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1−5

 おばあさんは話し始めましたが、本当は話すつもりは無かったのでしょう。表情には驚きが表れていました。

「あの子は、私の実験台なのさ。ある日、即効性の毒を飲ませたら、なぜか死なずに髪が赤くなったんだ……どうしてライリーの髪が赤いのを知っている」

「尋ねているのは僕なのですが……いいでしょう。

 彼女に会ったのですよ。森の中でね。彼女と目線を合わせるためにかがんだとき、ずきんからはみ出していたのです。同じ色のずきんで隠してはいるようでしたがね。

 では、次の質問です。彼女のずきんにところどころ血が付いていたのはどうしてですか? 血の状態から、どうやらつい最近に付いたようですが」

 ルボの質問を聞いたおばあさんは、いきなり、大声で笑い出しました。

「知らないよ、予想はつくけどね。あの子は母親のことが嫌いなのさ。

 えっと、血の話だったねえ。その血は私のせいじゃないよ。ルッソでの実験をするときはいつもあの子を裸にするからね」

 抵抗しても無駄だと知ったおばあさんは、抗うことなく言葉を紡いでいきます。

「そうですか……では、次の質問です。

 外れ物のくせに、このような人気の無いところに一人きりで住むとは珍しいですね。本来ならば大勢の外れ物が居るところに住んで、外れ物が情報を交換し合うという集会などにも行くでしょうに、なぜですか?」

「別に、一人って訳じゃないさ。でも、大勢は嫌いだからね。二人も居れば十分――」

 コンコンコン……

 おばあさんはルボの質問に答えようとしましたが、ノックの音に遮られてしまいました。

「誰だい?」

 おばあさんが問いかけます。

「私よ。ライリーよ」

「そうかい。扉は開いているから、入っておいで」

 家の中に入ってきたライリーは、首を傾げました。

「どうしてルボさんとトートさんがここに居るの?」

「ちょっと、ね。君のおばあさんに用があったんだ」

 ベッドに座ったまま、ルボは優しげに言いました。

「ふん。よく言うよ――ライリー、何を持ってきてくれたんだい」

「おかあさんから頼まれたワインを」

 そう言いながらライリーは、かごをおばあさんに渡しました。

 ルボは問題無いと思ったのか、見ているだけです。

「おや、このパンケーキはなんだい?」

 おばあさんは、ワインの入ったかごをそばのテーブルに置くと、かごの中に一つだけ入っていたパンケーキを掴みました。

「おかあさんが、お腹が空いたときのために。って作ってくれたの」

 トートが目を見開いて、いきなりおばあさんの元へ駆け出しました。

「そうかい。――じゃあ、ライリー。あんたは明日からもう、来なくて良いよ」

 おばあさんは、ライリーに向けて微笑みました。そして、ルボを睨みます。

「あんたの思い通りにはさせないよ」

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