第17話「元勇者のお悩み相談室、答えるのが面倒だからチートで片付けます」
「ま、そんな訳で俺は何とか魔王を倒せたんですよ……だから俺は色んな意味であなたにお礼を言いたかった……RUKAさん。魔王を倒せたのはあなたのお陰でした」
俺の告白に最初はポカーンとしていたけど途中からは真剣に聞いてくれたので安心した。正直言うとユリ姉さんみたいなオタク的な知識の下地が有る人ならスッと入れる話でも一般人それもアイドルのRUKAさんには少し受け入れ難い話かと思ったからだ。でもそれは杞憂だった。
「そっか……私の歌、役に立ったんだ……」
「はいっ!! そりゃもう!! だから俺は貴女に直接会ってキチンとお礼を言いたかったんです」
「じゃあ秋山くんの魔法とかそう言うのは……異世界で覚えたものなの?」
それに頷くと彼女は次から次へと疑問を口にして行った。この間の移動に使った魔術に、他にも魔法やスキル色々な事を聞かれたからつい答えてしまった。答える度に彼女の綺麗なアイスブルーの瞳が驚きに揺れているのが分かる。
「そうですね。おかげでこっちに帰って来てからは割とヌルゲーですね~」
「あ……その、聞きたいんだけど……秋山くんっていつ異世界に行ってたの?」
「へ? いつって……」
それは体感七年前ですけど……でもここで俺が過去改変を含めた時間を操れるような事を知られると絶対に危険だ。だからユリ姉さんにも黙っている。
てかユリ姉さんとかに教えたら安易に過去とか未来に行きたがるだろうし、それに何よりも俺自身がこの因果律操作系統魔法とか怖過ぎてもう使いたくないと言うのが本音だった。
「だってその、魔王を倒したのは一年後でその前の地獄の訓練で三ヶ月って……最低でも一年以上向こうの世界に行ってたんだよね? その間は学校どうしてたの?」
「あぁ~実は、留学、そう留学先で俺は異世界に行っちゃったんですよ。高一の時に実は海外留学してて……海外だと意外とバレなくて、いや~運が良かったですよ」
そう言ってテキトーな事を言って俺は目の前の推しのアイドルにも嘘をついてしまった。RUKAさんに嘘をつくのは心苦しいけど、これも彼女のためだ。嘘も方便って言うしどうか許して欲しいなんて必死に言い訳をしていた。
「チッ、ふ~ん。そうだったんだ」
「えっ? あ、いや……RUKA、さん?」
そう思って彼女の方を見ると、先程までの軽快なトークが嘘のようにテンションが下がっていた。それは彼女のアイスブルーの瞳にも変化が出ていて、さっきよりも冷たく見えた気がした。何でそう見えたのかは分からないけど、その眼光に俺は息を吞んだ。
「あっ、ゴメンゴメン。深い意味は無いんだ。じゃ、秋山君は今年こっちに帰って来たばっかなのに2ndライブの衣装の事とかも知っててくれたんだって思って、少し驚いたんだよ~」
「え? ああっ、そうですね!! 実は帰って来てからネットで知って!!」
嘘で~す。ガッツリそのライブツアーにも行ってます。ツアー全参加は資金的にも無理だったから一番近いドームでの公演だけだったけど……場所は先行申し込みだったのに二階席だったけど……。
「じゃあFC会員への先行申し込みとかの特典が無駄になったんじゃないの?」
「えっ、ええ。そうっすね……こっち帰って来てから焦ってBDとかで見るしか無くて~アハハ」
ヤバイこれ以上話し続けるとボロが出そう。目の前のRUKAさんは記憶力が高い人だ。何かの拍子に俺が間違えたらバレてしまう……ん? 待てよ……冷静になって考えてみろ俺。なんで俺はRUKAさんに尋問みたいな事されてんだ?
これじゃまるで異世界で魔族を尋問してた時の拷問官と同じじゃん。俺の話を聞きたいって言うならこっちを探るような事はしないで俺の話を聞きたがるのでは?つまり彼女は俺から何らかの情報を引き出そうとしている?
「ふ~ん、そっかそっか。色々ありがと。ファンの人と話す事なんて中々無いからさ曲作りの参考にしようと思って。質問攻めにしちゃって色々ゴメンね?」
「あっ、なるほど!! いやぁ……何か俺が色々質問しようと思ってたのに、逆に質問されるとか思って無くて。いやぁ~困ったなぁ」
「だって私も君のことを知りたかったんだよ? 私を助けてくれた男の子の事もっと知りたいなって……そんなに変かな?」
ちょっと小首をかしげる、たったそれだけ仕草が……とんでもなく可愛いです。何だこれは同じ生き物なのか? そりゃ顔だけなら俺の姉さん達だってRUKAさんには負けて無いけど、こう言う一つ一つの洗練された可愛さ、圧倒的女の子らしさはRUKAさんにあの二人は間違いなく勝てない。思わず見惚れてしまった。
「秋山……くん? どうしたの? ボーっとしちゃって? あ、もしかして私に見惚れちゃったかな~?」
「はい……すっげえ可愛いです……マジで」
「えっ!? あ、そう? ふふっ、ありがと。すっごい嬉しい……よ」
思わず無意識に言ってしまった。つい口から出たとかそう言うレベルだ。やっぱ俺の推しのアイドル可愛い、いやもう尊い。
彼女のためなら何でも出来ると前回何も考えずにワームホールを空間に開いて正解だった。過去の俺グッジョブ!!
「あっ、そうだった。すっかり忘れるところでした。それでRUKAさんにお願いが有るんです」
「え? 何? サイン、それとも写真とか? それくらいなら良いけどSNSとかは勘弁して欲しいんだけどなぁ……」
「いいえ。ファンとして公式以外でそう言うのは何か違う気がするんで、なのでこれは、RUKAさんのファンでは無くて、異世界転移した後にこちらの世界に戻って来た元勇者カイリである俺個人の、RUKAさんと言う一人の女性へのお願いです……」
そう、忘れていたけど俺はそもそもRUKAさんに俺のこの能力の事を黙っていて欲しいと言う事をお願いするのも今日の目的だった。そりゃ一番の目的はRUKAさんとこうして会ってお話する事だけどね。
「えっ!? え……そっ、そんな私、この恰好でいきなり……困るって言うかぁ……で、でもあんたがそう言うつもりなら――――「俺のこの勇者としての全ての能力の事は他言無用でお願いします。今は家族の一人とアナタにしかお話はしていません」
「へ? そう、なんだ……でも、じゃあ何で? 家族でも……まして友達でも無いアタシのために……」
「困っている人が居たら助けるのが勇者の務め!! な~んてカッコいい事言えたら良いんですけどね。実際は下心満載ですよ? だってあのアイドルしかも俺の最推しを助けられるなんて思ったら、自然と体が動いてたんです」
それに、初めて会ったあの日、ため息を付いて俺と目を合わせたあの瞬間にアイドルとは違った別な顔みたいなのが見えた気がしたから、いつかどこかで見たようなそんな表情。たぶんオフの顔ってやつなんだろうけど……そんな顔を見たら放っておけなくなったんだ。
「そっか……やっぱり、私がRUKAだから助けてくれたん……だね」
「ま、まあ平たく言うとそうなっちゃいますね。すいません何か勇者なのに俗っぽくて……向こうに居る時は全ての国民平等に助けなきゃダメだったんで、戻って来て色々と調子乗っちゃって……」
「でも、あの時あんたが隣に居てくれて良かった。あの仕事ポシャったら損失凄くてさ、局の顔を潰すか、スポンサーの顔を潰すかの二択だったんだ。たぶん今日もここに来れなかった。謝罪ツアーしてたと思うから」
やっぱり大変なんだな……アイドルってスポンサーの意向とか、あんな華やかな舞台なのに裏はこんなのばっかりと、愚痴をしばらく聞かされた。でも全然嫌な気分にはならなかった。だってこの程度なら異世界の方がキツかった。
魔族の戦線が押し上げて来たポイントをどうするか? とか補給線の維持とかそう言う愚痴を将軍から聞かされ、内政を宰相やら文官らに愚痴られる。
そして最後は王からお前出れば片付くからよろしくと言われチートで解決する。それがあの王国のやり方だった。だから可愛いアイドル一人の愚痴を聞くくらい余裕だった。
「っと、ゴメン。さっきから悩みとか愚痴ばっかで、こう言うのってメンバーにも言えないんだ……仲が悪いわけじゃないんだけど弱味とか見せたくないから……」
「あ~分かります。それ、俺も旅のパーティー、えっと仲間には愚痴とか言えませんでしたから、常に勇者らしくあれって周りから言われて、愚痴なんて最初の一年で枯れ果てましたよ」
「そっか、秋山くんも……じゃあさ、どうしようも無くて誰にも相談出来ないそんな事があったら、君はどうするの?」
う~ん……そもそも異世界では相談なんてまず出来なかった。相談した瞬間には俺の情報が筒抜けになるから、例外としては旅の仲間だったけど彼らは彼らで相談しても脳筋しか居なくて無駄だった。
そう言えば剣士や戦士は敵がいたら潰すとしか言わなかったし、魔法使いと賢者のコンビは近付けば滅するとしか言わなかったな……。
「と、まあそんな感じで年長者には相談は出来ませんでしたね……そうしている内に面倒になって最後はスキルとかの能力に頼って片付けてました」
「そうか、能力かぁ……私なんて何も無いからうらやましい」
「何をおっしゃいますっ!! RUKAさんには皆を元気にする歌が有るじゃないですか!! RUKAさんの歌は魔王ですら倒せるんですよ!!」
俺が大真面目に言うとRUKAさんは笑いながら私の歌がまるで戦争の武器みたいな言い方は嫌だなぁ、と言われてしまった。俺は慌ててそう言う意味では無いと伝えると笑いながら続けてくれた。
「もう、分かってるよ? 何より君の助けになれたのが嬉しい。じゃあもう一つ聞いてくれないかな? 私の悩み」
「何でも聞いて下さいよ。こう見えても国民から陳情聞いてお悩み相談室みたいな事までやってたんで、水路や街道の整備や清掃から、貴族間のトラブル、財産問題……あぁ……ほんと色々やったな」
「うっわ、凄いんだね異世界も、えっと私の悩みはシンプルだよ。親友と……大好きな人と仲直りしたいんだ……」
そうしてRUKAさんはゆっくり話し出した。中学生の時に仲の良かった親友と仲違いしてしまった事、その親友は《《複雑な家庭環境》》だったらしく相談に乗っていた事。そして、その子と自分にまつわる変な噂が流れ疎遠になった話などだ。
「噂ねぇ……それで結局はニセの噂だったんすよね?」
「え、ええ……。でもそれ自体はそこまで問題じゃないの。すぐに噂そのものが払拭されたし。ただその時には私も色々と家庭の……ぶっちゃけると、今のアイドルのお仕事の事で学校と家を行ったり来たりで、最後の方は引っ越す事になってね。その子と話す機会も減っちゃって、だから色々とすれ違ったんだと思う」
「なるほど。それでこの神社に来て考え事を……その、RUKAさんはどうしたいんですか? 解決を促してるわけじゃないんです。ただ何か願望が有るなら……」
有るなら俺のチート能力で問題を片付けるって言ったら彼女はただ悲しそうに俯いただけだった。RUKAさんにこんな顔させるなんて、いくら親友でもヒドイ奴だな。少なくとも彼女はこんな反省してるのに、でもあえて言うなら……。
「まずその人と話し合うべきだと思います。真摯に向き合えば必ず聞いてくれますよ。それに……」
「それに?」
「それにそれでも話を聞いてくれないようなら……また、また俺が悩みでも愚痴でも何でも聞きますからっ!!」
アイドルとしても、でも俺はまず一人の人間として彼女を助けたいと思ってしまった。やはり恩人だから、あの歌はそれだけ俺の心に勇気をくれたから。
「ありがと、うん。私も、決めたよ……色々と……うん……」
彼女の顔は晴れやかと言う感じとは、ほど遠いが、どこかスッキリしたような顔をしていた。ただ、どことなく悲壮な覚悟のような俺が昔、異世界で見た戦友たちの顔付きに似ていた。
「あんまり思いつめない方が良いですよ? 時間をかけて悩むのも大事ですし」
「ううん。決めたんだ。ありがと。秋山……カイ、くん……」
ビクンとした。下の名前、それもそんな呼び方をされたのは母さんともう一人しか居なかったから……。だから一瞬、本当に一瞬動揺してしまった。だから慌てて彼女に向かって口を開いていた。
「あ……お、俺の名前、快利ですよ? RUKAさん」
「うん。もし……次、会えたら今度からそう呼んで良いかな?」
「ええ、もちろん!!」
「あともう一つお願い……握手……しない?」
俺は緊張しながら手を出すと最初は片手で、その後に彼女は俺の手を包むようにギュッと両手で包んでくれた。
「ありがとうございます!! 今夜は、いや、しばらく手は洗いません!!」
「うん。私も……じゃあね……カイ、くん」
そして彼女の迎えの車が結界の外に来たのを確認すると結界を解いて彼女の後姿を見送ると俺はワームホールを開いて自室に戻った。
◇
「あぁ~快利ぃ~」
「どうしたのユリ姉さん? それと今日は右腕洗えないからくっ付かないでね?」
「弟が冷たい~。コーラ取って来てって言おうとしただけ~」
なんかユリ姉さんキャラ変わり過ぎじゃないですかね? 俺は思わずエリ姉さんと母さんを見てしまった。
「ユリちゃんは昔からこうだったのよ~。快くんが居ない時とかでもこんな感じよ~今まで隠してたから……でも、ほんと仲良しになってくれてお母さん嬉しいわ」
「ユリ姉ぇは甘え出したらこうなるぞ? ふむ、これからは私の負担も減るな……あと快利、ユリ姉ぇが風呂に入ったら私にも膝枕を頼む!!」
だからと言って俺はなぜメイドに膝枕をしているのでしょうか? これ普通は美少女メイドにしてもらうの俺ですよね?
胸とか見上げてドキドキするアレしたいんですけど……あとエリ姉さん、その出前の注文みたいに俺の膝枕とか言わないで下さい。
「じゃあ母さんも今度してね~? 快くん?」
「はいはい、しますよ~。じゃあコーラ取ってくるから動くね? ユリ姉さん?」
そう言うと俺が立ち上がったと同時に母さんも風呂場の方に向かってしまった。お風呂を沸かすのだろうか?ちなみに今は食後のまったりタイムだ。
あの後RUKAさんを見送った俺は、ご飯を作って今はなぜかユリ姉さんに膝枕をしている。そんないつものリビングだ。
「あ、そうだ。快利に報告があったのよ。私、紅っちのとこのサークルに入る事にしたの!!」
「えぇ……大丈夫なの? 俺は少し不安……だけど、あと紅っちって紅井さん?」
「うん。サークルの先輩の一人と紅っちと三人でご飯食べてたらさ、その人が高校の時の友達のお姉さんで、前に話したでしょ? 五人の仲良しだったメンバー。その中の一人のお姉さんだったの……それでさっき連絡取ってみたら本当だったんだ」
世間が狭いぃ……でも、それでも俺は少し不安だ。ユリ姉さんは基本チョロい。それに可愛い、だから狙われる。そうしていたらクイッと右手が引っ張られた、エリ姉さん止めて!!それ今日RUKAさんに握手してギュってしてもらった手だから!!
「ん? 知人が居るなら問題無いと思うが……しかし快利の不安も分かる。今度三人で由梨姉ぇの大学に行くのも有りかも知れないな……」
「大丈夫……だと、思うけど……やっぱり怖い、かな? ありがと二人とも」
ま、大事な家族だしね……今までは行き違いとか色々あったけど今はもう大事な存在だし……。なんかエリ姉さんがにじり寄って来てるし、ユリ姉さんの反対側の俺の隣に腰掛けると、ピタッとくっ付いて来た。距離近いからエリ姉さん!! そしてそんな葛藤をしている俺にユリ姉さんが下から声をかけてくる。
「ね、ねえ快利? あんたの周りに最近、近付いて来た変な女とか居なかった?」
「不審なのはユリ姉ぇだけじゃないのか? そもそも居れば私が気付いている!」
「あんたね……絵里香。これはマジ話ってやつ。高校の同級生と連絡取ったって言ったでしょ? その子、小学校からの同級生で、あんたも一度会ってると思うのよ。家に呼んだから。で、その子なんだけど瑠実香とも最近会ったらしいのよ」
美村瑠美香、最近よく話題に出て来るようになった女の人。俺たちの関係がここまで歪んでしまった原因の女だ。しかしそれと俺に近づいて来た女?サッパリ意味が分からない。
「また近付いて来ているのか? なら今度こそ徹底的にしなくてはな……ユリ姉ぇにも、もちろん快利にも近付けさせない。やっと三人姉弟で仲良くなれたんだ」
「そうだね。事情も分かってるし俺もユリ姉さん苦しめて、エリ姉さんに世話かけた人なら絶対に許すわけにはいかない!! もし今は良い人になって更生したとしても許す訳には行かない……」
「快利……話はまだ続きがあるの。最近この街にチョクチョク現れるらしいの……私も一度、中央通りの、ほら神社の脇道に近いとこ、あそこですれ違ったのよ。だから偶然を装ってあんたに接触して来るかも知れないから気を付けて。あんたはあっちの顔分からないでしょ?」
なるほど、まさか俺が目当てなんて事は無いだろうけどエリ姉さんに復讐して来るかも知れない……って何でユリ姉さんはバレなかったんだ?その疑問をぶつけたら姉さんは笑いながら頭を指差した。
「この色じゃ気付きっこないわよ。向こうも素通りしたから、今の私って見た目が陽キャ仕様だからね!! でも髪の色戻すかなぁ……夏休みにでも」
「うん。俺もユリ姉さんは黒髪の方が良いと思うな~」
実はユリ姉さんの髪の色が変わった時には少しショックだった。俺は黒髪のサラサラストレートの姉さんが初恋だったから……。そんな追想をしていたらエリ姉さんがまた右手を!!やめてええ!!
「とにかく覚えている限りでは黒髪でロング、あとはメガネ。これだけしか分からない……容姿は変わってないんだろ? ユリ姉ぇ?」
「ええ、ほとんど変わらずって感じ……どうしたの? 快利?」
「えっ、いや何でも無いよ……俺が最近話した女子なんて風美くらいだしね」(あとは、RUKAさんしか居ないんだよな……)
そこで話は終わり後は三人で雑談になった。でも俺はどことなく言い知れない不安を感じていた。二人の特徴がたまたま似てるだけだろ……なんて自分に言い聞かせながら……。
◇
そして俺は今は自室のPCでRUKAさんのライブ映像を再生していた。もちろん限定版のBDのボックス仕様のやつだ。そしたらスマホに通知が入った。見ているご本人からの通知だった。
たった今【今日はありがとう、バイバイ】
【俺の方こそありがとうございました!!またお気軽に連絡下さい】
既読が付くと忙しいのかそれ以上返信は来なかった。今日はいい夢見れそうだな……ライブ映像を見終わってもう日付が変わっていた。寝なきゃ明日起きれないかも知れない。そう思ってベッドに入った寝つきは凄く良かった……。
◇
『勇者カイリにご報告します。スキル効果対象者が昨晩変更になりましたのでご確認をお願いします』
そんなガイド音声の声で目を覚ました。まだ眠い目を擦りながらボケっとして起きる。スキル効果対象者が変更?それって……どう言う?
『対象者、風美瑠理香の生体反応をロスト、よって対象者より破棄、変更手続きが自動で行われました。ご確認下さい』
「は? それって……」
『繰り返します。対象者、風美瑠理香の生体反応ロスト、死亡を確認しました』
頭の中が真っ白になった……。
誤字報告などあれば是非ともよろしくお願い致します。
ブクマ・評価なども有ればお待ちしています。
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