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転移先がブラック過ぎたので帰ってきたらヌルゲーでした  作者: 他津哉
第7部『元勇者の根源と時空の復讐者』
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第104話「ん? 言うの忘れてたけど俺が兄なんだ」


「さて、行くかルリ、モニカ、セリカ!!」


「ええ、参りましょう」


「今日は私も行けるから楽しみだよ、お義母様に会うのは初めてだから緊張する~」


 気のせいか今の一言は字面だと意味が違うような気がする。ルリは最近は溜まった仕事を片付けたり年末の特番の収録で大忙しだったらしい。


「ただ瑠理香さん達は基本的に歌番組ですよね? 中途半端に頭脳を自慢する芸人や頭の足りないグラドルが出ているクイズ番組ではお見かけしませんが」


「去年までは仕事とか選べなかったから出てたけど最近は母さんが仕事選んでくれるようになったから歌番組とかラジオが多いかな」


 確かに去年、つまり転移前の高一の頃はルリは何度か学校を欠席していたし中三の終わり頃も家の用事が忙しいと言っていたのを思い出した。


「今年はライブが中心だったもんな、ルリのダンスもキレが上がってたしデビューの時に比べて一段と成長した」


「と、こんな感じでオタクが後方彼氏面してますが一言どうぞ」


「そこまで言うなら本物の彼氏になってよカイ、あと今年こそはクリスマスライブも来てね……待ってるから」


 腕に抱き着くの止めてルリ、あ、今回は香水変えてる。いつもの俺なら女の子に抱き着かれただけで舞い上がるのに……俺も女慣れしたんだな。男として格が上がったのかもしれない。


「などと心の中で考えてそうな快利兄さんのお答えはいかに」


「恋人の件はともかくライブは必ず行くから、それに事前にバイトで一緒だろ?」


「うん、今年は仕事もプライベートも一緒だね、嬉しい!!」


 そしてさらに腕に抱き着かれて……やっぱり胸押し当てられて我慢が限界に近いです。英雄化もしてないのに違う所が英雄になりそうです。


「じゃあ今度こそ行こう、モニカは俺の後からセリカとルリは掴まってくれ」


 そして俺達は目的地付近に転移する。今回はちゃんと理由が有って目的地付近へ跳んだ。そして花屋に入ると店員さんに予約しておいた花束を受け取り俺達は目的地に辿り着いた。


「あっ、いたいた母さん!!」


「あら快利、無理しなくて良かったのに学校だったんでしょ?」


 パリッとしたグレーのスーツ姿の母さんは病院の入り口で数名の看護師と話をしていて、どうやら間に合ったようだ。学校から直接転移して来て正解だった。


「放課後走れば余裕だよ、それより退院おめでとう母さん」


 俺は先ほど受け取った花束を渡した。後ろではルリや皆が少しだけ不安そうにしているが問題無い。


「ええ、ありがとう、快利……いいセンスと言いたい所だけど後ろのお嬢さん達に選んでもらったの?」


「うっ、それは……半分正解」


 俺が言い澱んでいると出番だとばかりにルリが前に出て来た。何か勢いが凄いんですけど……最近出番無かったから張り切ってるな。


「ネットで私達が選びました、初めまして風美瑠理香と申します、お義母様!!」


「瑠理香さん何をいきなり!! あっ、この度は退院おめでとうございますわ!!」


「二人とも、病院の前で騒がないで下さい!!」


 さらにセリカとモニカまで出て来たから一騒動で看護師さん達にまで笑われた。こんなん晒し者だよと母さんを見ると呆れた顔して俺を見ていた。


「あらら、モテモテね快利?」


「うっ……はい」


「ちゃんと女性関係はしっかりなさい、いいわね?」


「うん、母さん」


 言い合いしている三人を見ながら俺は生まれて初めて母から説教された。それさえも嬉しくて少しくすぐったい。そんな風に感慨にふけっていると母さんが看護師たちに挨拶をしていた。


「では、お世話になりました」


「いえいえ、我が病院始まって以来の奇跡に立ち会えて私達も鼻が高いです~」


「誤診とまで言われちゃってる担当の先生はご愁傷様ですけどね」


 クスクス笑う看護師さんも中々に性格が悪いが、つまりはそういう事だ。俺が母さんの癌を治してから既に二週間が経過していた。翌日の検査から何かの間違いだと病院は大騒ぎになり母さんは別の大学病院にまで一時転院させられ精密検査を受けたが当然ながら異常は無かった。


「でも良かったですね、機器の故障で実際は過労が原因で倒れただけなんて、これからは、お子さんを頼って無理しないで下さいね」


「はい、頼りになる息子たちにお世話になりますよ」


 そう言って俺達を見ると看護師さんも笑顔で俺達を送り出してくれた。天気は快晴、冬の晴れ間というやつが俺達を祝福してくれているようだった。





 改めて結論から言うと俺の懸念は完全に杞憂だった。散々不安で寝れない夜を過ごしていたけど転院した病院は子供が入り辛い環境で狩憮は入れず俺が息子として付き添う事になった。それでも怖かったけど病気が治ってからも母さんの態度は変わらなかった。


「ま、つまりは嬉しかったんだ」


「良かったねカイ、本当に、お母さんと仲直り出来て……」


 今、母さんは久しぶりに手料理を作ると言って台所で料理をしてくれている。モニカや俺の手伝いが断られたから今は四人で雑談中だ。


「ありがとルリ素直に嬉しいよ……他の連中に比べて優しいなぁ~」


 ルリはこんな感じで涙ぐみながら喜んでくれているが他の女性陣は違った。心配はしてくれていたんだが何か引っかかる奴が多過ぎた。



――――モニカの場合

「はぁ、快利兄さんは妙な所が肝が小さいですからね、バブみ練習はお預けですね」


――――セリカの場合

「親子の絆はこの程度では砕けません、さて挨拶と初夜の準備を……」


――――絵梨花の場合

「慰める必要が無くなったか、だがお姉ちゃんの胸はいつでもっ――――自主規制」


――――由梨花の場合

「良かったわね、でも弱気で情けない快利も昔みたいで少しゾクゾクしちゃった」


――――慧花の場合

「つまり私のキスのお陰か、もう一度すれば更にいい事が有るかもしれないよ?」


――――那結果の場合

「ぶっわははははっ!! ヘタレてビビり散らかし散々わたし達に泣き言って、結局はただの独り相撲って……これが元勇者ですかぁ~?」


 何でだろう、ラスト一名からとてつもない悪意を感じる。ちなみにこれは俺が一週間経って母さんの入院生活を世話してる間に何も変わらなかったと話した時の彼女達のリアクションだ。


「やっぱルリは天使だよ……」


「そ、そんな!? 私がカイにとって女神で唯一の歌姫だから今すぐ結婚を前提に結婚したいだなんてっ!! そんなのいつでもOKだよ引退準備しとくね!!」


 やっぱり少し考え直すか俺の推しのアイドルグループが年内で解散しかねない。一番素直なんだけど……重いんだよな。俺が悪いとこも有るんだけどね。そんな話をしていたら鍵の開く音がして狩憮が帰って来た。


「……あっ、帰ってたんだ母さん、それに快利さん達も」


「おかえり、今日は退院の日だったからな」


「そっか、これでもう一人じゃなくなるんだ……でも」


 すると言葉を区切って狩憮がこっちを見た。どうしたんだと俺が聞くと狩憮が母さんの方を見た。母さんも不思議そうにしていた。


「これで快利さんとはお別れ……だよね」


「あっ……」


 そこで俺は今更ながら弟に兄だと名乗っていなかったのを思い出した。普通に何日かに一回は様子を見に来る気だったし母さんと話はしていた。そのために既にアプリのIDだって交換している。


「それなんだけどね、狩憮……実は」


「快利!! 瑠理香さんが!?」


 母さんが何かを言う前にセリカの悲鳴のような叫びが部屋に響く。見るとルリがグッタリしてちゃぶ台に突っ伏して顔色が真っ青になっていた。


「うっ、ご、ごめんカイ、何か急に気分が悪くなって……」


「ルリ!? 顔が真っ青じゃないか、どうした!?」


「う~ん、最近仕事忙しくて……それで眩暈かも、たまに貧血有るし」


「快利、瑠理香さんを横にしなさい、生理痛の一種かもしれないわ」


 母さんが料理の手を止めてルリを横にするが顔色は優れない。結局、俺がルリを家まで送る事になり抱っこしたままモニカの先導で部屋を出てアパートから離れた路地に入るとルリと二人で俺の部屋に転移した。





「もう大丈夫なのかルリ?」


「うん、カイの魔法のおかげ……かな? もう落ち着いたよ」


 部屋でルリに回復魔法をかけていると顔色も戻って安心したがスキルでルリのステータスを見たら疲労度が高くなっていた。


「仕事やっぱり忙しかったのか?」


「ちょっとハードだったかも……お正月は完全オフにしたくて」


 初詣に一緒に行きたかったからと小さい声で言っていた。俺は必ず行こうと答えると話を切り替える。気になる事が有ったからだ。


「今日、エマさん達は?」


「今日は普段通りだから大じょっ――――「普段通り遅い時間に帰宅、だな?」


 大丈夫と続けようとしたのがすぐに分かったから俺は止めた。いくら芸能界で頑張って体力も付いていても限界は有るだろうし何より心配だ。


「そう……です」


「ルリ、今日は泊って行ってくれ頼むから」


 最近は病院に出入りしていたからか人の生死が余計に身近に感じる事が増えていた。元勇者として戦場で感じていたものとは違う命のやり取りや重さが病院では有って、それが余計に俺を不安にさせた。


「で、でも、せっかくカイとお母さんの記念の日なのに」


「元々は簡単に挨拶するだけの予定だったし少し戻って、こっちに帰ってくるから、頼むよ……な?」


「う、うん……でも、やっぱり少しでもお母さんに会って来て、ちゃんとカイの部屋で大人しくしてるから」


 それを聞いて俺は下の階にいたエリ姉さんに事情を説明してルリの様子を見てもらうように頼んで再度、セリカ達のいる母さんのアパートに戻った。





「それで、瑠理香さんは大丈夫なの?」


「うん、家で家族が見ているから大丈夫だよ」


 嘘は言って無い俺の家でエリ姉さんが見てくれてるから全て本当のことだ。勇者は嘘つかない。


「そう、じゃあ、どうする? 少し早いけどお夕飯にする?」


「えっと、うん……カレーだよね? 匂いからして」


「ええ、狩憮に昨日のうちに材料を買ってもらったの……どうやら私よりも上手く作れるらしいから食べてもらいたくてね?」


 ニヤッと笑う母さんに俺は不覚にも動揺した。な、何で母さんが知ってるんだ。確かに前、狩憮にカレーを作ってやった時に口からつい出たけど……言いやがったな。


「うっ、それ誰に……って狩憮か!?」


「えっ!? 僕は言ってないよ」


 そうなると一人だとセリカを見ると澄まし顔で紅茶を飲んでいた。どうやらモニカが用意して淹れたらしく俺が居ない間に狩憮や母さんにも振る舞ったらしいが狩憮は苦くてダメだったらしい。


「まだ狩憮には早かったかも……そういえばコーヒーもまだ無理だったかしら」


「ストレートだからじゃないかな? 俺も紅茶や緑茶は中学くらいからだったし、コーヒーは砂糖とミルク入れなきゃ飲めないしな」


「そうなの……良かったわね狩憮、お兄ちゃんもコーヒー飲めないって」


「え? お兄ちゃん? って誰?」


 その時、完全に場が凍った。母さんの顔を見ると能面だった。次にセリカを見ると口元に笑みを浮かべて時が止まっていた。モニカは目をつぶって静かに息を吐いた。


「「「「あっ……」」」」


 そこで俺は意識の戻った母さんを見て頷くと本当はもう少し後で話そうと病院で話していたのを早める事にした。


「その……言うの忘れてたけど俺が兄なんだ、お前の」


「えっ? ほ、ほんとに?」


「ええ、その色々と複雑なんだけどお兄ちゃんよ、あなたの」


 少し固まった後にいつものようにニヤリと笑うと狩憮は俺に抱き着いて来て俺は焦りながらも抱き留めた。ちっこいのに勢いが有って驚いた。


「本当に、お兄ちゃん!?」


「あ、ああ、黙ってて悪かったな、事情が有ってな」


 ポリポリと頬をかくと生まれて初めての弟に思わず戸惑う。今まで姉や妹のような存在はいたが兄弟は初めてだ。


「うん!! ずっと、そうだと良いなって思ってたから!!」


「そ、そうか……」


 ニマニマしていて無邪気な笑顔だ。出自は色々と複雑で半分しか血は繋がって無いけど大事な弟だ。


「じゃあ今日から僕のお兄ちゃんなんだよね!?」


「あっ、ああ、よろしく頼むな」


 この後セリカとモニカの二人は夕食を食べ終わると示し合わせたように先に帰ると言って帰ってしまった。最初は三人で話をしていたが次第に話題も無くなり狩憮も暇そうなので携帯ゲーム機をバレないように即応式万能箱どこでもボックスから取り出し他にもスマホゲーも目の前で見せたりした。


「すごい、すご~い」


「そ、そうか? てかゲームくらい母さんに買ってもらえよ」


「えっ? あぁ、そうね……何で――――「お母さんいつも勉強の邪魔だからって買ってくれなかったんだよ兄さ~ん」


 母さんの顔が曇っているのに俺はやっと気付いた。狩憮の父親は母さんと狩憮を捨てて出て行ったと親父は言っていた。何年前か分からないが、このアパートでは三人で暮らせる広さじゃ無いから前の家からここに越して来たのだろう。その際に処分したかそれとも何か別な理由が有るのかもしれない。


「そうか、確かに母さん真面目だしな……じゃあ明日一つくらい俺の貸すしソフトくらいなら俺が買ってやるよ」


「いいの!? じゃあ僕、兄さんと同じのが欲しい!!」


 喜ぶ狩憮に対して母さんは申し訳なさそうにしている。俺の読み通りなら用意出来ないのは経済的な理由も含め色々と有るのだろう、深くは聞かないけど家計が厳しいのかも知れない。そういえばイジメを受けてた時にも貧乏とも言われていた。


「快利、その、良いの?」


「大丈夫だって、俺、実はバイトしててさ、母さんも事件も解決したから今回はご褒美って事で大目に見てやってよ、ね?」


「ええ、そうね……ありがとう快利、助かるわ、でもお金は私が――――「せっかくだから記念で俺が、ね、母さん?」


「ごめんなさい快利、本当に……ありがとう」


 こんな程度で喜んでくれるなら安いもんだ。家族の幸福を金で買えるなら喜んで金くらい出す。そんな話をしている内に狩憮は疲れて眠ってしまった。俺のスマホも充電が切れるほど熱中し遊んでいて中々にゲーマーの素養は有りそうだった。





「疲れてたのか……良く寝てるな、それにしても一番上手いゲームが『勇者ごときがエラそうだ』とは」


 何でこれなんだ地味に複雑だぞ元勇者としては弟よ……なんて思ってしまうじゃないか。その弟は今は隣の部屋の布団で眠っている。


「ぐっすりね、よっぽど嬉しかったのね」


「そっか、俺も楽しかった……」


 そこで二人して無言になる。この後は俺はルリの様子も気になるし家に帰りたいが、もう少しだけここに居たいとも思ってしまう。名残惜しいと思っていたら母さんの表情が少し変わっていた。


「快利……あなたに話す事が有るわ、少しいいかしら?」


「えっ? う、うん……」


 それだけ言うとちゃぶ台に二人分の緑茶を淹れてもらい俺は母さんと向かい合う。そして母さんは口を開いた。


「今さら言い訳はしないけど、あなたを……置いて行った時の話を……しようと思うの……いい、かしら?」


「っ!? それは……」


「あなたが、ここまでしてくれたのに私は何も出来ていない、それに私の癌なんだけど、まるで貴方が治してくれたんじゃないかって、そう思ってるの」


 まさか俺が元勇者で治したのがバレたのかと思ってギョッとしたが当然そんな事は無く母さんの話は続いた。


「もうダメだ死ぬ運命だって思った時にあなたが来た、最初は、あの人のお節介だと思って私はすぐに忘れてもらうように追い返した」


「あの時は凄い剣幕だったもんね」


「ええ、本当に驚いてね……それまで末期の治療しかしてない人達が慌て出してね、誰が来るかと思ったら貴方だった」


 それから成長した俺の姿を見て涙が出そうになったのを必死に抑えていたらしい。昔、俺が小さい頃に二人で撮った写真を今も財布の中に入れていて、それも見せてくれた。


「懐かしいな、入学式の帰りの……写真、無いと思ったら母さんが持ってたんだ」


「ええ、持ち出せたのはこれくらいだったからね……」


 そこでため息のような深呼吸をすると母さんはいよいよ核心へ触れるようで目を瞑って再び深呼吸すると思い口を開いた。


「貴方を置いて行ったのは……間違いなく、私が過ちをを犯して合わす顔が無かったからなのよ……ごめん、なさい」


「……聞いてた、から……大丈夫だよ、そっか、やっぱり、そう……なんだ」


「言い訳を一つだけさせてもらうなら……あなたを連れて行きたかったけど、出来なかった」


 今さら嘘を付く必要が無いし言い訳だと言ってる以上は本当なんだろうけど何でだろうか謎だった。


「なんで? やっぱり……お金の……問題?」


「そうね大きく言うとそれも有る、私はお腹の中の子、つまり狩憮とあなたの三人で最初は田舎に帰ろうと思ったの……まだ父も母もその時は生きてたから」


 もう俺の祖父母は亡くなってるという話だ。入院中に母さん本人がそう言っていたのを思い出した。


「私の実家は山奥でね静かに生きようと思ったのよ、その時にはあの子の父親は蒸発してね、でも身重だった私は、あの子を生んだ後に貴方を迎えに行くって約束を、あなたのお父さん、昇一さんとしたのよ」


「え? そう……なの?」


 聞いた事が無い話だった。少なくとも俺は親父から一度も聞かされて無い。まさか隠していた? でも、それなら俺が記憶を読み取った時に分かったはずだ。


「ええ、でも昇一さんは……あの女に夢中だったでしょ? だから私は別の人と手続きと交渉をしていた」


 親父は、その頃は母さんや俺を放っておいて夕子義母さんや姉さん達を助けるのに必死だった時だ。しかし別の人間と交渉ってつまり相手が変わった?


「別の人? それって……」


「秋山英輔、あなたのお爺様よ、私にとっては元義父ね」


「爺ちゃんが……」


 爺ちゃんと交渉をしていたんだと安易に思っていたら、そこで母さんからの特大級の爆弾発言が俺に向かってされた。


「ええ、そこで秋山英輔は言ったわ、あの人、昇一さんとの約束を無かったものとする快利は渡さない、秋山の血筋は渡さないと……」


「えっ!? じ、爺ちゃんがそんなっ!?」


「そういう男よ、あの人は……昇一さんは私が納得して置いて行ったと思ってるでしょうね……どうせ今も貴方と同じお人好しでしょ?」


 そう言って悟ったような母さんの顔は諦めと悲しみをい交ぜにしたような不思議な表情で母さんの独白はまだ続くようだった。

誤字報告などあれば是非とも報告をお願い致します。(感想ではなく誤字脱字報告でお願いします)


感想・ブクマ・評価などもお待ちしています。


この作品はカクヨムで先行して投稿しています。


下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。

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