同化する世界
『この病人を仲間に加えろというのか? それは無理だろう。魔物と戦えない』
『あぁ? 何だって? ホイミを使え?』
ホイミ?
ホイミは戦闘中ではないと使えないだろう……に……
くっ、腹が痛い。
あれ、おかしいな?
腹が痛い病人は、目の前の男のハズ。
『そうだ、こいつが腹が痛いと言っている。しかし俺はホイミの使い方をマスターできていないっ。こんなことでは仲間ができたって、パーティの管理ができないじゃないか』
悩むな、俺も同じだ。
ふっ、お前も勇者のクセに初心者丸出しだな。
ううっ、何だ、この腹の痛さは?!
ホ、ホイミ……を……
『ホイミは自分にしか使えないぞ! それに、あれを使うとMPを消費してしまう!』
MPがなんだっ!
今、使わなくて、いつ使うんだ!!
《ば……ばあ……ば…………》
ん?
誰だ! 俺を呼ぶのは?!
《ばあば、起きて……起きて、トイレに行かなきゃ》
トイレ??
俺は……南の……南の村に行かなくちゃ、いけないんだ。
《目を覚ますのよ、ばあば! 早くトイレに行きなさい!!》
ぇぇえっ?! ( ゜Д゜)
『え……( ゜Д゜)』
ハッ (;゜Д゜)
夜中の三時に
こんなことで葛藤しているお年寄りが
世界中のどこかに いるのかしら?