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2−2

「……もしかして、ライリーには毒に対する耐性があるのではないですか? 即効性の毒を飲ませても死ななかったのですから」

「それなら、魔の花に酔わなかったのも頷けます。なら、ライリーちゃんのおとうさんがタイミングよく現れたのは――」

「親子なら、ライリーを使った実験に彼も関与していたでしょう。今日現れたのは……実験が終わりを向かえた?」

 話しているうちにトートとルボは森を抜けました。目の前には広場へと続く、東通りと呼ばれる街道が通っています。

「嫌な予感がします。一度ライリーの家へと向かいましょう。彼女の家は何処ですか?」

 ルボがトートに尋ねました。

「この通りの、外側から五軒目です」

 この街では、家の数え方などは街の中心にある広場を基準に考えます。東通りがそう呼ばれるのは、広場から東の方向に通りがのびているからです。外側から、と言うのは街の外側から数えて、と言う意味です。

「この家ですね」

 家の数を数えながら歩くと、五軒目の家はもう目の前です。

 ルボがノックもせずに家の扉を開けると――

        ◆◇◆

 薄暗い部屋の中に人影が二つあります。床には大きな円に幾何学模様が足されたものと、少しはなれたところに小さな円と三角形が二つ組み合わさった模様が書かれてありました。

 大きな円の中心に立っているのはライリーで、小さな円の中心に立っているのは狩人でした。

 部屋の四隅には蝋燭が一本ずつ立てられ、狩人は本を片手にルッソに向けて一生懸命呪文を紡いでいました。それは遠い国の言葉なのでライリーには何を言っているかわかりませんでした。

「無駄ですよ」

 扉が、突然開きました。まぶしい光が部屋に差し込みます。思わずライリーと狩人は目を細めました。

「その本に書いてある呪文は使えません」

 初めに部屋に入ってきたのはトートでした。その後に続いてルボも入ってきます。

「ライリーちゃんを依り代に、魔物を呼び出そうという魂胆なのでしょう? けれども、あなたが今開いているであろう一七三ページの呪文には、五行目に違う術の呪文が混ざっているのですよ」

 トートは狩人のもとへ向かって、ゆっくりゆっくり歩みながら続けました。

「ああ、ちなみにそこを飛ばしても意味ありませんよ。その他の所も、少しずつ間違ってますからね。疑うなら暗唱して見せましょうか? 本に載ったままの、その呪文全て」

 狩人はトートの言葉に驚き、何度か詰まりながら言いました。

「そ、そんなことが出来るはずが無い。だっ、だってこの呪文は五ページにわたって書かれてあるんだぞ!」

 狩人は、怯えているのにも関わらず、決して円の中から出ようとはしません。

「呪文の長さは関係ありませんよ。この職業についていると、禁書に指定されているものでも堂々と読むことが出来るのでね」

 禁書とは、外れ物の知識が書いてある本のことです。その危険性から、一般人に出回ることが無いよう、教会が回収しています。

「何を言って――」

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