イロア海戦 参
アルティーア帝国艦隊 旗艦「アルサカス」
アルティーア帝国艦隊の上空で暴れ回った戦闘機の群れが、載せられるだけ載せられていた全ての武器を撃ち尽くし、旗艦「あかぎ」へと帰って行く。その悠々とした姿を、アルティーア艦隊の兵士たちは、絶望と悔しさを以て見つめていた。
「敵の航空部隊、前方へ帰還していきます」
兵士の１人から、総指揮官であるテマの元へ状況が伝えられる。軍艦は約２００隻が沈められ、竜は約４５０体近くが堕とされた。それでもまだ艦隊は１５００隻以上が残っていたが、すでに兵士たちの士気には陰りが見られていた。
「・・・」
自らが率いる艦隊が受けている被害から、指揮官テマは進退に悩んでいた。あらゆる可能性を模索する中、彼はアルティーア帝国軍が日本軍に連敗を繰り返していた理由を正確に理解する。それは敵艦の強大な力の為、兵器そのものの性能差によるものだったのだ。まだ敵には隠している力があるかも知れない。
しかし、こちらも竜こそ大きく失ったが、兵力や軍艦など総戦力は８割近くが残っている。敵の艦隊は確かに１隻１隻が巨大だが、目算でも３０隻程、兵器の性能差が隔絶していても物量で押し返すことは可能かも知れない。
「テマ様！」
悩む彼の頭に旗艦アルサカス艦長のアフラの声が響く。
「突撃命令を！ 敵がおとなしくなっている今が好機です！ 竜は多くを失いましたが、敵艦に接近し白兵戦に持ち込めば勝機は大いにあります！」
「しかし、敵の力の全容が見えぬ以上、戦いを続けるわけには・・・」
テマは進退を判断しかねていた。その時、前方に見える敵艦の砲が閃光を放つ。
「敵艦、発砲！」
砲身の先から放たれる閃光、そしてわずかなタイムラグの後に、極めて正確な砲撃が帝国艦隊に襲いかかった。直後、音速を超える砲弾に置き去りにされた砲撃音が不規則に鳴り響く。艦対艦ミサイル攻撃、戦闘機による攻撃、対潜攻撃に続く新たな攻撃が開始されたのだ。
「艦隊約１００隻が轟沈！」
指揮官の下に被害報告が伝えられる。後方を走る旗艦「アルサカス」の甲板からも、艦隊の前方で軍艦の残骸と思しき木片や部品が飛び散る様子が視認出来ていた。
「そんな、敵との距離はまだ１５リーグは離れている！ 砲撃が届く訳が・・・！」
テマは目の前で起きている現実を受け入れることが出来ない。しかし、彼の眼前では列強たるアルティーア帝国が誇る軍艦が木屑の様に吹き飛ばされて行く。
ドン！ ドン！ ドン！ ドン！
日米合同艦隊の砲撃音が響き続ける。１７００隻あった筈の艦隊は、凄まじい勢いでその数を減らしていく。砲撃による衝撃で、船体は飛び散り、乗員は吹き飛ばされ空を舞う。敵が長距離から放つ正確無比の連続砲撃は、帝国軍による反撃を一切許さず、彼らにとっては遙かなアウトレンジから一方的にアルティーア帝国艦隊を殲滅していく。
「テマ様！」
テマが呆然としながら海を見ていたその時、部下の１人が息を切らしながら彼の元に駆け寄って来た。
「船室へ戻られてください、竜騎部隊隊長より音信が入っています！ 全竜騎を引き連れ敵艦隊に突撃すると！」
「なに！？」
最初６５１体あった筈の竜騎部隊は、対艦ミサイル攻撃と戦闘機との戦闘によって９０騎まで減っていた。その生き残りたちが、敵の艦隊に向けて特攻を開始しようとしていたのだ。部下の知らせを受けたテマは、急いで船室へと戻る。
旗艦「アルサカス」 船室
船室に戻ったテマは、竜騎部隊の隊長から音信を受け取っている“信念貝”を手に取り、貝の向こうから届けられる肉声に耳を傾ける。
『我々が敵艦の注意を引きつけ時間を稼ぎます。その間に接近を！』
竜騎部隊隊長のレクタス＝シース佐官は竜の手綱を引きながら、貝越しに指揮官へ進軍を進言していた。
「囮になるつもりか！ 命がいくつあっても足りぬぞ！ 撤退しろ！」
レクタスの独断先行を知ったテマは、竜騎部隊に対して撤退命令を出す。彼は既に日本軍に勝てないことを悟っており、これ以上無駄な犠牲を増やしたくないと思っていた。
『しかし、ここで敗軍となればたとえ生きて帝国へ帰還しても厳しき処罰が待っています！ なんとしてでも一矢報いなければ！』
「っ・・・！」
１７００隻の艦隊と３８万の軍勢、それを率いて負けて帰ったとなれば、総指揮官であるテマやその他の幹部たちの処分は免れない。良くて軍職追放と爵位剥奪、だが恐らくは死刑が下されるだろう。
『どれほど時間が稼げるかは分かりませんが、我らが艦隊の盾となれば相手の気も多少は引けましょう！ どうか、お早く！』
「・・・っ！」
レクタスの一方的な進言の後、音信が切れる。その後、上空を飛行する竜騎部隊はさらにスピードを上げ、日米合同艦隊へ急激に近づいていた。
・・・
日米合同艦隊 旗艦「あかぎ」 戦闘指揮所
竜騎部隊の生き残りたちが接近する様子は、各艦の対空レーダーにばっちり捉えられていた。電測員長の津田一曹は彼らの総攻撃がレーダーに捉えられたことを報告する。
「敵の竜、こちらへ接近を開始！」
レーダーには鳥でも無い飛行機でも無い陰影が群れになって写り込んでいた。その様子を見た艦隊司令の長谷川海将補は、それらに対処する為に次の命令を下す。
「スタンダードミサイルではなく、比較的安価な発展型シースパローを使おう。米軍に連絡、ミサイル駆逐艦及び巡洋艦は対空戦闘用意！ その他の艦は砲撃を継続、即応弾が切れた艦は適宜次弾を装填し、砲撃を継続せよ！」
長谷川が“龍への対応係”に指名したのは在日米軍のイージス艦であった。直後、彼の命令は在日米軍へと通達される。
「シャイロー」 戦闘指揮所
対空戦闘の絶対防御の盾たる「イージスシステム」の開発国であり、世界最高額の軍事費を誇る「アメリカ合衆国」、紛う事無く世界最強の国家である彼の国の海軍は６つの序数艦隊から成り、文字通り世界中の海に展開している。その中で日本国の横須賀を母港としているのが「第７艦隊」である。
故に日本国内にはアメリカ海軍の艦船が多数駐在しており、その最たるものが原子力空母の「ロナルド・レーガン」や揚陸指揮艦の「ブルー・リッジ」であった。幸か不幸か、これら２隻の艦は他の数隻と共に中国へ派遣されていた為に、日本国の異世界転移に巻き込まれることは無かったが、それでも数多のアメリカ海軍の艦船が、日本と共に異世界へ来ていた。このタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の「シャイロー」も、その中の１隻である。
その戦闘指揮所内では、多数のアメリカ海軍兵たちが慌ただしく動いていた。“イージス艦の目”たるＳＰＹレーダーを注視する電測員は、こちらへ急速に接近する物体の群れを見つける。
「ＳＰＹレーダー目標探知。敵航空戦力こちらへ接近」
竜騎隊の接近に気付いたＳＰＹ員は、状況を戦闘指揮所内へと報告する。「シャイロー」以外の第７艦隊所属艦である「ジョン・Ｓ・マケイン」「マッキャンベル」「フィッツジェラルド」「マスティン」「ベンフォールド」「ステザム」「レナ・H・サトクリフ・ハイビー」の７隻でも、ＳＰＹ員によって竜騎部隊の急接近が確認されていた。
因みにこれらの７隻は「シャイロー」とは異なり、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦という艦種である。
「旗艦より連絡、対空戦闘用意！」
「対空戦闘用意！」
通信員より総司令の命令を伝えられた、艦長のアントニー＝ロドリゲス大佐は艦内に復唱を行う。
「前方１２時の方向、数は約９０。速度そのまま直進！」
「ミサイル垂直発射装置準備！」
ＶＬＳ員長の命令を受け、「シャイロー」のミサイル・セルが次々とその口を開ける。各艦でもミサイル垂直発射装置の発射態勢が整えられていた。そして数多の艦対空ミサイルの弾頭が、その姿を白日の下に晒す。それらは発射の時を今か今かと待っていた。
「発展型シースパロー、発射！」
砲雷長の指示を受けたミサイル員によって、発展型シースパローが連続して発射される。その後、続いて他の７隻のミサイル・セルからも発展型シースパローが次々と垂直発射された。
アメリカ合衆国が誇る絶対防空の盾より放たれた、９０発を超える艦対空ミサイルの雨は、艦のミサイル射撃指揮装置による誘導を受けながら、まっすぐ帝国の竜騎部隊に向かって行った。
・・・
旗艦「アルサカス」
帝国艦隊の兵士たちはある変化を感じていた。いくつかの敵艦からの砲撃が止んだのだ。まだ砲撃を続けている艦もあるが、連続砲撃の雨は確実に弱まっている。これならばあと数回砲撃を凌げば、風使いの力を最大限に使い、こちらの大砲の射程距離まで近づくことが出来る。テマはわずかながらに希望を見出した。
（行ける・・・！ 竜騎部隊の覚悟を無駄にしないためにも！）
勝機を見出すためには、なんとしても敵艦に接触して白兵戦に持ちこまなければならない。あれだけいた帝国艦隊はすでに半分に迫るまでに減っていた。さらにここから、敵の砲撃を凌いで敵艦に接触するために費やす犠牲は大きいだろう。圧倒的な質の差を物量で押し返す作戦なのだから当然だ。しかし、そこにはわずかな勝利の希望がある。テマは一矢報いる、もとい勝つ覚悟を決めていた。
「全艦、竜騎部隊を追走せよ！」
総指揮官の命令を受け、残存するアルティーア帝国艦隊約８００隻が進撃を始めた。その時、見張りの水夫が異変を発見する。
「敵艦数隻より煙が発生！」
見張りの報告を聞いた兵士たちは驚愕する。なんと砲撃を止めていた艦の甲板から、次々と大量の煙が勢いよく上がっていたのだ。
「何だ、爆発か！？」
敵艦から大量の煙が上がる姿など、テマを含めたアルティーアの軍人たちにとっては、敵艦で事故でも起こったかの様にしか見えなかった。敵艦で同時に起こった誤爆事故、これ以上の幸運は無い。しかし、そう思ったテマの心は一瞬にして打ち砕かれた。
敵艦数隻から発生した煙は、よく観察すると蛇のように空中を飛んでおり、煙の先端には炎が見えた。煙は艦の爆発により発生したのでは無く、空飛ぶ巨大な槍から噴射されていたものだったのだ。
「くそ！こんなの回避出来るわけねえ！」
「うわあああ・・・！」
「た、助け・・・！」
さらにそれらはなんと竜１体１体を追尾していた。竜騎兵たちの断末魔が５ｋｍ程離れている帝国艦隊まで届く。敵艦から発射された火を噴く槍の群れによって、竜騎兵は次々と撃墜される。時間を稼ぐ、そう告げた竜騎部隊は何分と掛からず全滅した。
「竜騎部隊・・・全滅ッ！！」
「な・・・何と言うことだ！」
テマは目の前で起こったその光景に愕然とする。煙を発し蛇のように宙を舞う炎の正体、それは先程の敵航空戦力が翼から放っていた、火を吹く高速の槍と同種の物だったのだ。攻撃を受けた竜騎は、ぱらぱらとごみ屑の様に海の上へと落ちて行った。
「海から、水中から・・・そして空からの攻撃も駄目か！ あれは艦じゃない、まるで海の上を行く要塞だ！ いや・・・神の杖か！」
海の上を近づいて来る灰色の巨大艦、正確無比な艦砲射撃と、竜騎部隊を瞬く間に撃墜する優れた対空戦闘能力を持つ船、それは彼らアルティーア帝国軍にとって、神や悪魔に等しい力にさえ思えた。
「砲撃を停止していた各艦から再び連続砲撃が！」
「・・・！！」
抱いていた希望が単なる幻想でしかなかったことを思い知らされ、テマを始め各艦の艦長、兵士たちは呆然としていた。そして対空戦闘を終えたイージス艦が砲撃に再度加わり、正確無比な砲弾の雨は再びその勢いを強め、艦隊を沈めて行く。
「・・・退却だ！」
「！！」
竜騎部隊を失い、そして艦隊の３分の２以上を失った状況になって、テマはようやく撤退を決断した。周りに居た兵士たちはその言葉に驚く。
「テマ様！ それでは、貴方の身が・・・！」
「敗戦の全責任は私が負う。兵の命と艦をこれ以上無駄に消費出来ない。私の首１つで済むならそれが最善だ」
彼は詰め寄る部下をなだめるように口を開く。この間にも日米合同艦隊による連続砲撃の波状攻撃は帝国艦隊を撃沈し続けていた。
「全艦に退却を命じよ！ ・・・急げ！」
総指揮官の撤退命令が残った全ての艦に迅速に伝えられる。その後、アルティーア帝国日本侵攻艦隊は船首を反転し、退却を開始した。このとき帝国側の残存戦力は、戦闘開始前の五分の一まで減っていた。
・・・
「あかぎ」 戦闘指揮所
帝国艦隊の動きは水上レーダーによって随時キャッチされている。電測員により帝国艦隊が戦闘海域より離れて行く様子が確認されていた。
「敵艦隊後方、動きに変化有り！ 退却を開始！」
日本側としては、ここで可能な限り敵の数を減らさなければならない。故に長谷川は背を向けた敵に対する追撃命令を下す。
「全艦追走、及びヘリ発艦！ 敵艦隊の後方に周り込み挟撃するんだ！ 艦砲射撃は継続せよ！」
司令の命令が全艦に向かって通達される。その後、ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」「かが」、そして強襲揚陸艦「しまばら」「おが」「こじま」の５隻から、陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターであるアパッチ・ロングボウ、コブラ、ヴァイパーが対艦用ヘルファイアミサイルを載せて飛び立って行った。
旗艦「あかぎ」に率いられた日米合同艦隊による攻撃は、いよいよ仕上げの追撃に入ったのである。
・・・
旗艦「アルサカス」
来た道を帰る様に西南西方向へ船首を向けたアルティーア帝国艦隊に、新たな飛行物体の群れが近づいていた。
「後方から追走してくる新たな飛行物体あり！」
メインマストの上に立つ見張り員がそれらを発見する。それらは先程のものとは違い、パタパタパタ・・・と羽音をたてながら、敗走する軍艦の脇に並走していた。
速度差で圧倒的に劣るアルティーア帝国艦隊は、護衛艦とヘリによる挟み撃ちを甘んじて受けるしかなかった。
すでに戦意を喪失した自分たちに、日本軍は攻撃の手を緩めない。後ろからの砲撃と航空兵器による挟撃、敵が出して来た新たな戦法に兵士たちは萎縮しきっていた。程なくして、旗艦「あかぎ」より発せられた命令を合図に、ヘリから各軍艦に向けて攻撃が開始された。後ろからの砲撃、前からのミサイル、帝国艦隊の全滅はすでに時間の問題となっていた。
（もう、逃げることも出来んか・・・！）
自分の無力さ、愚かさ、悔しさが心の中で渦巻き、テマは唇を噛む。周りでは大国たるアルティーア帝国が世界に誇る軍艦が、次々といとも簡単に沈められていく。
（かくなる上は・・・！）
彼が決心を付けたその時、甲板にいた兵士の１人がいきなり叫び出した。
「もう嫌だあぁあぁ！」
その兵士は叫ぶと、甲板の縁を乗り越えて海に飛び込んだ。あまりにも救いの無い現状を前にして、兵士たちの中に錯乱する者たちが現れたのだ。残っている各艦でも同様の事象が起こっていた。
「降伏だ！ 直ちに降伏の意を示せ！」
「！！」
指揮官が発した言葉に、その場にいた全員が目を見開いた。
「蛮族の虜囚となれば、まず命はありませんぞ！ ここは逃げて逃げ延びるべきです！」
「アルサカス」の艦長であるアフラは、降伏を避ける様に進言する。大陸の文明圏から外れた蛮国の軍門に下れば、どの様な目に遭わされるか分かったものではない、彼はそう考えていた。
“船の碇を腹に刺されてサメ釣りの餌にされた”、“火祭りで薪代わりにされて全身を燃やされた”・・・ロバーニア王国沖海戦の後、本国のアルティーア兵士たちは、“野蛮な極東洋の民”の捕虜となった同僚たちの末路をこの様に噂していたのである。勿論これらは全て事実無根であり、彼らがどれほど極東洋の人々を見下しているのかを示していた。
「どうやって！？ もう逃亡は不可能だ！ 生存の可能性を残せる手段はもう降伏以外に無い！」
「・・・！」
突きつけられた事実と、テマの叫びに兵士たちの意志も固まる。
「・・・降伏だ！ 各員用意！」
「了解！」
艦長アフラの命を受け、旗艦アルサカスの兵士たちは持ち場に急いだ。
・・・
旗艦「あかぎ」 艦橋
ミサイルを撃ち尽くした為、艦隊の監視に回っていたヴァイパーのパイロットが、ある異変を発見していた。彼は無線を使って旗艦に報告をする。
『敵艦隊に異変！ 兵士たちの手によって軍艦の帆が取り払われています！』
「・・・何！？」
ヴァイパーからの報告を聞いた長谷川海将補は、戦術指南役として乗艦しているイラマニア王国の魔術師、ウィレムスの方を向いた。
「ウィレムス殿、これはもしや・・・」
「はい。この世界において帆を取り払う行為は海戦での降伏を示しています」
この世界において海戦の降伏を示す方法は、船の帆を切り払うことである。自ら乗る船を航海不能とすることで、戦意の喪失を敵に示すものらしい。ウィレムスから確認を取った長谷川は、全艦、そして全てのヘリコプターに向けて通信を入れる。
「全艦及び、攻撃参加中のヘリ全機に告ぐ！ 敵は降伏した。我々の勝利だ！」
「・・・！！」
長かった戦闘についに終止符が打たれた。通信を聞いた自衛隊員や米軍兵士たちは、ほっとしたのか、いままで蓄積した疲労を開放するように思わずため息をついた。
『直ちに攻撃中止。生存者の救助、及び収容を急げ』
旗艦「あかぎ」より戦闘終了の命令が下され、各艦とヘリは救援任務に移行する。その後、各艦は数時間かけて捕虜の収容を完了した。
この日、日本＝アルティーア戦争における最大規模の戦い「イロア海戦」が終わりを迎えた。軍艦１７３１隻、兵数３８４，５００名、竜騎６５１体、実に帝国総戦力の９割近くに達する大艦隊から成っていた「アルティーア帝国日本侵攻艦隊」は、軍艦２０隻、生存者４０００余名を残して降伏したのである。「イロア海戦」は結果として、日本の圧倒的勝利で幕を下ろしたのだった。
