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2−4

 ルボの言葉をさえぎって、ライリーは言いました。

 トートは狩人が逃げないように腕を掴み続けています。ルボの言葉が効いているので、掴む必要が無いことをもちろんトートは知っています。しかし、それではトートの気がすまないのでしょう、狩人の腕を掴んだままです。

「どうして残念じゃないのかな?」

 ルボが、あくまでも優しく問いかけます。

「だって、おかあさんのこと大嫌いだから。お酒を飲むといつもぶつんだもん」

「だから殺したの?」

「そうだよ! おかあさんが吐いたばかりの血はとても赤くてとても綺麗だった」

 その様子を思い出したのか、ライリーは満面の笑みを浮かべました。

「どうやって殺したの?」

 ルボは、動じることなく新たな質問をしました。

「おかあさんが作ってくれたパンケーキだよ。酔ってるのに機嫌がよかったから、おかしいなあと思って、無理矢理食べさせたら死んじゃった」

 ライリーは笑顔で続けます。

「おばあさんもいつも変なことするから嫌いだった。でも、髪を赤くしてくれたし、最後に綺麗な赤色を見せてくれたから許してあげても良いかな?

 これでやっと、おとうさんと二人きりで幸せな生活を送れるもの」

「――でも、そのおとうさんは君のことを殺そうとしたんだよ?」

 ルボがライリーの機嫌を伺うように、小首をかしげながら尋ねました。ルボの前髪が、重力にしたがってさらりと移動します。

 ルボとライリーの会話を聞いて、狩人はライリーのことを恐ろしいと思ったのでしょう。狩人の顔が引きつりました。

 ライリーが答えます。

「いいの。だって、小さい頃おかあさんのことをぶって、赤い血を見せてくれたもの。おとうさんも赤色が好きってことだもん」

「と、言っていますが、どうしますか?」

 ルボは、トートに聞きました。トートは答える代わりに、ライリーに尋ねます。

「他に血の繋がっている人はいないのかな?」

「みんな死んじゃった」

 それでも父親と過ごすことが出来るのが嬉しいのか、ライリーは笑顔のままでした。

 ライリーの言葉を聞いて、トートは何も言わず、ルボに一瞬視線を向けるだけでした。

 少しの沈黙の後、ルボが口を開きます。

「本来ならばこのような現場に立ち会ってしまった以上、外れ物の最有力候補として協会に連れて行くのですが……」

 狩人の目が恐怖に染まりました。今までに外れ物と疑われて連れて行かれた人は皆、息をせずに無残な姿で帰ってくることを狩人は知っていたからです。

 ルボはちらりとライリーに目を向けてから続けました。

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