔術を付与した石を投げて来る。そこら辺の石ころだろうが俺はそれを聖剣で弾き飛ばして防いでいたら後ろでルリが思いっきり照れていた。そしてスキルの効果が上がった。どうやら本人のメンタル次第で効力が上がるみたいだ。
「あぁ……我が娘ながらこの子って……こんなに重かったのね……引退後も視野に入れて彼に引き取ってもらった方が……ブツブツ」
「ルリ姉ぇ……さすがに重過ぎると彼氏に逃げられるかも知れないから早めに既成事実作った方がいいと思うよ~?」
爆風だの魔法だのが飛び交う中なのにも関わらず綾華さんは車の影に隠れながら冷静に辺りを伺いながら出て行きそうな瑠理香を抑えてエマさんとMIMIちゃんは割と余裕そうに会話をしていた。これが業界人の余裕なのかと俺は感心していると俺の姉二人も何か騒いでいた。二人は瑠理香にピッタリくっ付いている辺りスキルの事を覚えていたようだ。
「快利にはまだそう言う事は早い!! まずはお姉ちゃんと練習してからだ!!」
「絵梨花!! あんたもどさくさに紛れて何言ってんのっ!! あとあんたは姉としてのプライドとか無いの!?」
「はっ!? そんなものなんて隙有れば快利に服をねだり甘えるユリ姉ぇを見た段階で、とっくに消え失せたっ!!」
ただ言動はかなり危ない事を言っていて、エリ姉さん、それはさすがに過保護過ぎるから…‥そりゃエリ姉さんみたいな美人で練習……って俺は戦闘中に何を考えてるんだ。と、思ったらセリカの姿がいつの間にか遠くに見えた。距離を取った理由を考えて俺はハッとして上を見た。
「ん? 上かっ!?」
いつの間にかメイドのモニカも俺から距離を取って、そしてモニカの魔術で真上に転送されて来たのは爆弾では無かった。それはガラスのビンで中に青紫色の液体が入ったもので、セリカの投げた石が当たって俺の頭上から周囲に巻き散らかされた。
「ぐあっ!? まっさか……やっぱり毒もパワーアップしてんじゃねえか!?」
「そのとーり!! さすがは私の夫ですわっ!! それは、お馴染みのマンドラゴラと今回は不可視の森に生息するホワイトバジリスクの毒を調合した一部を石化させつつ気絶させる毒ですわ!!」
「お前、ま~た、そんな危ないもん作ったのか!! クソガキがっ!! 今はアレが使えねえから……仕方ねえなぁ……ガキ共にはおしおきが必要なようだな……」
そろそろ面倒になって来たし本気を出す事にする。歌姫の守護騎士の性能の確認も出来たし、もう遊ぶ必要は無いな。
「創造魔法……それと、この間、魔王が使ってた転送魔法っと……ほれ、モニカ。お前の、だ~い好きなゲコゲコ鳴く奴だ」
そして俺はある生物を転送した……モニカの頭の上に、先程歩いている時に森で見かけたウシガエル君だ。創造魔法で作った偽物だから清潔ではある。しかし、あのメイドにはそんな事関係は無いだろうがな。
「え? ちょっ……冗談……です……よね? マイマスター? それはダメだって……言った――――「聞くとでも思ったかぁ? ああん?」
「うっ、酷いよ勇者ぁ……それダメって前から――――「だから、言ったろ? ご主人様の、お・し・お・き・だ!!」
あまりの恐怖と頭のヒンヤリとした感覚に口調が昔の出会った頃に戻ったなモニカの奴、なんて思いながら俺の怒りは有頂天だから手は一切緩めない。謝っても、もう遅いんだよ駄メイドが!!
「あっ……もういやぁ……セリカ、様……あとはよろしく――――」バタン。
「まずは一人、さぁ~てセリカお嬢様ぁ~? 次はお前だなぁ?」
カエルに凶悪なトラウマが有るモニカの頭にウシガエルを乗っけて気絶させると今度はセリカの方を見る。勇者に喧嘩吹っ掛けた時の恐怖を少しでも思い出したかな?この悪ガキ共。
「あっ……あの、し、質問良いでしょうか? 勇者カイリ?」
「なんだぁ~? セリカお嬢様ぁ~?」
「わ、私の毒、直撃しましたわよね?」
そう、人の頭の上に猛毒を投げ込みやがったこの毒殺令嬢。その昔、貴族戦争時代に俺の暗殺を何度もしようとしやがって、その時の興奮が忘れられずに毒薬作りにハマったアホである。
「ああ、一瞬焼けたように両腕が熱くなって手が重く……なりそうになったな。危なかったぜ……ルリのスキルの音壁のお陰でな……このスキルは音の壁を作るために音波が出ててな。ほとんどの毒液は俺に付着する前に音波で飛ばされてんだよ」
「ふふふ……相変わらず凄まじい能力で安心しましたわ。さすがは勇者カイリ。では今日はこの辺りで失礼をいたしま――――「素直に帰すとでも思ったか?」
顔を真っ青にして後退し始めたセリカの手をガシっと掴んで離さないようにしてニタァと邪悪な笑顔を浮かべる俺、まさか俺が元勇者とは思うまい。
「そっ、そんな熱烈なアプローチ困ってしまいますわ。お互いをよく知るためにお手紙から始めま――――「ああ、だが俺は我慢が出来そうにない。セリカお嬢様? お手をどうぞ?」
「え? そんな勇者カイリ。私ダンスは苦手で――――「そうか……じゃあ仕方ないなぁ……眠れ、刹那の子守歌」
「ふっ、そんな下級の魔法なんかに、名門貴族である私が絶対負けたりなんて……しなっ……い」――――バタン。
セリカをあっさり気絶させると俺は素早く即応式万能箱からロープ(勇者特製)を取り出し二人を芋虫のようにキッチリと縛る。そしてミノムシのようになった二人を引きずって後ろのメンバーの元に戻りながら考えていた。どうやってこの状況を誤魔化せば良いんだろうと……。
◇
「取り合えず、説明した方が良いでしょうか? 風美さん?」
「「「はい? えっ!?」」」
そうだったよ、この場には風美さんが三人居るんだった。今はルリのお母さんのエマさんを呼んだつもりだったけどルリとMIMIちゃんの三人も反応しちゃったよ。この場では下の名前で呼ばなきゃいけないんだったと考え直して気付いた。
「いや、ルリはいつもの呼び方だからこの場合は反応するの二人だけだろっ!!」
「そうだった……カイに『風美さん』なんて呼ばれるのが久しぶりだったから、つい反応しちゃったよ」
少し前までは風美さん呼びが基本になっていたから反応したようで、一方の俺はルリ呼びの方が慣れているから変な違和感を感じたんだなと、思案しながら状況の分かっていない二人を改めて見る。
「えっと、じゃあエマさん。その、説明した方が良いですよね?」
「さすがに目の前で映画さながらのアクションシーンやられたらねぇ……綾華も南美も必要よね?」
「さすがにね~? てかファンの……えっと秋山くん? あなた何者なの? 騎士様? 変身ヒーロー?」
そこで先ほど綾華さんにした話をして更に、俺が七年後から来た事についても簡単に話した。この二人を見られた以上は過去改変についても話さないと話が通じなくなる。そして俺の『ヌルゲーライフ&はじめての家族旅行』を台無しにしやがったこの二人はどうしてくれようか?
「まさか未来人とはね……転移先の未来から帰って来て歴史を変えたと……なるほど、厳密には未来人と言うよりもタイムトラベラーや並行世界の住人みたいな感覚が正しいのかしら?」
「そうですね綾華さんの認識で間違い無いです。ルリを助けた時も別な未来を壊してるんで並行世界は存在してますんで……」
綾華さんは二度目の説明にプラスアルファで、しかも飲み込みがかなり早いので俺の説明を受けてかなりの速さで理解してくれた。地頭が賢いんだなエリ姉さんと同じタイプなのだろう。
「まるでSFの世界の話ね……ちょっと待って、まさか、先月のRUKAのダブルブッキングの仕事が間に合ったのって?」
「うん。あの時はまだ私の正体教えて無かったけど、カイが送ってくれたんだ~♪」
さりげなくボディタッチとかやめようね?ルリ、柔らかい!!すっごいイイ匂いで柔らかいから!!そんな俺の葛藤をよそにエマさんが顎に手を当てて思案顔をした後に俺とルリを見て言った。
「…………ねえ、秋山くん? うちの事務所でバイトしない?」
「あ~、スカウトですか? そう言うのはちょっと、いきなりマネージャーやプロデューサーとか、俺なら頑張れば出来るかと思うんですけど~」
「は? いえ、あなたには三人の運搬係をお願いしようと思っただけよ? マネやPが昨日今日の新人に出来るわけ無いでしょ? そんな頭オカシイ設定がまかり通るのはゲームやマンガの世界だけよ? プロ舐めないでちょうだい」
俺の勘違いがピシャリと指摘されたけど……確かに言われてみればそうだよな。いきなりティンと来たり新人や学生がある日突然なんて起きないよなぁ……でもある日いきなり勇者になる事は有るんですよと言い返す。
「あんたは特殊なのよ。それで? どうすんの?」
「ユリ姉さん……でも俺も学校有るし……」
「ま、すぐに結論は出さなくても良いわ勇者くん。あなたとは公私ともに仲良くしていく事になりそうだからね?」
そう言ってウインクして来たので年齢考えてと思ったけど、ルリが大人になった感じだから普通に美女のウインクだから困る。少し照れて顔を背けるとルリに腕を強く引っ張られてエリ姉さんにも反対の手の甲を抓られた。
「あのぉ……肝心な事なんですけど、俺の正体とか力の事は……」
「そりゃあ秘密にするわよ? こんな凄い事、でもその代わり……ね?」
「失礼、ご婦人、その考えは早計でしてよ? 身を滅ぼしますわ」
ミノムシのようにして隅っこに放っておいたセリカが目を覚ましてエマさんの発言に待ったをかけた。正直助かった、俺の力は転移して以来ずっと国に、王に、国民に、様々な人間に利用されていた。俺はそれでどんどん心が壊れて行って最後は国防の歯車の一つにされていた。それが嫌で俺はあの世界から逃げ出したんだ。
「勇者カイリが私たちの世界、七年後の世界から逃げ出した理由……ご存知?」
「あっ……そうか、散々と勇者としての力を七年間も当てにされて疲れたから逃げ出したと言っていたな」
「つまり、勇者の力を安易に頼る場合はまたどこかに雲隠れしてしまう可能性が有りますわよ?」
エリ姉さんが思い出したように言うと我が意を得たりと言わんばかりにセリカが続けたが、残念ながらその通りだ。俺はこの力を何の対価も無しに利用された。いや、対価はもらっていたか、人々からの感謝に認められた喜び……。なんだ、やっぱりブラックだったじゃねえか!!異世界!!
「なるほど……なら秋山くん、いえ快利くん? 取引とかはダメかしら?」
「はい? 取引って……俺は、勇者はそんなものに――――「瑠理香、いえRUKA? 特別VIP待遇のファンを一人だけ作っても問題無い? サービスはそうねぇ……ツアーを含めた全てのライブ席を確保、更に楽屋へのフリーパス、そしてソロイベントでは必ず一番前、そして最後にRUKAとあなたの関係について事務所が保証するとかどうかしら?」
「え? お母さん何を言って……ハッ!! もちろんだよ!! カイこれもう親公認だよ!! むしろ事務所公認だよ!! 怖いのは文〇砲だけだよ!!」
え?今何と申しましたこの御仁、エマさん……いやエマ様!!いやいや少し待てよ勇者カイリ、俺は確かにRUKAのファンだ。しかし一ファンとしてそんな抜け駆けのような事が許されるはずが無い。ルリは喜んでるみたいだけど……だが俺の心はこの時に決まった。
「ふっ、家や組織で取り込もうなんて……そんな事は私や他の貴族も何度もやっているから無駄ですわ!! 勇者カイリは全てに平等で国の守り手、そんな事で……」
「お任せください!! マネージャー!! この元勇者・秋山快利は全力でRUKAさんを、いえ『|Twilight Diva《黄昏色の歌姫》』をお守りします!!」
ああ、もちろんファンなら当然だよな!!推しを守る、そう、これは仕方ない行為だ。それに俺はもう勇者を辞めたんだから好きに生きるんだ。これは利用されたんじゃない自ら利用されに行くんだからな!!ヤメテ、ユリ姉さんとエリ姉さんそれに綾華さんも残念な目で俺を見ないでくれ~!!
誤字報告などあれば是非とも報告をお願い致します。
ブクマ・評価などもお待ちしています。
この作品はカクヨム様で先行して投稿しています。